どうで死ぬ身の一踊り の商品レビュー
女から言わせて貰えば、「なんだこの男は!」って感じかもしれない。正直、最低な男である。ぐちゃぐちゃだし。気持ちで行動してしまう。でも、藤澤清造に対する思いだけには、強い芯がある。そこへの執着心は気持ち悪いほどだ。そのギャップが面白い。 三編とも藤澤に関連したことに加え、一人の女と...
女から言わせて貰えば、「なんだこの男は!」って感じかもしれない。正直、最低な男である。ぐちゃぐちゃだし。気持ちで行動してしまう。でも、藤澤清造に対する思いだけには、強い芯がある。そこへの執着心は気持ち悪いほどだ。そのギャップが面白い。 三編とも藤澤に関連したことに加え、一人の女との生活を描いている。私は、この女との在り方がすごく興味深かった。 レビューに上手い言葉があった。女は逃げる死者は逃げない(blockさん)。核心!
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目前に迫った諸々の締切からの現実逃避もあってか、一気読みした。 西村賢太の作品は、「苦役列車」と「腐泥の果実」しか読んだことがなく、購読したのは今回が初めてであったため、わくわくして読んだが、これがなかなか面白かった。 特に「一夜」が僕は好きだった。短編だということもあるのか、「...
目前に迫った諸々の締切からの現実逃避もあってか、一気読みした。 西村賢太の作品は、「苦役列車」と「腐泥の果実」しか読んだことがなく、購読したのは今回が初めてであったため、わくわくして読んだが、これがなかなか面白かった。 特に「一夜」が僕は好きだった。短編だということもあるのか、「腐泥の果実」に通ずるものがあるように思われた。どちらの作品も、彼の文体と屁理屈によって彼女との逼迫した状況がギャグめいて見えている気がした。女性との立場に立って見ると、全くもって不快な作品であるとは思うけれども、それでも、なんだか面白かった。 「墓前生活」は、筆者も言うとおり、小説と言うよりも、赤の他人が読むことを想定して書かれた日記のように感じた。なんとなく事実が淡々と時系列順に書いてあるように感じたからだ。そのため少しだけ退屈にも感じた。けれども、挫折することも、読書を中断することもなかったので、やはり彼の作品は面白いし、その文体と感性には何処か引きつけられるものがあるということなのかもしれないと思った。 「どうで死ぬ身の一踊り」は最後に読んだのだが、これを読み終える頃には、彼女に対して同情の気持ちしか湧いてこなかった。なのに! どうして! 面白いと感じたのか! わから! ない!
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西村氏の小説4冊目。口の悪いところを見せたかと思えば腰を低くして謝ってみたり、正しいことを痛烈に指摘したかと思えば訳の分からない屁理屈をこねてみたりと、定まらないフラフラとした感じが面白い。p176「あんまりうまくないね」のシーンも、自分で狙っておいて「ギョッ」は無いだろう・・...
西村氏の小説4冊目。口の悪いところを見せたかと思えば腰を低くして謝ってみたり、正しいことを痛烈に指摘したかと思えば訳の分からない屁理屈をこねてみたりと、定まらないフラフラとした感じが面白い。p176「あんまりうまくないね」のシーンも、自分で狙っておいて「ギョッ」は無いだろう・・・と突っ込みたくなるところ。 それでも話が(一旦は)丸く収まるところは、主人公(≒著者)に藤澤清造の全集刊行と言う土台があるからなのかな、と漠然とではあるが感じる。所々で垣間見られる謙虚なイメージからは、自分の土台を土台として意識しようとしていないようにも見えるのだけれど。古風な文体も。藤澤の影響と同時に彼の謙虚なところが表れたものなのかも。
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主人公は大正期の作家・藤澤清造に惚れ抜き、死後弟子を自称して、墓をうろつく。これが目が覚めるほどのダメ男で、読んでいてグツグツ腹ワタが煮えくり返ってくる。 「わたくし」のダメさを徹底して描くということ。 その意味で、この作品はほんとうに素晴らしい。 アタマに来て、どうしようもな...
主人公は大正期の作家・藤澤清造に惚れ抜き、死後弟子を自称して、墓をうろつく。これが目が覚めるほどのダメ男で、読んでいてグツグツ腹ワタが煮えくり返ってくる。 「わたくし」のダメさを徹底して描くということ。 その意味で、この作品はほんとうに素晴らしい。 アタマに来て、どうしようもなくなるから、もう一度読み返そうと思えないのが残念だ。
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藤澤清造への愛情の深さに恐れ入る。女へは「非道い」の一言に尽きる。 『墓前生活』『どうで死ぬ身の一踊り』は清造に関する内容が濃い短編。 『一夜』で女がやっとこさ西村賢太から逃れたようでほっとする。 MVP:なし
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藤澤晴造氏への愛よりも恋人との同棲生活のぐちゃぐちゃくず具合が面白い。本当に外道すぎるが、人間が出てる。
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つい先日芥川賞を受賞して話題になった中卒小説家の作品。現在ではほとんど知られていない大正時代の作家の熱狂的ファンである男(著者自身)が主人公。こいつがみっともない。敬愛する作家に関することなら全力で取り組むんだけど、それ以外はほぼダメ。定職には就いてないし、カッとすると同居する...
つい先日芥川賞を受賞して話題になった中卒小説家の作品。現在ではほとんど知られていない大正時代の作家の熱狂的ファンである男(著者自身)が主人公。こいつがみっともない。敬愛する作家に関することなら全力で取り組むんだけど、それ以外はほぼダメ。定職には就いてないし、カッとすると同居する女性にDVを働く。それで逃げられて、めそめそしてる。でも、それがおかしい、すがすがしい。あっという間に読んでしまった。
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芥川賞候補にもなった表題作と他2作を収録。 私小説ということで著者の生活、人となりがモロに著作に記されているが、読んでいて気分が良くなるタイプのものでは無い。いまをときめく引きこもり系ではなく、昔ながらの横暴系のダメ人間(無頼というのか?)である著者の、おたく的な藤澤清造愛と、同...
芥川賞候補にもなった表題作と他2作を収録。 私小説ということで著者の生活、人となりがモロに著作に記されているが、読んでいて気分が良くなるタイプのものでは無い。いまをときめく引きこもり系ではなく、昔ながらの横暴系のダメ人間(無頼というのか?)である著者の、おたく的な藤澤清造愛と、同居人である女性に対するDVなどが描かれる。上記のようなことから女性にはオススメできないが、「苦役列車」にて芥川賞を取った際の同時受賞者である朝吹氏にその経歴から無意識的に反発心を感じるような方にはそのルサンチマンを共有できるという意味合いからオススメできる。 私の育った江戸川区出身の、あまりに江戸川区出身者らしい人物像にも非常に好感が持て、これからもマイペースで頑張ってもらいたいものである。
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作家の名を知ったのは芥川賞の報道によるものだった。そのときの彼のどこか実像が掴めぬ立ち振る舞いや言動が気になっていた。 その印象は読後にも変わらずあり、いや当初の印象以上に彼に何とも言えぬ目を向けてしまう。 それは軽蔑であり憐憫であり、小さい羨望である。 更にそれが何かと辿ると結...
作家の名を知ったのは芥川賞の報道によるものだった。そのときの彼のどこか実像が掴めぬ立ち振る舞いや言動が気になっていた。 その印象は読後にも変わらずあり、いや当初の印象以上に彼に何とも言えぬ目を向けてしまう。 それは軽蔑であり憐憫であり、小さい羨望である。 更にそれが何かと辿ると結局は彼がどうしようもなく人間であると判ってくるのだ。 まざまざと見せつけられた業は、綺麗事で包み隠した己の中にも同じくある。 面白かった。
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苦役列車に続けて読んだ。 師と仰ぐ藤澤清造氏への傾倒ぶりが尋常ではない、彼の流れるような文体も影響を受けているのだろうか。 相変わらず同居の女性に対する仕打ちが悲惨だが、なぜかさらっと読めてしまう、この独特な文章はくせになりそう。
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