架空の球を追う の商品レビュー
ドバイのホテルだったり、少年野球の練習中だったり、スーパーマーケットだったり、難民キャンプだったり、会社にできた蜂の巣を囲んでだったり…。日本のみならず、世界中の「ある場所」でのピンポイントの日常を切り取って伝えてくれる短編が11作。それぞれ、かなりしっかりとキャラ付けされていて...
ドバイのホテルだったり、少年野球の練習中だったり、スーパーマーケットだったり、難民キャンプだったり、会社にできた蜂の巣を囲んでだったり…。日本のみならず、世界中の「ある場所」でのピンポイントの日常を切り取って伝えてくれる短編が11作。それぞれ、かなりしっかりとキャラ付けされていて、この短いお話の中で完結させるのは勿体ないような。私はイギリスのオフィスで、いかにボスの留守中にハチの巣を退治するかを議論する4人のお話が好きでした。それぞれ、ハチの巣に触れられない深い(#^.^#)事情があり、(もちろん怖いしね)結局は便利屋さんを頼むのだけど、その彼が高校生みたいな男の子という意外性が面白かった。そして、語り手の「私」が、アイルランド出身で、都会での一人暮らしに気弱になっていたところに、そのハチの巣退治を明るいきっかけとして、まだ頑張ってみようかな、と思っていく気持ちの動きが、母親に宛てた手紙の流れでわかっていくところも。
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