10月はたそがれの国 の商品レビュー
『大鎌』がことに印象に残る。旧版の表紙マグナイニ(ムニャイニが正しいらしい)を持っている。内容どおり“ウィアード テールズ”の雰囲気、あるいはホーソーン。木造家屋で田舎暮らしをするカップルのシチュエーションが多く自動車は必需品だがよく故障する。恨みを持つと忘れない、憎まれるのが最...
『大鎌』がことに印象に残る。旧版の表紙マグナイニ(ムニャイニが正しいらしい)を持っている。内容どおり“ウィアード テールズ”の雰囲気、あるいはホーソーン。木造家屋で田舎暮らしをするカップルのシチュエーションが多く自動車は必需品だがよく故障する。恨みを持つと忘れない、憎まれるのが最大の犯罪。人間は寿命が短く、短編小説も寿命が短く、最良のものだけが生き残っていく、SFの黎明期の超人気作家ブラドベリでも例外ではない。『熱気のうちで』気温を℉で言うのがアメリカらしくて良い感じ。0〜100℉がヒトの行動範囲だから。
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レイ・ブラッドベリのちょっと不気味でホラー成分を散りばめたような短編集。 殺風景だがどこか郷愁を誘うような風景描写と、ブラッドベリ独特の言い回しが心地よい。
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ブラッドベリの初期作品の短編19作品。 「つぎの番」 死とミイラの国。アメリカからはメキシコはこんな風に映るんだなぁ。 「骨」 ぞくぞくしました。良かった( *´艸`) 「壜」 人の目は見えるものに自分が見たいものを映し出す。 「みずうみ」 ジュブナイル。 「熱気のうちで」 「ちょうど九十二度のところに、刺激感受性の頂点がある。この温度になると、あらゆるものがいらだちのタネになり」(P207) 華氏92度=摂氏33度、だそうで。クーラーが要る温度かな。 「群集」 これは今でもよく書かれそうな題材。 「大鎌」 個人的ベスト。10月に読むのにちょうどいい作品。 「ある老母の話」 おばあちゃん強い。 「ダッドリー・ストーンのふしぎな死」 作家の苦悩と承認欲求。この一冊の最後を締めくくるのにふさわしい作品。 10月に読みたい本、というテーマで考えたときに必ず思い浮かぶ本をやっと読むことができました。原題は"THE OCTOVER COUNTRY"すなわち「10月の国」とそのものずばりなんですね。訳が素晴らしいなぁ。内容もハロウィンの季節に読むのにぴったりでした。 創元SF文庫、「SF」と銘打っているもののホラーとファンタジーも感じられ、昔のSFは21世紀から見ると泥臭さもあり昔の人が考える「SF」を読むのはノスタルジーを掻き立てられてすごく好きです。今の時代の人間はもう書けないかもしれないものがそこにある気がします。 ブラッドベリは『たんぽぽのお酒』が大好きなわりに全然読み進めていなかったので読めて感無量です。
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10月なので。ゾクッとしました。挿絵も独特。 「小さな殺人者」「群集」「びっくり箱」「大鎌」「風」が好きです。 「ダッドリー・ストーンの不思議な死」はじんわり良かった。こういう死は小説家の死という感じです。
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短編集。面白かったの一言につきます。 明るい話から、嫌な気持ちになる話、ホラーまで網羅され、どの話も一筋縄じゃない。覚えておきたいので一話ずつメモ。 こびと 短編に人間の嫌なところをぎゅっと濃縮している描写、気分が悪くてとってもいいです。 次の番 内容は重いのにラストの描写は...
短編集。面白かったの一言につきます。 明るい話から、嫌な気持ちになる話、ホラーまで網羅され、どの話も一筋縄じゃない。覚えておきたいので一話ずつメモ。 こびと 短編に人間の嫌なところをぎゅっと濃縮している描写、気分が悪くてとってもいいです。 次の番 内容は重いのにラストの描写はなぜこんなにスッキリしているのか不思議なくらいスッキリでクセになります。 マチスのポーカーチップの日 バズりやインスタ映えに正義を持つ人の話。幸せならいいのかも......?と感じさせます。 骨 骨の存在に違和感を感じた男。どうなる......?とページをめくり、わー!で終わる。SF的。読んだ後自分の体を触ると違和感を感じ始めそうです。 壜 下界の人間を見る神のような視点になれます。 みずうみ ひたすらに美しい話。 使者 犬は忠実。読み終えて、犬の名前って......と、もう一回楽しめる。 熱気のうちで 「殺人事件というやつは、華氏92度の時に起こるのがいちばん多い」の一文が大層好きです。この一文だけで熱気を感じる。 小さな殺人者 「人には言いづらいけど好きな話」リストに仲間入り。赤ちゃんが怖くなります。 群衆 交通事故の現場にいつも同じ人がいて......ラストは色んな取り方ができますね。 びっくり箱 1回じゃわからない。2回読みたくなる。 「死ぬというのはなんてすてきなことだろう!」 大鎌 美しい稲刈りが、こんなに悲しいものになるとは。 アンクルエナー この本で1番いい話。休憩にもってこいです。 風 強い風が吹いた時、何かが起こっているのかもしれないと妄想が広がりそう。 2階の下宿人 何てことない描写なのに明らかに不穏な時、内臓がボコボコ動いているような気持ち悪い感じになるのですが、そうなります。 ある老婆の話 クッソ強いババアの話。 下水道 妹の話の描写が綺麗。「女がほんとうに美しくなるのは、死んだ時よ」でオフィーリアを思い出しました。 集会 繊細な魔物少年が集会を過ごす話。 「この世はわれわれにとって死んでいる」「いちばん少ない生き方をする者が、いちばん豊富に生きることになる。価値が少ないなんて考えるんじゃないよ」のセリフがいい。 ダッドリーストーンのふしぎな死 毛色の違う自己啓発のような話。素晴らしい人は何が起きても素晴らしいと感じられるのかもしれません。
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「みずうみ」一度読んだら記憶に残る名作。砂の城を作って遊んだ二人。少年は大人になり溺死した少女は永遠に少女のまま。美しく残酷な話。
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SF短編集。こびと、つぎの番、マチスのポーカーチップの目、骨、壜、みずうみ、使者、熱気のうちで、小さな殺人者、群集、びっくり箱、大鎌、アンクルエナー、風、二階の下宿人、ある老母の話、下水道、集会、ダッドリーストーンのふしぎな死。 さすがの古典。萩尾望都が描いていた方を想い出しま...
SF短編集。こびと、つぎの番、マチスのポーカーチップの目、骨、壜、みずうみ、使者、熱気のうちで、小さな殺人者、群集、びっくり箱、大鎌、アンクルエナー、風、二階の下宿人、ある老母の話、下水道、集会、ダッドリーストーンのふしぎな死。 さすがの古典。萩尾望都が描いていた方を想い出しますが。
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短編集ということで、寝る前の読書として気軽に読もうと思っていたのが間違いだった。フィクションを読み進めるのは比較的早い方だが、この一冊に関しては、思った以上に時間がかかった。 物語の長さが、そのインパクトを決めるわけではないということを証明するかのような作品集だ。 一編一編は短い...
短編集ということで、寝る前の読書として気軽に読もうと思っていたのが間違いだった。フィクションを読み進めるのは比較的早い方だが、この一冊に関しては、思った以上に時間がかかった。 物語の長さが、そのインパクトを決めるわけではないということを証明するかのような作品集だ。 一編一編は短いものが多いが、どれも、日常の中の小さな不思議を描いている。どこか死のにおいのする不思議。その不思議に導かれながら読み進め、物語の最後にたどりついても、謎が残されたり、強い余韻が残ったり・・・どちらかというと寂寞とした気持ちにさせる、まさに「黄昏時」の雰囲気の小説。 その一方で、情景描写が素敵。春の情景が描かれている時は明るい色合いが目の前に浮かぶし、秋の情景では一面金色の世界が立ち上がってくる。死のにおいがしながらも、鮮やかな風景や香りの描写があるからこそ、重苦しくなりすぎないのかな。
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ブラッドベリ 「 10月はたそがれの国 」 人間の過ち、孤独、狂気を描いた幻想小説短編集。サスペンス仕立て。 死の世界の中に超人間(再生、生まれ変わり)を求めているが、現実の人間を否定していない 鏡をモチーフとした「こびと」は 自分の愚かさや醜さに気づかない著者自身の...
ブラッドベリ 「 10月はたそがれの国 」 人間の過ち、孤独、狂気を描いた幻想小説短編集。サスペンス仕立て。 死の世界の中に超人間(再生、生まれ変わり)を求めているが、現実の人間を否定していない 鏡をモチーフとした「こびと」は 自分の愚かさや醜さに気づかない著者自身の告白に読める サスペンスの「つぎの番」は 結末を知ってから読み返すと、伏線が多い。かなり怖い 平凡で退屈な男が 承認欲求を得るために狂気化し、エスカレートする姿を描いた「マチスのポーカーチップの目」は 現代的だと思う
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色々な死に纏わる話。 短編集。 こびと、壜、熱気のうちで、大鎌、風、ダッドリー・ストーンのふしぎな死が特に面白かった。
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