この世界の片隅に(アクションC)(下) の商品レビュー
死と復活
厳しくなる生活の中でも工夫しながら、生きて行く。これまで、犠牲者が出ていなかったのが、家族を失うこととなる。そして原爆。 失うものが多い戦争が終わって直ぐに来る台風。「一か月遅れの神風」と皮肉も効いている。広島市内で出会った戦災孤児を引き取った夫婦。死と復活の息吹きが明るい...
厳しくなる生活の中でも工夫しながら、生きて行く。これまで、犠牲者が出ていなかったのが、家族を失うこととなる。そして原爆。 失うものが多い戦争が終わって直ぐに来る台風。「一か月遅れの神風」と皮肉も効いている。広島市内で出会った戦災孤児を引き取った夫婦。死と復活の息吹きが明るい未来を示している。
ユスト
戦火の日本。 自分は、すずやその周りの人たちのように、強く生きていく自信がない。 世界中の人々が、平穏に暮らせる世の中であれば良いと切に願う。
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最終巻。 戦争の空気というには、不謹慎ながらゆるさを感じていたすずさんの暮らしにも災厄は降りかかる。 爆弾で右手を失い姪っ子を失い、故郷は空襲で焼け野原に。 これまでの自分を支えてきたもの、表紙の笑顔を生み出してきた源が容赦なく失われてゆく。 周りの優しさは虚しく、夫の愛情も疎...
最終巻。 戦争の空気というには、不謹慎ながらゆるさを感じていたすずさんの暮らしにも災厄は降りかかる。 爆弾で右手を失い姪っ子を失い、故郷は空襲で焼け野原に。 これまでの自分を支えてきたもの、表紙の笑顔を生み出してきた源が容赦なく失われてゆく。 周りの優しさは虚しく、夫の愛情も疎ましく、自らの価値をなくすために今の場所から逃げ出そうとしているすずさんを見るのは、本当に辛い。 読者であるこちら側も、これまですずさんの笑顔とはずれた調子に救われてきたのだと気づかされ、読み進めるのが辛い。 終戦の日。信じてきたものに裏切られてしまったと憤慨するすずさん。これまでの彼女の言動から強烈な愛国心を感じなかったすずさんでさえ、大日本帝国というものを疑わず信じていたということに、驚きを隠せない。この怒りは、ただただ生き残ってしまったという罪悪感、無力感みたいなものから来てるようにも感じます。 帝国主義がどうとか大東亜共栄圏がどうとか、そういうことではなく、ただただ生まれ育った国を、そこにあるからというだけで信じてきた。そのある意味で無邪気さが、これまでの自分を許せなくなってしまったのではないか、と思います。 終戦後の暮らし。日々を過ごすことに精一杯で、精一杯にしていることで、少しずつ戦争の記憶を薄めていこうとしているのか。立ち止まると、暗闇から逃れることはできないから、あの時のように。 広島で出会った戦災孤児を新たな家族に迎え、すずさんたちは未来へと歩みだします。その前から、笑顔は増えてきている様子は伺えますが、この出会いは新生活の象徴。 「この世界の片隅に」 誰もが皆、世界の片隅に生きていて、それぞれの世界の中心。 喜び怒り悲しみ笑う日常を過ごしている。理不尽な苦しみは襲いかかることもあるし、望外な奇跡が訪れることもある。 そんな小さな日常の繰り返しが、どれだけ幸福にあふれていることで、失ってはいけないことかを教えてくれる漫画でした。
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いよいよ最終巻である。本篇20年4月〜20年9月、その後にタイトルの異なる5篇(20年10月〜21年1月)が収録されている。 さすがにここまで来ると戦時色が強くなり、読み進めるのがつらくなってくる。そして20年6月22日に呉工廠を襲った爆撃により起きた悲劇で涙があふれた。 20年...
いよいよ最終巻である。本篇20年4月〜20年9月、その後にタイトルの異なる5篇(20年10月〜21年1月)が収録されている。 さすがにここまで来ると戦時色が強くなり、読み進めるのがつらくなってくる。そして20年6月22日に呉工廠を襲った爆撃により起きた悲劇で涙があふれた。 20年8月6日に広島に投下された原子爆弾、それに続く8月15日の玉音放送で、物語は一応の結末を迎える。だが、戦争が終わったからといって平和に、幸福になるはずもなく、人々の苦しい暮らしは続いていく。すずの家族の消息も明らかになる。 なんとなくこういう話だというのは知っていたような気がする。にしても、これをどのようにミュージカルにするのか。期待は高まる。 BGMはアンジェラ・アキさん『この世界のあちこちに』。
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定期的に読みなおさないといけない本。 日常の当たり前がいっきに破壊される! 晴美ちゃんとの一瞬での別れ…! すずさんの家族の別れ…! リンさんとの別れ…! 右手との別れ…! 別れ…! … 世界の片隅で生きてくれたすずさん…ありがとう! すずさんみたいに当時はたくさんのかた達がいろいろな思いをしたがらも、前に歩んできたから今の日本…我々の今があるんだね。 亡くなった…たくさんのキラメキを忘れず、生きて、生きて歩んできた先人達の生き方を記憶して毎日を感謝していこう。 涙があふれるな〜 ぜひ〜
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昭和20年4月から21年4月。 戦争激化。義姉の娘、晴美が亡くなってしまう。晴美をかばったすずも、右腕を無くしてしまうのだった。 そしてついに広島に原爆投下。そして終戦。 連日の空襲や原爆、台風による被害で散々なことになり、人々は生活に困窮していた。 でも、そのような状況の中で...
昭和20年4月から21年4月。 戦争激化。義姉の娘、晴美が亡くなってしまう。晴美をかばったすずも、右腕を無くしてしまうのだった。 そしてついに広島に原爆投下。そして終戦。 連日の空襲や原爆、台風による被害で散々なことになり、人々は生活に困窮していた。 でも、そのような状況の中でも、手に手を取り合い、懸命に生きていこうとする逞しい姿が随所に見られた。
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途中で不意に出てくる「暴力」という言葉に小さな違和感を覚えた。ここでだけ主人公の言葉ではない気がしたし、広島弁ではない気がした。 この小さな点を除けば、事実を淡々と積み重ねていくからこそ生まれる感動に浸れました。
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後半のすずさんとすみちゃんの会話に耐えきれません。 戦争を知らない世代が多くを占める今の時世、語り継がれるべき作品だと胸を張っておすすめできます。
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素晴らしかった! 映画を先に観て遅ればせながら漫画を読んだ。 戦争というテーマもあるが、家族や地域の中の人の暮らしが様々あるがままに描かれている。時代の中で生きようとする人々の生き様が時に切なく、時に力強く、時にユーモラスにも描かれている。 惹きつけられて一気に読んだ。
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晴美と右手を失う。 終戦までを描く。 ラストの色がついていく風景、明日への希望。 行方が分からない人、失ったもの、この先きっと失うであろうもの。 とても辛い思いをする。 繰り返してはいけない。 それを知っているのにどうして繰り返すのだろう。
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