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ポトスライムの舟 の商品レビュー

3.4

239件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    74

  3. 3つ

    92

  4. 2つ

    21

  5. 1つ

    6

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2014/07/09

ポストライムの舟 お金、働く、ということに縛られたいという欲求が誰かしら心の中に持っているのかも。縛られるということはある意味楽なこと。それがふとした事情で離れて、結局そのあとも単なる日常に戻るだけなのかも知れないけれど、心の中でさよならを言うだけの余裕ができる。物語りは淡々と進...

ポストライムの舟 お金、働く、ということに縛られたいという欲求が誰かしら心の中に持っているのかも。縛られるということはある意味楽なこと。それがふとした事情で離れて、結局そのあとも単なる日常に戻るだけなのかも知れないけれど、心の中でさよならを言うだけの余裕ができる。物語りは淡々と進み、事件らしい事件も起こらないけど、日常の中に渦巻く感情を見事に表していると思った。 12月の窓 パワハラの話。怖い。自分が誰かにそうなっていないかが。

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2014/05/06

フワフワしているが、周りの者達がそれをカバーしている。そんなあやふやな感想がまず始めにきた。ナガセは体調不良で前職を辞め、今は工場のラインで働いている。ある日見つけた「世界一周の旅」と自分の一年分の給料が全く同じであることに気付き、そのために貯金を始める。だが突然子供を連れた友人...

フワフワしているが、周りの者達がそれをカバーしている。そんなあやふやな感想がまず始めにきた。ナガセは体調不良で前職を辞め、今は工場のラインで働いている。ある日見つけた「世界一周の旅」と自分の一年分の給料が全く同じであることに気付き、そのために貯金を始める。だが突然子供を連れた友人がやって来たり、思わぬ病気にかかったりとナガセは世界一周を諦めようとするのだが…。 ポトスとナガセ、恵奈のやりとりは面白い。ただ陰気な感じがどことなく拭い去れず、ナガセのループする考えはちょっと疲れる。ただ、最後のナガセの決断はどうなったのか、というのは気になった。 それを抜きにしても、ああ、この人は自伝を書いているのだろうな。そう思ってしまった。 もう一つの「十二月の窓辺」は完全に病む前と思われる内容でリンクしていて、正直読みにくい。途中で辞めてしまった。 なにを読むかは個人の自由であるのは当たり前だが、なにかを考えさせられたり前向きになれる本の方が私は好きだ。暗い話題、自分が受けた仕打ちを語られてもどうなのだろう…と若干首を傾げてしまう。

Posted byブクログ

2014/11/18

(2014/2/13読了) 実は最新作「ポースケ」が読みたくて見てみたら、内容に「ポトスライムの舟」の五年後の話と書いてあり、しかも津村さんの本はほとんど読んでいるのに、これは読んでなかったので、慌てて先に読むことにしました。 よく見れば、続編とは書かれてないのどけど、まぁ読んで...

(2014/2/13読了) 実は最新作「ポースケ」が読みたくて見てみたら、内容に「ポトスライムの舟」の五年後の話と書いてあり、しかも津村さんの本はほとんど読んでいるのに、これは読んでなかったので、慌てて先に読むことにしました。 よく見れば、続編とは書かれてないのどけど、まぁ読んでなかったしいいか〜 二十代から三十代のOLの話は、津村さんの得意分野? ふたつの話とも、主人公は心が不安定だからか、私までなんとなく、もやっとしてしまった。 「12月…」の方は、今ならパワハラで問題に。。。でも、今でも有るのかな?経験者なので、自分の身に重ねてしまいました。 主人公2人とも、ラストは暗闇からは抜け出す形なんだけど、読後はあまりいい気分にはなれなかったです (-ω-;) (内容) お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞。 (目次) ポトスライムの舟/12月の窓辺

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2014/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

津村さんは仕事に対して思うところが色々あるんだろうなあ、とか、雨が印象的な作品が多いけど雨がすきなのかなあ、とか思った。 縁側から眺めるどしゃ降りの雨、並べたポトスライム、雨水を貯めるタンクなど、細部の表現がおもしろい。カヌーの話とか。 まっとうな大人の女性のように結婚や出産を経験しておらず、親に申し訳なく思うところは身にしみた。 家に家族や友人がいるというのはいいなあ。 二作目は読んでてかなり辛かった。上司の言葉は酷すぎるし、でも自分が悪いと考えてしまう思考回路もしんどい。 友人にグチグチ言う主人公をあまり好きになれなかったけど、最後少しだけ見直した。 また読みたいとは思わないけど、どちらの話もひどく心に残った。

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2013/12/07

様々な理由によりドケチになった主人公。お金を遣うような人との接触、気持ちの振れ幅は小さくを心掛けるが、ちょっとした人との関わりで良い方に動く気持ち。人に遣う後悔しないお金が増えていく時、いつか全く後悔しないお金の遣い方が出来た時、彼女もやっと本当に元気になれるのかもしれない。

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2013/11/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

格安世界一周クルーズを夢見るワーキングプアの女性のお話。 逃げ出したくなる日常と、そんな日常の出口に見える世界一周クルーズ。 結局世界一周クルーズに参加するのかどうかはわからないで終わりますが、彼女は「そんなに日常も悪くない」と思い始めているのでおそらく船には乗らないんだろうなあと思います。 そのまま安価な労働力になるのがいいのか、終わらない自分探しの旅に出るのがいいのか…

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2013/11/24

突拍子もない考えや深刻な状況の中に、 すっと冷めた現実的な目線が入ってくるのがおもしろい。 芥川賞なのに湿度が低くて淡々としている。 お金と時間の関係や、学生時代の友人との関係など、 主人公の日常はとてもリアルに感じた。 併録の「十二月の窓辺」はパワハラの話なので読んでいて と...

突拍子もない考えや深刻な状況の中に、 すっと冷めた現実的な目線が入ってくるのがおもしろい。 芥川賞なのに湿度が低くて淡々としている。 お金と時間の関係や、学生時代の友人との関係など、 主人公の日常はとてもリアルに感じた。 併録の「十二月の窓辺」はパワハラの話なので読んでいて とても辛かった。会社は入ってみなきゃわからないし、 何を辛いと思うかは人それぞれ。

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2013/10/31

2時間ほどで読んでしまった。特に、一緒に収録されている『十二月の窓辺』は、一度の休憩もなしに一気に読んだ。 会社員生活から離れてしばらく経つので、もうその感覚を忘れつつあったけれど、これを読んで、そのときに感じていた怒りとか恐怖とかみたいなものが沸々とよみがえってくる気がした。も...

2時間ほどで読んでしまった。特に、一緒に収録されている『十二月の窓辺』は、一度の休憩もなしに一気に読んだ。 会社員生活から離れてしばらく経つので、もうその感覚を忘れつつあったけれど、これを読んで、そのときに感じていた怒りとか恐怖とかみたいなものが沸々とよみがえってくる気がした。もちろん、自分はこんなにひどいパワハラを受けたことはないが、会社の中にいないと感じられないことが、この本を読むと感じることができて、そのときの空気みたいなものが思い出された。 本当に働くことは大変だ。 そして、津村記久子さんはすごい。私たち世代の働く女性の心理を書かせたら、彼女の右に出る者はいないのではないか。さすが現役の会社員。

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2013/10/21

日々淡々と、盲目的に仕事を続ける主人公。 しかしその多くはないと思っていた年収と、世界一周旅行の費用が同額だと知り自分の可能性に気づく。 十二月の窓辺は鬱々とした空気が漂っていて読んでいて疲れた

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2013/09/26

2008年下半期、芥川賞受賞作。同時期の候補者には鹿島田真希や田中慎弥もいて、なかなかに激戦だった。まず、タイトルがいい。ポトスライムは、色彩の鮮やかさと瑞々しさを喚起するが、そこに舟が加わることで、イメージに一層の拡がりが生まれる。次にリズムがあり、スピード感に溢れる文体が爽や...

2008年下半期、芥川賞受賞作。同時期の候補者には鹿島田真希や田中慎弥もいて、なかなかに激戦だった。まず、タイトルがいい。ポトスライムは、色彩の鮮やかさと瑞々しさを喚起するが、そこに舟が加わることで、イメージに一層の拡がりが生まれる。次にリズムがあり、スピード感に溢れる文体が爽やかだ。けっして明るい物語ではないのだが、暗く落ち込んで行くこともない。視点人物である主人公のナガセをはじめ、りつ子にも、母にも、その他の登場人物にも、どこにも男の影のない小説だ。そうなのだ。女はかくも自立して生きて行けるのだ。

Posted byブクログ