魚舟・獣舟 の商品レビュー
華竜の宮を読もうと思い、こちらを先に読むと世界観がわかりやすいということで読みました。私にとっての初の上田早夕里作品です。 ※著者の上田先生いわく、「魚舟や獣舟という生物がなぜ存在するのか、その誕生史が、最も詳しく、コンパクトにまとめられている作品」とのことです。 この短編を読み...
華竜の宮を読もうと思い、こちらを先に読むと世界観がわかりやすいということで読みました。私にとっての初の上田早夕里作品です。 ※著者の上田先生いわく、「魚舟や獣舟という生物がなぜ存在するのか、その誕生史が、最も詳しく、コンパクトにまとめられている作品」とのことです。 この短編を読み終わった後、すぐに華竜の宮を読みましたが、独特な世界観が頭に入ってきやすく、先に読んでいてよかったなと思いました。 また、この短編集の最後の作品である小鳥の墓はかなりのボリュームがあります(火星ダークバラードの登場人物の過去の話です)。こちらが書籍のタイトルでも良かったのでは…。 小鳥の墓は私のとても好みに合っており、監視社会とは何だろうと考えさせられる作品でした。 華竜の宮や、火星ダークバラードを読もうかなと思っている方は是非ご一読を。
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表題作用に編集された作品集とあってか、設定の秀逸さが突き抜けている。今作が後のオーシャンクロニクルシリーズの土台になるらしいが、政治外交色が強い印象の当該シリーズを少々敬遠気味ではある。収録作の出自を見る限り、所謂寄せ集め的な作品集に思えるが、全編【喪失】というテーマが一貫してい...
表題作用に編集された作品集とあってか、設定の秀逸さが突き抜けている。今作が後のオーシャンクロニクルシリーズの土台になるらしいが、政治外交色が強い印象の当該シリーズを少々敬遠気味ではある。収録作の出自を見る限り、所謂寄せ集め的な作品集に思えるが、全編【喪失】というテーマが一貫しているのは意図的か否か。SFというよりホラーや幻想文学の色合いが強いが、文章のタッチは純然たるハードボイルドである。書き下ろしの中編はデビュー作のスピンオフらしいが、本編未読の所為なのか、この敵役の凡庸な悪の美学に物足りなさを覚える。
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OCシリーズの原点である「魚舟・獣舟」。現代社会崩壊後の世界、異形の生物と人間の関わり合いがわずかなページにぎゅっと込められた良作。「くさびらの道」は映画化されるそうなので楽しみ。「真朱の街」は妖怪探偵百目の前日譚かな?そして「小鳥の墓」、すばらしい!極端な管理社会の元で生きる二...
OCシリーズの原点である「魚舟・獣舟」。現代社会崩壊後の世界、異形の生物と人間の関わり合いがわずかなページにぎゅっと込められた良作。「くさびらの道」は映画化されるそうなので楽しみ。「真朱の街」は妖怪探偵百目の前日譚かな?そして「小鳥の墓」、すばらしい!極端な管理社会の元で生きる二人の少年の話。なんと火星ダーク・バラードの彼の少年時代のお話ということがラストに明かされ暫し呆然。これがあの物語に続くのかと。上田氏の他作品を読んでいる方には、驚きも発見も感動も更に深まる短篇集ではないかと思う。
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上田早夕里さんの短編集。ジャンルで言えばSFホラーということになるのかな。 やはり、表題の『魚舟・獣舟』と『くさびらの道』が良かった。 読後に感じる一抹の喪失感とちょっと背中が寒くなるような感じ。嫌いじゃない。 この短編集の全体の雰囲気として遺伝子操作された人間が普通に暮らし、...
上田早夕里さんの短編集。ジャンルで言えばSFホラーということになるのかな。 やはり、表題の『魚舟・獣舟』と『くさびらの道』が良かった。 読後に感じる一抹の喪失感とちょっと背中が寒くなるような感じ。嫌いじゃない。 この短編集の全体の雰囲気として遺伝子操作された人間が普通に暮らし、アンドロイドが人間の代わりに危険な仕事をし、そのような中でも妖怪や異形の者が当たり前のように存在する。非常にダークな未来観でありながらも何となく古風な日本の雰囲気も醸し出している。映画『ブレード・ランナー』のような猥雑な感じでもなく、すべてがクリーンで管理された未来都市とまでは行かない。このどっちつかずなリアルな雰囲気、すごく好きですね。 上田早夕里さんの著書はかなり前に『火星ダーク・バラード』を読んだ記憶があるのだけれど全然覚えていない。本書の約半分を占める中編の『小鳥の墓』が『火星ダーク・バラード』の前章譚らしいのでいつかもう一度読んでみよう。 次は、『魚舟・獣舟』の世界観が引き継がれている『華竜の宮』をじっくり読んでみたい。
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タイトルにもなっている魚舟・獣舟は白眉の出来。鮮やかな描写と展開が余韻ある悲しいドラマを生み出している。短編集+中編が1つで、どの話も面白かったのだが、「くさびらの道」のおぞましくもどこか美しい奇病の描写が特に気に入った。中編「小鳥の墓」は「火星ダーク・バラード」と関連があるらし...
タイトルにもなっている魚舟・獣舟は白眉の出来。鮮やかな描写と展開が余韻ある悲しいドラマを生み出している。短編集+中編が1つで、どの話も面白かったのだが、「くさびらの道」のおぞましくもどこか美しい奇病の描写が特に気に入った。中編「小鳥の墓」は「火星ダーク・バラード」と関連があるらしいのでそちらも読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
30歳を過ぎてからSFを読み始めた。 コアなSFファンの方は10代にドハマりする方が多いので、かなり遅咲きなほうではある。 さらには読み進めていくうちに気付いたことがある。 基本、女流作家しか受け付けない。 なぜかはよくわからないのだが、女流SF作家の本がいちばん読みやすい。男性作家でも好きな作家さんもいるんだけど、読むとよきにつけ悪しきにつけものすごく消耗が激しい。 もちろん、「女流」といったところで、さまざまなスタイルの人がいるわけで、一概にそれでくくるのは無理があるとしても、である。 そんななかで、上田 早夕里氏は気にはなっていたがなかなか手が出なかった作家さんであった。 しかし、先日読んだ火星ダーク・バラードが面白かったので、そのスピンオフ的な作品が載っている「魚舟・獣舟」を読むことにした。 上田氏の著作は、設定の「ハード」な部分とキャラクターたちの情緒的な「ソフト」な部分が、いい塩梅なんだと思う。 たぶん、男性作家の場合は前者にやや偏りがちに感じるんだと思う。 表題作の「魚舟・獣舟」も面白かったけど、いちばんキたのは「くさびらの道」。 これは、久々に読んでよかったと感じるより、ヤバかった。 なんでしょうね。 短編ながらもかなりパンチが効いていて、菌とホラーとSFの相性をまざまざと見せつけられた、っていうか、、、 ヤバい。これはヤバい。 映画秘宝が青春の友だったB級映画大好きな元ダンナにいわせると、「つまり、マタンゴやね」ということらしい。 でかい捕食動物に食べられるのももちろんいやだけど、内側から食い荒らされていくのももちろん、コワい。 でも、キノコが菌糸を伸ばして繁殖していくさまが、浸食を思わせるのか、菌に食われゆく人体というイメージは「ざらっ」とした手触りが残る。 ちょっと異色なホラーが読みたい、という人にはおススメです。
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SF大賞候補作に挙がっていたので読んでみた 文句なしに良くできたサイエンスファンタジーとしてのSF 星野之宣的おちついた大人な感じの作風 それぞれの短編ごと異なるファンタジー的な奇想を含む素材を きっちり落とし込む手腕が見事 別の作品も読んでみよう
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深紅の碑文を買ってきたので、序盤から読み直し、「20の短編小説」を読んだばかりで短編頭にもなってるし、 と思って読み始めたが、 中身すごい。 いまいまの現代をとらえているとしか思えない中編あり。
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海洋生物からキノコ、妖怪まで、あらゆる異形が登場するSF短編集。飛び抜けて面白いのは、表題作品の「魚舟・獣舟」だ。オリジナルの世界観が、人の心の純粋さを語る。他の作品も解説するまでもなく面白い。好みは人それぞれだろうが、個人的には「ブルーグラス」がお気に入り。また、「真朱の街」は...
海洋生物からキノコ、妖怪まで、あらゆる異形が登場するSF短編集。飛び抜けて面白いのは、表題作品の「魚舟・獣舟」だ。オリジナルの世界観が、人の心の純粋さを語る。他の作品も解説するまでもなく面白い。好みは人それぞれだろうが、個人的には「ブルーグラス」がお気に入り。また、「真朱の街」は妖怪の言葉が真実すぎて心に刺さる。
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SF。中短編集。短編5作と中編1作。 短編ではやはり表題作が秀逸。30ページに満たないボリュームで、壮大な世界観を表現し、しっかりとしたストーリーを展開。同じ世界観の長編があるらしいので、読んでみたい。 他の短編作品はそれなり。多少ホラーテイスト。 中編は『火星ダーク・バラード』...
SF。中短編集。短編5作と中編1作。 短編ではやはり表題作が秀逸。30ページに満たないボリュームで、壮大な世界観を表現し、しっかりとしたストーリーを展開。同じ世界観の長編があるらしいので、読んでみたい。 他の短編作品はそれなり。多少ホラーテイスト。 中編は『火星ダーク・バラード』の前日譚らしい。あまりSFらしくない。人間の悪意を描くのはうまいと思う。
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