犯罪小説家 の商品レビュー
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【犯罪小説家】 雫井脩介さん 待居涼司の新作「凍て鶴」が日本クライム文学賞を受賞した。 作家を志してはいるものの、数年間芽の出なかった待井だが、 3年前にミステリー系の新人賞を受賞し作家の仲間入りを果たした。 今回の「凍て鶴」は5作目にして初めての受賞作であった。 この作品は今までの現代を舞台にした作風とは異なり 昭和のレトロチックな家族の愛憎劇をサスペンス風に 仕立てたモノであった。 受賞後はサイン会やインタビュー そして作品の映画化の話なども持ち上がった。 映画には新進気鋭の脚本家 小野川充が制作するコトになった。 しかも、脚本だけではなく、監督と主演も彼が兼ねるのだ。 映画の話も元は小野川からの打診によるものであった。 小野川は「凍て鶴」に異常な関心を示していた。 小野川のインスピレーションが「凍て鶴」を読み ある事件を連想させたのだった。 それは数年前に起こった「自殺サイト」絡みの事件だった。 サイトの運営者はリリーといい、彼女の考えに共感する 人たちが集まったサイトの名を「落花の会」と言った。 「落花の会」では自殺のコトを落花といい サイトの参加者が次々と落花していき、 ついにはリリーや会の幹部までもが落花し サイトは閉じた。 その「落花の会」のリリーと、「凍て鶴」の主人公美鶴が 小野川のイメージの中では見事にトレースされるのだ。 「凍て鶴」のラストシーンは作中では明らかにされておらず 自殺とも逃避とも読者により何とでもイメージできる作品に 仕上げられていた。 このラストシーンを小野川は自殺という結末に結びつけるように 考えており、この考えに待井は不快感を持っていた。 しかし小野川は待井の本心は作品のラストは自殺を イメージして作られていると考えており 小野川はリリーをモチーフに映画を作ろうと考えていた。 そして「落花の会」のコトを調べる為に、ネット心中に 関心を持っていたライターの今泉とコンタクトを取った。 今泉も「落花の会」のコトは知っており、改めて 過去の事件を調べ直す。。 ☆ 感の鋭い小野川は待井の心の奥に横たわるモノを 「凍て鶴」から感じ取っていた。 それは待井にとっては触れられたくない部分であった。 長年、思い通りの作品が書けずに悩んでいた待井が あるコトをキッカケに筆が走るようになった。 そのあるコトを小野川は待井の作品から感じ取ったのだ。 待井の作品には自殺願望が隠されている。 そう感じた小野川は今泉に彼独特の閃きによる ヒントを与え「落花の会」の真実に近づいてゆく。 ☆ 人生を変えるような出来事や経験を機に 今まで止まっていた思考が動き出すというコトは あるだろう。 待井しかり、小野川しかり・・ この出来事というものは麻薬のようなモノかもしれない。 音楽家がすぐれた曲を作らんとするために 麻薬に手を伸ばすように、彼らも「死」というモノに 関わるコトにより開花した。 待井はこれからも優れた作品を書く為に 犯罪を犯すかもしれない。 たとえそれにより、逮捕されるコトになったとしても 作品が書けるというコトの方が彼には意義があるのだ。 彼は犯罪よりも書くことに意義を見いだした。 ☆ 物語は小野川、待井、今泉の3人が主になって 進んでゆきます。 自殺サイトに関わっていたのが誰か・・ 小野川か待井か・・ 調べるのは今泉。。 小野川の話を聞くと待井のように思われ、 待井の話を聞くと小野川のように思われる。 前半は待井が関係者のような印象を受けるが 途中から小野川かも?っという疑惑が生まれます。 作者のミスリードにひっかかり、最後まで どちらが「落花の会」の関係者かとドキドキします。 一気に読めました。面白かったです。面白さのバロメーターは 本を読み切る日数からも推定出来そうです。(^^)/
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雫井修介の話が好きなのは、話の最初のほうで抱いていた登場人物に対するイメージが、どんどん話が進むにつれて裏切られること。 これもそう♪新幹線の中でいっきによんじゃった!おもしろい!
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2009.04.17 面白いです! 一緒に謎解きをしていく気分です。 後半、特に21章以降の離陸と飛翔がどきどきしたー。なんとなく、ブレア・ウィッチ・プロジェクトに思いを馳せたワタシ。 この頃、ビジネス本を読むことが多かったので……純粋に、本を読んでどきどきする楽しさを思い出...
2009.04.17 面白いです! 一緒に謎解きをしていく気分です。 後半、特に21章以降の離陸と飛翔がどきどきしたー。なんとなく、ブレア・ウィッチ・プロジェクトに思いを馳せたワタシ。 この頃、ビジネス本を読むことが多かったので……純粋に、本を読んでどきどきする楽しさを思い出しました。
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最後までどきどきさせてくれる心理サスペンス。結末にはぞくぞくしちゃいましたよ。芸術に携わる感性って、怖いものがあるかも……。 「落花の会」って、共感できるところがありますね。別段自分自身にそういう願望があるわけでは今のところないのですが。「ああ、こういうのも間違ってはいない。あり...
最後までどきどきさせてくれる心理サスペンス。結末にはぞくぞくしちゃいましたよ。芸術に携わる感性って、怖いものがあるかも……。 「落花の会」って、共感できるところがありますね。別段自分自身にそういう願望があるわけでは今のところないのですが。「ああ、こういうのも間違ってはいない。ありかもしれないなあ」とは思います。 作中に登場する小説「凍て鶴」がかなり面白そう。作中あらすじだけではなんだか物足りないかも。読んでみたい気がしますよ。
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08年刊行にしては、集団自殺ネタ自体はちょっと流行が過ぎてしまったかんじ。流行と表現するのもどうかと思うけれど。それにしても、受賞した待居の『凍て鶴』は正直面白くなさそう。間違っても私は読もうと思わない・・。クライム賞のレベル低くないですか?どうせなら作中作も魅力ある作品にしてほ...
08年刊行にしては、集団自殺ネタ自体はちょっと流行が過ぎてしまったかんじ。流行と表現するのもどうかと思うけれど。それにしても、受賞した待居の『凍て鶴』は正直面白くなさそう。間違っても私は読もうと思わない・・。クライム賞のレベル低くないですか?どうせなら作中作も魅力ある作品にしてほしかった。でも、待居と小野寺、どちらが悪意があるのか、騙してるほうなのかわからなくてドキドキした。モヤモヤが残るはっきりしないラストも好みではない。カタルシスがほしい。
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面白いとは思ったけど、すごくって感じでもないので★3つで。 「クローズド・ノート」の時は日記、今回はBBSの過去ログやメールのやり取り。こういう手法?はどうなんでしょ。わりと長々と続くと飽きる気がする。 登場人物、どの人達も感情が無い。(出てこない) 小野川と今泉が延々...
面白いとは思ったけど、すごくって感じでもないので★3つで。 「クローズド・ノート」の時は日記、今回はBBSの過去ログやメールのやり取り。こういう手法?はどうなんでしょ。わりと長々と続くと飽きる気がする。 登場人物、どの人達も感情が無い。(出てこない) 小野川と今泉が延々としゃべっていても待居がどういう気持ちで聞いているのか、さっぱりわからん…そこでは書けないってことか。 3人とも魅力無し。 やはり結末が気になったけど、最後はかなり強引でした。 待居の受賞から始まり、途中今泉が主人公だっけ?と感じる辺り、のらりくらりと時速5kmで話が進むんだけど、最後はマッハでした。
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帯に『物書きが2人。性格が違う、思惑が違う。その出会いは、死の匂いを引き寄せた』 って書いてあるもんですから、読む前からドキドキなんですよね~まぁ、その<死の匂い>を物語の中に漂わせるのは実は今泉の存在ではないかと思うんですよね。この人が小野川の依頼を受けてキーポイントでもある<...
帯に『物書きが2人。性格が違う、思惑が違う。その出会いは、死の匂いを引き寄せた』 って書いてあるもんですから、読む前からドキドキなんですよね~まぁ、その<死の匂い>を物語の中に漂わせるのは実は今泉の存在ではないかと思うんですよね。この人が小野川の依頼を受けてキーポイントでもある<落下の会>を調べ始めて、疑惑の目を待居に向くようになるといよいよ怪しくなってきます。 加速し出すと止まらないのが小説というもの、前半ではまだ闇の中で暗く怪しい雰囲気だけの感じだったのが、一気に道が開けたように進みます。 読み終わって、こうやって感想書いてると、所々にヒントはあるんだな~って気づくんですよね~ どうせなら、中橋刑事にはもっと登場して、何か探ってるんだぞ!!って感じでもっと絡んでほしかったと思うのは贅沢すぎ詰め込みすぎでしょうかね?映像化したら中橋刑事と今泉が主役候補だと思ってしまいます。
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1/3まで読んでも、作者が何をしたいのか、話がどこに向かっていくのか分からず気持ち悪かったけど、刑事が出てきたあたりから面白くなってきた。 最近「ビター・ブラッド」「クローズド・ノート」と(自分的に)振るわなかったので、この作品はとても嬉しい。 これで本格だったらなお言うことなし...
1/3まで読んでも、作者が何をしたいのか、話がどこに向かっていくのか分からず気持ち悪かったけど、刑事が出てきたあたりから面白くなってきた。 最近「ビター・ブラッド」「クローズド・ノート」と(自分的に)振るわなかったので、この作品はとても嬉しい。 これで本格だったらなお言うことなしだったけど、でも十分満足の一冊。最後の2ページがいいな。
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一言で言えば微妙。ダラダラダラと続いて終っていったというかんじ。事件の真相もそのまんまで意外性はナシ。そもそも事件について執着して調べる理由が若干強引な気が。後半はテンポが良くなってちょっとは楽しめたかな。
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いろいろなものに対する恐怖が読むに従って増幅していった。 落花思想が恐ろしい。 作中でも述べられているが、ある種の宗教っぽさを感じる。 読んだ後にぞくっとした。
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