欲望という名の電車 の商品レビュー
アメリカ文学が苦手だったが、 やっと理解できるようになってきたかもしれない。 とはいえ時すでに遅し。 歴史、作者、さらに演者等背景を知り、少しでも共感やリアルな実感を持って作品に臨めるまで時間が掛かりすぎた。 人生の後悔をリセットできないのである。 人生は本人の責任だけで語ること...
アメリカ文学が苦手だったが、 やっと理解できるようになってきたかもしれない。 とはいえ時すでに遅し。 歴史、作者、さらに演者等背景を知り、少しでも共感やリアルな実感を持って作品に臨めるまで時間が掛かりすぎた。 人生の後悔をリセットできないのである。 人生は本人の責任だけで語ることは出来ず、幾重にも罠が仕掛けられ、嵌ってしまうもの。 逃げ切れるか、泳ぎ切れるか、もうだめなのか。 暗い気持ちになるがやはり名作なのだと思わされた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
舞台はニューオーリンズ、フレンチクォーター。 欲望と言う名の列車に乗って、南部の大農園の娘ブランチは、妹ステラを訪ねてくるところから物語が始まる。ブランチとの話で大農園ベルリーブを手放したことを知る。ブランチの旦那はポーカーが好きで、お酒が入ると暴力までふるう。ジェントルマンを好む姉はステラが夫スタンリーと一緒に暮らしているのが理解できない。 やがて姉がニューオーリンズへ来るまでの行動、嘘がわかり、付き合い始めた男、スタンリーまでブランチを追い出そうする。ブランチは最後は精神病院からきた医者と看護師によって連れていかれ物語は終わる。 南部地主階級の没落、労働者階級の新しい時代の始まりの中でウィリアムズがニューオーリンズで描こうとしていたことは何なのか想像を掻き立てる。最初に出てくる 黒人女、ポーランド人、中国野お店等あらゆる人種がこの時代にすでにいることがわかる。
Posted by
この本、実は小学校の時からタイトルだけ知ってて、読もうとして母親に止められたものです(妥当な判断すぎる)。今はもう大学も出て若手社会人やってますが、人生の中である程度酸いも甘いも噛み分けて、経験も積んだからこそ主人公ブランチや妹ステラの気持ちが理解できるように感じます。 ブランチ...
この本、実は小学校の時からタイトルだけ知ってて、読もうとして母親に止められたものです(妥当な判断すぎる)。今はもう大学も出て若手社会人やってますが、人生の中である程度酸いも甘いも噛み分けて、経験も積んだからこそ主人公ブランチや妹ステラの気持ちが理解できるように感じます。 ブランチの、良家の子女の立場から転落してもその時のプライドが邪魔してしまうところや、同じ育ちのはずのステラが現状に満足してしまっているのが信じられない気持ちなど、理解できてしまうのが少し悲しいですね。理解できるということは少なからず同じような醜い感情が自分の中にあるということなので。 一方ステラの、そんなブランチを受け入れる優しさもすごいな、と。姉想いの、欲のない人という感じでした。 スタンリーはガチクズですが、一寸の虫にも五分の魂というか、例えものすごくダメな人でも一応プライドがあるのでバカにしているとそれを悟られてしまうということを改めて感じました。 主要登場人物だいたいアレなぶん、大人になって読むといろいろ感じる話だなぁと思いました(内容的にどう考えても小学生が読むべき本じゃないですが)
Posted by
アメリカの戯曲だった。 私は、自分の都合のいいように人を騙して生きるブランチがいやだと思ったと同時に、そうしてまで誰かに肯定されていないと生きられないほど弱い人なんだと思った。その中で堂々と真実を突きつけるスタンリーは正しいと思ったし、でも最後にブランチと寝たのはスタンリー...
アメリカの戯曲だった。 私は、自分の都合のいいように人を騙して生きるブランチがいやだと思ったと同時に、そうしてまで誰かに肯定されていないと生きられないほど弱い人なんだと思った。その中で堂々と真実を突きつけるスタンリーは正しいと思ったし、でも最後にブランチと寝たのはスタンリーの弱さだと思った。またステラはブランチの弱さを理解した上で受け入れ、大切にしているんだと思った。 難しくて本質を理解できているのかはわからないが、「私はいつも見ず知らずの方のご親切にすがって生きてきましたの」というブランチの言葉が全てだと思った。そらは悪いわけでもなく、でもそれにすがって生き続けることは違う。はっきり何が正しいとかではなくて、人とはそういうものなんだと思った。私はその中で助けられるだけでなく、誰かにとって助けになるような人に成長したい。
Posted by
ナショナルシアターライヴでお芝居を見て読みなおした。映画にも何度も(?)なったし、舞台でも、翻訳で取り上げられているらしい。初めて見た英語の舞台は素晴らしかった。感想はこちら。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/2019...
ナショナルシアターライヴでお芝居を見て読みなおした。映画にも何度も(?)なったし、舞台でも、翻訳で取り上げられているらしい。初めて見た英語の舞台は素晴らしかった。感想はこちら。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201904060002/
Posted by
劇の台本はあまり読まないし舞台は見に行ったことがないが、文庫化されたものを読むと当たりが多い気がする。 これも面白かった。 普通の小説とは違った面白みがある。
Posted by
テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』新潮文庫 読了。アメリカ南部を舞台にする戯曲。気位高いブランチが妹夫婦に身を寄せるが、妹の夫で粗暴なスタンリーとそりが合わず、不協和音を織り成す。明快な人物造形ながらもその多面性が顔を覗かせ奥深い。隔りは埋まらず、悲劇的な結末を迎える。...
テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』新潮文庫 読了。アメリカ南部を舞台にする戯曲。気位高いブランチが妹夫婦に身を寄せるが、妹の夫で粗暴なスタンリーとそりが合わず、不協和音を織り成す。明快な人物造形ながらもその多面性が顔を覗かせ奥深い。隔りは埋まらず、悲劇的な結末を迎える。 2017/12/05
Posted by
幻想の世界に生きるブランチが印象的。 でも、出てくる人たちがとにかく不快。 スタンリーの扱いを許して戻るステラにもビックリしたし。 これ、戯曲なんだよね。 見てみようかな。 と思って(映画のつもりで)検索してみたら、12月に舞台やるのか!
Posted by
ピューリッツァー賞受賞作。アメリカ社会で多く見られる貧富の差などが引き起こす悲劇。終盤に差し掛かるところで、ヒロインが理想と現実の間で精神崩壊していく様子が真に迫っていて怖い。救いのない話だが、なんとも言えない余韻が残る。
Posted by
荒れくれ者でDQNのスタンリーがブランチの虚飾を暴く所が面白い。ロシア貴族の没落を描いた『桜の園』を連想する人も多いだろうが、歴史の短いアメリカにも(貴族とは少し違うが)大地主の没落はあった。
Posted by