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七つの海を照らす星 の商品レビュー

3.7

109件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    45

  3. 3つ

    39

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2013/07/06

第18回鮎川哲也賞受賞のデビュー作。 児童養護施設を舞台にした~日常の謎系の連作です。 児童養護施設「七海学園」で働く保育士の北沢春菜は、24歳。 子供達からは、はるのんと呼ばれて、親しまれています。 それぞれに事情があって、家庭で育てることが出来なくなった子供達が集まっている...

第18回鮎川哲也賞受賞のデビュー作。 児童養護施設を舞台にした~日常の謎系の連作です。 児童養護施設「七海学園」で働く保育士の北沢春菜は、24歳。 子供達からは、はるのんと呼ばれて、親しまれています。 それぞれに事情があって、家庭で育てることが出来なくなった子供達が集まっている場所。 学園の七不思議といわれる謎めいた出来事があって‥ 児童福祉司の中年男性・海王さんが、探偵役として登場。 欠けた所を何とかしようとするのではなく、子供を信じておおらかに見守る海王さん。 微妙な立場の違いから、児相(児童相談所)はあまり信用できないという気持ちを抱いていた春菜も、海王さんに心を開き、学んでいきます。 自然なあったかさのある健全な春菜の様子に、ここの子供達も気持ちがほぐれることでしょう。 後輩を励ますために死から甦って姿を見せた先輩。 非常階段の行き止まりから、姿を消した新入生。 女の子が6人で通ると、いるはずのない7人目が囁くというトンネル。など‥ 事件は中学高校で噂になるような出来事が多くて、いかにも今の女子らしいムードがあるのですが、その背景にはやはり深刻な事情も。 明るい春菜のあたたかな視点から描かれるために、重くなり過ぎないので、印象はいいですね。 春菜の友人・佳音ちゃんもいい味出しています。 謎は丁寧に考えられていて、最後に繋がってくるところが面白い。 回文を作るエピソードであまりにもすぐにたくさん出来ちゃうのにはびっくり。作者がよほど好きなんでしょうね。

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2013/06/10

児童養護施設を舞台にした日常系ミステリー。 自分も、一時期ボランティアで施設に通っていたことがあるので、懐かしい気持ちに浸りながら読みました。 重たいものを抱えている子供がそれなりに登場するのですが、謎解きがメインなので重すぎることなく読めます。児童養護施設の雰囲気を知るのにも...

児童養護施設を舞台にした日常系ミステリー。 自分も、一時期ボランティアで施設に通っていたことがあるので、懐かしい気持ちに浸りながら読みました。 重たいものを抱えている子供がそれなりに登場するのですが、謎解きがメインなので重すぎることなく読めます。児童養護施設の雰囲気を知るのにも適した本かもしれません。 最後の最後で明かされた「作者」の回文に、なぜかぐっときました。母音が揃ってるのも、狙ってのことでしょうかね?

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2014/06/03
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あんまりミステリーと思わず読み進んでいた。 子どもたちの細やかな心が描かれている。 知っているけど実際には行く事の無い、児童施設を垣間見る事が出来た。 実の父と養父の性的虐待……別々の子どもの話なんだけど ちょっと又かとは思った。性的虐待の加害者は確かに身内が多そうだけど。 主人公の職員、春菜がとても明るくまっすぐ。こんな保育士さんがいたら子どもたちも救われそうとは思う。 子どもらの数がそれなり多いので、後半何度か前のページで確認した。混乱しちゃった。 リアルなようでよく考えると……ありえない感もあるな。 もちろん面白かったけど。

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2013/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

児童養護施設で働く主人公と、学園の生徒たち。 学園にまつわる七不思議を一つずつ解いてゆく連作小説。 話がやや凝りすぎというか、ピンとこない印象が最後まで続いた。

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2013/04/26

図書館で借りる。シリーズ3作目から読んでしまったので、ちょっと訳知りな気持ちもありつつ。それぞれの物語が最後にひとつの帰結を迎える構成がとても面白いと思った。もっと暗くシリアスになってしまいそうな題材だけど、易しく読ませてくれる作品。自分が中学生くらいの時に読みたかった。

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2013/04/25

さまざまな事情を抱える子供たちが出てくるが暗くなく柔らかく書かれている。 話はよくできてるんだけど、もう一声!感が否めないかな…

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2014/01/31

初、七河迦南作品。 児童養護施設という、私にとっては遠い存在の施設での不思議を解き明かす物語。 謎解きミステリーの括りだとどうしても警察や探偵ものが多いけれど この小説の舞台は児童養護施設。その設定も新鮮でした。 子供たちが児童養護施設に入所する理由は様々で、にわかに信じられな...

初、七河迦南作品。 児童養護施設という、私にとっては遠い存在の施設での不思議を解き明かす物語。 謎解きミステリーの括りだとどうしても警察や探偵ものが多いけれど この小説の舞台は児童養護施設。その設定も新鮮でした。 子供たちが児童養護施設に入所する理由は様々で、にわかに信じられないくらいの出来事がそこにはあって、でもこれって実際にもあり得るんだと思ったら悲しくなる。 いくつかの章を読み進めて短編小説なんだと思っていたら、最後に意外なからくりが! 思わず前の方を読み直してしまった! いつも謎を解いてくれたりヒントをくれたり、答まで導いてくれる児童相談所の海王さんもいい味出してる。もちろん、佳音ちゃんも。 【様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える"死から蘇った先輩"。非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない"七人目"が囁く暗闇のトンネル……七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、"真実"の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。 繊細な技巧が紡ぐ短編群が「大きな物語」を創り上げる、第18回鮎川哲也賞受賞作。】

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2013/03/19

 七海学園の学園七不思議に、それに関わった子どもたちの諸事情がからみ、その上に海王さんの大らかな‘心の言葉’が重なっていくので、読みながら自然と児童福祉について考えていきました。とは言っても重々しさは無くて、ストーリーは爽やかに丁寧に進むので心地よかった。  謎解きの部分も明るく...

 七海学園の学園七不思議に、それに関わった子どもたちの諸事情がからみ、その上に海王さんの大らかな‘心の言葉’が重なっていくので、読みながら自然と児童福祉について考えていきました。とは言っても重々しさは無くて、ストーリーは爽やかに丁寧に進むので心地よかった。  謎解きの部分も明るく楽しくて、すらすらと読めました。少々、上手く行きすぎると思う部分も在りますが、気持ち良~く読了でした。

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2013/01/29

北村薫さんの円紫さんシリーズの中の『秋の花』を 涙をぽたぽた落としながら読み終え、またすぐに読み返そうと本を開いたとき。 本文1頁めに、謎解きのヒントが仄めかされていたことに愕然として 思わず本を取り落としそうになったことがありました。 これほど繊細な物語を紡ぎながら、 一方では...

北村薫さんの円紫さんシリーズの中の『秋の花』を 涙をぽたぽた落としながら読み終え、またすぐに読み返そうと本を開いたとき。 本文1頁めに、謎解きのヒントが仄めかされていたことに愕然として 思わず本を取り落としそうになったことがありました。 これほど繊細な物語を紡ぎながら、 一方ではこんなに大胆に、読者への挑戦をつきつけるなんて、と。 あの、目が覚めるような驚きを、デビュー前の応募作で しかも本文1頁目どころか表紙で、大胆にも上書きしてしまう作家が現れようとは。 七河迦南さん、計り知れない力を秘めた作家です! 惜しいことに、こういったジャンルの草分け的存在である北村薫さんが 鮎川哲也賞の選考委員に加わったのは翌年からで もし第18回の選考を北村さんがしていたら、どんな素敵な選評を書いたのか 気になってしかたありません。 (文庫化の暁には、北村さんが解説を書いてくれないかなぁ♪と 果てしなく妄想はふくらみます♪ ) さまざまな事情を抱えて、児童養護施設「七海学園」で暮らす子どもたち。 死んだはずなのに甦ってピンチを救ってくれた先輩、 階段の行き止まりから魔法のように姿を消した少女、 女の子6人で通ると、闇の中から7人目の囁きが聞こえてくるトンネルなど 「学園七不思議」と呼ばれる謎を 心の支えにしたり、生き抜くための隠れ蓑に使ったり、 美しい思い出として静かに胸の奥に仕舞い込んだり。 体育会系熱血保育士の「はるのん」こと春菜と 「あの子は本当にいい子ですねえ」と、学園のすべての子どもの 心の声に耳を傾け、温かく見守る児童福祉司の海王さんが 謎を鮮やかに解きながらも、「真実と事実は違っていい」と 傷ついた子どもたちが、生きていくために容赦ない事実を必死につなぎ合わせ 自分なりの解釈を加え、ある時は書き換えてまで作る物語を やわらかく受け止めてくれているのがうれしくて。 ひとつひとつの謎は、淡水パールのひとつぶのように小粒だけれど 第七話ですべての謎がつながったとき、目の前にひろがる物語は ひとつぶひとつぶ丁寧に糸を通して作りあげられたネックレスのように 清らかな光を湛え、煌めきます。 美しいタイトルそのままに 銀河の果てで、今はもうなくなってしまったのかもしれないけれど それでも地球に届き、闇を照らしてくれる星の光を思わせる名作です!

Posted byブクログ

2013/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ミステリーよりも、登場人物の優しさや暖かみ、人間らしさという方に心魅かれる。海王さんや明君、園長先生もお話の中で登場するだけにしては存在感があっていい感じ。それにしても作者の名前まで回文とはびっくりした。

Posted byブクログ