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どうで死ぬ身の一踊り の商品レビュー

3.5

47件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2024/08/29

一言で言ってしまえばクズ、その典型みたいなものだけど、ではなぜそうなのかというと、おそらくは純粋さゆえなのかもしれない。もともと縁もゆかりもない藤澤清造にこれだけ傾倒できるのも純粋さゆえとおもえる。表面上まったく共感できないような暴力男のはずなのに、これだけ他人事のように赤裸々に...

一言で言ってしまえばクズ、その典型みたいなものだけど、ではなぜそうなのかというと、おそらくは純粋さゆえなのかもしれない。もともと縁もゆかりもない藤澤清造にこれだけ傾倒できるのも純粋さゆえとおもえる。表面上まったく共感できないような暴力男のはずなのに、これだけ他人事のように赤裸々に書かれると、その内面のある種の可愛らしさが見えてきて、謎の共感を覚えてしまう。

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2020/08/06

「墓前生活」 藤澤清造の墓参りをする話。筋金入りのマニアで東京から能登の寺へ通い詰めて自費で法要まで行ってしまう。古くなった墓標を譲ってもらう場面は笑った。西村さんの氏への執念が伝わってきてとてもよかった。星5 「どうで死ぬ身の一踊り」 前半は藤澤清造に関わる話で良かったけど、...

「墓前生活」 藤澤清造の墓参りをする話。筋金入りのマニアで東京から能登の寺へ通い詰めて自費で法要まで行ってしまう。古くなった墓標を譲ってもらう場面は笑った。西村さんの氏への執念が伝わってきてとてもよかった。星5 「どうで死ぬ身の一踊り」 前半は藤澤清造に関わる話で良かったけど、後半はDV話で微妙だった。近代文学の蒐集者で研究家である一方で、同棲する女の気まぐれにはどうにも我慢がならない主人公。その対比が面白いところなのかもしれないが、DVということもあって少し冷めて読んでしまう。星3 「一夜」 これは短すぎるし、ただのDⅤ小説に成り下がっているのが残念。キレっぷりは凄いが、DVの話はやっぱり読んでいて楽しいものじゃないな… 星2

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2020/03/09

再読。芥川賞を受賞した『苦役列車』よりこの『どうで死ぬ身の一踊り』のほうが文学性は高いように思う。美しく端正な日本語を操り純文学の香りを持ちながらも、内容はお下劣極まりない。東大卒のサラブレット作家には醸し出せない、余所行きの一張羅を誰よりも綺麗に着こなす下民といったところか。(...

再読。芥川賞を受賞した『苦役列車』よりこの『どうで死ぬ身の一踊り』のほうが文学性は高いように思う。美しく端正な日本語を操り純文学の香りを持ちながらも、内容はお下劣極まりない。東大卒のサラブレット作家には醸し出せない、余所行きの一張羅を誰よりも綺麗に着こなす下民といったところか。(すべて誉め言葉) 主人公寛多は、所謂無敵の人で、無職のくせに借金を重ね大酒飲みで恋人に暴力を振るう最低な人物だ。不快な設定なのに面白おかしく読めるのは寛多が徹底して屑で、そのくせ文章に品があり且つ藤澤清造への熱意は物凄く純粋だからであろう。 好き嫌いが相当別れる作家だが中毒性ある作家だ。

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2018/08/25

彼の著書を買ったのは、これが初めてだったか。 著者と大正時代の私小説家の藤澤清造を重ねあわせて、無頼ぶりを発揮する結局が弱い男なんだが、なんだか気になるんだな。

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2016/11/15

一度読んでみたかった西賢作品。ってかこれ、私小説だったんですね。ここで対象となっている作家のことは、愚昧な自分は存じ上げなかったけど、彼に書ける情熱の高さはひしひし伝わってきた。私生活の何を置いても、ってくらいのめり込める対象、存在自体が素敵ですね。私生活そのものは、ちょっと褒め...

一度読んでみたかった西賢作品。ってかこれ、私小説だったんですね。ここで対象となっている作家のことは、愚昧な自分は存じ上げなかったけど、彼に書ける情熱の高さはひしひし伝わってきた。私生活の何を置いても、ってくらいのめり込める対象、存在自体が素敵ですね。私生活そのものは、ちょっと褒められたものじゃないけど、文章そのものには惹かれるものがありました。機会があれば他作品も是非。

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2016/10/09

芥川賞作家西村賢太氏の私小説作品「どうで死ぬ身の一踊り」を読了。以前この著者の作品の読後感想を書いたときにある友人からこの作者の作品になぜか嵌ってしまう人もいるよというコメントをいただいた事を思い出したが、本作品を読みはじめたときに思ったのはまた同じ話なのに読んじゃうなあという感...

芥川賞作家西村賢太氏の私小説作品「どうで死ぬ身の一踊り」を読了。以前この著者の作品の読後感想を書いたときにある友人からこの作者の作品になぜか嵌ってしまう人もいるよというコメントをいただいた事を思い出したが、本作品を読みはじめたときに思ったのはまた同じ話なのに読んじゃうなあという感想だった。芥川賞の選考委員の多くも知らなかったらしい不遇の作家藤澤清造の全集の自費出版を目指す中年男のその作家に関する超絶オタク具合と病的であるDVの様子が描かれていているのはほぼ今までの作品と共通していてどうしようもない男の哀しい日常を見せつけられる作品であるのは全く変わりがない。人間の業を感じるからだろうか、この作家の作品にはまるひとがいるのは。僕はもういいかな。知られていない不遇の作家藤澤清造というひとに興味を持たせてくれる作品を読むBGMに選んだのは

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2016/07/14

よくわかるなー。 作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。 それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。 それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。 師をもつとは、しかしこういうこ...

よくわかるなー。 作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。 それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。 それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。 師をもつとは、しかしこういうことか。 さらにいえば、編集活動→女といさかい→女と仲直り、というパターンがある。 このパターンは想像するだに、他の作品でも同じなのでは……? そしてまた、女と暮らすことの難しさ。 過去と未来の思い出と展望はいかにもきらきらと素晴らしいのに、現実に長く寄り添う女と対峙すると、どうしてあんなにむかむかとマグマみたいなものが込み上げてくるのかね。数時間前の愛おしさがそのままじとっと湿った感情に変質する。まったく不思議。 いろいろな場面で駆け引きや損得勘定をしてしまうところとか(かなり客観的に描写されている)。 いったん怒りを収めたあとの、「便座上げとけって言ってんだろがっ!」とか。 どんなときも「ぼく」って言ってしまうところとか。 「がんばって」買った蟹の剥き身や鯖寿司にケチをつけられて激昂・激怒してしまうところとか。 喧嘩している最中にかつての「グルーミング」を思い出して後悔してしまうところとか。 「おまえ」といえず、「そっち」という変な呼び方をしてしまうところとか。 この主人公は相違なくダメ男だが、一歩踏み外せば同種の人間。だからこんなに惹かれるのか。 またカタカナの使い方が面白い。これは文体全体にもかかわることだが。

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2016/06/12

一連の作品は、みな同じ話なんだが、何故かひきこまれ、読んでしまわないといけないような作品だ。「嫌になるんだけれど、読まずにいられない・・的な」

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2015/08/01

藤澤清造への作者の眼差し、そしてその経験を介した私小説。私小説というよりは、作者が愛してやまない藤澤清造説明書、という印象。それくらいに藤澤清造という作者に没入しているのだな、と感じさせられる一冊。特に「墓前生活」ではその色が特に強かった。 他2作の「どうで死ぬ身の一踊り」「一夜...

藤澤清造への作者の眼差し、そしてその経験を介した私小説。私小説というよりは、作者が愛してやまない藤澤清造説明書、という印象。それくらいに藤澤清造という作者に没入しているのだな、と感じさせられる一冊。特に「墓前生活」ではその色が特に強かった。 他2作の「どうで死ぬ身の一踊り」「一夜」は、彼女との諍い、DV etc。 解説で語られている様に、作者は本来、作家になるつもりは無かっただろうし、予定も全く無かったのだと思う。だから、彩色と呼ぶのだろうか、誇張や強調といった物事が殆どなされていない、どこまでも平凡を保っているような、そういう印象を受けた。 しかし、自分は単純に、この物語が嫌いで、主人公の身勝手な行動を受け入れられず、どうしようもないヤル瀬無い気分を抱えながら、過去に読んだ「癈疾かかえて」と何かと被る印象を受け、評価は低く付けた。

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2014/10/15

相変わらずのDVや内弁慶っぷりや粘着質な性格には閉口だけど、こと藤澤清造に関することの行動力や執念たるや見習ううべきところ多し。反面教師にしても良し、過去の失敗や後悔から、どうせなら開き直って!と勇気を得てもよし。

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