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世界のすべての七月 の商品レビュー

3.6

40件のお客様レビュー

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2024/08/02

4.0 分厚く長い話だが、登場人物像の背景が見えると一気に読める。50歳や60歳になっても成熟し落ち着くわけではないと言う群像劇。戦争体験は、決して前向きに生きていく力にはなり得ないと言う作者のスタンスには共感できる。あがきながら、幸せを求めて生きていきたい。

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2024/07/25

村上春樹氏の翻訳というだけで手に取った小説。 自分より年上の50代男女のさまざまな人生が書かれているということで、何か今後の参考になるかもしれないという視点で読み始めたけど、参考にはならなかった。 とにかく登場人物が多い。理解力のない私は最後まで混乱していたのも、いまいちハマ...

村上春樹氏の翻訳というだけで手に取った小説。 自分より年上の50代男女のさまざまな人生が書かれているということで、何か今後の参考になるかもしれないという視点で読み始めたけど、参考にはならなかった。 とにかく登場人物が多い。理解力のない私は最後まで混乱していたのも、いまいちハマれなかった要因です。

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2022/11/16

なんだろう、とても好きな読後感だった。私はこういう過ぎ去った日々とか、センチメンタリズムとかそういうものに滅法弱いみたい。50歳を過ぎた登場人物たちは大学の同窓会で輝かしかった日々と、その後の現実的な人生について思いを馳せる。そして馳せるだけじゃなくて実際に行動に移すところがいか...

なんだろう、とても好きな読後感だった。私はこういう過ぎ去った日々とか、センチメンタリズムとかそういうものに滅法弱いみたい。50歳を過ぎた登場人物たちは大学の同窓会で輝かしかった日々と、その後の現実的な人生について思いを馳せる。そして馳せるだけじゃなくて実際に行動に移すところがいかにもアメリカっぽい。大学の時に思い描いていた人生を送っている人は誰もいなくて、病気や離婚や問題ばかり。だけどもう帰らない青春の日々の記憶を共有している間の彼らは幸せそう。ポーレットとディヴィッドが好き。

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2022/05/27

自分と同世代の人々の話。ノスタルジーと今後、後悔と希望。誰しもが人生に抱える事柄を何人かのパターンで描いてる。しかし、みんなお盛んなこと。

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2022/05/05

僕ら大人になったなら 大事なことを 忘れちまうらしいんだけど そんなのはイヤさ ──とはスパルタローカルズ「ボウイ」の冒頭だけど、大人になってももし仮に 「大切なこと」を忘れ(られ)ずにいてしまったらどうなるのだろうか。 死に近づく肉体があって、叶わなかった夢があって、愛する人...

僕ら大人になったなら 大事なことを 忘れちまうらしいんだけど そんなのはイヤさ ──とはスパルタローカルズ「ボウイ」の冒頭だけど、大人になってももし仮に 「大切なこと」を忘れ(られ)ずにいてしまったらどうなるのだろうか。 死に近づく肉体があって、叶わなかった夢があって、愛する人も自分も同じように老いる。 (ハッピー)エンドを目指し、(ハッピー)エンドを迎えた後に長く続く人生。 小説になるような人生の、エンドマークの後の時間。 「俺たちまだまだこれからだぜ!」みたいなことを、言えるか?果たして。どうなのか。 非常にしんどく、しかし楽しい読書だったです。 世界の全員に幸せはやって来ない。しかし!っていうね。。

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2022/03/20

ティムオブライエンは、「本当の戦争の話をしよう」をかつて読んでとても感動し、何度も読み返した。村上春樹氏が翻訳していることもあってか、とても素晴らしい作品だったと思う。この作品も、村上春樹氏が翻訳している。1969年卒業した人々の、31年後の同窓会の話。群像劇であり、特定の主人公...

ティムオブライエンは、「本当の戦争の話をしよう」をかつて読んでとても感動し、何度も読み返した。村上春樹氏が翻訳していることもあってか、とても素晴らしい作品だったと思う。この作品も、村上春樹氏が翻訳している。1969年卒業した人々の、31年後の同窓会の話。群像劇であり、特定の主人公がいるわけではない。 文章表現はさすが村上春樹。素晴らしい。群像劇なので誰がどういう31年を過ごしたのか記憶に留めなくてはならないという読者に努力を求めるもの。殆どが、こんなはずではなかった、という悔いと共に思い出を語り合うのだけれど、まだこれから、という希望も持っている。 自分と比べるとどうかなあ。やはり同じようにこんな人生ではないはずだったんだけどと悔やんでばかりいるような気がするし、少し未来に希望を持っているところもあるかもしれない。そういう意味では共感できたかもしれない。 村上春樹氏自身の小説よりも、翻訳の方が文章のキレが素晴らしいと思うのでこれからも翻訳中心に読んでいこうかなと思った。

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2021/09/02

20代の今に読めてよかった。登場人物と同じ50代だったら、くすぐったくて辛くて読みきれないと思う。夢や思想や好きな人や美や居場所を求めて求めて、最後には生々しさや痛々しさだけが残る「人生」のどうしようもなさ。そこから感じられるエネルギーを活字で楽しめた。

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2021/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小説が上手かどうかにかかわらず、なんだかどうしても気になってしまう作家で、だからこそ翻訳したい作家なのだ、というようなことを翻訳者の村上春樹さんが書いています。彼がいうところでは、彼の小説には「下手っぴいさ」があるのだと。でも、翻訳されたあとの本書を読んでみるとそういうところはほとんど感じられませんでした。ストーリーの展開には人生を知っているもののそれがありますし、文章やその展開にだってまっとうな誠実さがあると感じました。反対に、翻訳がもともとの文章の素顔を、慣れた感じで化粧しているかのような感覚が僕にはありました。 1969年にダートン・ホール大学を卒業し、2000年に同大学で卒業31年目の同窓会が行われている模様を挟みながら、主要な11人の過去がひとつずつ語られていきます。甘さよりも苦さが際立つかれらのその、それぞれの人生の物語。生きることの苦しい部分を、こちらがするすると読めてしまうところは、エンターテイメントの性質を備えている作品だからだなあと思いました。そして、味わい深い。人生の真であるところにぺたっと貼りついているような距離感覚での文章表現が巧みです。そこまで言い得てしまうんだ、という表現、単純な表現で直截に射ぬくのではなくて、レトリックを用いてやんわりと、だけれどそこで作者が言っている中身を考えるとど真ん中のストライクなんです。素晴らしい球で抜いているんです。そういった見事な球がかなりあります。 作中のそれぞれの人生の話において、その重みや彼らがやらかしてしまったことのオリジナリティについていえば、それはもうどこかに綻びを探そうとするならばそれが愚かで恥ずかしいことであると顔が熱くなるだろうことをすぐに悟るくらい真に迫っていて、この世界のどこかで実際にあったことをエンタメ的な表現で小説にしたのではないか、と信じてしまいそうになるほどです。 作者はベトナム戦争に従軍したそうですが、ベトナムでの戦地の話があるし、若い女の子の危険なお金稼ぎの方法とそこに続く落とし穴の話、二人の夫を持つ女性の話、などなどもっとありますが、語られる話の幅が広くて、だからこそ様々な人生を経た人たちが会する同窓会をこういった形で立体的な群像劇に仕上げられたのでしょう。かなりの力量と熱意がなければ作り上げられない作品だと思います。 さまざまな人生。それらの人生の細かいところを知ると途端に親しみを覚えるものです。今の彼・彼女はそうやって出来たのだなぁとわかりますから。とくにその苦しんだ部分、そこは大きいですね。きっと苦しみのディテールにその人の人生の魅力があるんです。誰かにつよく愛おしさや慈しみを感じるのだとしたら、その誰かの苦しみのディテールを知ったからだったりしませんか? 若いうちは、苦しみの意味なんてよくわからなくて、逆に、苦しんだ過去などは弱点だとか汚点だとかと考える人は多いでしょう。けれども、そこを自分で受け入れて捨ておかないでいられるようになったら、そしてカウンターのような心理で自慢のために使ったりしないようになれたなら、この小説の登場人物たちのように、紙一重ででも善きほうへと小さく一歩をふみ出せるのだと思います。 といったところです。本書のタイトルはどういった意味だろう、と常に頭の片隅に疑問を置きながら読んでいました。ラストに、「あ。」と思う終わり方です。全ての人は、世界のすべての七月に生きている。永遠って実はあるのだ、ということだと読めました。儚いけれどパワーに満ちた永遠であり、信じる者だけの永遠なのかもしれません。

Posted byブクログ

2021/06/01

同窓会とそれぞれが同窓会までひきづってきた過去、それを交互に描く。 アメリカ、それもフラワーチルドレン世代の友情や人間関係をしっくり理解することはできませんでしたが、悩む姿、悔恨などはある程度人生を生きてきた身なら多少は覚えのあることで、そこに共感できるものがありました。

Posted byブクログ

2021/02/23

私より一世代上のアメリカに住む若者が大学卒業31年後の2000年7月8日に催した同窓会での一人ひとりの物語を集めたクロニクル集。日本でもアメリカでもベビーブーマーの世代が50歳となって迎える日々は、それでもこの世代の明るさ(あるいは能天気さ)を宿している。ある者はこの日にそれまで...

私より一世代上のアメリカに住む若者が大学卒業31年後の2000年7月8日に催した同窓会での一人ひとりの物語を集めたクロニクル集。日本でもアメリカでもベビーブーマーの世代が50歳となって迎える日々は、それでもこの世代の明るさ(あるいは能天気さ)を宿している。ある者はこの日にそれまでの幸せを失い、ある者はもしかしたらこの日から幸せが始まる。それぞれが歴史に名を残すことはない平凡な毎日ではあるが、子細に見ればユニークなそれまでのライフイベントを持っている。1960年代後半に青年期を迎え、市井に生きた人々が振り返るとこんな話になるのかなと思わせる展開が、私にはとても気持ちよく読めた。レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」は読みにくいなあと嘆息する出来だったが、この本はよく紹介してもらえたなと村上春樹に感謝したい。

Posted byブクログ