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荒野 の商品レビュー

3.9

223件のお客様レビュー

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    53

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2009/10/04

子供から少女になり、そして女へ。 一人の少女、荒野の成長を描いた小説。 大人の女性に憧れていた頃が懐かしい。 あんなに夢見た大人の世界は実際はどろどろと脂ぎっていて。 荒野が義母や周囲の女性、自分の友達を冷静に分析できるのに、自分の事となると視野が曇って全く理解不能になるところ...

子供から少女になり、そして女へ。 一人の少女、荒野の成長を描いた小説。 大人の女性に憧れていた頃が懐かしい。 あんなに夢見た大人の世界は実際はどろどろと脂ぎっていて。 荒野が義母や周囲の女性、自分の友達を冷静に分析できるのに、自分の事となると視野が曇って全く理解不能になるところに、少女特有の感覚を思いだし、女である私は、いわゆる女の直感は働くようになったけど、代わりに荒野が持っていた繊細でみずみずしい感覚をどこかに置き忘れてしまった事に気付いた。 女と家、台所。女を象徴するもの達の描き方に、なるほどなあとうなった。 それにしても、私はいつか女に戻れるのか。母ではない女に。

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2009/10/07

山野内荒野、十二歳。恋愛小説家の父と暮らす少女に、新しい家族がやってきた。“恋”とは、“好き”とは? 感動の直木賞受賞第一作。

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2009/10/04

 可愛らしい小説です。直木賞受賞作の『私の男』で桜庭先生を知った方は驚かれるかもしれません。初々しい(しすぎる?)恋のお話です。特別天然記念物級かも。  意図的におさなさを残した、しかし軽やかなリズムと音をもった文体で、少女山野内荒野がすこしだけ大人になって姿を描いてます。最初...

 可愛らしい小説です。直木賞受賞作の『私の男』で桜庭先生を知った方は驚かれるかもしれません。初々しい(しすぎる?)恋のお話です。特別天然記念物級かも。  意図的におさなさを残した、しかし軽やかなリズムと音をもった文体で、少女山野内荒野がすこしだけ大人になって姿を描いてます。最初は見上げるようだった荒野の目線がすこしづつ上がっていき、変わっていく自分とまわりを受け入れていきます。ふわふわした甘い描写と、さっと切り込んでくるような思春期特有の鋭さが同居していて不思議でレトロな感覚とリアルとを読み取ることができるかと思います。  あまーいけれど、ベタベタしていない。そんな恋愛小説を読んでみたい方におすすめです。ほんと読んでいるあいだくすぐったくてたまりませんでした。

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2020/07/15

本の帯に「直木賞受賞第一作」と書いてあった。最初、これの意味がどういうことかわからなかった。「直木賞受賞作」ではないが、「直木賞受賞後の第一作」ということらしい。 直木賞受賞作である「私の男」とは、まったく作風も文体も違う。だから、この帯が目についてこの本を手に取った人は、きっと...

本の帯に「直木賞受賞第一作」と書いてあった。最初、これの意味がどういうことかわからなかった。「直木賞受賞作」ではないが、「直木賞受賞後の第一作」ということらしい。 直木賞受賞作である「私の男」とは、まったく作風も文体も違う。だから、この帯が目についてこの本を手に取った人は、きっと期待していたものと違うものだったという感想を持つだろうと思う。これはこれで、まったく別の系統の作品だ。 少年少女向けという層を想定して書いたもののようで、少女マンガをそのまま小説化したような、さわやかな空気感だと思った。だから、文章はかなり平易なのだけれど、著者の他の作品から考えると、ターゲットに合わせてわざと易しく文章を変えているのだろうと思う。鎌倉の一軒家を舞台にしているというところもいい。 主人公の、中学生〜高校生の時代の話しなので、ちょっと感情移入しにくいところがあったのだけれど、きっと、学生時代にリアルタイムに読んだとしたら、はるかにその世界に入っていきやすかったのだろうと思う。昔のことを思い出して、そういえばそんな感じだったかもなあ、、という気持ちになる。 「大人が想像で作り出した中学生の話し」ではなく「中学生の目線になって書いた中学生の話し」という雰囲気の作品だった。 遠くに行きたい、なにも所有したくない。それって人間の一つの本能だと思う。で、さっきの話だと、その本能を邪魔するもう一つの本能、所有欲が、恋なんじゃないかと思ってる(p.67) この世には、ハングリー・アートと呼ばれる仕事があるんだ。この本にはジャズがそれだと書いてある。あと、ボクシングとか。ジャズは孤独な道だからさ。この世の大事なものを犠牲にしなきゃ、その場所には立てない。ジャズの神様はエゴイスティックなんだ。幸福で、満足して、それでジャズをやろうったって無理な話さ。小説もきっと、ハングリー・アートなんだよ。あの人はきっと、恋愛小説を書き続けるために、あんな、蜻蛉みたいな男になったんだ。あれは人間じゃない。言葉に憑かれた生霊さ。女って餌を食っては書き、書いては食うんだ。きっと、死ぬまでやめないんだ。(p.137) まわりの女たちを、見てみなさい。大人という生き物は、そうそう、ときめいたりしないものなんだよ。そうして、そうなってからのほうが、人生は長い。(p.267) 前に立つ阿木くんも黙っている。その足元からじわじわと、怒りのような、妄念のような、暗く湿った空気が漂ってきて、荒野に近づいてくる気がする。パパをめぐる女たちにも似た、なにか。甘さはない。あたたかさも。ただ暗く、冷えた感情。(p.294) 荒野は自分がべつに傷つかないことに気づく。おんなのこころ、はとても薄情で、愛していない男の言葉なんかで傷つかないのだ。(p.346) どう見ても、奥さんに逃げられ中の人には見えない、天性の明るさ。興味のなさ。小説を書いていないときのパパは、まっさらに空っぽで、にこにこしていても、なーんにも考えていないように見える。荒野は一緒に歩きながら落ちつかなくって、この人はパパだけれど、いつだってなにかの抜け殻みたいだ、と首をかしげる。(p.478)

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2009/10/04

面白かったな。中学生の心理がちゃんとわかって、ああそうだこんなんだったな、みたいに思うところが多かったです。思春期ってこんなんだよ。きらきらしてるけどどこか暗くてじめじめしてて、でもやっぱり一番楽しいんだなぁ。そんなことを考える本。

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2009/10/04

ちょっとタッチが違うな、と思ったら、初期作品に加筆したものだったのね。主人公が中学生〜高校生。まだ続く???

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2009/10/04

200807読了 ★★★ 数年前のファミ通文庫の焼き直しと、3章追加、とのこと。少女小説の色合いが濃く、トントンとよめる。文章のテンポがいい。センテンスが短くて、ちょっかんてきに物語があたまにはいってくる。鎌倉という舞台のせいもあって、場面転換ごとに美しい季節の移り変わりを強調...

200807読了 ★★★ 数年前のファミ通文庫の焼き直しと、3章追加、とのこと。少女小説の色合いが濃く、トントンとよめる。文章のテンポがいい。センテンスが短くて、ちょっかんてきに物語があたまにはいってくる。鎌倉という舞台のせいもあって、場面転換ごとに美しい季節の移り変わりを強調してくる。それが、少女の言葉によって軽やかに表現してあるので、舞台のよさが引き出されてる感じがした。物語には決着はない。成長のものがたり。こども、おとなのあわいな感じがよくでているのだけどちょっとなにか違う。わたしが育った12歳から16歳までより、この主人公は強い。少女性を意識した少女はちょっとやだな・・・少女には自覚なくぽやんとしていてほしい。このひとの書く文章とか、少女像ってちょっと男性っぽいなあと思う。さっぱりとしているけれど、女を強く意識していて、その乖離性が、実際のおんなのことはすこしブレてるかんじがする。しかしそのぶん、大人の女たちがなまぐさくてリアルだった。

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2009/10/04

荒野は少女の名まえ。有名作家で恋多き父の愛娘という設定が『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に似ていたので、警戒して読みはじめたが、さにあらず。とてもよかった。冒頭にはなつかしい『青年は荒野をめざす』が出てきたりした。   『グラデーション』 『体育座りで、空を見上げて』『荒野』...

荒野は少女の名まえ。有名作家で恋多き父の愛娘という設定が『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に似ていたので、警戒して読みはじめたが、さにあらず。とてもよかった。冒頭にはなつかしい『青年は荒野をめざす』が出てきたりした。   『グラデーション』 『体育座りで、空を見上げて』『荒野』と少女の成長期を描いた作品を立て続けに読んだが、『荒野』に一番惹かれた。作者が主人公と同化せず、一定の距離をとっているからだろうか。 『私の男』がダメだったという人にもおすすめできます。☆は4以上。

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2009/10/04

最後は「あれーっ、結論は!?」というかんじでしたが、結論を求めなければすばらしい本です。 歳をとるにつれて変化する微妙な心が、こんなにもよく書けるなあ、と思いました。

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2009/10/04

 一人の少女の12歳からの物語です。  桜庭さんにしては、結構ダーク要素が少なかった……のかな?  義母が女、という感覚は再婚した子供にとっては、とてもリアルな感覚でしょう。  元家政婦が父親の愛人だった、というのは描写を見ていればわかります。  でも、かのじょはとてもサバサバし...

 一人の少女の12歳からの物語です。  桜庭さんにしては、結構ダーク要素が少なかった……のかな?  義母が女、という感覚は再婚した子供にとっては、とてもリアルな感覚でしょう。  元家政婦が父親の愛人だった、というのは描写を見ていればわかります。  でも、かのじょはとてもサバサバしていて、読んでいると、この人はすごく素敵だ、と思えました。  主人公の来いについては、とても初々しい感じがしました。  さすがは青春。

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