君が降る日 の商品レビュー
短編連作集。 過剰な傷みで読み手を誘ってるように見えてなんだかすっきりしない。 でもそういった表現はほんと上手いと思います。
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島本さんは人の心の微妙な動きを的確に表す。コンマ数ミリのわずかなゆれも、コンマ数秒の一瞬のへこみも。
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降ちゃんとの未来を断ち切った相手を好きになる話。 五十嵐のなかに潜む空虚感をうずめたいという貪欲な渇望感。理性で押さえひっそりと暮らしているが底にあるものは深い。志保が惹かれる理由もためらう理由もそこにある。 今回も後書き付き。谷川俊太郎の「あなたはそこに」が引用されてい...
降ちゃんとの未来を断ち切った相手を好きになる話。 五十嵐のなかに潜む空虚感をうずめたいという貪欲な渇望感。理性で押さえひっそりと暮らしているが底にあるものは深い。志保が惹かれる理由もためらう理由もそこにある。 今回も後書き付き。谷川俊太郎の「あなたはそこに」が引用されている。
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島本さんはしっとりした恋愛のお話を書く人だなぁって思います この本は3つの短編からなっていました♪ 最後のお話「野ばら」は純粋な恋すぎて、心が痛くて胸につきささるようで当分この話は引きずるよぅって感じです 野ばらってゆう題名の付け方がまた素敵です >_<
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2009年5月31日読了。 ……なるほど。なんとなく感覚が合わないと感じながらもここまで島本さんの作品を読んできて、今回やっと、島本さんの作品の味わい方がわかってきたかなという感じがします。 本書には、表題作のほか、「冬の動物園」と「野ばら」という二編が収録されています。そし...
2009年5月31日読了。 ……なるほど。なんとなく感覚が合わないと感じながらもここまで島本さんの作品を読んできて、今回やっと、島本さんの作品の味わい方がわかってきたかなという感じがします。 本書には、表題作のほか、「冬の動物園」と「野ばら」という二編が収録されています。そして表題作は、「長き夜の章」と「浅き春の章」というふたつの章で構成されています。 まず「君が降る日」は、主人公志保が恋人降一を交通事故で亡くしてからの、事故の際に同じ車に乗っていた五十嵐という男との、交流。志保が苦しむのはもちろんですが、五十嵐さんにとっても降一は友人だったので、事故で死なせてしまったことへの責任を感じ、苦しんでいます。 はじめは、志保や降一の家族がどうしてそんなに五十嵐さんを責めるのか、どうしてそんなに五十嵐さんが謝らなければいけないのか、まったくわからなかったんですが、事故の状況がわかると、まあ、そうなっちゃうのかな、という感じで納得はしました。でもなんだかどこか腑に落ちないような、モヤモヤした感じが残っています。 ただ矢部芙音ちゃんという、志保の大学の友達が出てくるんですが、この子が良いですね。この子が登場していなかったら、この作品の魅力は半減していたでしょう。この子が出てくると、場面がピリッと引き締まります。こういう子好きだな〜。 次の短編「冬の動物園」は、5年間付き合った恋人と別れて間もない<わたし>加藤美穂が、週に一度通っている英会話スクールで、高校生の森谷葉二君と出会い仲良くなっていく、という話。わたしは本書の中ではこの話がイチバン好きです。もう、森谷君がかわいい! こういうシチュエーション、正直うらやましいです。こんなにうまくいくかい、とツッコんでしまうほど少女漫画チックな展開で森谷君が<わたし>に近づいてくるんです。島本さんってけっこう願望を作品にしてるのかしらとたまに思うことがありますが、この短編はまさしくそんな感じ。 最後は「野ばら」という短編。主人公は高校生の<私>乾佳乃。両親を亡くして兄と二人暮らしをする同級生の大野祐と、ふとしたきっかけで仲良くなり、家に遊びに行くようになる。そこには彼の兄聖人がいて、少しずつ気になる存在になっていくのですが……。これまた聖人のセリフがかなり少女漫画チックですねぇ。島本さんが男性に言われたいと思うセリフを言わせてるんではないかと思ってしまいます。この短編は、いろんな意味で残酷な話ですね。 本書全体としては、島本さん独特のモヤモヤした感じが常に漂ってます。決して暗い話ではないんだけど、カラッと晴れることがないといいますか。そういうスッキリしない感じが、島本さんの作品の味なのかな、と思います。 そしてやっぱり本書でもちょっと合わないと感じる部分はありました。<夜の闇は体温となり、皮膚となり、声となり、無限に降ちゃんの断片へと姿を変えながら、いっそ全体像となってくれればいいのに、それはない>(表題作より)という文章は、なんだか文がいろんな方向にねじれているようで気持悪かったし、以前にも書いたような気もしますが、男女の性に関しての認識も、わたしのものとちょっと違うみたいだし。 わたしが高校生だった頃は、こんなに男の子と一緒にいたら、確実に「あの二人は付き合っている」と噂されてしまって、ここまで仲良くできませんでしたよ。しかも男子に「うちに来る?」と言われて「行く!」と迷わず答えて遊びに行ってしまうなんて、ありえなかった(男子の方だって、昔は女子に「来る?」なんて気軽に言えなかったんじゃないかなぁ?)。今の高校生はこうなんですかね? 島本さんの作品ではほとんど、主人公の女の子が、女友達よりも男性といる時間があまりに多いんで、そこがちょっと不自然で、少女漫画っぽい感じがしてなりません。
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なんとなく…ほんとになんとなくなんですが、今までの島本理生作品とはちょっと違う印象。まったくの素人考えなんですが、ホントに書きたいものを書いてるのかしら?という印象を受けました。個人的にはこれまでの作品のほうが好きだけど、こういうのも書くよってことかなぁ。
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島本さんの作品を初めて読む。 帯には「大切な人の死によって出会った男女を描いた切なくも儚い恋愛小説」 表題作よりも「野ばら」が 好き。 (思わず 谷川俊太郎さんの「あなたはそこに」を探してしまいました) ちょっと物足りなく感じたけれど 懐かしいようなちょっと切ないような あの年代...
島本さんの作品を初めて読む。 帯には「大切な人の死によって出会った男女を描いた切なくも儚い恋愛小説」 表題作よりも「野ばら」が 好き。 (思わず 谷川俊太郎さんの「あなたはそこに」を探してしまいました) ちょっと物足りなく感じたけれど 懐かしいようなちょっと切ないような あの年代の気持を思い出しました。 同年代で読めていたなら もう少し評価が違ったかも・・・ やっぱり若い人の話かな?
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あの日君に恋されている予感はなかったのに、今ならはっきりと君の痛みがわかるよ。それでもそばにいたかったよ。
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★3つが妥当かもしれないけど。 短編三本なんだけども、久し振りに個人的な体験にジャストミートなかんじでちょっとわらえた。(わらえたと笑えたってけっこう明確に使い分けてる気がするなーどうでもいいんだけど) 表題作ねー。恋人が事故で亡くなったときに一緒にいた男のひと(加害者?では...
★3つが妥当かもしれないけど。 短編三本なんだけども、久し振りに個人的な体験にジャストミートなかんじでちょっとわらえた。(わらえたと笑えたってけっこう明確に使い分けてる気がするなーどうでもいいんだけど) 表題作ねー。恋人が事故で亡くなったときに一緒にいた男のひと(加害者?ではないけど)と残された女の子の話なんだけど。この男のひとみたいなのがさーけっこう好みだなと思った。 >一生責めながらそばにいるべきなんじゃないかと思った。今すぐに抱き合って、お互いに建設的なことを考えられなくして永遠に月が沈まない夜の中にいればいいんじゃないかと、一瞬、本気で考えた。 >でも無理なのだ。 >私たちは、これぐらいの苦痛では死んだりできなかったから。もっと鈍く、頑丈にできていた。隆ちゃんがいなくなった今も、毎日、呼吸をし、死んだものを食べて、疲れれば眠りに就く。生きるということはきっと特別なことではなく、次に必要なものが選べるということだ。 ってとこがあるんだけど。なんとなくこの思考プロセスには共感した。共感装置ってのは大事なもんだよーたぶんねー。 無理とか無理じゃないとかわかんないけど、建設的ななにかを目指すことができないのなら、それはもう、一緒にいるのが難しいんじゃないかと思う。一緒に堕ちよう?てのはいつの世でも魅力的なフレーズであり続けるだろうけど。笑 わたしにとってだけか、どんまい。 んで次。 今度はふられた女の子が次の男に切り替える話。乱暴ないいかただがまーこんなもん。 最近の男の子はね!実際、おんなのこになれてるよね。扱いとかね。そんな感じはしますなーこれまったく関係ないけど。 本彼との思い出の品を焼いてるときにさ、 >「(中略)彼は、そういう私のことが嫌いだった。主体性がないって。四六時中恋人のことばかり考えてる女は、世界が狭いって」 >「別に狭くてもいいじゃん。広い世界がどうのって言い出す男って、たいてい新しいもの好きで飽きっぽいだけだよ。自分さえ満足していれば、誰に狭いって言われても気にすることないよ」 っておニューな恋人との会話なんですが。誰に狭いって言われても気にすることないよ、てのは違うんだろうと思うのねー。自分にとって大事な人に言われたんだったら気にするべきなんだろう。しかし!理生ちゃん的いいオトコってのはきっとそういうことを言わないのね。笑 ゆうちゃんは世界がせまい!て言われ続けるゆうこさんとしては複雑ですねー。嘘。まあそうなのかもなー。てとこかな。うまくいえないけど、ひっかかった。 あと主人公が、考えたくないことから逃げようとして、思考の速度を極端に落とす、って書いてあるとこがあってそれもなんか理解できますな。でもなんか。混乱するという感じも強いけど。思考の順序がめちゃくちゃになるかんじ。でもなんつーかぐるぐる迂回してる気はとってもするね。大事なところでは速度を落として、避ける。みたいなさ。解決にまったく結びつかないってわかってるんだけど。 んで最後の作品。 説明するのは面倒なのでわたしにとって大事なことだけいうとさー。 >私たちは、あの雪の日から、別れると言えない関係を紡いでいたのだと、初めて気づいた。ただ一つの、好き、だけが欲しい思春期にとって、それがどんなに棘だらけの野ばらだったか、私は知らなかった。 て主人公がラストで回想するんだけど。 まさにわたしもこれと同じことを主人公の女の子なんかよりずっと執拗にしてたわけだなー。でもどうしても失わないためには別れると言えない関係でありたかったんだよなー。ぜんぜん正当化できてないけど。相手が欲しいっていったものを適当にはぐらかして求めてばっかりいた気がするし、相手にわたしが思うような関係でいることをだいぶ強要してたような気がする。今考えるとうまくいかなくて当たり前だわ、と思うのだけど、それでも、その当時のわたしにとっては、精一杯だったんだよね、んで、なんか死ぬほど傷ついたり傷つけられたりしたんだよね。 こういうの、若かった、ていってもいいのかわかんないけど、そういうやつだと、思う。はは。
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▼村上春樹の最高傑作を読んだ後だから点が辛くなってしまったけど、割といい小説。もちろん『熊が〜』や『クローバー』のが好きだけども。 ▼読んでる間は「はやく終わんないかなあ」「おんなじことを何度考えるのかなあ」なんて思っていたのだけど、本を閉じると、いろいろなエピソードが色鮮やかに...
▼村上春樹の最高傑作を読んだ後だから点が辛くなってしまったけど、割といい小説。もちろん『熊が〜』や『クローバー』のが好きだけども。 ▼読んでる間は「はやく終わんないかなあ」「おんなじことを何度考えるのかなあ」なんて思っていたのだけど、本を閉じると、いろいろなエピソードが色鮮やかに思い出されて、いい気持ちになった。 ▼表題作より『野ばら』がお勧め。ラストの三ページくらいがとても痛かった。(09/6/8 読了)
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