どうで死ぬ身の一踊り の商品レビュー
貫太シリーズではないほうの私小説。貫太シリーズは腹かかえるほど笑えるんだけど、こっちは笑える部分はあまりなく、藤澤清造に対する思いや女への執着や暴力が淡々と描かれていてえぐみが強い。どっちも好きだけど。
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著者が私淑する藤澤清造の思いがこもった中編集。秋恵さんとの生活はどうなるのかは他の作品でも仄めかしてあったがこの本で最後の日々をようやく読めた。ここまで作家に思い入れを持っているのは純文学の愛好者ならありがちなことなことだが、その度が外れている著者には恐れ入る。 坪内祐三の...
著者が私淑する藤澤清造の思いがこもった中編集。秋恵さんとの生活はどうなるのかは他の作品でも仄めかしてあったがこの本で最後の日々をようやく読めた。ここまで作家に思い入れを持っているのは純文学の愛好者ならありがちなことなことだが、その度が外れている著者には恐れ入る。 坪内祐三の解説も良かった。彼は著者が発行した藤澤全集の見本を読んでいて、デビュー前から著者の名前と文章を知っていたのだと。ほうと。それと著者の文章の魅力を語っていてこれが非常にしっくりきた。小説を書くことを著者は元々望んでなかったんだよなあと。変な狙いが無いのが鼻につかないのかと。他の作家のと大違いだなと……
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※このレビューにはネタバレを含みます
新鮮な喜びに満ちた甘く温かい同棲生活が、いつの間にか他愛もない言い合いから思わず手をあげるような大喧嘩に転変。本作では肋骨が折れ救急車さえ呼ばなければならない緊急事態にまで陥っている。それでも藤澤清造の開眼式を第一とし、警察への連行を恐れ、骨のヒビは直に治るだとかロキソニンを服用すれば大丈夫だとか・・・。女の身より自分の保身を最優先とする身勝手を恥ずかしくもなくありのままそのままを語っている。惨めな性欲、女への見苦しい未練。ここまで書くか。人目憚らず見事に書き上げている。モチーフはいつものワンパターン。読ませられるのは私小説ならではの力か。西村氏のあとがきには「小説に関しては、ただ才にまかせただけの観念の産物よりも、その作者自身の血と涙とでもって描いたものでなければまるで読む気は起こらない」とある。むべなるかな。同時収録の墓前生活には藤澤清造の墓との邂逅、そして今も続く月参り、自室が清造の墓地となっている経緯が綴られており、表題作の導入の役割を演じている。
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僕が読んだ西村賢太の小説は、『苦役列車』『二度はゆけぬ町の地図』『暗渠の宿』であり、さらに今回これが加わる。同棲していた女性の話すなわち「秋恵モノ」は『暗渠の宿』しか読んでいないのであるが、それなのにこの『どうで~』における秋恵話のごり押しに、読者としての失速、ありていに言えば食...
僕が読んだ西村賢太の小説は、『苦役列車』『二度はゆけぬ町の地図』『暗渠の宿』であり、さらに今回これが加わる。同棲していた女性の話すなわち「秋恵モノ」は『暗渠の宿』しか読んでいないのであるが、それなのにこの『どうで~』における秋恵話のごり押しに、読者としての失速、ありていに言えば食傷を感じてしまったことをまず記しておきたい。 表題作においては藤澤清造の逸話と秋恵の話がふんだんに盛り込まれている。著者は上手く女性と藤澤清造についての話を絡ませているが、もともとその二つは相いれないというのか、やはりどうしてもバランスの悪さが目立ってしまうように思う。 著者の手腕は短編集『二度はゆけぬ町の地図』の高クオリティの出来によって既に知るところではあるのだが、その腕をもってしてもこれら二つの滑らかな混交は難しいようだと言わざるを得ない。日常から離れたやや高い位置にある藤澤清造、そしてそこにごく普通の女性である秋恵を混ぜることがいかに難しいのか、素人目にも判るところだ。あるいはこれら二つを違和感なく結びつけることが著者の課題なのだろうか、そうだとすればまだしばらくこの秋恵モノは続くかもしれない。 著者はこの『どうで~』では芥川賞を逃すのだが、それはおそらく僕と同じことを選考委員も感じたからではないだろうか。 酷評してしまったが、最初の短編『墓前生活』は藤澤清造とその周辺のことのみに話が絞られており、面白みはあまりないがきれいに纏められている。僕個人としては表題作や、『苦役列車』のような比較的長い作品よりも、精々40~50ページぐらいの短編の方にむしろ切れ味の良さを感じる。 三つ目の短編『一夜』は、『どうで~』の後日譚のような短編であり、同じく藤澤清造と秋恵がちゃんぽんになっている。しかしこれは極めて短い作品であり、これら二者の混淆はその表題作よりも上手くいっていると思う。 藤澤清造について語られる場面が極めて多く、全体としてまるでお香の匂いが漂っているような作品集になっている。またこれは『二度は~』の変更前の表紙についても述べたところだが、この作品集も表紙が残念だ。この人の本の表紙は人間のいない荒漠とした風景または抽象画が似合う。
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藤澤清造関連のやや文体が堅いものと、いつもの秋恵ものの2部構成的な内容。インパクトの強いタイトルと装丁に惹かれて読むのを楽しみにしてました。 西村賢太の芥川賞授賞式ニコ生中継では「何というおれたち」「なかま!」的なコメが大量に流れてましたが、、、、、これはひどい\(^o^)/も...
藤澤清造関連のやや文体が堅いものと、いつもの秋恵ものの2部構成的な内容。インパクトの強いタイトルと装丁に惹かれて読むのを楽しみにしてました。 西村賢太の芥川賞授賞式ニコ生中継では「何というおれたち」「なかま!」的なコメが大量に流れてましたが、、、、、これはひどい\(^o^)/もちろん文章じゃなくて賢太のキレっぷりがひどい(笑)今回はいつもにも増してひでえので★みっつ! 【備考】 ベンチでスーパーのおにぎりを食べる賢太はセコ可愛い。
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同居していた女とのエピソード、他の作品でも度々扱われているので飽きが来ているのは事実。で、展開もほぼ同じ。だから読む前からある程度どんな話かわかってしまう。でも読んでしまい、それなりに面白いと思えてしまうのが西村賢太。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
西村賢太が没後弟子として慕っている、大正時代の作家藤澤清造にまつわる話が三作収められている。といっても、藤澤清造の生涯を小説にしたといった類ではなく、藤澤清造の墓に墓参りした話や追悼会を行ったときの話等、西村賢太がそれらを行ったときの出来事を描いている。 いつもながらの最低さは、今回はやや薄め。西村賢太の最低さを味わうには、他の短編集を勧める。西村賢太の事をより知りたい人にお勧めである。
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西村作品を読む順番としては1番目にすると良さげな本。「墓前生活」は、ほのぼのとした美しい短編で、好感が持てたが、「どうで死ぬ身の一踊り」は、ちょっとDVがきつすぎて、女性としてはやや引いてしまった。「小銭をかぞえる」や「暗渠の宿」のほうが、悲惨が笑いにくるまれていて自分的に好み。
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自分でも何がどうよかったのかわからないが、面白かった。 ほかの作品も読んでみたいと思えたということは、気に入ったんだと思う。 一人の作家、一つのこと、思い入れというかここまで執着できる、いい意味での執念深さに、 憧れたのかもしれない。
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こいつは酷い、メチャクチャだ。 本読みの 「プロ」 は高い評価をしているようだが、どう読んだらそう評価できるのか、営A や 豊﨑さん に聞いてみたい (「おすすめ文庫王国2009」第1位)。 人としての大切な部分が壊れている。
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