海の都の物語(1) の商品レビュー
全六巻読み終えました。色々と今の日本が置かれている状況を考え取るべき道を考えるのは良い本だと思います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「はじめに、商売ありき」の合理的な考え方をもっている、ヴェネツィア共和国の1000年に及ぶ歴史について描かれた本。初めに描かれていた第4次十字軍の話はとっても面白かった。自分たちの利益を最大限になるように考えつつ、大国の力をうまく利用していくところがとても面白かった。 海洋都市であった4国家の比較も面白かった。これにより、ヴェネツィアの異質性がよくわかった。また、ジェノヴァとの戦いは熱いものをかんじた。ヴェネツィアの政治制度であるドージェや十人委員会および国会による権力分立制度はとっても素晴らしいものであり、日本も見習うべきだとは思ったが、この制度が維持できたのはヴェネツィア人の性格があってこそだろう。なぜならば、今の日本の政治家では、このヴェネツィアの方々のように国を想う気持ちはほとんどないだろうから。 さらに、ヴェネツィアの商魂には驚かされた。トルコとの戦いでの大損を取り返そうと和平条約を締結した際にすぐ大使をコンスタンティノープルに派遣し、そのつなぎに捕虜となっていたヴェネツィア人を使うところもさすがだと感じた。このようにチャンスを逃さない姿勢が1000年繁栄できた要因なんだろう。 この後、経済的発展に伴って、政治的・文化的に成熟していき、衰退していく。という人の一生だったら充実してやまないような一生だろう。奢れるものというより、平和でありすぎた故の外交感覚のマヒ。今の日本を見ているような気もした。
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大好きなヴェネツィアに関する本。ベネツィアの歴史の最初の部分。知ってることもあれば、初めて知ったこともある。
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「ローマ人の物語」や「十字軍物語」など塩野七生さんの作品は緻密な文献、資料に基づいて書かれているので信憑性が高く勉強になります。 フン族の侵略から逃れるために天然の潟(ラグーナ)に都市を建設してからナポレオン軍に侵略されるまでのヴェネツィア1000年の歴史が描かれています。中世...
「ローマ人の物語」や「十字軍物語」など塩野七生さんの作品は緻密な文献、資料に基づいて書かれているので信憑性が高く勉強になります。 フン族の侵略から逃れるために天然の潟(ラグーナ)に都市を建設してからナポレオン軍に侵略されるまでのヴェネツィア1000年の歴史が描かれています。中世ヨーロッパと言えば魔女狩りや宗教戦争のイメージが強いですが、ヴェネツィア人は現代人かと思うほどの徹底した現実路線、経済路線をとり、都市国家ながら地中海の要所を抑え、海洋都市のネットワークを築き、貿易と海軍力で地中海の覇権を担います。中世にこんな都市国家があったのかととても新鮮な驚きと共に読み進めました。
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ローマ帝国が滅亡した後、蛮族の侵入・他国の侵略の絶えないイタリア半島。 その中にあって一千年の長きに渡って自由・独立を守り続けた共和国・ヴェネツィア。 神の啓示から陸地での生活を捨て、葦の生い茂る潟への移動したヴェネツィア人たちは、そこから河川や海の水と共生していく。 立場がそう...
ローマ帝国が滅亡した後、蛮族の侵入・他国の侵略の絶えないイタリア半島。 その中にあって一千年の長きに渡って自由・独立を守り続けた共和国・ヴェネツィア。 神の啓示から陸地での生活を捨て、葦の生い茂る潟への移動したヴェネツィア人たちは、そこから河川や海の水と共生していく。 立場がそうさせたのか、元々技能をもっていたのか、彼らは次第に河川交易、そして海上交易への道を歩み始める・・・。 神の啓示からヴェネツィアが生まれた、という伝説は、著者の別作品「ローマ人の物語」で教わっていました。 でもヴェネツィアが共和国として一千年の繁栄を築いていた、というのは恥ずかしながら知りませんでした。 中世ヨーロッパの歴史にたびたび出てくるイタリアの有名な水の都、という程度の認識でした。 本著ではヴェネツィア誕生から第四次十字軍の経緯までは語られています。 小説というよりも「ローマ人の物語」のように、歴史を淡々を書かれています。 著者のこの書き方に慣れていない人や、フィクションが混ざった「物語」が好きな人には向かない作品だと思います。 私も「ローマ人の物語」読了後、しばらく時間が経っていたせいもあって、最初の方は読むスピードが遅かったですね。 慣れてきてからは一気に読み終えましたけど。 次が楽しみになる「歴史書」です。
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ある事業が成功するなしないかは、その事業が人々を駆り立てるなにかが、あるかないかにかかっている。 ベニスの商人は生粋のビジネスマンや…
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ローマ人の物語は文庫版が出版されるたびに読んでいて今年も昨年と同様であれば秋頃にでるはずなので楽しみにしていす。 ”海の都の物語”というローマ帝国後のヴェネツィア共和国について書かれた本が今回、新しく文庫化されるということをアマゾンで知ることととなり、購入してみました。全6冊と...
ローマ人の物語は文庫版が出版されるたびに読んでいて今年も昨年と同様であれば秋頃にでるはずなので楽しみにしていす。 ”海の都の物語”というローマ帝国後のヴェネツィア共和国について書かれた本が今回、新しく文庫化されるということをアマゾンで知ることととなり、購入してみました。全6冊ということのようですが、これから読書の秋に向けて、少しずつ楽しみながら読んでいこうと思います。 以下は気になったポイントです。 ・ヨハネ黙示録に出てくる4つの聖人に各々動物が割り当てられている、聖マテオには誕生をあらわす人間、聖ルカには犠牲を示す牝牛(めうし)、聖マルコには復活を意味する獅子、聖ヨハネには昇天を寓意する鷲である(p44) ・味方とは、それが強国であればなおのこと遠くにあるほうが望ましい存在である(p90) ・ある事業が成功するかしないかは、その事業に人々を駆り立てさせるなにかがあるかないかにかかっている(p101) ・キリスト教によって奴隷制は完全に廃止されたわけではない、キリスト教徒を奴隷にするのは禁止だが、異教徒や不信の徒(キリスト教化されていない人々)は認められていた(p104) ・ヴェネツィアの造船技術は16世紀までは確実に他国を圧倒していた、ヴェネツィア人は外国人に船を売れば厳重に罰せられた、材料は売っても完成品は売らなかった(p107) ・三角帆は、追い風に恵まれても四角帆より速度は遅いという欠点はあるが、逆風になっても45度の角度をとるジグザグ航行にしても、前へ進めるという利点を持っている(p112) ・ヴェネツィア商人が活躍するにつれて、被害を最も直接に受けたのは、ビザンチン商人であった、売り手と買い手との関係から競争相手に変わった(p133) ・第四次十字軍においてヴェネツィア側は、フランスと結んだ契約を完璧に果たした、全成年男子の半数が従軍するという挙国体制を敷いた(p168) ・当時の軍事物質は、木材・鉄・亜麻・タールであった(p183) ・第四次十字軍によって当時難攻不落とされ、900年もの間、東方キリスト教世界の首都であったコンスタンティノープルは陥落し、多くの芸術品は破壊された(P219) ・ヴェネツィアは船着場や寺院の周りのみを居住区として保有したので、領地は面でも線でもなく、散らばった点となった(p227)
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地面も何もないところに追いやられ、まさに0から全てを作り上げたヴェネチア人。頼る資源もない国土で、ありとあらゆる知恵を振り絞って戦ってきたその歴史は日本にも通じるものがあり、とても参考になります。
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ヴェネツィアの歴史に関する本. 地理的要因など日本と類似した点が多く, 日本の将来について考えるときに参考になる. しかし,”人”の性質が決定的に異なる点がいかんともしがたい. 非常に合理的なヴェネツィア人と非合理性の極致ともいうべき日本人. ヴェネツィア人が苦難を乗り越える...
ヴェネツィアの歴史に関する本. 地理的要因など日本と類似した点が多く, 日本の将来について考えるときに参考になる. しかし,”人”の性質が決定的に異なる点がいかんともしがたい. 非常に合理的なヴェネツィア人と非合理性の極致ともいうべき日本人. ヴェネツィア人が苦難を乗り越えるために選択してきた決断を,日本人ができるとは思えない. トップは合理性のもとに決断し,大衆にその決断を感性を通して訴えるような形が,日本ではうまくいくのかもしれない.
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海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)全6巻を読みました。 感想は、やはり塩野先生の書いた本というだけあって、ローマ人の物語に似ています。 だから小説というよりも歴史のガイドブックみたいな内容です。 歴史の解説の中から所々にあるちょっとしたエピソードなどが思わず...
海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)全6巻を読みました。 感想は、やはり塩野先生の書いた本というだけあって、ローマ人の物語に似ています。 だから小説というよりも歴史のガイドブックみたいな内容です。 歴史の解説の中から所々にあるちょっとしたエピソードなどが思わずニヤリとさせてくれたりします。 しかしこの本、ヴェネチアの悪い部分が最後まで書かれていません。 ヴェネチアの精神力の逞しさ、文明の美しさなどが書かれています。 逆に言うと最後はヴェネチアらしい悪い部分がでて終焉に向かうのですが・・・ 日本が古墳時代の頃から、徳川吉宗に至る時代までおよそ1300年、蛮族が、トルコ軍が、そして時としては同じキリスト教圏の国々がヴェネチアに対して挑むけれども、ヴェネチア国民は一致団結して国難を乗り切ります。 100%この本に書かれていることが真実とは限らないだろうし、もっと暗い闇のような事もあったと思うのですが、それでも私の心はヴェネチアに心惹かれました。 今ではイタリアの一地方に過ぎない都市ですが、一度行ってみたいですね。
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