七つの海を照らす星 の商品レビュー
あざとい書き方だなぁと最初のページから思ったが、全て作者の計算だった。 6つの短編に描かれる、舞台である児童福祉施設の社会的問題や、それぞれ異なる七不思議。細やかな伏線と前を向ける暖かな真相。 そして第7話。最終話に作者の持ち味が凝縮されて、とてつもないインパクトを残す。 こ...
あざとい書き方だなぁと最初のページから思ったが、全て作者の計算だった。 6つの短編に描かれる、舞台である児童福祉施設の社会的問題や、それぞれ異なる七不思議。細やかな伏線と前を向ける暖かな真相。 そして第7話。最終話に作者の持ち味が凝縮されて、とてつもないインパクトを残す。 ここまで盛り込んだ作品あるかってくらいの1話からの連鎖反応。ある衝撃の真実。細かいことでは某作品のアレだったり、某作家のメタ要素のアレだったり、最後のアレがアレでアレが… とんでもない作品なのだが、次作はさらにすごいらしい。早めに手をつけます。
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児童養護施設を舞台にした連作短編集。 書評でもありましたが、だんだん児童に関する問題から離れ、日常の謎メインになってしまったのがちょっと残念だった。 それでも物語の雰囲気が好きなので星5。 空耳の森を読みかえさなきゃなぁ。
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様々な事情から、家庭では暮らせない子供達が生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に、不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える「死から蘇った先輩」。非常階段の行き止まりから夏の...
様々な事情から、家庭では暮らせない子供達が生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に、不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える「死から蘇った先輩」。非常階段の行き止まりから夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない「七人目」が囁く暗闇のトンネル……。七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、真実の糸によってつながり、美しい円環を描いて希望の物語となる。 第十八回鮎川哲也賞受賞作。児童養護施設を舞台にした日常の謎系連作短編集。 児童養護施設の子供達が微笑ましく、子供達に寄り添って一生懸命働く主人公の春菜も好感をもてる。児童養護施設や福祉法という現代の問題と、七不思議や子供達の日常がバランスよく書かれていてよかった。途中からちょっと七不思議により過ぎてきたけど。二章の『滅びの指輪』だけちょっとブラックなオチ。あと回文はすごいけどそんなフューチャーされてもな……という印象。 しかし最後の謎は個人的にはどうでもよかったというか、これだけ丁寧に描写されてるお友達だしなんかあるだろうとは思いつつ特に気にしていなかった部分ではあった。七章という位置付けではなくエピローグとかおまけって感じ。ただ最終章のおかげですっきり謎を残さず終わったのはよかった。ところどころ社会福祉の参考書の例文か?と思う程説明的な会話はあったけれど、全体的にテンポ良く気持ち良く読めたので、続編も読んでみよう。
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児童養護施設を舞台にした連作短編集。 いわゆる「日常の謎」の範疇に入る作品だと思うけど、DVやネグレクトなどの題材は考えさせられるものがあり、「社会派」的な側面も伺えるような気がします。それでも子供達に向ける視線の温かさや優しさが、作品を通して伝わってくるので、救いや希望があり好...
児童養護施設を舞台にした連作短編集。 いわゆる「日常の謎」の範疇に入る作品だと思うけど、DVやネグレクトなどの題材は考えさせられるものがあり、「社会派」的な側面も伺えるような気がします。それでも子供達に向ける視線の温かさや優しさが、作品を通して伝わってくるので、救いや希望があり好感が持てました。 連作短編集としての完成度も高く、もっと早くに読めばよかったなと、ちょっと後悔。続編を読むのがかなり楽しみになりました。
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上質なミステリー連作短編集 いい感じ。ラストはさすがにでき過ぎ感が残るものの、とりたててスーパー名探偵が登場するわけではないし、題材もかなり日常的でいてかつかなり不思議な謎が選ばれており、その解決も小気味よいもの。 昔でいう孤児院を舞台としたお話だが、なかなか真に迫る社会...
上質なミステリー連作短編集 いい感じ。ラストはさすがにでき過ぎ感が残るものの、とりたててスーパー名探偵が登場するわけではないし、題材もかなり日常的でいてかつかなり不思議な謎が選ばれており、その解決も小気味よいもの。 昔でいう孤児院を舞台としたお話だが、なかなか真に迫る社会的な断面も垣間見えて、臨場感がある気がする。自分がこの舞台をあまりに知らないからなのか、どれも新鮮に感じるし素直に問題提起も受け入れられるから、肩肘を張ることもなく自然体で溶け込めたような気がする。きっと解説が少ない(=その代わり現実とは多少の乖離があるんだろう)文章によるものだろう。 作品は、「今は亡き星の光も」「滅びの指輪」「血文字の短冊」「夏期転住」「裏庭」「暗闇の天使」「七つの海を照らす星」の7編。ある意味では最終話以外は語り口がワンパターンなんだが、飽きない料理の仕方は正月ゴロ寝読みにはぴったりだった。2014元日読了。
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様々な家庭の事情で、家族で暮らすことが出来ない子どもたちの住む児童養護施設が舞台のミステリー。子どもたちの身近で起こる不思議な事件を保育士の春菜と友人の佳音、児相の海王さんが解き明かす。事件の影には子どもたちの抱える不安や悲しみがあって涙が出てきそうな話もあります。続刊の「アルバ...
様々な家庭の事情で、家族で暮らすことが出来ない子どもたちの住む児童養護施設が舞台のミステリー。子どもたちの身近で起こる不思議な事件を保育士の春菜と友人の佳音、児相の海王さんが解き明かす。事件の影には子どもたちの抱える不安や悲しみがあって涙が出てきそうな話もあります。続刊の「アルバトロスは羽ばたかない」は長編ですが、これを読んでから是非「空耳の森」へ。登場人物たちが成長していく様子も伝わってきます。
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※このレビューにはネタバレを含みます
"七海学園"という児童養護施設を舞台にした日常の謎系連作ミステリ。 日常の謎系ではあるものの、ベースにあるのは施設の子供達が抱える家庭環境や心に受けた傷。 しかしながら各話前向きな形で幕を引くので、重苦しさを残さない読後感に仕上げています。 第2話のラストはちょっとゾクッとしましたが。 海王さんの子供達と向かい合うまなざしがとても良かったです。 謎→解決がパターン化してると思った所で、あの最終話。 良く練られていて、こういう構成はとても好きです。 ペンネームはなるほど、そういう事でしたか。続編も読みたいと思います。
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舞台が特殊ですが、人の死なないという意味では日常の謎に分類されるのかな。 それぞれの謎が最後に繋がったのはビックリと同時にスッキリでした。 ペンネームがこの本に合わせたものなので、次回以降の作品がどうなるか気になります。
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推理小説の中に分類されるのだと思うけど、 私的には推理小説には思えなかったです。(いい意味で) 推理小説になると構えてしまいがちですが、 気楽にさくさくと読めました。 第七節ではえーーー!!となりました。
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詩的な題名に惹かれて手に取りました。 期待を裏切らず、満足して読み終えることができました。 性的虐待の話があまり生々しいと読むのが辛くなるところでしたが、その点が強調されていなかったのはよかったです。 最後はまさかすぎて、少しできすぎの感も…。 もっとも、虐待はテーマになっ...
詩的な題名に惹かれて手に取りました。 期待を裏切らず、満足して読み終えることができました。 性的虐待の話があまり生々しいと読むのが辛くなるところでしたが、その点が強調されていなかったのはよかったです。 最後はまさかすぎて、少しできすぎの感も…。 もっとも、虐待はテーマになっても、児童養護施設や児童相談所を舞台にした物語は珍しく、作者の切り口はとても興味ぶかかったです。 同シリーズの別の作品があるようですので、そちらも読んでみます。
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