アフリカ・レポート の商品レビュー
ここで取り上げられているのもやっぱりアフリカの独裁国家問題。植民地からの独立の時代を経て、新しい21世紀、どう生まれ変わっていくかというところが焦点。欧米とか中国とか、勿論日本も、そこにいかに上手に携わっていくかを考えなければならない。
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豊かな資源を持ちながらも貧しい国、かつて存在した素晴らしい農業システムを自ら破壊してしまった国、人々の命にかかわる治安が軽視されている国‥。アフリカの多くの国は政府の失政によって人々が苦しめられている状態にある。なぜ見事に独立を勝ちとったアフリカ諸国は成功できないのか。元朝日新...
豊かな資源を持ちながらも貧しい国、かつて存在した素晴らしい農業システムを自ら破壊してしまった国、人々の命にかかわる治安が軽視されている国‥。アフリカの多くの国は政府の失政によって人々が苦しめられている状態にある。なぜ見事に独立を勝ちとったアフリカ諸国は成功できないのか。元朝日新聞記者が豊富なアフリカ経験をもとにアフリカの国々が抱える病巣を描く。 いちばん驚かされるのはジンバブエの話。かつて白人が築いた農業システムをなんの計画性もない政治が破壊してしまい、あっという間に食料不足に陥ってしまう。とんでもないインフレも人々を苦しめる。愚かな独裁者ほど罪深い存在はないと感じる。 つらい話が多いが、後半の章では政府に頼らずに自立をめざす人々の活動が紹介される。どんな国にも希望の種はあるのだと思う。
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1960年、アフリカの年、多くの植民地が旧宗主国からの独立を果たした。また、残る植民地でも機運高く、1980年ついにそれを果たしたジンバブエは、もっとも恵まれた独立として、その前途を有望視されていた(強固な農業基盤と交通インフラ、90%を超える識字率を誇った)。事実、1983年か...
1960年、アフリカの年、多くの植民地が旧宗主国からの独立を果たした。また、残る植民地でも機運高く、1980年ついにそれを果たしたジンバブエは、もっとも恵まれた独立として、その前途を有望視されていた(強固な農業基盤と交通インフラ、90%を超える識字率を誇った)。事実、1983年から85年にかけてアフリカを襲った大旱魃の際には、エチオピアやモザンビークなどで100万人を超える死者が出る中、もっとも旱魃が激しかったはずのジンバブエが1人の死者も出さずに乗りきったのだった(それどころか翌年には100万トンの余剰穀物を生み出すに至る)。しかし、それほどの国が、わずか10年たらずで、その自慢の農業を枯らし、人々を餓えさせることとなる。2008年のインフレ率は実に16万%を記録し、すでに人口の25%が国外に脱出してしまった。難民は近隣諸国の治安にも多大な不安を与えている。たしかに、これは極端な例ではあるのかも知れない。とはいえ、アフリカの年からすでに半世紀を経ても、ほとんどの国が、大なり小なり同じ罠にはまり、誰も予想だにしなかった停滞を続けている。これはもう、偏に権力者の腐敗の責よりも、権力者を腐敗させる構造を問わなければならない。そして、その構造はけしてアフリカ内で完結しているものではなく、広く世界に、自分たち一人一人が関わっていることを認識しなければならないだろう。今、アフリカで民間の力が徐々に成果を出しているように、自分たちもまた、少しずつでもアフリカの理解を深めていきたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アフリカを一冊だけで述べるのは難しい。そこには莫大な情報がありドラマが発生しているからだ。ただ、大きな流れとしての問題を見る分には参考になる。 アフリカは独立してから多くの国が腐敗にまみれ貧困に苦しんでいる。本来、大陸の持っているポテンシャルを有効に利用できずにいる。それは、アフリカ人の問題も大きいが旧主国の問題も大きい。フェアトレードの概念は広がってきたものの搾取している立場の人間たちがそこに住む国民のことをどれだけ考えることができるか。そこに未来がかかっているように思われる。 日本人とアフリカのかかわりについて、今後、重要性を増していくことは間違いないが、どのように付き合っていくか深く考える必要がある。見かけだけの援助、結局のところ為政者の私財になるだけのODAの見直しなどを含め、中国人的ハゲタカビジネスモデルではないモデルを考え出す。パートナーとなるべく協力していく必要があるだろう。
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政治腐敗、国外逃亡、経済崩壊……。アフリカの現状を生々しく書いている。ガーナはまだ安全だったが、それ以外のアフリカの国はまだやはり途上国。これからの援助の仕方を考える上でも有益な一冊だった。 ①「公の欠如」という問題(p75) 植民地から独立したアフリカには自由が訪れると思...
政治腐敗、国外逃亡、経済崩壊……。アフリカの現状を生々しく書いている。ガーナはまだ安全だったが、それ以外のアフリカの国はまだやはり途上国。これからの援助の仕方を考える上でも有益な一冊だった。 ①「公の欠如」という問題(p75) 植民地から独立したアフリカには自由が訪れると思いきや、現実は違っていた。黒人が黒人を苦しめているのである。独立した政府はわいろを取り、蓄えたお金は自分たちのために使い、国づくりを行わない。こうした大きなシステムから変えていかなければ、アフリカはまだ完全な投資対象になり得ないだろう。 ②中国による新植民地主義(p82) 武力を用いず、合法的に国を植民地化(資源の持ち出し・市場化)する方法。それを行っているのが中国である。中国はアフリカの石油を持ち出し、安価な中国製品を持ち込んで市場を占拠する。多くの起業家精神にあふれた中国人がアフリカに流れ込み、“植民地化”を進めている。利権などがからんで政府が中国の進出を許したことが大きいが、自国の産業を保護することができなければ、アフリカの経済が発展しない。 ③「ただで配る援助はやらない」(p153) 援助の方法が変わりつつある。人々の自立を促すように変化しているのである。人々は自分たちが貧しく、力がないと思い込んでいる。そんな時に、ものを与えればべったりと依存してしまう。そうではなく、人々を主体とし、やる気を起こさせて活動を行ってもらうのである。現地民が率先して働き、お金を稼ぎ、貧困を脱する。そうした人々の自立が積み重なれば、アフリカの本当の意味での独立も近い。
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アフリカが独立を果たしてからしばらく時間がたつ。しかし、すべての国が順調な発展を遂げているわけではない。何が起こっているのか。 著者は、アフリカの国々を以下のような視点で見ている。 ①政府が順調に国づくりを進めている国家―ボツワナぐらい ②政府に国づくりの意欲はあるが、運営手腕...
アフリカが独立を果たしてからしばらく時間がたつ。しかし、すべての国が順調な発展を遂げているわけではない。何が起こっているのか。 著者は、アフリカの国々を以下のような視点で見ている。 ①政府が順調に国づくりを進めている国家―ボツワナぐらい ②政府に国づくりの意欲はあるが、運営手腕が未熟なため進度が遅い国家―ガーナ、ウガンダ、マラウィなど10カ国ほど ③政府幹部が利権を追い求め、国づくりが遅れている国家―アフリカでは一般的で、ケニア、南アフリカなどの多くの国 ④指導者が利権にしか関心を持たず、国づくりなど始めから考えていない国家―ジンバブエ、スーダン、ナイジェリア、赤道ギニアなど 利権にしか関心がない国では、国民のために使われるお金を役員がどこかで横取りしてしまっている。 治安、医療、衛生、すべてが不安定で、犯罪が多発する。教育も行き届かず、国民の生活レベルは上がらない。 外部からの支援も、「与える」だけでは意味をなさない。支援が終わったらまた元に戻るから。 外部のサポートで、「自分たちが頑張る」ように整えると、支援が終わってもその状態を維持できる。 まさに、心理学でいう外発的動機づけと内発的動機づけの違いだと思った。 国が貧しいと、若者が絶望して国外に出ていく。そうすると、ずっと国は良くならない。 希望を持てる国、そのためには自分たちが頑張れば報われるという状況を作ること。 わかりやすくまとまっている良書であった。
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日本やパリで生きるアフリカ出身の移民の話が最も印象深かった。アフリカ各国の政治、官僚の腐敗は言わずもがななので。
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まだ中学生だった私に強烈な印象を与えた、朝日新聞の「カラシニコフ」という連載を執筆したのと同じ著者によるルポ。 一応地理選択で地理は得意だったのですが、アフリカってあまりイメージが無くて、一括りに広大な自然があって技術力はあまりなくてでも地味に高層ビルが建っているような都会もある...
まだ中学生だった私に強烈な印象を与えた、朝日新聞の「カラシニコフ」という連載を執筆したのと同じ著者によるルポ。 一応地理選択で地理は得意だったのですが、アフリカってあまりイメージが無くて、一括りに広大な自然があって技術力はあまりなくてでも地味に高層ビルが建っているような都会もある、くらいにしか知らなかった。あとは1960年ごろにたくさんの国が旧宗主国であるヨーロッパの国々から独立したことくらい。人々がどうやって暮らしてるとかあまり知らなかったので、そういうのを垣間見えるかなと期待して読みました。 実際に読んでみると、多くは「苦しむ」アフリカの人々をクローズアップしていて、まあタイトルに「壊れる国」とあるのでそういった国だからこそなんだろうけど、ほんまにそんなに悲惨なのかとちょっと懐疑的になってしまいました。 中国人移民の話はまったく知らなかったので非常に興味深かった。 ジンバブエのインフレといえばit's cheaper to print this on money than paperのイメージが強烈。
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亀井さんの「アフリカのろう者と手話の歴史」をまだ読んでいる最中なんですが、書店で見かけて読み始めたら面白くて先にこちらを読み終えてしまいました。 著者は元朝日新聞の記者さん。 岩波書店サイトの要約には、 「豊かなジンバブエの農業を10年で壊滅させ、アパルトヘイトを克服した南ア共和...
亀井さんの「アフリカのろう者と手話の歴史」をまだ読んでいる最中なんですが、書店で見かけて読み始めたら面白くて先にこちらを読み終えてしまいました。 著者は元朝日新聞の記者さん。 岩波書店サイトの要約には、 「豊かなジンバブエの農業を10年で壊滅させ、アパルトヘイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。30年にわたるアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。」 とあります。亀井さんの著書を読んで、アフリカに関心を持つようになった私は、「植民地時代の陰が今のアフリカ社会に影響を及ぼしているのだろうな」くらいに考えていたのですが、「独立」からまもなく「独裁」へと突き進んでしまった、しかも独立を担った人たち自身が権力の座に着いたとたんに腐敗へと進んでいったという現実にちょっと衝撃を受けました。 books117
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アフリカの現状が分かる入門書。一般的にアフリカの貧困は植民地時代の後遺症であると、私自身認識していたが、アフリカ各国の政府の無策にも原因はあると本著では主張されている。その例としてジンバブエや南アがある。これらの背景を認識したうえで先進国はどのような援助をアフリカに対して行う必要...
アフリカの現状が分かる入門書。一般的にアフリカの貧困は植民地時代の後遺症であると、私自身認識していたが、アフリカ各国の政府の無策にも原因はあると本著では主張されている。その例としてジンバブエや南アがある。これらの背景を認識したうえで先進国はどのような援助をアフリカに対して行う必要があるのか考えさせられる本である。
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