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好き好き大好き超愛してる。 の商品レビュー

3.7

209件のお客様レビュー

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    48

  2. 4つ

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  3. 3つ

    55

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2023/07/08

「愛は祈りだ。僕は祈る。」という屈指の痺れる1文から始まり、ページの隅から隅まで祈りと愛がこれでもかと詰まっている。1つの文章にこれ以上愛を詰め込むのは無理だろうと思う。 さらにこの小説は構成さえも祈りになっている。一見バラバラの短編が詰め込まれているようにみえるが、そうではない...

「愛は祈りだ。僕は祈る。」という屈指の痺れる1文から始まり、ページの隅から隅まで祈りと愛がこれでもかと詰まっている。1つの文章にこれ以上愛を詰め込むのは無理だろうと思う。 さらにこの小説は構成さえも祈りになっている。一見バラバラの短編が詰め込まれているようにみえるが、そうではない。恋人をなくした小説家の物語が一応は主軸になっており、ほかのエピソードは作中作と"しても"読めるようになっている。全ての物語は、死に行く想い人の前でなにもできない男の物語として緩くリンクしており、いずれの物語も恋人をなくした小説家の想いの発露としての読解可能であるからだ。一方で、作中の小説家の自己言及する作風とは少し違うようにもみえ、確実に彼の作品だと断言することも出来ない。この物語間の接続に「遊びの部分」が設けられているというのが肝であり、遊びの部分があるおかげで各エピソードは小説家の物語に従属するわけではなく並列した存在となりえる。この主軸から発生し緩くつながりながらも並列であるという構造は、本作が冒頭で提示した祈りの構造そのものであると言える。祈りは、"私"から産み落とされるが、私に従属せず、誰かのために世界を漂う。また、作中のエピソードに夢の壁を突破する話が出てくる。このことによってこの小説の各エピソードの間にはゆらぎが生じる。あるいは小説家の物語が、ほかのエピソードの誰かの夢かもしれないことになる。夢と現の境が曖昧になり、主体が客体となり、客体が主体となる。そして、ある種の集合的自我に発生する祈りを材料とした作中世界として境界線が合間になるとき、その小説を書いている舞城王太郎や、小説を読む私たちの今いる世界と物語の世界も並列であることになり、境界線が消滅する。人への愛と祈りを込めた小説家の作品群は、"彼"に拘束されず、『好き好き大好き超愛してる。』という物語全体に浸透し、さらにはこの現実世界のすべてを包み込まんとする。 テーマや文体、構成、小説として利用しうるすべてのものを使って、言葉を使って言葉を超えた愛と祈りを体現してみせんとし、見事に成し遂げた小説。今後並び立つ小説は書かれうるのだろうか。

Posted byブクログ

2023/05/18

とても良かった。 どんな状態になってもいいから死ななでくれ と私だったら言われたいんじゃないだろうかと読みながら思った。 最初の話の途中で「二階で自分の伯母さんを飼っていたのだが……」は二度見したが、ツッコミどころ満載の話もまるで当たり前の普通の事のように、すんなりと読み進...

とても良かった。 どんな状態になってもいいから死ななでくれ と私だったら言われたいんじゃないだろうかと読みながら思った。 最初の話の途中で「二階で自分の伯母さんを飼っていたのだが……」は二度見したが、ツッコミどころ満載の話もまるで当たり前の普通の事のように、すんなりと読み進めてしまった。 他の女性を好きになるかもと思うのに、治を薄情とは思えない。 素直すぎるぐらい素直な治の思考を見た気がした。

Posted byブクログ

2023/03/26

自分が相手にこう思われたい、みたいな自意識で気持ちを覆ってしまってストレートに想いを伝えられなかったりするけど、今好き、好きだから好き、みたいな包み隠さない純度120%の好きを伝えられるのってすごいことだなって思った。 よく分からないって思う箇所もあったけど、それもそのままでいい...

自分が相手にこう思われたい、みたいな自意識で気持ちを覆ってしまってストレートに想いを伝えられなかったりするけど、今好き、好きだから好き、みたいな包み隠さない純度120%の好きを伝えられるのってすごいことだなって思った。 よく分からないって思う箇所もあったけど、それもそのままでいいのかなって思う。 今関わりのない人も自分の人生で出会ったことには変わりなくて、その人と出会わなければ自分という人間が今とはちがう形で形成されてただろうな、そういう出会いが自分の中に確実に溶け込んでいるんだろうなって思うと自分の人生が愛おしく思えた。

Posted byブクログ

2023/02/16

人を愛することの美しさ、切なさ、儚さがぎゅって詰められた話だった 愛する誰かを亡くしたことはまだないけど、この前大好きだった人に振られてとんでもない地獄を味わったとき、死別って耐えられないよなって感じたのを思い出した でもやっぱり人は生きていくんだなっていうのは共感。どんだけ辛く...

人を愛することの美しさ、切なさ、儚さがぎゅって詰められた話だった 愛する誰かを亡くしたことはまだないけど、この前大好きだった人に振られてとんでもない地獄を味わったとき、死別って耐えられないよなって感じたのを思い出した でもやっぱり人は生きていくんだなっていうのは共感。どんだけ辛くてもいつかは記憶になってしまう日が来る、それがいいことか悪いことかはわからないし、誰かが決めるようなものでもない 好きって気持ちって不思議だよなあ 永遠なんてないって思いつつもそれを信じたいくらい好きと思える人に出会えた奇跡を噛み締めたいし、ずっとそういう恋愛をしたい 常に好き好き大好き超愛してる!って思えるように胸張って生きよう

Posted byブクログ

2023/02/15
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※このレビューにはネタバレを含みます

「タイトルを見ただけでうんざりした」 うーん、もったいない。このタイトルがぴったりなのに、この小説。と思うとやっぱりタイトルで合わないなら本文も合わないのかな。 タイトル込みで私は大好きな作品です。 「♥♥♥UI♥U!」副題もかわいいし、直球。 「主人公」が、「好きな子」を失ってしまう話が続く短編集なのでちょっと気が重くなります。ちょっとというかだいぶ。でも切々と語られるのが文学的と言うよりも割と生々しい表現だったり、(言い方悪いですけど)軽めの語感なので文字に起こしてあるものを読むというよりも気持ちがじかに脳みそに流れ込んでくる感じ。感情そのままをぶつけられる感じ。 だだだだだっと流し込まれるように文字の羅列が続くので、合う人合わない人がいるかもしれません。 「好き」っていう気持ちを愚直にまっすぐに、嘘偽りなくなんのデコレーションもせずに伝える話なので、タイトルもこれくらい単純なほうがいい。 好きって気持ちが今後持続する確証はないけど、今この瞬間はそう思っているから「ずっと好きだ」と伝えるような、そういう恋人の話です。死別しちゃうから気持ちがしぼんじゃうのはそりゃあそうだけど(時間とは残酷なものなので)それでも今この瞬間、永遠に好きだって思える相手がいるのはいいなぁと思います。 メインは小説家の男性・治と、その彼女であり闘病生活を送っていたが帰らぬ人となってしまった恋人・柿緒の話。ふたりの話のあいだに、こまぎれにSF風味な「恋愛と死による喪失」をテーマにした短編が入っています。 私は合間合間の短編は治の著作だと思っているんですけど、明言はされていないので各々の解釈にゆだねられている感じなのかな。 >祈りは言葉でできている。言葉というものは全てを作る。言葉はまさしく神で、奇跡を起こす。過去に起こり、全て終わったことについて、僕たちが祈り、願い、希望を持つことも、言葉を用いるゆえに可能になる。過去について祈るとき、言葉は物語になる。 私は治の著作だと思っているので、短編の各主人公がヒロインのことを愛してるんだなぁと思える行動をとっているのを見ると、治からの柿緒への祈りはこういった形で昇華されているんだなぁとなりました。あとは治の気持ちの暗示が多少されているのかなぁと。 智依子パートでは「闘病中の、もう助からないであろう彼女が不思議な力をかけられ希望を抱く」。 妙子パートでは「死んでしまったとしてもまた再会できるかもしれない」。 ニオモパートでは「自分の力じゃ勝てないような強大なものに立ち向かう少女」(闘病のメタファーかな?と思いました)、「その子が巨大なものに殺され、いなくなったあとまた別の愛を見つけることができるかもしれない主人公」。 治の視点で進むので柿緒への愛が伝わってくるのがすごく切なくて好きです。ただ、弟くんの立場からすると「小説回収しろや!」っていうクレームもそりゃそうだし、ムカつくだろうな。人を亡くすっていうのは様々な軋轢を生んでしまう、それだけ大きな出来事だからなぁと思います。でも残されたほうは苦しくても頑張って生きて行かなきゃ、と思います。

Posted byブクログ

2023/02/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

同僚に勧められて読んだが、変な話をいつも勧めてくる子なので、過激なコメディかなと思って読み始めたら、予想外に純粋な話で、とても感動した。 電車の中で何度も涙が出てきた。 大切な人を亡くしたことのある人は、慰められるような物語だと思った。

Posted byブクログ

2023/01/19

「愛は先立たれて永遠になる」 亡くなった命を愛する気持ちは、よく分かります。亡くなった大切な人、もしくはペット。私は今でも好きです。 彼らに一言伝えられるなら、やはりこう言うのでしょう。 「好き好き大好き超愛してる」

Posted byブクログ

2022/12/09

序文はすごいよかった! 読んでるうちになんだかよくわからなくなってきた。 とりあえずラブ(?)ストーリーなのかな…?!

Posted byブクログ

2022/11/18

舞城王太郎っぽさを求めて来るとちょっと肩透かしを喰らうんだけど、やっぱり愛の話。 愛と死に関するいろいろな短編のように見えて、主人公が世に出さなかった小説のかけらが並んでいるということだと思う。 それはどこか自分たちのことに重なったり、自分の祈りだったりしていて、「愛は祈りだ。」...

舞城王太郎っぽさを求めて来るとちょっと肩透かしを喰らうんだけど、やっぱり愛の話。 愛と死に関するいろいろな短編のように見えて、主人公が世に出さなかった小説のかけらが並んでいるということだと思う。 それはどこか自分たちのことに重なったり、自分の祈りだったりしていて、「愛は祈りだ。」から始まるのはきっと主人公が一番愛を信じていて彼女を愛していたからこそ現れた言葉なのではないか。 個人的にはニオモの話で1冊書いてほしいくらいである。とても好き。

Posted byブクログ

2022/07/26

冒頭の「愛は祈りだ。」が本著の全てな気がする 短編集的な感じだかそれぞれの物語に相関はなく、またぶっ飛んだ設定の世界に急に飛ばされたりとちょっと落ち着かない一冊だった ただどの話も設定を飲み込んでしまえば楽しめる

Posted byブクログ