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名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 の商品レビュー

4.1

127件のお客様レビュー

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    32

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2022/01/24

世界史の学校教育が中学校で終わっている自分でも知っている人名やエピソードがてんこ盛りのハプスブルク家。読み進んでいくとあまりに長く広い範囲にわたっているので、それもあれもハプスブルク関係なのね、という展開だが、ヨーロッパ史に馴染みがない人でも順を追って人間関係を都度おさらいしつつ...

世界史の学校教育が中学校で終わっている自分でも知っている人名やエピソードがてんこ盛りのハプスブルク家。読み進んでいくとあまりに長く広い範囲にわたっているので、それもあれもハプスブルク関係なのね、という展開だが、ヨーロッパ史に馴染みがない人でも順を追って人間関係を都度おさらいしつつ進めるように章立てや記述に気配りがされていて、絵からフォーカスをそらすことなく楽しめる良書である。おそらくこの一冊が好評だったため、この後、ブルボン王朝、ロマノフ家、イギリス王家、とシリーズが続いたわけだが、ヨーロッパ史を身近に感じる入り口として要望があったのだろうかと想像できるクオリティであった。逆に、ヨーロッパ史に興味がありすでに詳しい人には美術史との繋がりのほうから楽しめるのではないだろうか。第1章から、デューラーの粘着エピソードには吹き出してしまった。 また、話の運び的に押さえておきたいような挿画は新書でありながら全てきちんとカラーで入っていて、筆者だけでなく編集者も頑張った!?と思えるあたり、たいへん良心的で読みやすい。西洋絵画に興味のある人、世界史の入り口にいる人、西洋時代ドラマ(ミュージカル含む)好きな人は楽しめること間違いなし。

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2021/08/24

複雑なハプスブルク史を読むにはちょっと時間とエネルギーが足りない夏だったけどやはり絵画の力とやさしめに書いてくれる中野先生、そして章立ての力で楽しく読めました。時系列に書いてくれていて、家系図は冒頭、年表は巻末にあるので私のような初心者は最初に年表にざっくり目を通した方が分かりや...

複雑なハプスブルク史を読むにはちょっと時間とエネルギーが足りない夏だったけどやはり絵画の力とやさしめに書いてくれる中野先生、そして章立ての力で楽しく読めました。時系列に書いてくれていて、家系図は冒頭、年表は巻末にあるので私のような初心者は最初に年表にざっくり目を通した方が分かりやすいかも。 個人的には最終章のマネとゴヤの比較の切れ味がお気に入りです(ほかにもいっぱいあるけど)

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2021/07/18

世界史で勉強したハプスブルク家、こうやって読むといろんなことに繋がっていたんだなぁ。ナポレオンやサラエボ事件も関係あるんだ。

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2021/06/08

ミュージカル〝エリザベート 〟が大好きで、関連書籍を何冊か読んだ。絵画という切り口も面白そうと思い手に取った一冊。 ハプスブルクが生まれてから終焉まで、代表する絵画とそれに纏わるエピソードが書かれており、周辺国の情勢や裏話等飽きずに楽しく読めた。 どうしても印象的な話や悪い噂ば...

ミュージカル〝エリザベート 〟が大好きで、関連書籍を何冊か読んだ。絵画という切り口も面白そうと思い手に取った一冊。 ハプスブルクが生まれてから終焉まで、代表する絵画とそれに纏わるエピソードが書かれており、周辺国の情勢や裏話等飽きずに楽しく読めた。 どうしても印象的な話や悪い噂ばかりが独り歩きしてしまうけれど、実際はどうだったのかという解釈も非常に面白く勉強になった。

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2021/06/08

中野京子さんの「怖い絵」を先に読んで面白かったのでこちらも見てみました。 「怖い絵」で取り上げられていた「ヘンリー八世」や「メデュース号の筏」の話題もあり、こちらも怖い要素があるのでぐいぐい引き込まれました。 世界史に明るくないので家系図や年代の表記を行ったり来たりしましたが...

中野京子さんの「怖い絵」を先に読んで面白かったのでこちらも見てみました。 「怖い絵」で取り上げられていた「ヘンリー八世」や「メデュース号の筏」の話題もあり、こちらも怖い要素があるのでぐいぐい引き込まれました。 世界史に明るくないので家系図や年代の表記を行ったり来たりしましたが、絵画の力で断片的な知識が繋がりとても興味深かったです。

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2021/03/19

スイスの小国からのしあがり、神聖ローマ帝国の皇統となり、スペイン王家、ドン・カルロ、マリアテレジア、マリーアントワネット等、様々なドラマを生み出した血統をたどる。 有名な肖像画が図版でも多く紹介されていて、イメージしやすい。こんなストーリーが背後にあったのかと驚くばかり。 ベラス...

スイスの小国からのしあがり、神聖ローマ帝国の皇統となり、スペイン王家、ドン・カルロ、マリアテレジア、マリーアントワネット等、様々なドラマを生み出した血統をたどる。 有名な肖像画が図版でも多く紹介されていて、イメージしやすい。こんなストーリーが背後にあったのかと驚くばかり。 ベラスケスの描いた傑作ラス・メニーナス。 中央に描かれた可愛いマルガリータ王女もその後叔父に嫁ぎ(近親婚)、早々に亡くなっているという。 なんだか切ない。 中野さんの生き生きした文章に引き込まれ、一気読みしてしまいました。

Posted byブクログ

2021/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

そう言えば、マリー・アントワネットもハプスブルク家だったなと。 改めて肖像画を見ると、確かにハプスブルク家の特徴が出ていることに気付く。 スペイン・ハプスブルク家は途中で絶えてしまうにしても、流石650年続いた一族。 この本で紹介されている人物だけでも相当に濃い。 個人的にはシシィが好きだが(写真も残る時代に、写真と違和感なく描かれる美人というのがまたいい)狂女フアナの絵も鬼気迫っていて印象的。 解説を読んで、より彼女の常軌を逸している状態が分かると言う。 やはりどうにも女性の印象が強い。 印象的と言えば、ラストエピソードのマネに対する中野先生の酷評ぶりもなかなか。 え、そのエピソードで終わっていいのかと思ってしまうほど。 確かにゴヤの名作に比べると、そうなんだけれども。 一切の遠慮なしのぶった切り、ある意味爽快だった。

Posted byブクログ

2020/10/04

ハプスブルク家に焦点を当てた書は多いだろうが、あとがきの様に絵画から、関連するハプスブルク家の人物に焦点を当てるのは無いだろう。新書というのも読みやすくて良い。 スペイン・オーストリアと合わせると650年続いたハプスブルク家治世の情報量は多い。あらゆる歴史的出来事の裏に存在してい...

ハプスブルク家に焦点を当てた書は多いだろうが、あとがきの様に絵画から、関連するハプスブルク家の人物に焦点を当てるのは無いだろう。新書というのも読みやすくて良い。 スペイン・オーストリアと合わせると650年続いたハプスブルク家治世の情報量は多い。あらゆる歴史的出来事の裏に存在していると言っても良い。その中で、有名絵画や素晴らしい絵画から、その歴史的背景を垣間見、人物たちの紹介をすることで、特に重要で、人間ドラマが熱いハプスブルク家の人物を知ることができる、素晴らしい1冊だと思う。 個人的にはベラスケスが好きなこともあり、「ラス・メニーナス」を含めマルガリータの絵画には息を飲む。

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2020/08/21

ハプスブルグ家の主要人物の生き様を絵画から読み解く。 ・序章 第1章 アルブレヒト・デューラー『マクシミリアン一世』 第2章 フランシスコ・プラディーリャ『狂女ファナ』 第3章 ティツィアーノ・ヴィチェリオ『カール五世騎馬像』 第4章 ティツィアーノ・ヴィチェリオ『軍服姿のフェリ...

ハプスブルグ家の主要人物の生き様を絵画から読み解く。 ・序章 第1章 アルブレヒト・デューラー『マクシミリアン一世』 第2章 フランシスコ・プラディーリャ『狂女ファナ』 第3章 ティツィアーノ・ヴィチェリオ『カール五世騎馬像』 第4章 ティツィアーノ・ヴィチェリオ『軍服姿のフェリペ皇太子』 第5章 エル・グレコ『オルガス伯の埋葬』 第6章 ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス』 第7章 ジュゼッペ・アンチンボルド           『ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ二世』 第8章 アドルフ・メンツェル          『フリードリヒ大王のフルート・コンサート』 第9章 エリザベート・ヴィジェ=ルブラン            『マリー・アントワネットと子どもたち』 第10章 トーマス・ローレンス『ローマ王(ライヒシュタット公)』 第11章 フランツ・クサーヴァー・ヴィンダーハルター                     『エリザベート皇后』 第12章 エドゥアール・マネ『マクシミリアンの処刑』 ハプスブルク家系図(抄)、主要参考文献有り。 年表(本文関連事項)、取り上げた画家プロフィール。 西洋史の中で大いなる地位を占めるハプスブルク家。 650年も続き、広大なる地域を支配した一族です。 しかし、その内情は・・・12の物語と関する絵で語る人物伝です。 つくづく平凡な自分は、一般庶民で良かったと思いましたね。 王となれば、権謀術数の真っただ中に身を置き、 血族にも信を置けず、孤独に付き纏われ、神経をすり減らす。 家系の維持の為の子作り・・・世継ぎ大事、青い血の維持のために 「血の純潔」を保つために、叔父姪結婚のような近親相姦までも! 産まれても早世、病死、急死、精神を病んだり、幽閉されたり、 暗殺・・・凄惨たる生き様です。 それらを簡潔な文章ながら、分かり易く書いているところが良い。 絵も描かれた背景も、的確な説明で、はっとさせられる事が 多かったです。暗い目や仮面のような顔、そして、 ハプスブルク家系特有の顔・・・なるほど! 「王でもなく大貴族でもなく、貧しくてもいいから一介の 騎士として気楽に生きたかった」というフェリペ二世の言葉が なんとも真に迫って、虚しさまでも感じてしまいました。

Posted byブクログ

2020/06/09

絵画という窓 双頭の鷲の飛翔と憂い 世界史の表舞台にたびたび登場する名門ハプスブルク家、名前だけはメジャーなのに通史で学ぶ機会が今までなかったので本書を手に取りました。 ただ通史で見てみたいと思っていただけだったのですが、本書の内容の奥深さに大変驚きました。 本書のタイトルに...

絵画という窓 双頭の鷲の飛翔と憂い 世界史の表舞台にたびたび登場する名門ハプスブルク家、名前だけはメジャーなのに通史で学ぶ機会が今までなかったので本書を手に取りました。 ただ通史で見てみたいと思っていただけだったのですが、本書の内容の奥深さに大変驚きました。 本書のタイトルにもあるように、これはまさしく「物語」です。ハプスブルク家の主だった人物を12人選び、絵画という窓を通して生き生きと描写されています。 カール5世やマリアテレジアといった英傑だけではなく、狂女フアナやライヒシュタット公といった歴史の闇に葬られてしまうような人物にもスポットがあてられており、とても興味深かったです。 特に『マリーアントワネットとこどもたち』という絵画は、これからの行く末を暗示するような悲哀、凶兆といったようなものを感じることができ、とても印象に残っています。 きらびやかなように思える王室も渦巻く潮流のなかで悶え苦しみながら歴史をつむいでいるのだということがよく分かりました。 本書を通じて、歴史というものが血の通った人間のドラマの集積であることを改めて感じました。 全体を通して平易な文章で記載されていますし、時折、日本史の人物で例えて説明されているので、それも理解を進めるのに一役買っています。 内容が終始面白かったので、あっという間に読了しました。 著者中野京子さんの著作は、これからも手に取ってみたいなと強く思いました。

Posted byブクログ