夕子ちゃんの近道 の商品レビュー
最近気になる作家、長嶋有。何なのだこのはなしは。連作短編で全体でようやくなんとなく繋がる話。すべてが曖昧。主人公は名前も年齢も経歴もあえて曖昧なまま、そのまま話は進む。多分30前後、多分仕事を辞めてまとまった貯金を持っている。家はあるけど帰れない事情があり、そこには誰かが待ってい...
最近気になる作家、長嶋有。何なのだこのはなしは。連作短編で全体でようやくなんとなく繋がる話。すべてが曖昧。主人公は名前も年齢も経歴もあえて曖昧なまま、そのまま話は進む。多分30前後、多分仕事を辞めてまとまった貯金を持っている。家はあるけど帰れない事情があり、そこには誰かが待っているのか、いないのか、でも誰かがいそう。そんなふうにあいまいなヒントから想像する主人公の彼。彼の周りも何か事情がありそうなのに、それも曖昧な感じで進んでいく。みんな仲良し。あることをきっかけにようやく家に帰ろうとした彼、夕子ちゃんの近道を通って帰ろうとしたのに。なんだかはっきりしないまま全員がいつの間にかパリにいる展開。いったい彼が家に帰れない理由は何だったのだろう。すべてが曖昧な感じなんだけど、何か惹かれるものがあるんでよねえ。
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人は何かしら、どこかしら、変な部分を必ず持っていて だから、変とかじゃなくて、きっとそこが個性なんだろうけど 他とは違う何かを持っていて、 逆に、欠落した部分もあって そういう人間たちが寄り集まることで なんだか不思議で楽しい空気が生まれるのかもしれない。 長嶋有の...
人は何かしら、どこかしら、変な部分を必ず持っていて だから、変とかじゃなくて、きっとそこが個性なんだろうけど 他とは違う何かを持っていて、 逆に、欠落した部分もあって そういう人間たちが寄り集まることで なんだか不思議で楽しい空気が生まれるのかもしれない。 長嶋有の作品はこれまで2,3冊しか読んだことないけど 今までで一番、読んでいてしっくりきた。
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骨董品屋「フラココ」に集まる個性豊かな人々…ゆっくり流れる時間がなんとなく懐かしい感じで不思議な感じです。 2010年1月25日読了
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「僕」は西洋アンティークショップ「フラココ屋」の倉庫である2階に居候している。この話は僕の視点で、フラココ屋の店長、大家さんの娘の夕子ちゃんと朝子さん、お店の常連さんの瑞枝さん、同じく常連だったフランス人のフランソワーズなど、フラココ屋を中心とした群像劇と言える。 この話のいい...
「僕」は西洋アンティークショップ「フラココ屋」の倉庫である2階に居候している。この話は僕の視点で、フラココ屋の店長、大家さんの娘の夕子ちゃんと朝子さん、お店の常連さんの瑞枝さん、同じく常連だったフランス人のフランソワーズなど、フラココ屋を中心とした群像劇と言える。 この話のいいところは全編に漂う「ゆるさ」。「僕」の持つ茫洋とした感じがそれを感じさせているのだろうが、登場人物同士のつながりも、決してウエットな感じではないのだが、確かに繋がっているそういう感じがとてもよい。人と人が親しくなっていく様子が微笑ましいのだ。 読み終わる頃には1人1人のキャラクターに、言い知れぬ親近感を抱いてしまった。
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日本全国ダーツの旅みたいに、たまたま切り取ったらこんな風景がありました、というような小説。 何度でも読み返したい。
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上京したときに読む本がなく、 本屋で文庫本を購入。 この著者に興味があったし、 帯に、大江健三郎の言葉がのっていて 「懐かしい小説の魅力を、 それもすっかり新しい日本人たちをつうじて 表現した作品に第一回で出会えたことを 喜びます」と書かれていたので、 買ってみた。 小説とし...
上京したときに読む本がなく、 本屋で文庫本を購入。 この著者に興味があったし、 帯に、大江健三郎の言葉がのっていて 「懐かしい小説の魅力を、 それもすっかり新しい日本人たちをつうじて 表現した作品に第一回で出会えたことを 喜びます」と書かれていたので、 買ってみた。 小説としてよくできていると思うし、 いい作品だと思うが、 私好みではなかったので、★3つにした。
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風呂の攪拌棒を人にあげたがる女、鋸を上手に使う娘、北の湖を下の名前で呼ぶフランス人、そして空気の抜けるような相槌をうつ主人公・・・。自覚のない(少しだけの)変人たちがうろうろと、しかし優しく動き、語り合う不思議なユートピア。柔らかな題名とは裏腹の実験作でもある、第一回大江健三郎賞...
風呂の攪拌棒を人にあげたがる女、鋸を上手に使う娘、北の湖を下の名前で呼ぶフランス人、そして空気の抜けるような相槌をうつ主人公・・・。自覚のない(少しだけの)変人たちがうろうろと、しかし優しく動き、語り合う不思議なユートピア。柔らかな題名とは裏腹の実験作でもある、第一回大江健三郎賞受賞作。
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ゆっくり読んだ。慣れた町の新しい道を知るって、楽しくてスリリングで、でもちょっと不安で心細い。ここどこ、みたいな。そんな感じの作品。「ゆるく束ねている」。
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含みの多い文章が、すてき。 特別なことなんて何も起こらない、それでも日常は発見に溢れてる。 すらすらと、丁寧に、微妙なニュアンスが描き込まれている本。
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とてもおもしろかった。 フラココ屋の周りの人々の 「ゆるく束ねられた関係」がいい。 文章も独特で、噛むほどに味が出る。 主人公像がぼんやりしてるのが新鮮でした。
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