虚夢 の商品レビュー
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幼児の娘を若者に殺害された。その若者は精神異常があり裁判にも発展することなく留置された。死刑になることも無くわずか4年ほどで出所してきた。娘の両親は離婚。娘の仇打ちのため生きる元妻と彼女を支えようとする元夫。
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【虚夢】 薬丸岳さん 三上が締め切りに追われ原稿を書いている時、 3歳になる娘が公園で刺殺された。 それも妻である佐和子の眼の前で・・・ 佐和子も犯人の凶刃により重症を負った。 犯人は奇声を上げながら、公園を逃げ惑う 子どもや老夫婦などを次々と刺したのだった。 多数の死傷者が出たにもかかわらず、犯人は精神鑑定 の結果、統合失調症と判断され、刑法第39条により 罪に問われなかった。 多くの罪も無い人を傷つけ、殺め、多くの家族を 悲しみのどん底に突き落とした犯人は、死刑になる どころか、刑務所にも行かず、罪にも問われず、 裁判にすらかけられない。 被害者として理不尽なおもいを胸に抱えた三上と 佐和子は夫婦生活もうまくいかず離婚するコトになった。 数年後佐和子は再婚したが、三上は妻と娘を守れなかった 罪悪感と失意を抱えたまま惰性の日々を過ごす。 そんな三上にある日佐和子から電話が入った。 離婚後初めての電話である。 内容は娘を殺した犯人の藤崎を見かけたというのである。 あの大事件からまだ数年しか経っていない、そんな短い期間で あの藤崎が退院し、何食わぬ顔で社会復帰しているということに 三上は激しい憤りを覚える反面、佐和子の言葉が信じられなくも あった。 三上が佐和子の言葉を信じられない理由は単に藤崎の社会復帰 が早すぎるというだけではなかった。 事件後、佐和子はショックのあまり精神を病み 言動がおかしくなったのだった。精神科に通院し 病気は治まったと思っていたのだが・・・ 三上は半信半疑のまま藤崎を探す。 そして・・佐和子の言っていたことは本当だった。 藤崎は退院し、社会に復帰していた。 三上は藤崎を見張るが、佐和子の言動は日をまして おかしくなってきた。 ☆ 刑法第39条。 よく物語のテーマに使われる問題です。 精神科の医者ですら、統合失調症患者の心の中は 想像だに出来ない。 精神の病は「痛い」、「苦しい」という追体験や想像 できるモノとは違うからだ。そのコトを「了解不能」 というらしい。 犯人と被害者、自覚症状の無い統合失調症患者と その家族。 重たい内容でしたが、引き込まれるストーリーでした。
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心神喪失により無罪になった犯人と、娘を殺された夫婦のお話。 最近ニュースなどで良く見る事例で、一般人も理不尽だと思う無罪の形。 これもまた良く考えさせられます。 作中で医師が「ガンの痛みや辛さは一般人も多少通じるが、心神喪失の者が抱く恐怖は通じない」みたいな事を言っていて、確かに、と思いました。 しかし全部読んでも、やっぱりそんな理由で罪が軽くなったり無くなったりするのは理不尽だと思ってしまいますが。 この作品で一番驚かされたのは、まともな女性と思っていた人が、実は精神を病んでいた事です。 世の中、まともそうに見える人ばかりですが、案外病んでいる人ばかりかもしれないなと思いました。
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薬丸 岳氏の作品は、2冊目。 今回のテーマは「刑法39条」。 「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」。 重たいテーマですが、ミステリー作品としても成り立っているので、一気に読めます。 精神鑑定によって不起訴になった加害者と家族を殺されたその...
薬丸 岳氏の作品は、2冊目。 今回のテーマは「刑法39条」。 「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」。 重たいテーマですが、ミステリー作品としても成り立っているので、一気に読めます。 精神鑑定によって不起訴になった加害者と家族を殺されたその被害者。 さらに関係している人たちも巻き込んで、双方の論理というか立場というか単純ではない、その裏側を追っていきます。 久坂部 羊氏の「無痛」も同様に「刑法39条」を扱った作品でしたが、この法律が被害者、加害者にどう影響を及ぼしているのか、決してそれが小さいものではないことを改めて考えさせられました。 薬丸 岳氏の作品は他も読んでみたいですし、 「刑法39条」に関しても追っかけていきたいテーマです。
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三上孝一は公園で起きた通り魔殺人で娘を失い、現場に一緒にいた妻・佐和子も心と身体に重い傷を残した。 その後、犯人の藤崎は統合失調症と判断され、不起訴となる。 事件の後、夫婦仲の冷えきった2人は離婚したが、ある日佐和子から三上のもとへ電話がかかった。 藤崎を見たというのだ。 あれか...
三上孝一は公園で起きた通り魔殺人で娘を失い、現場に一緒にいた妻・佐和子も心と身体に重い傷を残した。 その後、犯人の藤崎は統合失調症と判断され、不起訴となる。 事件の後、夫婦仲の冷えきった2人は離婚したが、ある日佐和子から三上のもとへ電話がかかった。 藤崎を見たというのだ。 あれから4年しか経っていない。藤崎はもう退院しているのか。 佐和子の見たのは本当に藤崎なのか。。。 薬丸さんの3作目。 今回は精神疾患の方の殺人を扱っています。 前2作も難しい扱いづらいテーマでしたが、こういう路線で行かれるのかな。 家族を殺した相手が精神疾患のため不起訴となる。 そして入院し、治ったと判断されたらまた世間に戻ってくる。 今作も 「もし自分が被害者の遺族となってしまったら」 「家族が精神疾患にかかってしまったら」 「自分の精神が病んでしまったら」 とわが身に置き換えて考えずにはいられませんでした。 答えはでませんが。。。 少し物足りない感があったのは藤崎の家族視点がなかったからかな。 あと離婚に至るまでの生活も。 だからこそすらすらと読めたのかもしれませんが、描かれていたら東野作品みたいになっていたかも。 全編、薬丸さんの言いたいことに溢れていますが、最後の手紙が特に強く感じました。 もしも成功(?)していたらどうなっていたのでしょうか。
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天使のナイフ、闇の底、虚無、と全体的に同じような感じですが相変わらず文章が上手く読みやすくて面白いです。これから先どのような作品を出されるか楽しみな作家です。
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精神異常者に子供を殺された夫婦の話です。 最初から物語にぐいぐい惹き込まれ一気読みでした。 とても面白かったです。 でもほんと、精神異常者に殺された被害者ってどうすればいいんだろう? 精神鑑定ってどこまであてになるんだろう? 物語としては面白かったけど実際こういう事件ってある...
精神異常者に子供を殺された夫婦の話です。 最初から物語にぐいぐい惹き込まれ一気読みでした。 とても面白かったです。 でもほんと、精神異常者に殺された被害者ってどうすればいいんだろう? 精神鑑定ってどこまであてになるんだろう? 物語としては面白かったけど実際こういう事件ってあるわけだから 考えさせられます↓↓
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この人の文凄い読みやすいなぁ。天使のナイフと似たような設定だけど、あっちは中学生の殺人に対して、こっちは精神病の殺人事件。ある種社会に守られてる殺人の罪のテーマ。 なんとなく女性への扱いが悪いような・・・主人公の妻は正常な神経持ってる人にしては、あまりにアレだし、ユキちゃんは私...
この人の文凄い読みやすいなぁ。天使のナイフと似たような設定だけど、あっちは中学生の殺人に対して、こっちは精神病の殺人事件。ある種社会に守られてる殺人の罪のテーマ。 なんとなく女性への扱いが悪いような・・・主人公の妻は正常な神経持ってる人にしては、あまりにアレだし、ユキちゃんは私はあんな可愛そうな設定でなくとも良かったと思う。弟が知的障害だからってイジメはわかるけど、レイプされるか?知的障害の弟がリンチならわかるけど。 天使のナイフは実際あるかもって思ったけど、虚夢はなんだかねー。本当元奥さんがありえなさすぎ。死んだ子供は確かにかわいそうだけど、復讐のために旦那やほかの人の迷惑を考えないのは、やっぱり正常な神経じゃないよ。演技であんなことをやろうとする神経はもう精神異常者だよね~~
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読みやすく数時間で読破。 犯した【罪】はどのような精神状態でも 許されないのか、許してはいけないのか…
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面白かったというより、薬丸作品はやっぱ┗(-_-;)┛オ・・オモイ… 。 いろいろ考えさせられるけど、 本音を言うと、避けて通りたいテーマだな・・・
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