ポトスライムの舟 の商品レビュー
「ポトスライムの船」と「十二月の窓辺」の二編。 工場の仕事の年収とNGO主催の世界一周旅行の代金がほぼ一緒だということに気づいたナガセ。仕事を掛け持ちし、節約し、友人親子を助けながら淡々と生きるナガセにとって、この世界一周旅行の紹介ポスターは、自分の人生を少しだけ広げる希望とな...
「ポトスライムの船」と「十二月の窓辺」の二編。 工場の仕事の年収とNGO主催の世界一周旅行の代金がほぼ一緒だということに気づいたナガセ。仕事を掛け持ちし、節約し、友人親子を助けながら淡々と生きるナガセにとって、この世界一周旅行の紹介ポスターは、自分の人生を少しだけ広げる希望となったんだと思う。 「十二月の窓辺」は主人公の名は違えどナガセの過去を描いているようだった。上司のパワハラは読んでいて腹が立ってくる。こんな会社今もあるのだろうか。相談相手だったナガトもまた苦しんでいたことを知り辛くなった。
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*第140回 芥川賞受賞作。お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。さりげないのに面白い、私たちの文学!同時収録「十二月の窓辺」 * 初読は8年くらい前だったか…その時は、ナガセ始め登場人物像が良くつかめず、さらっと読んで感慨もなく終了した気が。むしろ「十二月の窓辺」の方が、かつて強烈なパワハラを受けたことのある身として胸が締め付けらたことを思い出しました。 が、今回は「ポースケ」の面白さにハマっての再読なので、ラインで働くナガセ、離婚に踏み切るりつ子、家庭第一のそよ乃、店を軌道にのせようと頑張るヨシカのそれぞれの個性がくっきりと浮かび上がって、初読時とは全く違う面白さでした。順番は逆になるけど、意外にポースケからの本書の方が入り込めるかも。
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「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」という短編2作品。 どちらも30歳前後の女性が、友人関係や、会社の人間関係、今の生活の鬱屈を気に病みながら、何気ない日常の出来事から、前向きに人生を進んでいけるようになるお話。 共感できる読者は多いと思います
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03:ちょっと前に話題になった、芥川賞受賞作。表題作も「十二月の窓辺」も、決して「勝ち組」とはいえない女性が主人公で、それぞれの主人公が自らの境遇に対してどう思っているかという違いはあれど、心の奥のほうでものすごく共感……というか、私も頑張らなきゃ、と背筋が伸びる思いがしました。...
03:ちょっと前に話題になった、芥川賞受賞作。表題作も「十二月の窓辺」も、決して「勝ち組」とはいえない女性が主人公で、それぞれの主人公が自らの境遇に対してどう思っているかという違いはあれど、心の奥のほうでものすごく共感……というか、私も頑張らなきゃ、と背筋が伸びる思いがしました。これが変な同情なのか何なのか、はっきりと掴めないのですが。うん、何か、いい!(曖昧すぎる……)
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2013.5/24 そういえば、芥川賞の作品ってあまり読んでないかも。表題作と「十二月の窓辺」どちらもが、社会の中で上手く生ききれない主人公の物語。すごくいいラストがあるわけじゃない。でも人生はこうやって生き続けていくんだという開き直りにハッとさせられる。『我慢できないことの方が...
2013.5/24 そういえば、芥川賞の作品ってあまり読んでないかも。表題作と「十二月の窓辺」どちらもが、社会の中で上手く生ききれない主人公の物語。すごくいいラストがあるわけじゃない。でも人生はこうやって生き続けていくんだという開き直りにハッとさせられる。『我慢できないことの方が傷つかないのだ、ということはうすうすわかる。あとは運だ。そんな不確かなものの上に、人間の結婚は成り立っているのか、と考えると寒気がする。』上手い!!
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芥川賞受賞作。 派手なところはないけれど、日常でいて、 閉塞していそうで、それでも前向きに生きていく、 良い読後感。 それより、もう一作の「十二月の窓辺」のほうが 衝撃。こっちのほうが先に発表されてます。
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2017年2月21日読了。 表題作も「十二月の窓」も胸に来るな……。皆同じような思いをして働いてるんだな。
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ポトスライムの舟 163万で世界一周をする、というポスターを見て、工場の仕事をしながらお金を貯めようとする話。 低賃金と貯金と支出と… 十二月の窓辺 社会人4年目。パワハラにあっているため離職を決意する。 どちらも現代社会にある問題。 作品の中には、どこか明るさもある。
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140回芥川賞受賞作。 受賞の表題作、付属の「十二月の窓辺」ともに、OLの少し不器用な日常を淡々と描いています。 動け!怒れ!と発破をかけたい気持ちになりますが、こればかりは人それぞれの生き方があるのでしょう。でもこういう人たち、私は好きです。 V係長はいつか痛い目を見ると良い。...
140回芥川賞受賞作。 受賞の表題作、付属の「十二月の窓辺」ともに、OLの少し不器用な日常を淡々と描いています。 動け!怒れ!と発破をかけたい気持ちになりますが、こればかりは人それぞれの生き方があるのでしょう。でもこういう人たち、私は好きです。 V係長はいつか痛い目を見ると良い。社会人のイジメ、かっこ悪すぎてイタい。 両作とも、ラストが‟手を振る”描写だったのが印象的でした。
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工場のラインで働くナガセ。世界一周旅行のポスターを見て、費用が自分の年収とほぼ一緒だと知り、その金額163万を貯める決意をする。 『ポースケ』の5年前の話。 それぞれがこんなだったんだなと思いながらも読みました。 事情は人それぞれ。既婚でも別居をしなければならなくなったり、離婚...
工場のラインで働くナガセ。世界一周旅行のポスターを見て、費用が自分の年収とほぼ一緒だと知り、その金額163万を貯める決意をする。 『ポースケ』の5年前の話。 それぞれがこんなだったんだなと思いながらも読みました。 事情は人それぞれ。既婚でも別居をしなければならなくなったり、離婚を考えていたり、独身でも働く意味を考えていたり… 誰が正しくて、何が間違ってるなんてことはないんだなと思わされます。 みんな一生懸命生きている、そんな感じ。 津村さんの淡々とした文体で、押し付けがましくなく、じんわり訴えられた気がしています。 もうひとつの短編は、パワハラの話。 きつかった。 でも、こういうことってあるのでしょうね。 決意を持って、自分の道を決めたツガワのこれからに期待です。
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