この世界の片隅に(アクションC)(下) の商品レビュー
映画は見ておらず映画との比較は出来ない・・・のに、すずさんの声は「CV:能年玲奈」で聞こえてくるから不思議。 戦時中だって常に日常はあって、その日常の中に前線は忍び込んでくるけれど、そして何ということもなく命も奪われていくけれど、それでもなお日常があって、悲しみも含めて淡々と時...
映画は見ておらず映画との比較は出来ない・・・のに、すずさんの声は「CV:能年玲奈」で聞こえてくるから不思議。 戦時中だって常に日常はあって、その日常の中に前線は忍び込んでくるけれど、そして何ということもなく命も奪われていくけれど、それでもなお日常があって、悲しみも含めて淡々と時は過ぎていく。 流されるままに生きるすずさんを通して記述されるので余計にそう見えるが、末端の市民にとっての戦争とはこのようなものだったのだろう。 生前、戦時中はどうだったかと祖母に聞いても、まあ、大変だったよ、というくらいしか返ってこなかったが、こういう日々だったのかな、と。 井の頭公園に松脂取りに駆り出された際、「こんなことして勝てるのかしらねぇ」と言って大問題になった、とか面白おかしく語ったりしてましたが、それも特殊なエピソードというわけでもなかったのかもしれない。 死がすぐ隣にあるだけで、市民にとってはそれもまた日常、と。 徹底して他人事のように描くことでかえって戦争の異質さが浮かび上がるしかけは、玉音放送の一瞬と戦後に太極旗を見たときのすずさんの反応とのコントラストとあわせ、心に残った。
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一気に戦争色。飛行機や地形の描写が細かくなってきたと思ってた。この日に行かなければ。この場所に来る時間が少しでもずれていれば。いろいろ思うけど。晴美さん…。径子お姉さんとは最初からいろいろあったけど、これがきっかけでどちらにでも転がったのかもしれないと思う。でも本当にいい人たち。...
一気に戦争色。飛行機や地形の描写が細かくなってきたと思ってた。この日に行かなければ。この場所に来る時間が少しでもずれていれば。いろいろ思うけど。晴美さん…。径子お姉さんとは最初からいろいろあったけど、これがきっかけでどちらにでも転がったのかもしれないと思う。でも本当にいい人たち。そしてみんなたくましい。そういう時代。辛い中にもほんの少しの微笑ましい出来事と優しい記憶。それで人は生きていけるのだな。
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普通の庶民が 当たり前に普通に生きていく それがかけがえのない 素晴らしいこと 多くのものを亡くしながらも 胸の温かさを失わぬ それが世界の片隅ならば 片隅にこそ愛はあるのです
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2020.01.16 映画を見た後に、原作を再読できてよかった。 映画がいかに、原作を大切にしているかがよくわかったし そして「平和が良い」「戦争は良くない」とかいう一般論ではなく どこか抜けている、ほのぼのとしたすずさんという女性を こうも絶望と変貌させるだけの脅威をはらみ...
2020.01.16 映画を見た後に、原作を再読できてよかった。 映画がいかに、原作を大切にしているかがよくわかったし そして「平和が良い」「戦争は良くない」とかいう一般論ではなく どこか抜けている、ほのぼのとしたすずさんという女性を こうも絶望と変貌させるだけの脅威をはらみ 生活と命を根こそぎ奪っていく愚かさを、ありありと見せつけている。 漫画は限られたページとシンプルな絵ながら、それが痛いほどわかってしまった
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戦況が激しくなりとうとう呉市にも戦火が及び始める。 広島の呉市は軍港があったため、空襲警報が鳴りやむことはなかった。そして広島と長崎に原爆が落とされる。 すずとその嫁ぎ先の家族やご近所さんにも普段の生活があり、戦争下だからこそお互いに助け合っているのがよくわかった。 すずも時限装置付きの爆弾右手を失い、姪の晴美は爆死するという悲しみに暮れながらも焼夷弾で家を全焼した人たちを助けるすず一家。 広島市の方向に奇妙な形の雲を見る。 すずの実家を心配するが、すず自身も負傷しているため小林夫妻に様子を見てきてもらう(後に放射能の影響が出る)。 すずの妹すみからも手紙が届き、無事が判明。すみは原爆症の症状が出てきていた。 すずはこれまで正義の戦争と信じていたものの正体が、ただの暴力に過ぎなかったことに思い至り、「何も知らないまま死にたかった」と独白し泣き崩れる。 ここの場面が一番深く刺さった。 正義と信じていたのに裏切られてしまっていたすずの気持ちは当時の日本国民の嘆きだったんだろう。 その後世界の片隅で周作に見つけてもらえて感謝して、北条家に帰るとき、戦災孤児を拾い、連れて帰る。 最後に、上巻でファンタジー?と思っていたあの化け物だが、鬼いちゃんだったのか???鬼いちゃんの冒険物語から飛び出してきたのか???最後の最後にまた登場していた!!!
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一歳にも満たない母を置いて戦死した祖父との小さな思い出を一つ一つ幸せそうに語った祖母。私が食べ物を残すと、疎開先で年下の女の子よりも食べてはいけないと思っていた、と涙をためて怒った父。私にはそんな思い出がありますが、今や戦争の知識は、知らない世代から伝え聞く時代に。当たり前だけれ...
一歳にも満たない母を置いて戦死した祖父との小さな思い出を一つ一つ幸せそうに語った祖母。私が食べ物を残すと、疎開先で年下の女の子よりも食べてはいけないと思っていた、と涙をためて怒った父。私にはそんな思い出がありますが、今や戦争の知識は、知らない世代から伝え聞く時代に。当たり前だけれど、あの時代だって、みんな精一杯「日常」を生きていました。平凡な日常を続けようとする人たちへの身近すぎる死が、理不尽な死が、悲しみ以上の痛みで伝わってきます。こんな戦争や原爆の伝え方もあるのだと読書中ずっと圧倒されっぱなしでした。
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空襲で多くを失った、けれどその中でも挫けず生きようとする強さを持った人々。 全ての謎が解き明かされた瞬間、心が締め付けられました。最後の終わり方もとてもよかった。
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最後まで読んだあと表紙を見るとつらい。春美と右手を失って、径子に責められて、やっと持ち直したと思ったら、戦争が終わって、価値観が反転して、一般市民は気持ちの持って行き場に困る。翻弄されるても、普通の人たちなりの幸せで、生活は続くのです。ラストがカラーページになってほんと良かった。
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20年4月 20年5月 20年6月 20年7月 20年8月 20年9月 りんどうの秘密 晴れそめの径 水鳥の青葉 人待ちの街 しあはせの手紙 著者:こうの史代(1968-、広島市西区、漫画家)
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ええ話じゃったのぅ。 広島弁を継承するのに小学校の必須書にすりゃええ。 原爆もサラッと流しとるけぇ小さい子でも大丈夫じゃ。
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