ゆれる の商品レビュー
西川美和さんの小説は,どれもこれも滴るような筆で書かれている。その筆先から「何が」滴るのか,といえば, それは人間の血や肉片であり,他人に嗅がせることをためらうような生臭い吐息だったりする。 このリアリティー。この創造力。映画と小説どちらの世界でも存分に活躍して欲しいと思う。
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偶然観た映画版に打ちのめされ、翌日購入。描かれた世界は変わることなく、絶妙なバランスで存在していました。香川照之さんの表情が見れないのが残念だけど、彼による愛のあふれた解説がその穴を埋めてくれます。
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一見、穏やかに話が流れている感じがするけど、徐々に迫る感じのストーリーでした。ゆれる、のタイトルが読んだ後、じんわりとくる。
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人は、自分が信じたいものしか見ないのかもしれない。 兄と弟の生き方の違い。葛藤。 今の人生とは異なる道があったのかも知れないという思いは 誰しもあると思う。 気持ちのゆれ、生き方のゆれ。 それぞれの登場人物の視座により、真実がゆれる秀逸な作品。
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すっごく面白くって、ぐいぐい引き込まれて読んじゃった。 映画でオダギリジョーが猛役で、稔役が香川照之だっていうことだけ知っていて読み始めたんだけど、すごいはまり役だと思う。 登場人物のそれぞれの語りで事件の真相とそれぞれの思いを描いていく「藪の中」形式。 事件の真相も気に...
すっごく面白くって、ぐいぐい引き込まれて読んじゃった。 映画でオダギリジョーが猛役で、稔役が香川照之だっていうことだけ知っていて読み始めたんだけど、すごいはまり役だと思う。 登場人物のそれぞれの語りで事件の真相とそれぞれの思いを描いていく「藪の中」形式。 事件の真相も気になるけれど、長くそれぞれにくらしてきた家族の複雑な感情が絡み合って目を離せなかった。 この作者はやっぱり人の観察が半端じゃないです。
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映画を見て衝撃を受けて本も読みました。 人間は弱く、不安定なもの。 自分の期待する相手の行動に安心し、 見えない本心を恐れ、 予期せぬことには怒る。 それでも最後はそこを拠り所にして 生きていくんですね。
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これを読む前に映画をみていたのもあってか、著者の才能なのか文章がスッと入ってきてとても理解しやすい。 にもかかわらず、一文一文が重く心を占める割合が大きい。 分かりにくい比喩もなく「ん!?」と、悪い意味で何度も読み返すようなこともなかった。 映画を先に観ていた人なら同じ感想を持つ...
これを読む前に映画をみていたのもあってか、著者の才能なのか文章がスッと入ってきてとても理解しやすい。 にもかかわらず、一文一文が重く心を占める割合が大きい。 分かりにくい比喩もなく「ん!?」と、悪い意味で何度も読み返すようなこともなかった。 映画を先に観ていた人なら同じ感想を持つかもしれないけど、 文章を読んでいるにも関わらず、香川照之さんとオダギリジョーさんが頭の中で動き叫ぶ。 内容的にも田舎暮らしで地味で優しい兄と、東京暮らしでカメラマンという派手な世界で私的個人主義風な弟。 その対比がこの小説のポイントでもあったりする。 205頁からのこの小説の破壊力は凄い。 全く個人的な感想ではあるけれど。 誰もがここの部分には共感し、何かしら自分と重ね合わせ 感慨深くなるのではないかと思う。 特に私はこの部分に強く共感する。 あとがきには香川照之さんの独自の視点によるラストが描かれており 著者の視点とは少し違うが、なかなか香川さんらしいものとなっている。
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映画「ゆれる」のノベライズ版。映画を観てから読んだので「ほうほう」という感覚で読んだのですが、コレは映画を観てないでいきなりこっち(本)から入ったらわかりやすく読めるのだろうか、とか考えてしまった。けど、女の人が書いたとは思えない文章でした。さすが脚本家であり監督さん。
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早川稔 彼って私でもあるな、と思いながら読めた。猛のように生きてみたいと憧れる。それが切なかったり滑稽だったり・・・
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日常の恐ろしさというか、なんというか。 淡々とした人間の怖さ。 映画はまだ見てないけど、すごく好きです。
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