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魚舟・獣舟 の商品レビュー

3.8

91件のお客様レビュー

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2025/11/29

映像が浮かぶ不穏美しい作品。 上田さんの作品まだまだ読めてはいないけど、読んだ中ではの一番好きな世界線。

Posted byブクログ

2025/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者初読。パイセン本。 上田早夕里『魚舟・獣舟』は、ページをめくるたびに“生き物としての人間”が静かに姿を現してくる、深い余韻を残す短編集だった。どの物語も独立した世界を持ちながら、共通して流れているのは、変わりゆく環境とそこに必死に生を繋ごうとする人々の確かな息づかいだ。 表題作「魚舟・獣舟」では、異形の存在と共に生きる海上民の姿が印象的で、未知の生命に抱く畏れと敬意が見事に交錯する。変容していく世界へ向き合う彼らの姿に、読者は“適応して生きる”という言葉の重さを思い知らされる。一方でそこには、厳しい現実を越えてなお、未来を切り拓こうとするしなやかな希望が宿っている。 「くさびらの道」や「小鳥の墓」といった作品では、人の心の脆さと強さが同時に描かれ、読後に深い静けさが残った。上田早夕里の筆は、苦しみや孤独すらもどこか透明な光の中に置き直し、人間の内側にある微細な感情を、丁寧にすくい上げていく。 全体を通して感じるのは、厳しい世界を描きながらも、人と世界が持つ“可能性”を信じる視線だ。それは強烈な設定や残酷さを中和するものではなく、むしろその奥底に沈む確かな人間性を、よりくっきりと浮かび上がらせる力となっている。 重厚な物語群でありながら、不思議な温度をもって心に染み渡る短編集。読後には、はるかな海の音が胸の奥で静かに響き続けるような、そんな深い読書体験が待っている一冊だった。

Posted byブクログ

2025/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

近未来的な世界を舞台とした短編5編と中編1編の構成。短編ごとに「妖怪と共存する世界」「人間でありながら異なる生物へと進化する人種が存在する世界」など、SFという共通ジャンルの中でも、ホラー寄りのものや切ない恋物語など、まったく異なる趣の物語が揃っている。 いちいち個別に感想を書くのも面倒なので、「どれもそれなりに面白かった」ということでまとめておく。

Posted byブクログ

2025/09/05

購入して10年以上読まずに本棚にしまっていた1冊。当時ファンタジーものだとなぜか思い込んで購入したものの苦手なSF要素を感じて読まずにそれきりになっていた。あの頃よりいろんなジャンルを読み漁るようになって改めて読んでみるとあっとう間に作者の世界に引き込まれた。 タイトルから想像し...

購入して10年以上読まずに本棚にしまっていた1冊。当時ファンタジーものだとなぜか思い込んで購入したものの苦手なSF要素を感じて読まずにそれきりになっていた。あの頃よりいろんなジャンルを読み漁るようになって改めて読んでみるとあっとう間に作者の世界に引き込まれた。 タイトルから想像してたものとはまったく違う、冷静で容赦なくじっとりした話達だった。 本棚にしまいっぱなしにしなくてよかった。 作者の他の作品も読んでみたい。

Posted byブクログ

2025/05/04

どれも設定が素晴らしい珠玉のSFだった... タイトルの魚舟・獣舟はかなり荒唐無稽かつ複雑な設定なのにすんなり世界観を理解させる導入が凄い。著者の文章力の高さ、そして人間への解像度の高さがふんだんに発揮されていた。

Posted byブクログ

2024/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

設定はオリジナリティがあっていいものの、単純な文章力や起承転結、登場人物の造形が設定のレベルに追いついておらず正直読むのが苦痛だった。 起承転結は起の設定説明が面白さのピークでそのまま尻下りになっていく感じが強く、文章も安易な比喩や「〜と思った」が多様されていて、本当にその部分でその表現をするのが正しいのか首を何度も傾げた。 また、登場人物の造形が浅いのか、言動に一貫性がないのか、それともその人を語るため(特に脇役や)のエピソードが薄いからなのか、セリフに登場人物の性格の差や考え方の違いを感じられなかった。 なかでも特に気になったのが、「真朱の街」のラストで5歳の翔子が別れ際に変に饒舌に話すシーンや「小鳥の墓」で主人公の父が主人公の顔をベースにした架空俳優でポルノ映画を作ったことが判明して家庭が不和になった際に9歳の主人公が父に「僕が相手役の俳優と寝たわけじゃないし、寝たといっても映画の中だ。ただの演技だろう」と言うシーンなど設定とセリフが一致していないところだった。 登場人物の設定を練って出てきたセリフというよりかは、こういう風に話を進めたいという予定があり、それに添わせてセリフを作っている(ので説明的で登場人物の性格がセリフから見えてこない)という印象が全体を通してあった。

Posted byブクログ

2024/08/01

「この世に存在しないものを、まるで在るかの如く魅力的に創造する……。これは、とてつもなく手間とセンスがいるんだよ。」_p197小鳥の墓 映画監督の父が息子に言った台詞ですが、小説家である上田早夕里さんが創作活動において目指すところなのだろうと感じました。 どの作品も設定がよく...

「この世に存在しないものを、まるで在るかの如く魅力的に創造する……。これは、とてつもなく手間とセンスがいるんだよ。」_p197小鳥の墓 映画監督の父が息子に言った台詞ですが、小説家である上田早夕里さんが創作活動において目指すところなのだろうと感じました。 どの作品も設定がよくわからないままその世界に放り込まれてはじめは少し読みにくいなと思うのですが、読み進めるうちにだんだんと魚舟や幽霊や妖怪が当たり前に存在する世界に入り込んでいくような感覚でした。まさに"この世に存在しないものを在るかの如く創造する"ことに長けた作者だと思いながら読んでいたので、その思惑を感じ取れていたことが嬉しかったし、それが素人の私にも伝わるほどに努力と才能の人なのだと思います。

Posted byブクログ

2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表題作は最初の33ページ。この作品だけでも良いと思い買った。 華竜の宮を読んでいるので世界観や背景は分かっている。火薬で魚舟を傷つけるところは「ああ・・」となった。獣舟が進化する描写も良く、買った甲斐があったと思った。 華竜の宮では見られなかった魚舟に対するドライな感情を持った人物が主人公であったので、共感する部分があった。遺伝的にイジられているとはいえ「皆が皆魚舟に執着するわけでは無いだろう」と思っていた違和感が払拭された。 他の作品を読んでからでないと分からないが、この作者の作品はいつも悲しい。物語の背景に悲しさや寂しさが濃淡を変えながら漂っている様に感じる。 解説には「傑作(短編)選」や「その年の最高の短編」の文字があるが、これが誇張ではないと感じる。 どの作品もバイオサイエンスを強固な基盤としているのだが、第二軸として人間の心理やファンタジーを絡めることで驚くような広がり、多様さを感じる。 それでも読んで感じる雰囲気は一貫しており、(作品の幅を持たせるために)無理に要素を追加している感じはせず、作者の度量、手腕に感嘆する。 最後の書き下ろし中編では心理描写の巧みさに舌を巻いた。異常心理でありながら共感してしまうような描写に、思春期のエネルギーや心の揺らぎ、賢い主人公を完全に包括する社会実験の枠組み。SF作品であるが、そう分類したくないほどに強烈な人間の描写がある。この作品はSFを描画不足の隠れ蓑にしていない秀作であると感じた。

Posted byブクログ

2024/01/22

短編集 どれも、読みやすくおもしろい。 オーシャンクロニクルシリーズである表題の「魚舟・獣舟」は短いながらも世界観、物語の奥深さを感じる傑作。 「真朱の街」これは別で3冊シリーズ化している妖怪探偵・百目の始まりの物語。個人的に、人ではない異形の物語にひかれるのでかなりおもしろか...

短編集 どれも、読みやすくおもしろい。 オーシャンクロニクルシリーズである表題の「魚舟・獣舟」は短いながらも世界観、物語の奥深さを感じる傑作。 「真朱の街」これは別で3冊シリーズ化している妖怪探偵・百目の始まりの物語。個人的に、人ではない異形の物語にひかれるのでかなりおもしろかった。シリーズ化したものも読んでみたい。

Posted byブクログ

2023/06/04

ずっと気になっていた上田早夕里さんのオーシャンクロニクル・シリーズ。いきなり「華竜の宮」といきたいところだけど、まずは順番通り中短編集の本作から。とは言えリンクするのは表題作の1編だけ。ほんのさわりだけという感じながら、陸地の大半が水没した未来の地球を舞台にした独特な世界観は味わ...

ずっと気になっていた上田早夕里さんのオーシャンクロニクル・シリーズ。いきなり「華竜の宮」といきたいところだけど、まずは順番通り中短編集の本作から。とは言えリンクするのは表題作の1編だけ。ほんのさわりだけという感じながら、陸地の大半が水没した未来の地球を舞台にした独特な世界観は味わえた。他も妖怪探偵シリーズに繋がる「真朱の街」、デビュー長編「火星ダーク・バラード」の前日譚という読み応えある中編「小鳥の墓」、ゾッとするバイオ・ホラー「くさびらの道」など粒揃いで、様々な形態のSFを楽しめた。

Posted byブクログ