荒野 の商品レビュー

桜庭一樹【著】

2010/04/24

荒野みたいに、中学生のときや高校生のときに、自分よりオトナを思いやったり、自分がオトナになることをおもったりすることは実際は出来ないと思うけど、でも読めてよかった。桜庭一樹、こんなのも書くんだなぁ。ますます興味出てきたよ。

作者と両手をつないだら回線がつながって、そうそうって電気がぐるぐる回った。そんな感じ。

読み終わったけど、もいっかい続けて読んでみるよ。

みんなの引用が、私も書きとめた一文だった。ふふふ、おんなのこはみんなそうなんだね、かわいそうに、男子。

2010/04/16

少女小説でした。
奔放な女性関係を芸（？）のこやしにしているらしい、
「蜻蛉のような」性愛小説家の父をもった、
山野内荒野という女の子の、12歳から16歳にいたるまでの、
浅い青春の日々。ですか。

なんかもう、その微妙な時期がフラッシュバックしてくるような濃密さで、
なまなましいというか、むしろなまぐさいほどの気恥ずかしいリアルさ。
こういうのが好きな人には、たまらんような名作なんだろうなと思います。
いや、ほんとに。この作者独特のせりふ回しや雰囲気もね。
みずみずしい、という言葉で賞賛されても当然なんでしょう。
悪くはなかったです。でもすいません、良くもなかった。

和風の容姿で、父親の影響で接触恐怖症気味で、
感受性は豊かだけど早熟ではない、
むしろ幼さを強く残したおとなしい荒野。でも巨乳（笑）。
そんな彼女にスレスレに近づくオトナの世界は、
順当だったり唐突だったり。
父親の周囲に濃く立ち込める情事の気配とか、愛人たちとか、
いちおうの勝利を収めて再婚し、義母となる人との距離感、とか。
そしてその人の連れ子（同じクラス・・・・）との、
少女マンガ的には意外とオーソドックスかもしれない恋愛の行方、とかね。

12歳、13歳、14歳と、少しずつ変化していく中で、
些少なのに明確に書き分けられる差異の鮮やかさは
見事かもしれない。
ああ、でもごめん、やっぱり苦手な部類ですな。

灰谷健次郎の「少女の器」を思い出したが、
あれよりも苦手に感じると言うのは、
それこそが作者の手腕ってことなのかも知れないけど、
まぁね、とにかく際どい所で恥ずかしさと痛さが勝ってしまって、個人的にはもうひとつ、でした。
ごめんなさい（三回目）。

2010/04/13

場所としての『荒野』ではなく、
『荒野』という名前の女の子のお話。
中学１年生の入学式から、高校にかけて、
『少女』は、少しずつ、
だが確実に『女』になっていく。
そしていつしかそんな時が
自分に存在していたことすら忘れていく。
誰にでも訪れるけれど、
長い人生から見るとあまりにも短く、
それゆえかけがえのない大切な時間を
丹念に描写した作品だった。
自分の場合は
荒れ放題だった中学校と、
男しかいなかった高校時代。
それ故か、あまり思い出す気にはならないけれど、
娘たちには、
いい時を過してほしいなと思う。

2010/04/08

湿り気を帯びていて、生々しくもみずみずしい。
切なく悔しくてどうしようもないことがたくさん。
愛くるしい人間ばかり。

鎌倉の街並みに季節が降りてくる。寒々しくも暖かい人。
好きです。

2010/04/05

途中でやめてしまった。
しかし第1章まではよんだ。

話の感じというか表現とかすごく良かったのだけれど・・荒野かわいいし。
なぜかダメだった。
やっぱりこいう明るい話は自分にはあってないのか・・・

2010/04/03

「荒野」が女の子の名前、という発想からもう桜庭一樹いがいの何者でもない、作品。　疾風怒濤ということかしらん。

2010/03/30

なんだか気がついたら読み終わってた。
不思議な時間の流れを感じました。
桜庭さんの世界観なのだろう

2010/03/25

読みやすいが、わたしには特に感動も共感もできなかった。でも普通に時間潰しにはなる小説。
子どもが少女を経て、女になる話。これは同じ女性なら誰もが感じたことだと思うが、初潮が来たときや初めてブラをつけたときの気持ち悪さをふと思い出させられた。
もう完全に女として機能し、それを受け入れていても、どうしようもなくそれが不快になる瞬間が今でもある。そんなもどかしさをうまく言葉にしてくれる話だった。

2010/03/23

荒野と悠也、設定的にはタブーですよね。
私の男といい、タブーな作品が多い人なのかな。
私の男と比べると、女子高生の話なので初々しさもありますねぇ。
女子中学生からおんなになっていく過程の描写が上手です。
男子はシンプルなのに女子は複雑ですね。

2010/03/23

わけもなく好きなこの系統。桜庭さんの味が濃いです。つかみどころがないけど、今回のは恋愛風味ドーンって感じがしました。「大人以前」という言葉が印象的。大人になる前、思春期の不安定な気持ち。なんだかキュンキュンします。恋したくなりました。