芋虫 の商品レビュー
江戸川乱歩の作品の中でも、ミステリ色ではなくホラー色の強い作品が詰まった一冊。 乱歩の描くホラーには、体の内側を這うようなねっとりとした気味の悪さがある。それでも読み進めてしまうのは、どこか共感してしまうからではないだろうか。読んでいると、平生では片鱗さえみせない感情が刺激され...
江戸川乱歩の作品の中でも、ミステリ色ではなくホラー色の強い作品が詰まった一冊。 乱歩の描くホラーには、体の内側を這うようなねっとりとした気味の悪さがある。それでも読み進めてしまうのは、どこか共感してしまうからではないだろうか。読んでいると、平生では片鱗さえみせない感情が刺激され、顔をむくりむくりとだしてくるのである。そして芽生えてきた、共感できてしまう自分にもまた恐ろしさを感じるのである。しかし私はその恐ろしさすらも愛おしく思ってしまうのだ。 私は、『赤い部屋』が1番のお気に入りである。 偶然を操り人を殺めていく語り手。自分にもできてしまいそうな、そして自分も同じように殺されてしまいそうな、そんな身近さを感じる。
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江戸川乱歩の入りとしては最適だった…気がする。 江戸川乱歩に持っていたイメージがそのまま文章になっていた。 短編全てが面白いわけではないけど、気にいるものは必ずあるはず。
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はじめて江戸川乱歩の作品を読んだ。思っていたよりも読みやすく、かなり夢中になって読んだ。「芋虫」「指」「火星の運河」「白昼夢」「踊る一寸法師」「夢遊病者の死」「双生児」「赤い部屋」「人でなしの恋」の9つの話からなる短編集であり、そのなかでも「夢遊病者の死」と「赤い部屋」が好きであ...
はじめて江戸川乱歩の作品を読んだ。思っていたよりも読みやすく、かなり夢中になって読んだ。「芋虫」「指」「火星の運河」「白昼夢」「踊る一寸法師」「夢遊病者の死」「双生児」「赤い部屋」「人でなしの恋」の9つの話からなる短編集であり、そのなかでも「夢遊病者の死」と「赤い部屋」が好きであった。「夢遊病者の死」では夢遊病にかかっている彦太郎と父は仲違いをしており、ある朝、起きてみると父が亡くなっていたという物語であった。「赤い部屋」は全ての物事に対してつまらないと感じているT氏が赤い部屋の中で娯楽のために犯してきた罪を話す物語であった。江戸川乱歩の小説だけあって、「すっきり解決!」するような話が多いと思っていたが、むしろすっきりしないような、少し気持ち悪いような話ばかりだった。しかし、それはそれでとても面白く、また彼の作品を読んでみたいと感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の時子は、戦争で両腕両足を失くした上、話すこと、聞くことさえもできなくなった夫を、歪んだ情欲で支配する。ある日、情欲と憐れみと自己嫌悪の入り混じった昂りから、夫へ取り返しのつかない仕打ちをしてしまう。我に帰り許しを乞うた妻に、夫が遺したメッセージ。。。 怖ろしくもあり、愛とはなんなのか、夫婦とは何なのか、を考えさせられた。
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いつも酒を飲みながら本を読んでいると言われそうですが、はい、たいていそうです(笑)。だって酒を飲みながら読書するのは至福の時間。アルコールが入っても覚醒するタイプの本もありますが、これは幻想世界に誘われて時おり眠気を催すタイプ。しかし夢うつつの状態で読むのにもまたピッタリ。鮮やか...
いつも酒を飲みながら本を読んでいると言われそうですが、はい、たいていそうです(笑)。だって酒を飲みながら読書するのは至福の時間。アルコールが入っても覚醒するタイプの本もありますが、これは幻想世界に誘われて時おり眠気を催すタイプ。しかし夢うつつの状態で読むのにもまたピッタリ。鮮やかなる狂気、美しき変態とでも言いましょうか。 装丁に惹かれて揃えた江戸川乱歩ベストセレクション。2巻目に当たる本作の表題作は『芋虫』。これをモチーフとした映画『キャタピラー』が強烈で、いまだに大西信満を見るとあの芋虫のような映像が頭に浮かび、眉間に皺が寄ってしまいます。しかし映画ではどうしようもない人柄に描かれていた「軍神様」が、この本では妻のおもちゃになっているかのよう。まるで異なるイメージに驚愕。 今の時代のホラー作家にも乱歩を読みあさった人は多いのかも。古めかしいのに、いつまで経っても新しい。
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江戸川乱歩の中で一番好きな作品「芋虫」。匂い立つような陰湿な感じと卑猥さがギリギリのバランスで成り立っていると思う。
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表題作「芋虫」が読みたくて手に取りました。 元々探偵小説はあまり読まないのでなんとなく江戸川乱歩も手を出して来なかったのですが、このシリーズは怪奇小説の短篇集で面白いです。 「芋虫」は戦争で五体不満足となった夫を表現していて、腕も脚もなく這いずり回る様子がなんとも不気味でありつつ...
表題作「芋虫」が読みたくて手に取りました。 元々探偵小説はあまり読まないのでなんとなく江戸川乱歩も手を出して来なかったのですが、このシリーズは怪奇小説の短篇集で面白いです。 「芋虫」は戦争で五体不満足となった夫を表現していて、腕も脚もなく這いずり回る様子がなんとも不気味でありつつ、その夫を愛でる妻が生々しく妖艶でした。 個人的に「赤い部屋」の狂気に満ち満ちて陰鬱としていながらも幻想的な描写が、最後のトリックでパッと光を浴びる瞬間の潔さが好きです。 また「芋虫」「人でなしの恋」など江戸川乱歩は女性の描写が上手くて、怪奇話でありながらも決して所謂心霊現象などではなく生々しい狂気の話で、その中にも幻想的耽美的な表現が多く、不気味な美しさを魅せるのが上手いと改めて感じました。
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陰鬱でドロッとした赤黒い感じの話ばかりで面白かった。「芋虫」はずっと読みたかったからやっと読めて良かった。
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みんな気持ち悪いとかグロいとか言うけど、私はどっちかっていうと切なくて辛かった…。「ユルス」で涙腺がやられた。
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昔読んだ芋虫がどうしても読みたくなりまた読みました。 芋虫って題名が好きすぎる・・・ あの状態を芋虫と表現するとは・・・。 赤い部屋の感じ結構好きだな! あのちょっとクトゥルフっぽい感じww 全体的にやっぱりこの人の文章はなんか気持ち悪いww やっぱりポーさんぽい!
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