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日本語が亡びるとき の商品レビュー

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105件のお客様レビュー

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2009/10/23

第二次大戦でアメリカが世界を制し、インターネットが世界を覆い尽くした時から英語は「普遍語」となった。 「叡智を求める人」はみな普遍語である英語を読むために英語の「図書館」に出入りするようになる。 それは日本でも例外ではなく、事実明治初期、敗戦後などには日本語廃止論が当然のように叫...

第二次大戦でアメリカが世界を制し、インターネットが世界を覆い尽くした時から英語は「普遍語」となった。 「叡智を求める人」はみな普遍語である英語を読むために英語の「図書館」に出入りするようになる。 それは日本でも例外ではなく、事実明治初期、敗戦後などには日本語廃止論が当然のように叫ばれていた。 私たちが日々当たり前のように接している日本語はかくも儚い言葉であった。 とまぁこんな感じです。 内容としては ①普遍語としての英語 ②文化の主体としての読まれるべき日本語 の二点でしょうか。 あと彼女が本書で語っているのは一般的な言葉ではなく、ある程度上の層の言葉です。 事前に知識が無い方でも、印刷技術の発達からの言葉の歴史についての章で普遍語の成立過程、また普遍語とは何かということについて分かりやすく説明してありますので難なく読めると思います。 日本語を論じる文章だけに書き方がうまいなぁと感じました。

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2009/10/24

読み応えのある良書です。経済の世界ではアメリカ、日本、そして今や中国。 しかし世界で話されるのは、圧倒的に英語である。 だから、今後いかに中国やロシアなどの超大国が台頭してこようとも、世界はアメリカを中心に回っていくのだろう。

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2010/08/08

「英語はネット普遍語に!日本人バイリンガルで日本発信を」 再読後 「人の伝えること『話す』『書く』『読む』と様々あれどみんな異なる」

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2012/04/27

白状すると、実は「ハナモチナラナイ」本なのではないかとだいぶん敬遠していた。アメリカ暮らしが長かった著者。日本の現状を一瞥して、上から叱りつけられてしまうのかなと。説教くさいのは閉口する。ましてよく状況を見ずに説教されるのは願い下げだ。 しかし、予想に反しておもしろかった。食わ...

白状すると、実は「ハナモチナラナイ」本なのではないかとだいぶん敬遠していた。アメリカ暮らしが長かった著者。日本の現状を一瞥して、上から叱りつけられてしまうのかなと。説教くさいのは閉口する。ましてよく状況を見ずに説教されるのは願い下げだ。 しかし、予想に反しておもしろかった。食わず嫌いはいけないなと反省した。 特に冒頭、各国の作家が集まるアメリカの大学での研修の描写がすばらしい。人々がいかにそれぞれの言語で書いているかが浮き彫りにされる。そして、かつては特別な憧憬の的であったフランス語の衰退、世界共通の言語<普遍語>と各民族の言葉<現地語>の対比とその歴史、日本における<国語>の誕生、近代文学がいかにして発展したかと話が続き、では今後、日本の英語教育・日本語教育はどうあるべきかについて、著者の持論が展開される。 遠い昔、実家にあったカビ臭い旧仮名遣いの近代文学全集本を読んでいた頃を思い出した。古紙に巣くう小さな虫をときどきつぶしながら本を読んでいたあの時間は、間違いなく自分の背骨の一部になっている。 「読む力」は大切だ。何か事があったときに、自分を支えてくれる力を身につけさせておくのは教育の大きな役目であり、義務であろう。国語教育の充実に関しては、諸手を挙げて著者に賛成したい。 でもこの『日本語が亡びるとき』という題は正しい選択だったのか少々疑問。著者の焦燥を伝えたかったのだろうけれど、この本の内容を伝えるべき相手が、この題を見てこの本を手に取るか、と思うと、ちょっと考えてしまう。まともなことが書かれているのに、キワモノだと誤解されそうな気がするのだが。

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2009/10/07

海外で思春期をおくった著者だからこそ気づいたのかもしれない。日本文学は、海外の著書を翻訳して、かつ日本の言葉で、アレンジすることで生まれて来たことを。

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2018/10/14

梅田望夫がブログで絶賛していたので、購入。著者は「続明暗」で知っていたので、漱石の心酔者だと思う。日本のもっとも優秀な層は、ますます日本語の文学を読まなくなるであろう、という危機感に突き動かされて書かれた本のようだ。同じように漱石や明治以降の日本文学に仄かな嗜好を持つ僕としては、...

梅田望夫がブログで絶賛していたので、購入。著者は「続明暗」で知っていたので、漱石の心酔者だと思う。日本のもっとも優秀な層は、ますます日本語の文学を読まなくなるであろう、という危機感に突き動かされて書かれた本のようだ。同じように漱石や明治以降の日本文学に仄かな嗜好を持つ僕としては、心情的には著者の主張に賛成するが、これはもはや押しとどめがたい流れのようですね。漱石や太宰を、普通の高校生が誰も読まなくなる日は近いと思う。

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2009/10/04

英語の授業を増やすより、国語の授業を増やすべき!というのは少なくとも義務教育において、大賛成。どれか1個の言語で思考できるようにならないと、どの言語でも考えることのできる人にはならないと思います。他の言語を勉強して、その言葉でないと、ぴったりくる感じがしない概念があるのを体感した...

英語の授業を増やすより、国語の授業を増やすべき!というのは少なくとも義務教育において、大賛成。どれか1個の言語で思考できるようにならないと、どの言語でも考えることのできる人にはならないと思います。他の言語を勉強して、その言葉でないと、ぴったりくる感じがしない概念があるのを体感したし、使いこなすにはその言語ならではの思考回路を得る必要があると日々感じており、英語でそうできたら道具として有用なのは間違いない。英語で考え、意見できる人は必要。でも、国民皆でなくてもいいかな。考えられないまま道具だけ持っていても意味がないから。(メモ:言語以外の手段で思考する人もいる気がする)

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2022/07/13

情報科教員MTのBlog (『日本語の亡びるとき−英語の世紀の中で』を読了!!) https://willpwr.blog.jp/archives/51256420.html

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2009/10/07

10代20代とほとんど本を読まなかった。漱石作品もまともに読んでいない。という私でもすっかり夢中になって読んでしまい、寝不足になってしまった。文豪の著作を読みたくなってしまった。むむ。

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2009/10/04

この本は2009年3月の「週刊ブックレビュー」でジュンク堂書店の田口久美子さんが紹介しました。 その後もこの本のことが話題になったりして、読みました。 水村美苗さんは、1990年に「続明暗」で話題になったことがあり、記憶にとどめていました。 夏目漱石の「明暗」は漱石の死によって未...

この本は2009年3月の「週刊ブックレビュー」でジュンク堂書店の田口久美子さんが紹介しました。 その後もこの本のことが話題になったりして、読みました。 水村美苗さんは、1990年に「続明暗」で話題になったことがあり、記憶にとどめていました。 夏目漱石の「明暗」は漱石の死によって未完となっていますが、その続編を書いたわけです。 水村さんは12歳の時に父親の仕事のためにニューヨークに渡り、20年間アメリカで生活します。 アメリカにも英語にも馴染めず、日本近代文学を読みふけったといいます。 30歳を過ぎて日本に帰ります。 福沢諭吉、二葉亭四迷、夏目漱石、森鴎外、幸田露伴、谷崎潤一郎などの明治の作家を水村さんは評価しています。 「日本文学が文学という名に値した頃の日本語がもっと読まれるべきである」という視点でこの本を書いたということです。 近代において世界で最も尊敬されていた言語はフランス語です。 フランス語が尊敬を集めていた時代は確かにありました。 私の学生時代でも、英語に次ぐ第二外国語はフランス語を選択するのが一般的でした。 サルトルやボーヴォワールに憧れる気風もありました。 英語、フランス語、ドイツ語が世界の三大国語という印象がありました。 いまでは、中国語やハングル語も一般的になっているのではないでしょうか。 アメリカでは、地域の差、貧富の差、能力の差に応じて、全く違ったレベルの教育が与えられているそうです。 水村さんが体験したことだそうですが、上中下の3クラスが作られ、上級クラスではホメロスやギリシャ神話を含めた古典の素養を身につけたといいます。 中級クラスでもアメリカ文学、シェイクスピアやディケンズを読んだといいます。 文学の伝統を継承するのに主眼が置かれていたわけです。 しかし、下級のクラスでは、文学の伝統の継承とは無縁の読み書きができるということに主眼が置かれていました。 このクラスは「おばかさんのクラス」と呼ばれていたそうです。 水村さんは日本の国語教育は日本近代文学を読み継がせることに主眼を置くべきだと主張します。 漱石の「三四郎」を読んでその良さが分かるように教育すべきと言います。 中味が理解できなくても分からなくても優れた古典的作品に触れることが大切だと言います。 近代文学を大切にすることにはわたしも賛成です。 漱石と鴎外が教科書から消えつつあるという現象も現れています。 現代作家の作品も教科書に取り入れられていますが、評価がまだ定まっていないものもあります。 水村さんは、特に漱石の「三四郎」を評価しています。 「三四郎」についての新たな視点も持つことができました。 この本はしっかりした評論文で読み応えがありました。 勉強したという感じになれる本でした。 「明暗」と「続明暗」を読んでみたいという気持ちにさせられました。

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