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ゆれる の商品レビュー

3.9

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2019/08/30

暗いよ~。よくこんな残酷な話書くよなー。 兄弟の深層に漂う確執と、それを開放するまでのお話。 いやもう暗い重いの途中で投げ出したくなる話だが、 登場人物の視点毎に書かれていて、丁度いいくらいで話が変わるのと、 すげー読みやすいせいでガンガン終わりまで読める。 このあたりの構成は...

暗いよ~。よくこんな残酷な話書くよなー。 兄弟の深層に漂う確執と、それを開放するまでのお話。 いやもう暗い重いの途中で投げ出したくなる話だが、 登場人物の視点毎に書かれていて、丁度いいくらいで話が変わるのと、 すげー読みやすいせいでガンガン終わりまで読める。 このあたりの構成は見事。 ラストの終わり方も、スパッと終わっていて ショーシャンクみたいに、最後の最後はこうなって 幸せな終わり方になってるんだよね、 と妄想をいだかせるいい終わり方。 香川照之のあとがきみたいな終わり方だよね、ね。

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2018/08/04

田舎のガソリンスタンドを継いだ兄と、早くに写真家になるためにアメリカへ行った弟。兄弟は母親の葬儀で再会するが、幼なじみの転落事件をきっかけに家族の関係がほころび始める。 嫉妬や怒りに心がゆれる様子が、老朽化したゆれる吊り橋の上で描かれていて、象徴的。寂れたガソリンスタンドと田舎の...

田舎のガソリンスタンドを継いだ兄と、早くに写真家になるためにアメリカへ行った弟。兄弟は母親の葬儀で再会するが、幼なじみの転落事件をきっかけに家族の関係がほころび始める。 嫉妬や怒りに心がゆれる様子が、老朽化したゆれる吊り橋の上で描かれていて、象徴的。寂れたガソリンスタンドと田舎の情景も、目に浮かぶよう。裁判の終着は裏切りが予想外で、最後まで不器用な兄弟、親子、家族の間のすれ違う感情がもつれていて切なかった。

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2018/07/31

内容(「BOOK」データベースより) 故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟・猛と、家業を継いで町に残った実直な兄・稔。対照的な生き方をしてきた二人の関係が、幼なじみだった智恵子の死をきっかけに揺らぎはじめる…。映画史に永く刻まれる傑作を監督自らが小説化。第20回三島由紀夫賞...

内容(「BOOK」データベースより) 故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟・猛と、家業を継いで町に残った実直な兄・稔。対照的な生き方をしてきた二人の関係が、幼なじみだった智恵子の死をきっかけに揺らぎはじめる…。映画史に永く刻まれる傑作を監督自らが小説化。第20回三島由紀夫賞候補作。 イケメンで自由で押しの強い弟。流れに任せ地元に残る従順な兄。 絵に描いたような明暗の分かれ方です。同性の兄弟だと比較されるし嫌ですね。自分の兄弟は異性なのでそのへん安心。 田舎の閉鎖的な部分が描かれているのは描かれているのですが、よくある田舎のマイナス面ばかり描いている本でもなく、不思議な解放感と薄明りのようなものを感じます。 ぼろぼろの絆でも皆細々と手繰り寄せて繋ぎ合わせようとする姿がいじらしいのかな。皆投げ出したいと思いながら各々捨てきれない情が湧きあがる所に引き込まれるのかな。 最後まで意外なさわやかさが漂っています。文章がクールだからかもしれません。

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2018/07/18

ゆるれ心情に共感できず... 人は結局自分というフィルターを通してしか他者を理解できなくて、解釈の歪みに気付いた時激しく揺れる、とかそういうこと?

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2018/02/08

故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟と、家業を継いだ実直な兄。幼なじみの女性の死をきっかけに、二人の関係が揺らぐ。傑作映画を監督自らが小説化。 家系を守る責任を負わされる長男と、その背中を小さな頃から傍観する弟。一見対照的だが、家に縛られる人生観は同一であり、そこから悲劇が...

故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟と、家業を継いだ実直な兄。幼なじみの女性の死をきっかけに、二人の関係が揺らぐ。傑作映画を監督自らが小説化。 家系を守る責任を負わされる長男と、その背中を小さな頃から傍観する弟。一見対照的だが、家に縛られる人生観は同一であり、そこから悲劇が生まれた。兄弟の父と叔父の関係も重ねた構成がドラマに厚みを加えている。

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2017/08/31

多分再読だろう。と思って読み始めたが2006年の刊行だった。 再読だったらもっと覚えてて良さそうなものなのに微かな既視感があるのみで内容はほぼ覚えていなかった。 そんな既視感とともに読了し、★は5つ。いやむしろ6つ。 心を揺さぶられるとはこういう感覚だよな。と思う やはり初読なの...

多分再読だろう。と思って読み始めたが2006年の刊行だった。 再読だったらもっと覚えてて良さそうなものなのに微かな既視感があるのみで内容はほぼ覚えていなかった。 そんな既視感とともに読了し、★は5つ。いやむしろ6つ。 心を揺さぶられるとはこういう感覚だよな。と思う やはり初読なのか。 東野圭吾の手紙をもう一度読みたくなった 久しぶりによい作品で心が満たされた

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2017/04/09

自分のどす黒い感情には向き合いたくない。冗談めかして毒を吐いたりはするけれど、自分でもそんな感情を持つことに躊躇いがあって気づかないふりをする。ましてや他人になんて話せるわけがない。この小説の中では、各章の語り手が誰かに話している形式を取ってはいますが、それこそ本人だって認めてい...

自分のどす黒い感情には向き合いたくない。冗談めかして毒を吐いたりはするけれど、自分でもそんな感情を持つことに躊躇いがあって気づかないふりをする。ましてや他人になんて話せるわけがない。この小説の中では、各章の語り手が誰かに話している形式を取ってはいますが、それこそ本人だって認めていないような感情が語られます。恐ろしいのは人が死んだ事実ではなく、その状況を作り出した経緯と感情。誰もが化物をその体に飼いながら表面上はどこかしらにいそうな人間だということ。 映画のノベライズということですが、恐いけど映画を見てみたいです。

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2017/04/05

親子に受け継がれる負の連鎖。育ってきた環境は大事だと思う。兄弟って、お互いを知っているようで全然知らない。親子間でも知らない。でも血は水より濃いとはよく言ったものだ。

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2016/12/18

才能と成功の裏側にひっそりとある怠惰、抑制と日常に隠されている狂気。 兄の修も弟の猛も、多分彼女の心の淵のどこかを取り出して、一つの形にしたんだろうな、と思った。 西川美和さんは女性なのに、男性(猛)が女性に対して感じる衝動や、面倒くささを的確に捉えていたのが印象的。性的なことに...

才能と成功の裏側にひっそりとある怠惰、抑制と日常に隠されている狂気。 兄の修も弟の猛も、多分彼女の心の淵のどこかを取り出して、一つの形にしたんだろうな、と思った。 西川美和さんは女性なのに、男性(猛)が女性に対して感じる衝動や、面倒くささを的確に捉えていたのが印象的。性的なことに関しては、男性女性ってきっと分かりあえないんだろうと思っていたけど、割と近い部分もあるのだろうか。それとも、西川さんの特異な才能なのか。どこまでを性的な部分と割り切ってしまうかどうかの、諦めのラインの違いかな。。 見たくない自分の一部を、目の前に見せられているような本。

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2015/08/20

家を出て、カメラマンとして活躍する弟猛、実家のガソリンスタンドを継ぎ、田舎町で静かに暮らす兄稔。 全てを許し、認めてきたかのように見えた兄だったが、二人の幼馴染の智恵子の転落死により、その奥に隠れた深い闇が見え始める。 ノベライズ本だったのですね。 映画も知りませんでしたが、と...

家を出て、カメラマンとして活躍する弟猛、実家のガソリンスタンドを継ぎ、田舎町で静かに暮らす兄稔。 全てを許し、認めてきたかのように見えた兄だったが、二人の幼馴染の智恵子の転落死により、その奥に隠れた深い闇が見え始める。 ノベライズ本だったのですね。 映画も知りませんでしたが、とても興味深く、一気に読んでしまいました。 語り手が、章によって変わるため、それぞれの気持ちが手に取るように分かり、面白かったです。 兄弟の確執。長男ゆえの苦悩はきっとあるのだろうなと思いました。 智恵子だけが被害者ではないと思わされた一冊でした。

Posted byブクログ