宇宙創成(上) の商品レビュー
宇宙はビッグバンによって始まった、というのが現在の定説であるけれども、その定説にたどりつくまでに、人間は宇宙のことについてずっと考え続けてきた。宇宙はいつ、どのように始まったのだろうか?という問いだ。 この本は、その問いに対して、人間が歴史的にどのように考えてきたのか、を描くノン...
宇宙はビッグバンによって始まった、というのが現在の定説であるけれども、その定説にたどりつくまでに、人間は宇宙のことについてずっと考え続けてきた。宇宙はいつ、どのように始まったのだろうか?という問いだ。 この本は、その問いに対して、人間が歴史的にどのように考えてきたのか、を描くノンフィクション。天動説が一般的であった時代からの歴史を描いている。 僕にとっては、今年読んだ本の中では最も面白かった、ベスト1の本だ。 100億年(だったかな?)、あるいは、もっと以前にどこかの1点でビッグバンが起こり宇宙が誕生した。100億年以上前、とか、どこかの1点で大爆発、等と、宇宙のことを考え始めると、日常の瑣末なことが本当に瑣末に思えてきて落ち着いたり、逆に、自分という存在自体がとるに足りないものに思えてきて頼りない気持ちになったりしてしまう。 更に、ビッグバン以前ってどうなっていたのだろうか、とか、何故ビッグバンは起こったのだろうか、とか、要するに、何故宇宙ってあるのだろうか、と考え始めると、ますますそういった気分が強くなってくる。 サイモン・シンの本を読むのは、3冊目。いずれも新潮文庫で訳されているもので、「フェルマーの最終定理」「暗号解読」、そして本書。どれもその分野の科学史を扱った本だけれども、その分野のことについて素人であっても、面白く読める本だ。本書も同じ。 途中、アインシュタインの相対性理論の紹介なども本書では出てくるけれども、それを科学的に、専門的に、あるいは数学・物理的に分かる必要はなく、紹介されている概念が分かれば、読み進めることが出来るようになっている。更に著者のサイモン・シンはうまい配慮をしており、各章の章末に、その章のまとめを付している。逆にその「まとめ」を読んでから、各章を読み始めると理解がうまく進むかもしれない。
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サイモン・シンの著作は、『フェルマーの最終定理』、『暗号解読』につづいて3作目。天動説・地動説の話から、アインシュタインの相対性理論まで、宇宙を覗き続けてきた人類が、どのように天文学を構築してきたのかが分かる。 宇宙について考えるということは、世界がどういう構造をしているかを考え...
サイモン・シンの著作は、『フェルマーの最終定理』、『暗号解読』につづいて3作目。天動説・地動説の話から、アインシュタインの相対性理論まで、宇宙を覗き続けてきた人類が、どのように天文学を構築してきたのかが分かる。 宇宙について考えるということは、世界がどういう構造をしているかを考えることである。科学的なアプローチが成される以前は、この領域には、宗教が君臨していた。当時のヨーロッパでは、キリスト教的世界観が、絶対に等しいものだった。したがって、天文学者はこのキリスト教とも戦いながら、学問を構築する必要があった。そして、上巻のクライマックスは、ハッブルが登場する。ハッブルの観測によって、ビッグバンを裏付ける証拠が示される。 それにしてもサイモン・シンは説明がうまい。イメージを伝える比喩と、本質を伝える例示が巧みだ。式を使わなくても、こんな風に伝えることができるのかと驚く。
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サイモン・シン「宇宙創成〈上〉」を読了。今月22冊目。 著者の処女作「フェルマーの最終定理」が最高に素晴らしかったので、買ってきた3作目。2作目は「暗号解読」という、これがまた面白そうなテーマなんだけど、まだ出会えていないので未購入。 もともとは「ビッグバン宇宙論」という題名...
サイモン・シン「宇宙創成〈上〉」を読了。今月22冊目。 著者の処女作「フェルマーの最終定理」が最高に素晴らしかったので、買ってきた3作目。2作目は「暗号解読」という、これがまた面白そうなテーマなんだけど、まだ出会えていないので未購入。 もともとは「ビッグバン宇宙論」という題名だったくらいなので、基本的にビッグバン宇宙論への歴史が綴られている。上巻ではハッブルが宇宙が膨張しているという事実を観測から見出すところまで収録。 上巻で出てくる著名な人物としては、アリストテレス、ガリレオ、コペルニクス、ニュートン、ケプラー、アインシュタイン、ハッブルなど。 翻訳物であるにもかかわらず、翻訳が大変に素晴らしい仕事をしている。翻訳にありがちな読みにくさなど全く感じられず、最初から日本語で執筆されたんじゃないかと疑うほどに良い仕事をしてて、ちょっと感動的ですらある。 個人的に意外なエピソードだったのが、天の川銀河の外にも銀河があるんだよって事実が確定したのが1923年という、わりと最近だということ。それまでの宇宙観では全部、天の川銀河の中に観測される天体は含まれる・・・と考えられていたとか。まだ100年もたってないんだねぇ。というか、一般相対性理論の発表の時期にも、まだ天の川銀河が唯一の銀河だったという事なのか。 またニュートンの重力理論とアインシュタインの重力理論とのせめぎ合いは、既に正解とされているもの、価値観を、新しいものが置き換えていく事がどれだけ困難な仕事なのかという事を分からせてくれる。この辺のエピソードは現代社会においても組織論的な置き換えで読んでも役に立つかもしれない。 理系のテーマではあるけれども、各章の終わりには「まとめ」としてノートを取ったように分かりやすくまとめられているので、容易に理解できるし、人間のドラマとして圧倒的な時間的スケールが描かれているので、文系な方にもおすすめな一冊。まだ下巻を読んでないけど。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
衝撃的。高1で宇宙について無知な僕だが、楽しんで読むことができた。 天文学者たちは、「巨人たちの背に乗って」先人たちの技術を用い、そして時に「巨人たち」の考えを覆す論を提唱する。 アインシュタインの部分は特に面白く読むことができた。時空のゆがみを想像しようとするだけで不思議。 一般論に反逆した彼が、成功後に権威となってしまったことを示唆するようなエピソードも興味深かった。 今のビッグバン理論がなぜあるのか、歴史をなぞって読むことができてよかった。下巻にも期待。
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パラダイムシフトとなる以上はどれも革命的であるが、とりわけ宇宙論においては劇的でありコペルニクス的転回がいかに激しいものであるかが顕著であるように思う。思考を宇宙の彼方まで飛ばしてしまうという、すごさ。 この著者の凄いところは、全ての登場人物の像を浮き立たせ、よりドラマティックに...
パラダイムシフトとなる以上はどれも革命的であるが、とりわけ宇宙論においては劇的でありコペルニクス的転回がいかに激しいものであるかが顕著であるように思う。思考を宇宙の彼方まで飛ばしてしまうという、すごさ。 この著者の凄いところは、全ての登場人物の像を浮き立たせ、よりドラマティックに描き出しているところだろうか。たいへん面白く、熱い。時には罵り合いすらもする彼らの、歴史を作り上げていく過程が大変なものであり、過激だ。それだけに、我々が単に知識としてだけ受け入れるという行為はあまりにも愚かな行為かもしれない。 だから、ビッグバンを常識と受け入れる前に、一度コペルニクスの宇宙観に驚くのも決して無駄ではないだろう。
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宇宙と言う大きなテーマを取り扱いながらも物理に全く縁のない文系人間の自分が読んでもすんなり読めるあたりは、流石にサイモンシンと言うべきか。 宇宙そのものを天才達がそれぞれの知性を駆使して紐解いていく様は読んでいて引き込まれる。 おりしも2012年は宇宙が熱い年ですからもし宇宙...
宇宙と言う大きなテーマを取り扱いながらも物理に全く縁のない文系人間の自分が読んでもすんなり読めるあたりは、流石にサイモンシンと言うべきか。 宇宙そのものを天才達がそれぞれの知性を駆使して紐解いていく様は読んでいて引き込まれる。 おりしも2012年は宇宙が熱い年ですからもし宇宙に興味があるなら必読の一冊です。
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第2章「宇宙の理論」、アインシュタインの登場から、俄然おもしろくなる。 ビッグバン理論が紆余曲折しつつも、さまざまな科学者らの情熱と奮闘で徐々に確立していく、その経緯が実にダイナミックに活き々々と活写されている。 高校生の年頃に是非読ませたい本。
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古代ギリシャ時代の宇宙観から最新の宇宙理論までを描き切った壮大なノンフィクション。宇宙論に関する本は哲学書以上に哲学を感じさせてくれる。セーガンのコスモスの感動が甦る。
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今でこそ常識になっている宇宙についての知識。 それを紐解くための過去の偉人たちのたゆまぬ努力。 勿論それが正解でないこともあったにしても 兎に角前進しようとしたところが凄い。 そうした気持ちが積み重なって、今の科学に繋がっている。 すごいことだと思う。
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物理学を勉強しようと思い立ち、知人に勧められ読んでみた。実にわかりやすく物理学の歴史がまとまっている。写真やグラフや図も充実している。この世界の創成について真実をつかもうとする中で、宗教と科学が相入れないものとしてあることがもどかしい。アインシュタイン登場の項は、特に読んでいて高...
物理学を勉強しようと思い立ち、知人に勧められ読んでみた。実にわかりやすく物理学の歴史がまとまっている。写真やグラフや図も充実している。この世界の創成について真実をつかもうとする中で、宗教と科学が相入れないものとしてあることがもどかしい。アインシュタイン登場の項は、特に読んでいて高揚した。
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