魚舟・獣舟 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
表題作が圧倒的!「華竜の宮」から入ってるので、すんなり世界観に馴染んで読めた。青澄の時代より少し前の時代が舞台。自分の半身を、知らずに虐めてしまった女性と、獣舟を狩る、もと海上民の男性のお話。ハッピーエンドじゃないけど、華竜で花開く設定がたっぷり詰まってて、短編なのに読みごたえずっしり。 その他、くさびらの道がすごかった…。栗本薫の黴を思い出した。面白いくらいに読後感が一緒。
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2012.2.18 推薦者:修造(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-87.html)
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前からずっと作者の作品を読んでみたくてやっと手に入れた作品でした。 すっーと流れ込んでくる流麗な文章でさらさらとページを捲れます。一作一作の物語の世界観がとても独創的で全てを映画化出来るんじゃ無いかな…って思っちゃいました。 作品を通して「人間とは…」と何やら哲学的な想いが底流に...
前からずっと作者の作品を読んでみたくてやっと手に入れた作品でした。 すっーと流れ込んでくる流麗な文章でさらさらとページを捲れます。一作一作の物語の世界観がとても独創的で全てを映画化出来るんじゃ無いかな…って思っちゃいました。 作品を通して「人間とは…」と何やら哲学的な想いが底流にあり、ディストピア的であったり片やオカルティックであったりとありきたりの設定に酔うだけでなく、 そこからもう一歩踏み込んだような結末が面白くて色んな想像が頭の中を渦巻いて作者の世界に没頭出来た…最高にいい読書体験ですね。他の作品も読んでみたいと思います。稀有な才能の素晴らしい作品でした。お勧めです。
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☆3.7 なんていうか、どれもこれも不思議な話。近未来っぽくもあるし、妖怪も出てくるし、ホラー要素もあるし...それらの要素が複雑に入り混じって、マーブル模様を作ってるような。 「魚船・獣船」 現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚船や獣船と呼ばれる異形...
☆3.7 なんていうか、どれもこれも不思議な話。近未来っぽくもあるし、妖怪も出てくるし、ホラー要素もあるし...それらの要素が複雑に入り混じって、マーブル模様を作ってるような。 「魚船・獣船」 現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚船や獣船と呼ばれる異形の生物と人類との関わり。 「くさびらの道」寄生茸に体を喰い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物はただ死ぬだけではない。立入禁止区域になった実家に戻った「私」と、妹の婚約者が見たものは... 「真朱の街」テクノロジーの発達した未来と、妖怪が共存する世界。妖怪やってくのも楽じゃないよね、きっと。 「ブルーグラス」水質汚染が深刻になり、一部海域が海洋ドームによって区切られ立入禁止になることが決まった。ダイバーの伸雄は、昔その海に沈めた思い出の品「ブルーグラス」を回収しようと1人潜るが...。この話は、てっきりあのまま毒の生物に触れて、自分もブルーグラスの一部になるのかと思った。 「小鳥の墓」中編。完全に外部から隔離され、子供を健全に育てることに特化したダブルE区。そこに引っ越した"僕"は、こ綺麗だが退屈な街で日常を過ごしていた。ある日同級生の勝原に「外にでないか」と話しかけられ...。
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豊かな想像力で、ファンタジーのようなホラーのようなSFを描く 作品集。 なんか思ってたのと違う印象を受けたが、元々自分がどんなイメージを持って読み始めたのか分からない。 そもそも、初めて読む本に大してイメージが作られるはずもないのだが。 最後の中篇は社会派SFかな。 終盤、タイ...
豊かな想像力で、ファンタジーのようなホラーのようなSFを描く 作品集。 なんか思ってたのと違う印象を受けたが、元々自分がどんなイメージを持って読み始めたのか分からない。 そもそも、初めて読む本に大してイメージが作られるはずもないのだが。 最後の中篇は社会派SFかな。 終盤、タイトルの意味が分かった時はぞくりとした快感を味わったが、それから突然筆が走り始め、ダイジェストみたいな軽い調子になってしまったのが残念。
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【読了レビュー】時に目を背けたくなるような、しかし実に人間的な狂気に満ちた美しさを、SFとして表した短編集。 一話一話に独特な世界観があり、短編集としても実に秀逸。ただ、表現したいテーマ自体の存在を認められない人にとっては、酷く目を背けたくなる内容かもしれないと感じた。
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ちょっと筆が安定しないのが気になるけれども、評価が高くて気になっていた表題作「魚舟・獣舟」は、短編なのによくぞこの世界観を描き切ったと感心した秀作。収録の多作品はこれにはかなり劣る上に、まだ作風が安定してないのか、幼い印象を受けたが、それでもかなり楽しめて読んだし、他の作品も読んでみようと思わせる出来であった。
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かなり上質のSF短編集。ホラー色が強いものもあれば人間心理を深く抉る作品もあり、どの話も読者を休ませず楽しませてくれる。表題作は別格。中編「小鳥の墓」も読み応え有。
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先端技術の知識を元に想像力を駆使してそれぞれの話の世界を構築してるのが、説得力あり。 しっかし、全体的に怖かった…。「くさびらの道」でもぞわっとしましたが、最後の「小鳥の墓」が、特に。 あまり主人公に同調したらおかしくなりそうなので、半分心を閉じて読みました。 表題作はあの...
先端技術の知識を元に想像力を駆使してそれぞれの話の世界を構築してるのが、説得力あり。 しっかし、全体的に怖かった…。「くさびらの道」でもぞわっとしましたが、最後の「小鳥の墓」が、特に。 あまり主人公に同調したらおかしくなりそうなので、半分心を閉じて読みました。 表題作はあの短さなのに濃かった!続編楽しみです。
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どの作品もしっかりSFで、人の心がざわざわと書かれていて、 引き込まれるように読みました。 今までSFというジャンルは、科学技術の知識と空想とがどこまで混ざり合っているかを楽しむ読書だと思っていましたが、 このことを楽しみつつも、その世界で生きる人たちの葛藤や思いをも まざまざ...
どの作品もしっかりSFで、人の心がざわざわと書かれていて、 引き込まれるように読みました。 今までSFというジャンルは、科学技術の知識と空想とがどこまで混ざり合っているかを楽しむ読書だと思っていましたが、 このことを楽しみつつも、その世界で生きる人たちの葛藤や思いをも まざまざと楽しむことのできるジャンルなのだと思いを改めさせられました。 多くの人がレビューで書かれているとおり、くさびらの道は本当にゾッとする作品でした。 最後の解説をよんで、そういえば、とくさびらの言葉を辞書で引いたら…。辞書の文字にまでぞくっとしました。こういった凝ったタイトルが付けられるのも著者の技量の現れだなぁと思います。 表題作目当てで購入したのですが、他の作品も充分楽しんだので、これを機会に同作家の本を集めてみようと思いました。 2012年最後にして素晴らしい著者と出会えました。
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