覘き小平次 の商品レビュー
京極さんが古典怪談に題材にした作品。 『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾だそうです。 (まだ未読。) 文章は昔の言葉遣いなので、最初は読みづらいなぁと感じたのですが、 そこはやっぱり京極作品。 すぐに気にならなくなるほど引き込まれました。 でも、私的には苦手なお話でした。 ま...
京極さんが古典怪談に題材にした作品。 『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾だそうです。 (まだ未読。) 文章は昔の言葉遣いなので、最初は読みづらいなぁと感じたのですが、 そこはやっぱり京極作品。 すぐに気にならなくなるほど引き込まれました。 でも、私的には苦手なお話でした。 まぁ、怪談だからしょうがないのかもしれないけど、 小平次の何とも言えない感情(とも言いがたい何か。)が気持ち悪くて・・・ 可哀想という感じでも無いし。 でも、小平次以外の登場人物の感情ってある程度は理解できる気がする。 そういう意味では、この作品は大成功なんだろうなぁ、と思った。
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昼頃から読み始め、夜までかけて 一日で読み終えた。 普段から死んでいるような、幽霊役をやらせたら天下一品の 小平次が主人公。妻のお塚からも嫌われている。 この小平次と出会った周囲の人々の人生が狂ってくる。 初めは何となく読んでいたけれど 歌仙あたりから、引き込まれて止められな...
昼頃から読み始め、夜までかけて 一日で読み終えた。 普段から死んでいるような、幽霊役をやらせたら天下一品の 小平次が主人公。妻のお塚からも嫌われている。 この小平次と出会った周囲の人々の人生が狂ってくる。 初めは何となく読んでいたけれど 歌仙あたりから、引き込まれて止められなくなった。 読み終わったあともしばらく放心状態で 世界から抜け出せなかった。
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押入の中で膝を抱え、薄暗がりの中で己の厚みを消し、 一寸五分の隙間から世間を覘いている木幡小平次。 女房のお塚からでさえも厭われるほどの陰気な男だが、 それでも小平次は曲がりなりにも役者であった。 とはいえ、普通の役はからきし駄目な大根役者。 彼にできる役はひとつだけ―...
押入の中で膝を抱え、薄暗がりの中で己の厚みを消し、 一寸五分の隙間から世間を覘いている木幡小平次。 女房のお塚からでさえも厭われるほどの陰気な男だが、 それでも小平次は曲がりなりにも役者であった。 とはいえ、普通の役はからきし駄目な大根役者。 彼にできる役はひとつだけ――幽霊だけであった。 普段から死んだように生きている小平次は ただ居るだけで、観ている者の心胆を寒からしめる。 ある時、囃子方の安達多九郎のつなぎで旅巡業の声がかかる。 小平次はそれを請けて、玉川座の奥州への興行に同行する。 しかし――、裏には何か企みが蠢いているようであった。 そして、小平次の周りの人間たち、 お塚、多九郎、玉川座の立女形・玉川歌仙、 凶状持ちの浪人・動木運平らの因縁が絡まりあって、 やがて小平次をも巻き込み渦となって回りだす。 そうして訪れる異形の結末――。 四谷怪談に新たな息吹を吹き込んだ「嗤う伊右衛門」に続き、 山東京伝の「復讐奇談安積沼」を題材に 古典怪談を京極夏彦流に語るシリーズの第2弾。 「嗤う伊右衛門」を読んだのはもうずいぶん前のことだと思う。 ストーリーテリングの巧みさと構成の美しさにいたく感動し、 いっそう京極夏彦作品が好きになったのを覚えている。 本作のオリジナルである「復讐奇談安積沼」は 四谷怪談や番町皿屋敷に比べればマイナーな怪談であろう。 自分が不勉強なだけかもしれないが……。 やはり「語り」の巧みさはさすがである。 独特の文体によって圧倒的な雰囲気が生まれ、 そうして整えられた舞台だからこそ様々な怪異が活きる。 しかしながら京極夏彦の作品は怪奇小説ではない。 あくまで理知的な解釈によって怪異を現実へと解体することで 怪異が生まれるに至った背景にある、人間の姿を描き出すのだ。 難儀なことではあると思うが、 京極夏彦という稀代のストーリーテラーが それをいかに見事に成し遂げるかということは 京極堂シリーズや巷説百物語シリーズを読めば明らかなことである。 本作もそういった構成は変わらないのだが、 最後に現出する“形”がどうにもぼんやりとしている。 「嗤う伊右衛門」とそう遠くないテーマなのだが、 ほぼ序盤のほうで登場人物たちのそうした心情はだいたい描かれるし また各人物の因縁についても、決着のつき方は想定の範囲内。 つまり、終盤において盛り上がりや驚きに少々欠けているのである。 あまり起伏を感じられないまま物語は締めくくられてしまい もやもやとした気分が残るのである。 登場人物たちがそれぞれ複雑な縁をもってつながっており、 それがドラマの原動力となるのもいつも通りだが、 今回はややご都合主義的なわざとらしさが感じられた。 やりすぎるとそうなってしまうのは避けられないものだろうが、 そこを巧みな弁舌で読者に納得させるのが京極夏彦の手腕。 だがいつも成功裏に終わるとは限らないということか。 久々に読んだ京極夏彦だったが少し残念。 他にもいくつか未読作品があるので読んでいく予定だが、 この読後感を払拭してくれるような傑作を期待したいところである。
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巷説シリーズのスピンオフ的な作品。 又市、治平、徳次郎が登場。 伊右衛門とも絡みあり。 お塚の気持ちはよくわからないけど、流石よくできた作品。
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嗤う伊右衛門に続き、覘き小平次。この2作は京極作品の中でもとりわけ得体が知れないと感じます。一番「怪談」を感じます。沼に落ちたのは小平次なのだけど、実際は、小平次の周りの者達が、昏い沼に落ちて行くように死んでいった。後に残るのは沼ばかり。 京極時代物の口上や言い回しってクセになるんですよねー お塚さん口悪いけど最後の啖呵なんかたまらんです。
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この物語への引きこまれ方は、「嗤う伊右衛門」のあの心地よさだ。 登場人物が少しずつつながりを見せてくるときの爽快感や、妻であるお塚のラスト近いセリフの小気味よさ。 このストーリーは素晴らしいデザインのポスターに魅入られたときの感覚に似ている。 ストーリー全体がデザインされている...
この物語への引きこまれ方は、「嗤う伊右衛門」のあの心地よさだ。 登場人物が少しずつつながりを見せてくるときの爽快感や、妻であるお塚のラスト近いセリフの小気味よさ。 このストーリーは素晴らしいデザインのポスターに魅入られたときの感覚に似ている。 ストーリー全体がデザインされているかのように、芸術的な素晴らしさ、心地よさがある。
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読後感が意外にもさっぱり!すっきり!皆物語が終わったときに何かを得ていて、今までにない終わり方だった。大体はおなじぐらい何かを失っているイメージがあった。 本当に良かった。
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最後はハッピーエンド?な終わり方だったので良かった。 治平さんが出てきましたね。あと徳次郎さんも出てきたんだけどどうも又市と出会う前のことらしく、又市自身は出てきませんでしたね。
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存在するだけで恐怖するモノがある。 パラリと揺れる火影に映った身は削れて、 籠絡された思潮は敷衍したコケットリー。 双眸に焼ける姿はただの死体と真紅の液体。 あなたは覘くことしかできない。息もできない。 蠢動、欲望、復讐、忌々しい、嗤う、歪曲された恋。
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「妾は嫌がらせしたかったンだ。厭な厭な小平次にね」 だから一緒にいるんだというお塚のセリフに、潔さを感じます。 どんな形であれ、相手の存在がある事で自分の存在が認められる。 相手に依存してしまったり、思うが故に自分を見失ったり。そんな愛の形より、よっぽど深い想いを感じました。 愛...
「妾は嫌がらせしたかったンだ。厭な厭な小平次にね」 だから一緒にいるんだというお塚のセリフに、潔さを感じます。 どんな形であれ、相手の存在がある事で自分の存在が認められる。 相手に依存してしまったり、思うが故に自分を見失ったり。そんな愛の形より、よっぽど深い想いを感じました。 愛憎は表と裏の紙一重なんだなぁ。
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