かあちゃん の商品レビュー
小学生の時、仕事中の事故で父は亡くなった。 対向車が悪いのに、助手席に乗っていた上司を死なせた罪を償うため、母は全く笑わなくなった。 毎日毎日楽しい事を避け、辛い事をしょい込み、ひたすら罪と向き合う母。 母の苦しい生き方から逃げて東京で過ごしていた息子の元に、母が故郷で倒れたと...
小学生の時、仕事中の事故で父は亡くなった。 対向車が悪いのに、助手席に乗っていた上司を死なせた罪を償うため、母は全く笑わなくなった。 毎日毎日楽しい事を避け、辛い事をしょい込み、ひたすら罪と向き合う母。 母の苦しい生き方から逃げて東京で過ごしていた息子の元に、母が故郷で倒れたと連絡が入る。 連絡してきたのは事故で死なせた上司の娘。 そこから物語は始まる。 『とんび』の母親版を想像していたら、全く違うテイストの作品でした。 『きみの友だち』に近いかな。 重松さんらしい優しく諭すようなお話。 してしまった事は消せない。 一生背負って生きていくしかない。 それを中学生に気付かせてくれたのは、おばあちゃんの愚直で真摯な生き方だった。 それにしても、私はいつから小説に子供の気持ちを教わるようになったのだろう。 かつて経験した思春期の感情より、子供の気持ちが分からず錯乱する親の方が理解できるのだ。 同じ立場にたったら、きっとこの親達のように嘆く事もまた想像がつく。 うーむ、母であることは難しい。
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この人の小説はいつも何かを強く伝えていて、胸が苦しくなって、涙が出てくる。 中学校で起きたイジメに被害者はもちろん、加害者になってしまった子たちも傷ついて、親も先生もどうしていいのか分からなくて。 亡くなった夫が運転していた車にたまたま同上していた上司。 その上司も亡くなってし...
この人の小説はいつも何かを強く伝えていて、胸が苦しくなって、涙が出てくる。 中学校で起きたイジメに被害者はもちろん、加害者になってしまった子たちも傷ついて、親も先生もどうしていいのか分からなくて。 亡くなった夫が運転していた車にたまたま同上していた上司。 その上司も亡くなってしまって、笑わないと誓った母ちゃん。 二十数年誓いを守り、自分にも息子にも厳しく贖罪の日々を生きたかあちゃんが、いじめをしてしまった中学生と出会い、その子の周りの人も少しずつ変えていく。 「すぐ目の前にいるひとでも、遠くにいるひとでもいいんだ。 ひとりぼっちじゃないって教えてくれるひとがいれば、だいじょうぶなんだよ」 妻や子どもの前におふくろの顔が浮かんだ。 そうだよな、と噛みしめるようにうなずいた。 どんなこどもも、ひとりぼっちでこの世に生まれてくることはありえない。 世界中のすべてのひと。 あらゆる時代の、あらゆるひと。 例外などない。 生まれてきた瞬間にいちばんそばにいてくれるひとは、どんな人間の場合も、母親なのだ。 思いだすことすらできない人生のいちばん最初の記憶に、母親がいる。 その深い深い記憶を忘れずにいるかぎり、ひとは、どんなに寂しい毎日を送っていても、決してひとりぼっちではないのかもしれない。 ずいぶん前に母の誕生プレゼントにカードを添えました。 「27年前に私を生んでくれて、ありがとう。 お母さんが私のお母さんでいてくれたから、幸せな27年でした。」って。 34歳になったって、お母さんは口うるさくて、たまにうっとおしくて、未だに「貴女はかわいいわよ」って言ったりするお母さん。 お父さんには悪いけれど、お母さんがいるからいつも心強いです。 この本の帯にあった言葉。 「あなたのおかげで、僕はひとりぼっちではありません。」 重松さんらしい、胸にあったかいものがいっぱいになる本でした。
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■重松清さんの全作品を感想文にしてブログで挑戦中です。 重松清ファン必見! http://wwjdkan01.blog68.fc2.com/
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母親というテーマでなおかつ『忘れない・償い』というテーマも扱っている一冊 かあちゃんは子どもが一番なんです。
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