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マイナス・ゼロ 改訂新版 の商品レビュー

4.2

160件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2021/08/17

一人の男が戦後見つけたタイムマシンに乗り、戦前の時代へと舞い戻ってしまう。 自分が生まれた頃の時代へ。 描かれる暮らしの様子がユーモアたっぷりで活き活きとしてた。 紛れもなく人生の物語だったし、一人の人間の人生がこれだけの影響力を持っているんだとひしひし感じられた。 なんて素晴ら...

一人の男が戦後見つけたタイムマシンに乗り、戦前の時代へと舞い戻ってしまう。 自分が生まれた頃の時代へ。 描かれる暮らしの様子がユーモアたっぷりで活き活きとしてた。 紛れもなく人生の物語だったし、一人の人間の人生がこれだけの影響力を持っているんだとひしひし感じられた。 なんて素晴らしい、人間の話だったろう! 散りばめられた小道具がそれぞれ存在を主張しまくる終盤、気持ち良いすっきり感があったし 自分自身が自分の何よりの味方で、あの背中を押す感じ、眩しい希望があった。 縁というものを大事に、縁そのものじゃなくて縁によって巡り会えた人を自分の人生の宝に、そういう時代的なあたたかみもあったなあ。

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2021/07/25

20年って、ムーバが5Gになって、テレビが薄っぺらくなるくらいの長さでしょ。だけど、戦後復興期の激動の20年でも、改悪とか何もしてこなかったとかそう思うフシがあったんだなと思うと、今の20年も、感じるよりも実は大きく変わっているのかもしれないなと思えた。ストーリーは秀逸。

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2021/07/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

俺があいつであいつが俺で、なタイムトラベル本でした。戦後が舞台ですが、貧困・復興に重きが置かれているわけではなく、読みやすかったです。 過去と物語冒頭が繋がってからが説明的で、そこに興醒めしてしまいます。特に、小道具。そして、二重三重にタイムトラベルしているので、結局誰がいつ何をしたの?状態。整理しようにもそこの描写もわかりづらいなぁと思いました。 それでも、今から50年も前に書かれたとは思えないクオリティです。

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2021/04/04

最高に面白い作品。 時間旅行モノの王道SFでありながら、穏やかでノスタルジックな読み口。が、油断してると最終盤で一気にこちらの度肝を抜いてくる。 タネが明かされた絶望から希望への転進と、それを後押しする人物が何と…という粋な演出。 解説は星新一氏。なんという贅沢。 新版5...

最高に面白い作品。 時間旅行モノの王道SFでありながら、穏やかでノスタルジックな読み口。が、油断してると最終盤で一気にこちらの度肝を抜いてくる。 タネが明かされた絶望から希望への転進と、それを後押しする人物が何と…という粋な演出。 解説は星新一氏。なんという贅沢。 新版5刷 2021.4.4

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2020/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

連載当時は1965年と、半世紀以上前の作品ながら、今も色褪せないプロットに感服する。 そしてその高い構成力のみならず、戦前・戦後の昭和の風俗を生き生きと描き出している文章も味わい深い。 藤子・F・不二雄氏の作品群に通じる着想も感じられる。 主人公本人にとっては、人生において相当のウェイトを占めたであろう、兵隊時代の十数年が作中で軽やかにすっ飛ばされているところもまた、主題をぼかさないための大胆な手法として奏功。 例えば伊沢先生の出自なんかが置き去りにされて気になったり、完全に閉じられた環の中にいる美子=啓子が発生した端緒は一体…? など考え出すと混乱が深まったりはするが、この時代特有の空気感を帯びつつ、タイムトラベルものとしての特徴を活かしたミステリーとしても、充分読み応えがあった。 また、解説が星新一氏ということからも、いわゆる玄人受けも良かったことが分かる。

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2020/10/18

タイムトラベルものの金字塔というにふさわしい佳作。相当な取材をしただろうと思われる昔の描写は秀逸であるけれども、SF作品として楽しむにあたっては多少中だるみ感と、なってしまい、また作品自体がだいぶ古くなってしまっていることと合わせて、☆-1しましたが、読み応えある名作だと思います...

タイムトラベルものの金字塔というにふさわしい佳作。相当な取材をしただろうと思われる昔の描写は秀逸であるけれども、SF作品として楽しむにあたっては多少中だるみ感と、なってしまい、また作品自体がだいぶ古くなってしまっていることと合わせて、☆-1しましたが、読み応えある名作だと思います。

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2020/10/16

結末は圧巻。タイムトラベルものは後半になるにつれ面白くて止まらない。 また、昭和初期の風景が目に浮かぶ。現代とはモノが少なく生活環境は厳しいだろうが、人間味溢れるシーンが多く、この時代の日本は戦争以外は幸せだったのかもしれない。

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2020/10/07

知人に勧められて読んだ、日本版『夏への扉』ともいえる壮大なタイムトラベルもの。 1970年の作品ながら文章に古臭さはなく、文庫で500ページの長さだが読みやすさと物語の魅力ですらすらと読むことができる。 タイムトラベルものでは時系列の整理が作家の腕の見せ所の1つであると思うが、...

知人に勧められて読んだ、日本版『夏への扉』ともいえる壮大なタイムトラベルもの。 1970年の作品ながら文章に古臭さはなく、文庫で500ページの長さだが読みやすさと物語の魅力ですらすらと読むことができる。 タイムトラベルものでは時系列の整理が作家の腕の見せ所の1つであると思うが、本作は複雑な時間移動をしているのにもかかわらずきれいに説明されていてわかりやすい。 ただ、そのせいもあってSFに慣れ親しんだ人にとっては先が読みやすくなってしまっているかもしれない。 「この人がこの後あれするんだな」とか、「この人とあの人が同一人物で・・・」とか。 それと、最後の最後で閉じられた円環の話が出てきて少し腑に落ちないところがあった。 どうしても矛盾が生じる。 それでも、時間SFのワクワク感や話の壮大さ、未来を知る人間だからこそできる「俺TUEEEE!!」感などの魅力あふれる作品だった。 昭和の東京の出来事や風景などは考証を重ねて丁寧に作られており、当時の生活を体感しているかのようだった。 しかし、私は当時の出来事はもちろん今の東京にも詳しくないので、その楽しみがかなり薄められたものだと考えるととても惜しい。

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2020/08/30

タイムスリップ物。もう、タイムパラドックスしまくり。けど、細かなことはどうでもいいです。とても劇的に、情緒たっぷりに、ロマンチックに物語は展開します。 この小説のメインは昭和7年の、戦前の平和な風景です。とても詳細にリアルに描かれており、まさにタイムスリップした気分で没入するよう...

タイムスリップ物。もう、タイムパラドックスしまくり。けど、細かなことはどうでもいいです。とても劇的に、情緒たっぷりに、ロマンチックに物語は展開します。 この小説のメインは昭和7年の、戦前の平和な風景です。とても詳細にリアルに描かれており、まさにタイムスリップした気分で没入するように読みました。当時の状況を知る貴重な史料とも言えるのではと考えます。 マイナスゼロ地点である昭和37年の状況ですら読み手の現代から見たら過去になるわけで、色々な年代の錯覚にめまいを起こしそうです。 未来から来たタイムマシンの設定が10進数ではない故、それを使う登場人物達を誤った年代に飛ばすアイディアも秀逸。意外だったのは伝蔵さんが徴兵に取られてそのまま終戦まで生きるところです。先が見通せなくなり不安になります。ひねりがきいています。 しかし、啓子さんが実は美子さんで自分が自分を産んでその子供にとってはお母さんとおばあちゃんが同一人物なんてなんてやり過ぎですね。タイムマシンの存在が否定される最たる例えの1つになりそうです。それにしても俊夫さん、手が早すぎ。 更にこの先戻ってくるタイムマシンでその娘が考える過去と未来がパラドックスを深めそうです。 昭和7年から37年に来た警官はどうなるのでしょうね。 未来から来た伊沢先生は?ヨーヨーの特許ネタはほったらかしですね。結局ほぼ働かずに浪費するだけの俊夫さん。 音響機器の事情にやたら詳しいところは作者の造詣の深さではなくお話の都合ですね。 いつかまた読み返したい傑作です。

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2020/08/29

いわゆるタイムマシンもので、時間旅行のパラドックスを上手に扱ったもの。SFの要素はもちろんあるのだが、それよりも戦前、戦後の東京の様子や市民の描写が素直に楽しめる。SFとして読むのにはやや無理があって、矛盾というか、置き去りになるエピソードもあるが、読み終わると繋がりが理解できる...

いわゆるタイムマシンもので、時間旅行のパラドックスを上手に扱ったもの。SFの要素はもちろんあるのだが、それよりも戦前、戦後の東京の様子や市民の描写が素直に楽しめる。SFとして読むのにはやや無理があって、矛盾というか、置き去りになるエピソードもあるが、読み終わると繋がりが理解できることもあり、読後も楽しめる。

Posted byブクログ