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ゆれる の商品レビュー

3.9

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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傑作

オダギリジョー主演の同名映画を、監督自らが小説化した。映画も傑作として名高いが、文章で読むとまた違う味わいがある。視点を切り替えながら語られる、ひとつの事件。映像とあわせて、味わい尽くしたい物語だ。

しんご

2024/03/17

ゆれるどころでなく震度6強くらいの激震でした。昔懐かしい映画の場面の様なスタートから一気に怒涛の展開へ。そこからは兄弟の想いが行ったり来たり。と思っていたら本当に映画だったんですね。全く知りませんでした。明日の休日、映画を観てみようと思います。 で、映画を観ました。さすがに良か...

ゆれるどころでなく震度6強くらいの激震でした。昔懐かしい映画の場面の様なスタートから一気に怒涛の展開へ。そこからは兄弟の想いが行ったり来たり。と思っていたら本当に映画だったんですね。全く知りませんでした。明日の休日、映画を観てみようと思います。 で、映画を観ました。さすがに良かったです。特に猛の法廷での証言のシーン、声やお互いの表情、静寂、間などは説得力がありました。ラストのバスに遮られる直前の稔の表情も映画ならではで、最後まで観て良かったと思いました。ただ、前半の古臭い音楽や衣装、演技など、小説で感じていた雰囲気とはかけ離れていて残念と思うところもありました。小説は確かに書き過ぎている面もあるのでしょうが、立ち止まったり、戻ったり、考えながら読み進めることができ、本の世界に没頭できるのでこれはこれで読んでおいて良かったと思いました。

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2023/05/06
  • ネタバレ

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幼馴染の死を起点に、とある兄弟のこれまでお互いが抱いていたイメージが揺さぶられるお話。  兄は智恵子を殺したのか、殺していないのか、真相が気になり一気読み。登場人物達の語りのみで進行するため、それぞれの視点から真相が徐々に読み手側に解き明かされていく過程に、目が離せない。 それにしても、稔のような、一見生真面目で強い意思がなさそうな人の、暗澹な腹の中にぞくりとした。

Posted byブクログ

2022/04/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2006年に映画化された『ゆれる』を監督の「西川美和」が自ら小説家した『ゆれる』を読みました。 最近、なかなか読書の時間が取れず読了するまで時間がかかりましたねぇ。 -----story------------- 東京でカメラマンとして活躍する弟。 実家に残り、家業と父親の世話に明け暮れる兄。 対照的な兄弟、だが二人は互いを尊敬していた、あの事件が起こるまでは…。 監督デビュー作『蛇イチゴ』で映画賞を総ナメにした俊英「西川美和」が4年ぶりに挑んだ完全オリジナル作品を、自らが小説化。 ----------------------- 映画『ゆれる』は好きな作品で、何度か観ているのですが、、、 心理描写について具体的な説明が不足気味なので、気持ちが"ゆれる"部分の解釈については、一人ひとり異なっていると思います。 本作は登場人物達が、それぞれの視点で一人称で語る構成となっているので、その場面場面のそれぞれの気持ちが明確に分かる内容になっており、映画では想像するしかなかった部分の謎解きができた作品でしたね。 あの笑みや怒りの意味は… 一つひとつの事柄について、あ~っ、そうなんだぁ… と思いながら読みました。 ≪ちょっとネタバレ≫ 兄「稔」を庇おうとする「猛」。 でも、それは兄を思う純粋な気持ちじゃなく、自分が殺人犯の弟になりたくないという気持ちからなんですよね。 それまで弟「猛」のことを誇りに感じ、自分の宝だと思っていたのに、弟「猛」の本心に気付いた兄「稔」は意図的に「猛」を煽るような言動を発し、、、 それにより「猛」は法廷で兄「稔」が「智恵子」を突き落としたと偽証… 「稔」は反論せず有罪に。 なんか哀しいですね。 お互いを信じられなくなったときの人間の行動って、思いがけない行動をとるもんなんですよねぇ。 本作品、映画の謎解きができて嬉しいと感じる反面、なんだか残念なような、そんな気持ちも感じました。 映画って、心情を全て表現するのは無理だし、ある程度、観客の解釈に委ねる部分があってイイと思うんですよね。 そう思えば読まなきゃイイんだろうけど、自分の解釈が合っていたのかどうか知りたい気持ちを抑え切れなかったですねぇ。 まぁ、本作の場合、小説化されないと真実はわかりようがないので、このような表現方法も許されるのかな… という気もします。 それにしても、心理描写があまりにもリアルなので、読んでいて少し疲れました。 こんな気持ちになるのは「東野圭吾」作品以来ですね。

Posted byブクログ

2021/07/13

都会に出てカメラマンとして活躍している弟と、実家のガソリンスタンドで働く兄とが、幼馴染の女の子を吊橋から転落死したことを機に、家族が崩壊していく、といった感じなのだが、鬱屈した兄がよい。膣内から微量の精子を検出、とかいう話を裁判でされて可愛そう。

Posted byブクログ

2021/01/31

小説のタイトルである平仮名三文字がこの作品のテーマを見事に言い表している。 絶妙転落事件にかかわる人間の心のゆれを描いた作品。とある渓谷の古びた吊り橋のゆれも登場人物の心のゆれの暗喩となっているのだろうか。 洗練され垢抜けたスマートな人生を送る弟と親が経営する地方の鄙びたガソリン...

小説のタイトルである平仮名三文字がこの作品のテーマを見事に言い表している。 絶妙転落事件にかかわる人間の心のゆれを描いた作品。とある渓谷の古びた吊り橋のゆれも登場人物の心のゆれの暗喩となっているのだろうか。 洗練され垢抜けたスマートな人生を送る弟と親が経営する地方の鄙びたガソリンスタンドで働く不器用な弟や東京で弁護士をしている中年男性である兄と田舎で細々とガソリンスタンドを経営する弟などの話し。 物語が唐突に終わった感があり、兄が出所後にどのような人生を歩むことになるのだろうか。

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2020/07/25

読みやすい。 表現のひとつひとつが好きだと思った。 全員が不器用で、割り切ってるように見せて人を羨んでて、自分にもあることだなって思った。

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2020/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画「ゆれる」を、監督の西川美和自身が、小説化したものですね。 時系列で調べますと、 2006年6月 ポプラ社より単行本発売 2006年7月8日 映画が全国公開 という感じみたいなので、おお!?映画公開より先に、小説が世に出ていたのか!?という驚きがあります。西川さん的には、映画と小説と、ほぼ同時進行で製作していたのか?という驚き。 あれほどにとんでもないクオリティーの映画版と、これほどにとんでもないクオリティーの小説版と、同時進行だったのか、、、?と思うと、まあ、震えますね。奮えますね。感動で。 自分は、「ゆれる」に関しては、映画を先に観て、その後で小説を読んだクチです。で、映画版「ゆれる」の方が、断然好きです。映画版、小説版、どちらも、本当に素晴らしいと思うのですが、やっぱ「ゆれる」に関しては、映画派。 「永い言い訳」は、小説を先に読んで、その後映画を観たクチです。で、小説版「永い言い訳」の方が、断然好きです。小説版、映画版、どちらも、本当に素晴らしいと思うのですが、やっぱ「永い言い訳」に関しては、小説派。 なーにその違い?って思うのですが、どちらの作品も、映画版も小説版も、本当に本当に素晴らしい、と、思います。となると、どっちを先に観るか読むか?で、まあ、評価決まっちゃうのか?って思う。不思議。 「ゆれる」は映画を先に観て、小説版より映画版の方が好き。「永い言い訳」は小説を先に読んで、映画版より小説版の方が好き。順番だけかいな?って感じ?いやあ、不思議。 で、この小説のポプラ文庫版は、2008年に刊行されています。 2006年 ポプラ社単行本刊行 2008年 ポプラ文庫刊行 2012年 文春文庫刊行 2020年現在、3バージョンが、流通している感じ?みたいですね。 この中で、個人的に断然オススメなのは、ポプラ文庫版、ですね。ポプラ文庫版だけ、香川照之さんの解説が、収録されているんですよ。 小説本編も、まあ途轍もなく素晴らしいんですが、映画で早川稔を演じていた香川さんの書く、解説が。いやもう。めっちゃくちゃ良いんですよ。ちょっと、もう、驚愕するほどに。是非とも、「ゆれる」という作品を愛する一人でも多くの人に、この香川さんの解説を、読んで欲しいなあ!!って、心の底から思います。 本当に素晴らしい解説なのです。早川稔という人物を、あれほどに演じ切った香川照之だからこそ、書くことができた解説。そんな気がしますね。 あんま、全然、小説の内容の感想書いてないんですが、すみません。まあ、とりあえず、途轍もなく素晴らしい作品であることは、間違いないです。あくまでも、あくまでも自分の中では、映画版「ゆれる」が最高峰ですが、この小説版も、まあ、コレ単体で読むだけでもホンマに面白いし、映画と補完しながら味わうとしたら、更に面白い。 「あの時のあの場面のあの人物は、内面でこんな事を思っていたのか!?」という事を答え合わせできる幸せさよ。西川監督自身が小説化してるんだもの。本家本元ですやんか。いやもう、、、素晴らしいなあ、ホンマ。 まあ、映画版も小説版も、一生手元に置いておきたい作品であることは、間違いない。それほどに、圧倒的に、大好きですね。

Posted byブクログ

2020/06/26

この「ゆれる」というタイトルはあらゆる意味合いが含まれているのだな、と感じた。 以前かなり評価された映画を先に観てはいたけれど、小説は小説でまた新鮮な気持ちで読んだ。 都会で自由に格好良く生きる写真家の弟の猛と、父親が営む田舎のガソリンスタンドを継いで暮らす実直ではあるがどこか冴...

この「ゆれる」というタイトルはあらゆる意味合いが含まれているのだな、と感じた。 以前かなり評価された映画を先に観てはいたけれど、小説は小説でまた新鮮な気持ちで読んだ。 都会で自由に格好良く生きる写真家の弟の猛と、父親が営む田舎のガソリンスタンドを継いで暮らす実直ではあるがどこか冴えない兄の稔。 この時点で残酷さを感じる。容姿も生き方も弟には勝てないという稔の強大なコンプレックスが、ひとつの取り返せない事件を引き起こす。 同性の兄弟や姉妹を持つ人ならば、稔の感情が理解できる人も少なからずいるかもしれない。 近い存在に嫉妬するというのは、とても苦しいことだ。 表面上は柔和に兄らしく振る舞っていた稔だけど、智恵子という好きな女に関して猛への嫉妬を感じたとき、その感情が爆発してしまった。 不安定な吊り橋の上で起きた事件。その現場も、そのとき揺れ動いた稔の気持ちも、事件後の兄弟の関係も、そして猛がラスト前で覆したあること(これが恐らくこの物語の根幹)も、すべてが「ゆれる」という言葉に集約されている。 人のためを思って嘘をつき通すのか、それとももっと深くその人を思って真実を話すのか。どちらが正しいとは簡単には言えないけれど、結末を見るに、猛の選択はきっと正しかったし、稔もその意図は理解していたように思えた。 近い存在に嫉妬するのは苦しいけれど、反面、血というのは強い、とも感じた。 同じ血が流れているから許し難い、同じ血が流れているから許そうと思う。相反するけれど、どちらもある感情だ。 世の中多くのこじれている血縁関係を見てきたので、ある意味で救いとなるようなこの物語は、とても小説(映画)らしい役割を果たしていると思う。

Posted byブクログ

2020/01/11

西川美和は「永い言い訳」以来二冊目。 映画に携わる人とのことだけど、確かに邦画っぽい雰囲気を感じる。香川照之のあとがきを是とするか否かで評価が分かれそう。 著作をもう一冊読んでみたいな。

Posted byブクログ