海の都の物語(1) の商品レビュー
やはり塩野七生先生は最高だ。その一言に尽きる。ヴェネツィアなんて水上観光都市くらいのイメージしかなかったけど、すごいんだな。
Posted by
☆☆☆ 2025年6月 ☆☆☆ ヴェネツィア、海の都。『コンスタンティノープルの陥落』や『ローマ亡き後の地中海世界』『十字軍物語』といった塩野氏の作品群の中でも、その存在感は抜群。交易に生きた都市国家ヴェネツィアそのものを主役に据えたこの作品。数年間「読んでみたい」と思ってい...
☆☆☆ 2025年6月 ☆☆☆ ヴェネツィア、海の都。『コンスタンティノープルの陥落』や『ローマ亡き後の地中海世界』『十字軍物語』といった塩野氏の作品群の中でも、その存在感は抜群。交易に生きた都市国家ヴェネツィアそのものを主役に据えたこの作品。数年間「読んでみたい」と思っていたが、ようやく手を出すことができた。 ストーリーは、何もない潟から始まる。この不毛の地に異民族から逃れてきた人々が海上に築いた街。それがヴェネツィアの始まりだ。彼らは何も持たないがゆえに、海に繰り出し、交易に生きた。 エコノミック・アニマルと揶揄される事が多いが、冷静に物事を判断し、感情や信仰にのめりこみことなく生き抜いてきたのがヴェネツィア商人だ。それはまるで国家そのものが総合商社であるような印象を与える。 第一巻では、ヴェネツィアの誕生から、海へ繰り出すところから第四次十字軍まで。彼らがいかにして販路や仕入れ先を確保し、海上交通の安定化高速化に知能と資金を費やしてきたかが、まるで自分がその立場になったかのように感じられる。
Posted by
イタリア、ベネツィア共和国の物語。塩野さんの小説は、ローマ人の物語を堪能したばかりで、こちらも期待。まずそもそもベネツィアが1000年続く共和国であったこと、今でいうグローバル化を先取っていた国家だったことなど、全然知らなかった。大国に囲まれたがゆえのバランス感覚。やるときは徹底...
イタリア、ベネツィア共和国の物語。塩野さんの小説は、ローマ人の物語を堪能したばかりで、こちらも期待。まずそもそもベネツィアが1000年続く共和国であったこと、今でいうグローバル化を先取っていた国家だったことなど、全然知らなかった。大国に囲まれたがゆえのバランス感覚。やるときは徹底的にやる覚悟など、現代の日本(大国の影響から逃れられず、貿易で成り立っている。逃げ場はない)の振る舞いを考える上で、参考になる歴史なんだろうと思う。
Posted by
ベネチアという都市国家の栄枯盛衰をまるで一人の人生のように味わい深いストーリーとして読ませてもらった。
Posted by
共和国の成り立ちからその後の発展を追っており、一千年の歴史がヴェネツィア人の思考回路から理解出来る。観光地としての水の都ヴェネツィアしか知らなかったが、一気に街に奥行きが生まれたような感覚。筆写の多少の脚色は勿論あるだろうが、これだけ歴史を身近に感じさせてくれて、読んでいてわくわ...
共和国の成り立ちからその後の発展を追っており、一千年の歴史がヴェネツィア人の思考回路から理解出来る。観光地としての水の都ヴェネツィアしか知らなかったが、一気に街に奥行きが生まれたような感覚。筆写の多少の脚色は勿論あるだろうが、これだけ歴史を身近に感じさせてくれて、読んでいてわくわくした。
Posted by
ほとんど知らなかったヴェネツィアの歴史。 何故、何もなかった葦で覆われているだけの潟に、街ができたのか? それはどのように造られたのか? 葦だけの湿地に、というのは、江戸を思い出すところですね。そういえば江戸は、どのようにして造られたのでしょう? ともかく、ヴェネツィアの方...
ほとんど知らなかったヴェネツィアの歴史。 何故、何もなかった葦で覆われているだけの潟に、街ができたのか? それはどのように造られたのか? 葦だけの湿地に、というのは、江戸を思い出すところですね。そういえば江戸は、どのようにして造られたのでしょう? ともかく、ヴェネツィアの方が、江戸よりもより湿地であったようにみえます。 杭を打って海の水と陸地の境を作る、そんなところから、描かれています。 ヴェネツィアが、国として成り立っていくために、元首ピエトロ・オルセオロ二世は、何をしたのか。 まだ若く三十歳でドージェになった彼は、ヴェネツィアを、海へ向かって乗り出す国へと舵をきりました。 ローマ帝国滅亡後の当時のイタリア周辺の状況は複雑。 周りの何処からも侵略の可能性がある中、人口も限られ、土地も限られた量だけの国が、どうやって自由と独立を保ち続けたのか。 まずは、ヴェネツィアが東地中海を自由に行き来できるようになるまでの、一冊目です。 ヴェネツィアには、自分だけの利益を追求した人はいなかったのか? 権力を我が手に収めたいと願う者同士の争いは、ヴェネツィアの中には無かったのだろうか? そんな疑問が残るのですが、国としての存在を優先せざるを得ない事情も、納得できないわけではありません。 二巻目以降のヴェネツィアの発展を期待させる一冊目でした。
Posted by
「ローマ人の物語」に比べて、導入時はあまりページを繰る手が進まなかった。アッチラやロンゴバルトに追いやられながら沼沢地帯に住まざるおえなかった彼ら。だが、そこからがすごかった。基本戦略を経済第一に置き、海を縦横無尽に飛び回る逞しい姿が描かれていて、話しに没入する。飛躍の戦略を作っ...
「ローマ人の物語」に比べて、導入時はあまりページを繰る手が進まなかった。アッチラやロンゴバルトに追いやられながら沼沢地帯に住まざるおえなかった彼ら。だが、そこからがすごかった。基本戦略を経済第一に置き、海を縦横無尽に飛び回る逞しい姿が描かれていて、話しに没入する。飛躍の戦略を作ったピエトロ・オルセオロ、そしてラテン帝国の産みの親、エンリコ・ダンドロ。この二人の元首がベネチア共和国を強国に押し上げたということを学ばせてもらった。興奮冷めやらぬうちに2巻へと進みたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いつか読みたいと思っていたシリーズ。 ヴェネツィアの成り立ちから、船の発達、第4次十字軍。歴史の合間にヴェネツィア特有の事象の説明があり、また歴史へ。水の都として今も残るヴェネツィアの歴史が巧みに紐解かれていている。
Posted by
ベネツィアの誕生から、第四次十字軍まで。 一気に「読ませる」文章力は相変わらず。イタリアに対する贔屓っぷりも相変わらず。 第四次十字軍に対する擁護は滑稽ですらある。「モラリストぶる」(235頁)必要がないならここまで必死に擁護しなくてもよいのでは、と思ってしまうが。
Posted by
中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかっ...
中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。
Posted by
