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ブラック・スワン(上) の商品レビュー

3.8

171件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2021/03/20

■黒い白鳥の3つの特徴 ①異常であること。過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。 ②とても大きな衝撃があること。 ③異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっ...

■黒い白鳥の3つの特徴 ①異常であること。過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。 ②とても大きな衝撃があること。 ③異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。 ■歴史と不透明の三つ子 ①わかったという幻想。世界は実感するよりずっと複雑(あるいはランダム)なのに、みんな何が起こっているか自分にはわかっていると思い込んでいる。 ②振り返ったときの歪み。私たちは、バックミラーを見るみたいにして、後づけでものごとを解釈する(歴史は、人が経験する現実よりも、歴史の本で読んだほうがわかりやすい)。 ③実際に起こったことに関する情報を過大評価する。権威と学識ある人は不自由になる。特にものごとの分類を始めたりすると、つまり「プラトン化」すると、それに縛られてしまう。  果ての国では格差が大きい。データの一つが集計量や全体に、圧倒的に大きな影響を及ぼす。  だから、体重や身長やカロリー摂取や月並みの国の産物だが、財産はそうではない。 ■黒い白鳥を見るのに不自由だと起こること ①最初から目に見える一部に焦点を当て、それを目に見えない部分に一般化する。つまり追認の誤り。 ②はっきりしたパターンをほしがる自分のプラトン性を満足させる講釈で自分をごまかす。つまり講釈の誤り。 ③黒い白鳥なんていないかのように行動する。人間は生まれつき、黒い白鳥に向かないようにできている。 ④目に見えるものんが全部だとは限らない。歴史は黒い白鳥を隠し、黒い白鳥の起こるオッズを見誤らせる。つまり物言わぬ証拠の歪み。 ⑤私たちは「トンネル」を掘る。つまり、私たちは素性のはっきりした不確実性の源のいくつかにばかり集中する。しかしそれらは、黒い白鳥のリストとしては具体的すぎるのだ(その結果、なかなか思いつかないそのほかの黒い白鳥は無視してしまう)。  …七面鳥の最初の1000日を観察した(しかし1001日目の衝撃は見ていない)人なら、大きな事象、つまり黒い白鳥がいる可能性があると示す証拠はないと言うだろう。まったくそのとおりだ。でも、よく注意していないと、この命題と、黒い白鳥がいる可能性はないと示す証拠があるのとを混同してしまう。  反例を積み重ねることで、私たちは真理に近づける。裏づけを積み重ねてもダメだ!観察された事実から一般的な法則を築くと間違いやすい。通念とは逆に、私たちの知識は裏づけとなる観察結果を積み重ねても増えていかない。七面鳥の例がそうだった。疑い続けたほうがいいものもあるし、間違いないと考えていいものもあるが、観察して得られるものは一方に偏っている。そんなに難しい話ではない。  知識の問題の核心は、確証なんて生き物はこの世にいない ■講釈の誤り  私たちは講釈が好きだ。私たちは要約するのが好きで、単純化するのが好きだ。ものごとの次元を落とすのが好きなのである。  …  講釈の誤りは、連なった事実を見ると、何かの説明を織り込まずにはいられない私たちの習性に呼び名をつけたものだ。    あなたのお子さんは、学習障害には見えないのに、いっこうに喋るようにならない。学校の先生はあなたに、「ほかの選択肢」を検討しろと圧力をかけてくる。治療を受けさせろということだ。いろいろ反対したが無駄だった(先生は「専門家」だから)。ところが突然、お子さんは手の込んだことを語り始める。彼の歳にしてはちょっと難しすぎるような話だ。もう一度言う。一直線に進歩するなんていうのはプラトン的な考えであり、普通はそういうものではないのである。  …「私たちはそうやってきたからこそ、ここまでになった」のを理由に、行きすぎた楽観主義を正当化する根底には、人間の性質に関するはるかに深刻な誤解がある。私たちには自然や自分たちの生まれついての性質が理解できるとか、行き先は自分の意志で選ぶものだとか、実際私たちはそうしてきたとか、そんな誤解だ。私はそりゃ違うと思う。私たちはものすごくたくさんの本能に動かされている。  二つ目の点は、一つ目よりももう少し気がかりだ。進化による適応をいつももてはやし、ありがたがり、福音みたいに思っている人がたくさんいる。黒い白鳥を生み出す強いランダム性がわからない人ほど、進化は最適な答えを出すように働いていると信じ込んでいる。彼らの頭からは物言わぬ証拠が抜け落ちている。  浅はかなことやプラトン的なことは目につくところに現れる。これは知識の問題を単純に拡張したものだ。

Posted byブクログ

2021/08/08

■黒い白鳥の3つの特徴 ?異常であること。過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。 ?とても大きな衝撃があること。 ?異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっ...

■黒い白鳥の3つの特徴 ?異常であること。過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。 ?とても大きな衝撃があること。 ?異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。 ■歴史と不透明の三つ子 ?わかったという幻想。世界は実感するよりずっと複雑(あるいはランダム)なのに、みんな何が起こっているか自分にはわかっていると思い込んでいる。 ?振り返ったときの歪み。私たちは、バックミラーを見るみたいにして、後づけでものごとを解釈する(歴史は、人が経験する現実よりも、歴史の本で読んだほうがわかりやすい)。 ?実際に起こったことに関する情報を過大評価する。権威と学識ある人は不自由になる。特にものごとの分類を始めたりすると、つまり「プラトン化」すると、それに縛られてしまう。  果ての国では格差が大きい。データの一つが集計量や全体に、圧倒的に大きな影響を及ぼす。  だから、体重や身長やカロリー摂取や月並みの国の産物だが、財産はそうではない。 ■黒い白鳥を見るのに不自由だと起こること ?最初から目に見える一部に焦点を当て、それを目に見えない部分に一般化する。つまり追認の誤り。 ?はっきりしたパターンをほしがる自分のプラトン性を満足させる講釈で自分をごまかす。つまり講釈の誤り。 ?黒い白鳥なんていないかのように行動する。人間は生まれつき、黒い白鳥に向かないようにできている。 ?目に見えるものんが全部だとは限らない。歴史は黒い白鳥を隠し、黒い白鳥の起こるオッズを見誤らせる。つまり物言わぬ証拠の歪み。 ?私たちは「トンネル」を掘る。つまり、私たちは素性のはっきりした不確実性の源のいくつかにばかり集中する。しかしそれらは、黒い白鳥のリストとしては具体的すぎるのだ(その結果、なかなか思いつかないそのほかの黒い白鳥は無視してしまう)。  …七面鳥の最初の1000日を観察した(しかし1001日目の衝撃は見ていない)人なら、大きな事象、つまり黒い白鳥がいる可能性があると示す証拠はないと言うだろう。まったくそのとおりだ。でも、よく注意していないと、この命題と、黒い白鳥がいる可能性はないと示す証拠があるのとを混同してしまう。  反例を積み重ねることで、私たちは真理に近づける。裏づけを積み重ねてもダメだ!観察された事実から一般的な法則を築くと間違いやすい。通念とは逆に、私たちの知識は裏づけとなる観察結果を積み重ねても増えていかない。七面鳥の例がそうだった。疑い続けたほうがいいものもあるし、間違いないと考えていいものもあるが、観察して得られるものは一方に偏っている。そんなに難しい話ではない。  知識の問題の核心は、確証なんて生き物はこの世にいない ■講釈の誤り  私たちは講釈が好きだ。私たちは要約するのが好きで、単純化するのが好きだ。ものごとの次元を落とすのが好きなのである。  …  講釈の誤りは、連なった事実を見ると、何かの説明を織り込まずにはいられない私たちの習性に呼び名をつけたものだ。    あなたのお子さんは、学習障害には見えないのに、いっこうに喋るようにならない。学校の先生はあなたに、「ほかの選択肢」を検討しろと圧力をかけてくる。治療を受けさせろということだ。いろいろ反対したが無駄だった(先生は「専門家」だから)。ところが突然、お子さんは手の込んだことを語り始める。彼の歳にしてはちょっと難しすぎるような話だ。もう一度言う。一直線に進歩するなんていうのはプラトン的な考えであり、普通はそういうものではないのである。  …「私たちはそうやってきたからこそ、ここまでになった」のを理由に、行きすぎた楽観主義を正当化する根底には、人間の性質に関するはるかに深刻な誤解がある。私たちには自然や自分たちの生まれついての性質が理解できるとか、行き先は自分の意志で選ぶものだとか、実際私たちはそうしてきたとか、そんな誤解だ。私はそりゃ違うと思う。私たちはものすごくたくさんの本能に動かされている。  二つ目の点は、一つ目よりももう少し気がかりだ。進化による適応をいつももてはやし、ありがたがり、福音みたいに思っている人がたくさんいる。黒い白鳥を生み出す強いランダム性がわからない人ほど、進化は最適な答えを出すように働いていると信じ込んでいる。彼らの頭からは物言わぬ証拠が抜け落ちている。  浅はかなことやプラトン的なことは目につくところに現れる。これは知識の問題を単純に拡張したものだ。

Posted byブクログ

2021/02/23

以前から気になってはいたものの、ようやくその気になって読んだもの。予測できないことがあるのにも関わらず、無いと思い込んでしまう人間のバイアスについて丁寧に説明されていて良い。 内容自体はすごくためになるのだが、個人的にはどうも訳者の文体が合わなくて(元々の文章がそうなのかもしれな...

以前から気になってはいたものの、ようやくその気になって読んだもの。予測できないことがあるのにも関わらず、無いと思い込んでしまう人間のバイアスについて丁寧に説明されていて良い。 内容自体はすごくためになるのだが、個人的にはどうも訳者の文体が合わなくて(元々の文章がそうなのかもしれないが)、ちょっと気持ち悪い。ユーモアを交えて読みやすくしているのだとは理解できるのだが、ちょっと鼻につく。 それを差し引いても、不確実性とリスクについてこんなに分かりやすく説明している点は素晴らしい。 本書に書かれている内容を、ただ単に「そういうこともある」で終わらせるか、「ではどうするか」と考えるかによって行動が変わる。ビジネス分野だけでなく、普通の生活の中でも十分に注意すべき内容だと感じた。

Posted byブクログ

2021/01/12

『#ブラックスワン(上)』 ほぼ日書評 Day312 文中に登場する "世界最高の作家" であるイェフゲニア、1001日目の七面鳥、著者自身述べている通り「頭の体操」の本。 永遠に勝ち続けるギャンブラーは存在しない。白鳥は白いという命題は、たった一羽の黒鳥...

『#ブラックスワン(上)』 ほぼ日書評 Day312 文中に登場する "世界最高の作家" であるイェフゲニア、1001日目の七面鳥、著者自身述べている通り「頭の体操」の本。 永遠に勝ち続けるギャンブラーは存在しない。白鳥は白いという命題は、たった一羽の黒鳥の発見で覆される。ごもっともである。 本書の主張を一言にまとめるなら「思い込みのリスクを廃せ」ということ。それが膨大な歴史上あるいは科学的なエピソードを展開して語られるのだが、ギリシャの個人名とかとにかく読みづらいので、八っぁんと御隠居の会話みたいに「超訳」されたバージョンが欲しくなる。 加えて、個人から少数(少なくとも普通に勘定できる数)までならその見解は妥当だが、仮に細胞や分子といったミクロなレベルまで落とし込むことで、十分な数のギャンブラーを確保するならば、永遠に勝ち続けるギャンブラーも存在することとなる。生物の進化・遺伝子保存というのはまさにこれで、絶滅により舞台から退場するまでは、敗者ではないとも言えるのではという感想も持った。

Posted byブクログ

2020/11/20

上巻最終章の、予想屋と呼ばれる職業に対する、「やめちまえ」的なバッサリ意見が衝撃だった。 著者曰く、無駄と知りつつ予測することは非道徳的で、ウソを言っているのと同じで、犯罪者よりも酷い害悪をなす場合もある。とのこと。 上記のとおり予想屋をバッサリ断罪する理由は、黒い白鳥が存在...

上巻最終章の、予想屋と呼ばれる職業に対する、「やめちまえ」的なバッサリ意見が衝撃だった。 著者曰く、無駄と知りつつ予測することは非道徳的で、ウソを言っているのと同じで、犯罪者よりも酷い害悪をなす場合もある。とのこと。 上記のとおり予想屋をバッサリ断罪する理由は、黒い白鳥が存在するため。 「黒い白鳥に気づけないことを、人間は学習しない」このことを伝えるためのエピソードや思考試験多数。 下巻も読みたい。

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2020/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人間は過去に起きたことを単純化したりパターン化しがち。その結果、物事を知ったり、未来を予測できるような錯覚を持ってしまい、自分たちが見つけたパターンから外れた異常値や外れ値(黒い白鳥)を無視しがちになる。 しかし、現在の世界では、パターン通りの普通の出来事よりも、突然現れる予想外の黒い白鳥の方が大きな影響を与える。

Posted byブクログ

2021/10/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ブラック・スワン」とは、「白鳥は白に決まってる」という思い込みが実際に「黒い白鳥」を目の当たりにした瞬間に世界が一変してしまうこと。大災害やパンデミック、ソ連崩壊などの体制崩壊、リーマンショック、コンピュータの進展によるビジネスモデルの崩壊などがそれにあたる。 さまざまな「認知バイアス」が登場したのでキーワードを列挙します(詳細はググって下さい)。 懐疑的実証主義、プラトン性、講釈の誤り、予測のスキャンダル、お遊びの誤り この他、以下の概・エピソードも興味深かった。 月並みと果て、ベル型カーブ(ガウス分布)、ヒュームの問題、バーベル戦略

Posted byブクログ

2020/10/10

世界は正規分布ではなくベキ分布で成り立っているという本。俺は先に同じ著者の『反脆弱性』を読んでいたので新鮮味は無かった。あっちの方がアップデートされた内容なので、今となっては本書を読む価値は低い。それに『反脆弱性』はKindle化されているけど、こちらは日本語だと紙の本しかないし...

世界は正規分布ではなくベキ分布で成り立っているという本。俺は先に同じ著者の『反脆弱性』を読んでいたので新鮮味は無かった。あっちの方がアップデートされた内容なので、今となっては本書を読む価値は低い。それに『反脆弱性』はKindle化されているけど、こちらは日本語だと紙の本しかないし。 結局の所、人は正規分布の世界は直感的に理解できるが、ベキ分布の世界はそうではないというところに問題がある。人は平均値が中央値で最頻値だと思いがちだ。しかしベキ分布は違う。この世界では平均値が実質意味を持たない。またバラツキについても同様で、正規分布ではありえないような値も、ベキ分布ではありえてしまう。そしてこの差は、そのまま人の直感と実情の差となる。だから人は予想外の事が起きることを予想できないのだ。 ではどうしたらいいのか。まずは対象の分布が正規分布かベキ分布かを見極めるところから始めるしかないだろう。それによって対応は異なるからだ。しかし問題なのは、少ないデータからはそれがどちらの分布なのかは判断できないことである。そうなると、物理的な制限が無いのなら、ベキ分布であると仮定するのがいいのだろうか。

Posted byブクログ

2020/09/10

「未来は予測できない」ということをこれでもかと説明している本。しかも下巻も同じなのだから素晴らしい。 直感に反することを理解するには何度言われても応用するのは難しい。だからこそこういう本を読んでどっぷりと頭に理解させることが大事。

Posted byブクログ

2020/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

未来を予測することはできない。 厳密な予測よりも、その精度の「幅」が大事。 当たり前の日常をある程度予測することはできても、生活に大きな影響を与えるのは「黒い白鳥」のような予測不能な出来事。

Posted byブクログ