セリヌンティウスの舟 の商品レビュー
海上での遭難から生還することで、運命共同体のような強い絆と信頼関係を得た、六人の男女。 その中の一人が自殺することによって生じる波紋が、太宰治の走れメロス」を下敷きにして描かれます。 見過ごしてしまいそうな些細な疑問点を発端に、延々と推論が繰り返されるのはとても興味深いのですが...
海上での遭難から生還することで、運命共同体のような強い絆と信頼関係を得た、六人の男女。 その中の一人が自殺することによって生じる波紋が、太宰治の走れメロス」を下敷きにして描かれます。 見過ごしてしまいそうな些細な疑問点を発端に、延々と推論が繰り返されるのはとても興味深いのですが、登場人物の動きがほとんどないので、途中でだれてしまうかもしれません。 賛否が分かれそうではありますが、特殊な設定を活かした独自性は、他では味わえないものがあるように思いました。
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故人とその仲間たちの心情をとても大切に描いた作品だと思うのですが、いまいち嵌れませんでした。 ミステリとしてはホワイダニットに焦点を当てているのに、登場人物たちがお互いの印象や故人の考えそうなことを言い合うだけで、故人を悼む過程を共有させられるのが苦痛でした。 想像力と読解力が足りず、最後まで読んでも、故人と協力者側にも、仲間たちにも共感できません。よくわからないうちに読み終わっていた、という印象です。 瓶のフタ1つ、境遇の変化1つでここまで真剣に話し合うことができるのは、逆にリアリティがあって良いと思いました。 親類や同輩とは、冠婚葬祭で集まったときにだけ、やたら話が弾みますから。
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特殊な事故を経て絆を深めた6人だけど、その信頼感が全ての推理のベースにあるので、読者はなかなか共感できず、推理に納得できないのではないか。 自分が自殺しておいて残されたメンバーには変わらないでいて欲しいという、行動理由も自分勝手で余計なお世話としか思えない。
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警察が解決した一つの事件。仲間を「信じる」「信じたい」「疑わない」「疑いたくない」といった感情を軸に紐解いていくストーリー。描かれている仲間同士の絆が物語の重要な要になっています。 途中は結末が気になって夢中になりましたが、終始小さな重箱の中をつっつき続けるようなストーリー展開。...
警察が解決した一つの事件。仲間を「信じる」「信じたい」「疑わない」「疑いたくない」といった感情を軸に紐解いていくストーリー。描かれている仲間同士の絆が物語の重要な要になっています。 途中は結末が気になって夢中になりましたが、終始小さな重箱の中をつっつき続けるようなストーリー展開。 違うことを言っているのか、同じことを繰り返しているのか、それとも違う角度なのか、よく分からなかったです。 好みは人それぞれですが、登場人物の想いにも共感しずらく私は正直あまりハマりませんでした。そんな人、本当にいるのかなぁと若干ファンタジーの世界。 ただ、そんなかけがえのない仲間に恵まれる人生は羨ましいなぁと思います。
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石持 浅海氏の作品で、登場人物の心理描写を 中心にしたストーリー。 派手なアクションやイベントが起こるわけではなく、登場人物(5人)の会話で構成する話。 大時化の海の遭難事故により、強い信頼で結ばれた6人の仲間たち。 そのうちの一人、米村 美月が青酸カリで自殺した。 四十...
石持 浅海氏の作品で、登場人物の心理描写を 中心にしたストーリー。 派手なアクションやイベントが起こるわけではなく、登場人物(5人)の会話で構成する話。 大時化の海の遭難事故により、強い信頼で結ばれた6人の仲間たち。 そのうちの一人、米村 美月が青酸カリで自殺した。 四十九日の夜、集まった5人の男女が、彼女の自殺の隠された謎に迫るため、推理を始める。 彼女は、本当に自殺なのか? 協力者がいたのではないか? 『走れメロス』の登場人物になぞらえ、物語は進む。 果たして、驚きの本当の真実とは? 会話の中に、伏線もかくれて面白いのですが、好き嫌いが分かれるかも知れませんね。
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人の死が関わるミステリと言えば、探偵ものや刑事ものなどの犯人を探し追い詰めていくものが多いと思うけど、このパターンはわたしには新しく感じられた。 かつてダイバーとして危険に晒され生死を共にした6人。 特別な関係となった彼らは1,2ヶ月に1回は集まってダイビングを楽しむ生活をして...
人の死が関わるミステリと言えば、探偵ものや刑事ものなどの犯人を探し追い詰めていくものが多いと思うけど、このパターンはわたしには新しく感じられた。 かつてダイバーとして危険に晒され生死を共にした6人。 特別な関係となった彼らは1,2ヶ月に1回は集まってダイビングを楽しむ生活をしていた。 ところがいつものようにダイビングを楽しみ、メンバーの家での酒盛りを終えた翌朝、ひとりが自殺をしてしまう。 遺書もあり、警察も自殺と断定したが、その死に疑問があるとひとりが言い出し、彼女の死について議論を行うために集まることとなる。 解決済みの死について、捜査をするでもなく罪を暴くわけでもなく、ただお互いを信じるためだけに密室で議論を重ねるだけの時間。 そこまで信じられる人たちに出会えたらきっと幸せなことなんだろうなと思う。
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石持さんはやはり素晴らしい~。 今回もミステリのようでいて、ノンミステリな感じ。なんたって被害者(?)は自殺だから。 海での漂流という事故をきっかけに強い絆で結ばれた6人。しかしその中の1人・美月が6人でいる時に自殺する。しかしそこには不審な点が。5人はその謎をつきつめていく…。 けど磯崎が共犯、もとい協力者っていうのは、割とすんなりわかるよね。あと美月と磯崎の自殺の動機も、いまいち納得いかない…というか理解しかねる。まあそうい状況になったことがないからなあ。 けどやっぱりなぜか好き。全体のストーリー、空気、そういううのがいい。
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どうしてもこの手のミステリはこじつけ感が強く感じられて、読むのがしんどいんだが、これはましなほうかな。
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大きな場面展開などはなく、一つの死に対する疑惑を語り合うだけなのに、ここまで読ませるのは流石です。 過去に起きた漂流場面の緊迫感たるや、経験者なんじゃないかと思うほどでした。 しかし、結末に至っては予想を越えるものではなく、少し肩透かし。 とは言うものの、犯人特定に至る、ある気付...
大きな場面展開などはなく、一つの死に対する疑惑を語り合うだけなのに、ここまで読ませるのは流石です。 過去に起きた漂流場面の緊迫感たるや、経験者なんじゃないかと思うほどでした。 しかし、結末に至っては予想を越えるものではなく、少し肩透かし。 とは言うものの、犯人特定に至る、ある気付きは唸らされました。こういうロジックは気持ちいいですね。 『走れメロス』は小学生の頃に読んだきりなので、本書を思い出しながら読み返してみようと思います。
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最初の50ページでこんなに悲しくなったミステリは今まで読んだことないのです 展開が分からなくても、序盤で「おや?」と思う伏線がちゃんとあって、よく分からなくても辿り着くは着くのです ただ、何を疑問に思って、何に繋がっていくか。 ミステリを読む上でとても大事なお話だったのです あ...
最初の50ページでこんなに悲しくなったミステリは今まで読んだことないのです 展開が分からなくても、序盤で「おや?」と思う伏線がちゃんとあって、よく分からなくても辿り着くは着くのです ただ、何を疑問に思って、何に繋がっていくか。 ミステリを読む上でとても大事なお話だったのです あまりミステリを読んで自分の経験や感じたことと重ねることはなかったのですけど 大事な仲間、集団、一緒に居たり話したり思い出す時間、心の拠り所。 その大事なモノへの思い入れがぐだぐだしない様に主人公の年齢層を選んだのはとても良かったのです きっと誰にでもあって、過去にも持っていた、或いは感じたことがある場所。 それを手放す時って、複雑な気持ちになるのですよね 時間もかかる 気持ちも消費する 何だかそんな切ない気持ちを思い出したのです
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