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欲望という名の電車 の商品レビュー

3.8

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

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2024/02/21

欲望という名の電車に乗って、ブランチは妹夫婦が住む街へとやってきた。 忌まわしく苦しい過去を背負い、悲しい現実からアルコールで己を紛らわせながら。 気取った物言いは義弟の神経を逆なでし、新たに訪れた幸せへの足掛かりも崩れ去る。 ブランチは言う「私はいつも見ず知らずのかたのご親切...

欲望という名の電車に乗って、ブランチは妹夫婦が住む街へとやってきた。 忌まわしく苦しい過去を背負い、悲しい現実からアルコールで己を紛らわせながら。 気取った物言いは義弟の神経を逆なでし、新たに訪れた幸せへの足掛かりも崩れ去る。 ブランチは言う「私はいつも見ず知らずのかたのご親切にすがって生きてきましたの」と。 本当は誰にもすがれず、手を差し伸べられず、 自らの悲しき運命に流され、身を落とした。 欲望の果ての悲しき絶望。

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2024/02/13

Sun., 2/18/24に舞台を観に行くので予習。 沢尻エリカさんがどうブランチを演じているのか、 読んでみて初めて楽しみで仕方ない。 ピッタリなんじゃないかとすら思う。 生きているうちに様々な出来事を乗り越え、 乗り越えたと思っていたのに、 現実と妄想の区別さえつかなくな...

Sun., 2/18/24に舞台を観に行くので予習。 沢尻エリカさんがどうブランチを演じているのか、 読んでみて初めて楽しみで仕方ない。 ピッタリなんじゃないかとすら思う。 生きているうちに様々な出来事を乗り越え、 乗り越えたと思っていたのに、 現実と妄想の区別さえつかなくなってしまった 没落地主の娘って…よくよく考えるとツラすぎるな。

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2024/02/03

出掛けた先で時間ができたので、図書館でボリュームの少ない名作を…と手に取りました。没落地主の娘(元教師)と、労働者階級の荒くれ男(妹のパートナー)との軋轢を描いています。シナリオ形式なので、脳内シアターを上演する感じでしょうか。ブランチ:吉瀬美智子、ステラ:北乃きい、スタンリー:...

出掛けた先で時間ができたので、図書館でボリュームの少ない名作を…と手に取りました。没落地主の娘(元教師)と、労働者階級の荒くれ男(妹のパートナー)との軋轢を描いています。シナリオ形式なので、脳内シアターを上演する感じでしょうか。ブランチ:吉瀬美智子、ステラ:北乃きい、スタンリー:内野聖陽、ミッチ:鈴木亮平… だといいなぁ。 近代演劇史上、とてもとても大切な作品のようなので、私の脳内シアターがどこかの誰かに嫌な思いをさせることがあったらごめんなさい。

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2023/12/08

ピュ-リツァ賞を受賞した戯曲。ニュ-オリンズの欲望通り(Desire Street)を走る路面電車の名をタイトルにすえ、欲望に生きる人間の持って生まれた悲しい性の有様を、緊迫感に溢れた筆力で綴られた名編。・・・エリア・カザン監督で映画化され、ヴィヴィアン・リ-の気迫の演技に圧倒さ...

ピュ-リツァ賞を受賞した戯曲。ニュ-オリンズの欲望通り(Desire Street)を走る路面電車の名をタイトルにすえ、欲望に生きる人間の持って生まれた悲しい性の有様を、緊迫感に溢れた筆力で綴られた名編。・・・エリア・カザン監督で映画化され、ヴィヴィアン・リ-の気迫の演技に圧倒された。

Posted byブクログ

2023/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文学シリーズ第27弾、テネシー・ウィリアムズ著の「欲望という名の電車」。 話としてはニューオーリンズ市の荒くれ者が住む雰囲気を持つ街で、スタンリー、上品な雰囲気をもったステラ、ステラの姉ブランチを中心に繰り広げられる物語。全体の印象としては、シーン描写が多く、まるで劇を見ているかような印象であった。流れる音楽の大小や照明の使い方というか、場面設定というかを細かく描写、各登場人物の漂わせる雰囲気もきめ細かく書かれていた。演劇の台本とはこういったところまで作り込めば出来るのかなと感じた。 実写した作品があれば、是非演劇が良いが是非見てみたい。 印象に残ったところとしては、スタンリーの猛々しい男らしさの描写、身長や男らしい雰囲気を細かく設定してあり、これを演じるのは誰が良いかなと想像を掻き立てられるような印象を受けた。日本人であれば鈴木亮平とか?ガッチリしているが、高身長過ぎず、一方で少し荒々しい、粗野な印象を持たせる俳優。 ステラは品の良い感じだが、少しずる賢さも持ったような印象、ブランチは綺麗だが、同時に少し不安定さも感じさせるような存在。これらを演じる人物像を決めるにあたりは、それぞれの役の印象にマッチしたもしくは演じきれる役者が必要。実際演じる人はどうやって役を作っていくのかが気になるところ。 物語としてはブランチを中心に話を繰り広げられ、中々現実を受け止めきれないブランチの存在が際立つ。 妹のステラを落ちぶれたものと決めつけてしまう。 あんたは私よりもみじめな境遇にいるのよ! ただあんたはそれに気がついていないだけ。私はこれでもなんとかしようとしている。ところがあんたは負けてしまっている。 このあたりはステラに言っているようで自分にも言っているようなところがあるのか。 スタンリーのことを強くけだもの扱いする。 私、強い女にはなれなかったの、ひとり立ちできるような女には。強い人間になれないとき 弱い人間は強い人間の好意にすがって生きていかなければならないのよ、ステラ。そのためには人の心を誘うなにかが必要になる 弱い蝶々のように、あの羽のようなやさしい色あいと輝きを身につけ 私は庇護を求めて駆けずりまわったわ 誰かの庇護を得ようとすれば。だから弱い人間はどうしてもほのかな輝きをもたなければならないの 裸電球にかぶせる 色提灯のような・・・でも私、こわい とってもこわいの、いま。いったいいつまでそれでうまくやっていけるかと思うと。やさしいだけではだめ。やさしい上に、魅力がなければ。それなのに私は 私はもう色あせていくばかり! このシーンを改めて見るとブランチはスタンリーにある種憧れをもっていたのかもしれない。スタンリーのように欲望に忠実で動物的な生き方が出来ることを。ブランチには それができずにどうしても衣服などで着飾る、色提灯のように裸電球のままでいられない。裸電球がスタンリーで色提灯がブランチ。この二人の生き様が対比になっているのかな。 ミッチに対しても本当の年齢を伝えていない、伝えることが出来ない。女物三十をすぎると当然 下品な言いかただけど「寝る」ものだと思い込んでいる。 これはブランチが思い込んでいるだけか。 死の反対は欲望。欲望のない生活はどうなのか。 スタンリーこつきってどんなもんか知ってるのか?つきっていうのはな、自分がついてるって信じることなんだ。 これは良い言葉かもしれない。せちがらい世の中で生存競争に勝ち抜くには、自分はついてるって信じることさ。 意外とコロナで元々考えていたことは今の時期で逆に良かったのかもしれない。 信じることないよ。人間、生きていかなくちゃ。どんなことになろうと生きていかなきゃならないんだよ。 本のメッセージとしては欲望に対して忠実にということか、自分に正直にということか、着飾るのではなく、裸電球のような自分で勝負するということか。色提灯のように生きることは表面上は取り繕ってきれいに見えるが、不安には苛まされる。いつ分かってしまうのかという。着飾らないほうが楽である。そしてそれが強く生きているということなのか。是非演劇という目線でももう一度見てみたい。

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2023/08/06

津村の読み直し世界文学の1冊。あまりにも有名なので読んでいなくても読んだ気にさせる。脚本形式なので、これを読んでから映画を見てもいいのかもしれない。A streetcar named desire.で、欲望という名の電車というよりは、希望という名の路面電車という方がいいのかもしれ...

津村の読み直し世界文学の1冊。あまりにも有名なので読んでいなくても読んだ気にさせる。脚本形式なので、これを読んでから映画を見てもいいのかもしれない。A streetcar named desire.で、欲望という名の電車というよりは、希望という名の路面電車という方がいいのかもしれない。 妹夫婦のところに来た姉という状況である。

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2023/07/30

まさかのメンヘラお姉さんのお話というわけで、これを名作として扱うのは政治的にどうか。 という疑問を持つものも持たざるものも、いや意外な勢いに流されるわけですよ。ていうかこのご時世ならアランの性癖からのブランチの衝撃だけで1冊書き切ってもよいだろうに、1,2ページで収まってるし。て...

まさかのメンヘラお姉さんのお話というわけで、これを名作として扱うのは政治的にどうか。 という疑問を持つものも持たざるものも、いや意外な勢いに流されるわけですよ。ていうかこのご時世ならアランの性癖からのブランチの衝撃だけで1冊書き切ってもよいだろうに、1,2ページで収まってるし。てことはこの時代ではそこまでレアイベントではなかったとか?ふむ。 といっても普通に男女の仲もあって、スタンリーの最初からこうなるって分かってたってセリフはなかなか良い。お前はエロビデオ見過ぎじゃろうが。 とまぁ何にせよ最後のオチが酷くて良い。例えるならバタリアンの最期に核爆弾落とすくらい酷い。まぁそれもまた良しか。

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2023/04/25

タイトルだけは聞いたことがあったものの、今の今まで読む、あるいは観劇するには至らず……。 こんな話だったとは。剥き出しで、生々しくて……ブランチには強烈すぎたというか、あまりにも違いすぎたというか、とにかく、彼女が乗る電車か降りるところを間違えていたら違う人生があったんじゃと考...

タイトルだけは聞いたことがあったものの、今の今まで読む、あるいは観劇するには至らず……。 こんな話だったとは。剥き出しで、生々しくて……ブランチには強烈すぎたというか、あまりにも違いすぎたというか、とにかく、彼女が乗る電車か降りるところを間違えていたら違う人生があったんじゃと考えてしまった。けれど、彼女にはステラしかいないので、最後にはあのアパートに辿りつく運命になっているんだろうか。 次第にブランチの話すことや行動が一つのところにおさまっていない印象(話があちこちに飛ぶ、あるいはちょっとしたことから話が伸びていくような)が強くなっていったけれど、まさか、そんな……。沈んでしまうような読後感。

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2022/08/17

言わずと知れたテネシー・ウィリアムズの名作。映画は2回見ているが、戯曲をきちんと読むのはこれが初めて。主人公のブランチと『ガラスの動物園』の母親アマンダとの共通点には興味深いものがあり、作劇上も『ガラスの動物園』に通じる部分多数。表面的な肌触りこそ違うが、「過去の栄光にすがる零落...

言わずと知れたテネシー・ウィリアムズの名作。映画は2回見ているが、戯曲をきちんと読むのはこれが初めて。主人公のブランチと『ガラスの動物園』の母親アマンダとの共通点には興味深いものがあり、作劇上も『ガラスの動物園』に通じる部分多数。表面的な肌触りこそ違うが、「過去の栄光にすがる零落した人物」や「ナイーヴな理想主義が過酷な現実の前に敗れ去っていく」といったテーマは、チェーホフをアメリカの風土に置き換えたものと見ることもできるだろう。

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2023/03/14

「ブランチ・デュボアは私自身である」という作者テネシー・ウィリアムズに「ぼく自身でもある」と続ける訳者小田島雄志氏。そこへさらに「いやいや何言ってんの、ブランチは私ですが?」としゃしゃり出ていきたくなるほど、第六場までの自分本位で見栄っ張りなブランチの姿にも、そして第七場でスタン...

「ブランチ・デュボアは私自身である」という作者テネシー・ウィリアムズに「ぼく自身でもある」と続ける訳者小田島雄志氏。そこへさらに「いやいや何言ってんの、ブランチは私ですが?」としゃしゃり出ていきたくなるほど、第六場までの自分本位で見栄っ張りなブランチの姿にも、そして第七場でスタンリーの口から明かされる、その場しのぎの嘘ばかり重ねてとうとうどこにも居場所がなくなった彼女の来歴にも、自分自身の過去を重ねて抉られること腹に刺さったナイフのごとく、とても冷静には読めなかった。 しかし彼女の行いに対する罰はいくら何でもあんまり重すぎるではないか、と2022年の感覚では思う(たぶんテネシー・ウィリアムズもそう思っているのだろうけど、時代背景に照らすとこの展開がリアルだったのだろう)。例えばブランチのような「放埒」な振る舞いをしたのが同じ階層の男だったらここまで糾弾されるだろうか?おそらく否。この悲劇の原因はブランチ自身の人格だけにあるのではでなく、社会に根を張ったミソジニーが(そして間接的にはホモフォビアが)彼女を追い詰めたのである。ほとんど古さを感じさせない『ガラスの動物園』や『やけたトタン屋根の猫』に比べると、発表当時の価値観に依拠するところが大きい作劇だと感じた。 ヴィヴィアン・リーがブランチを演じるはさぞかし凄まじいだろうと思うが、如何せん私はマーロン・ブランドが寒気がするほど苦手なので映画版を観たら憤死してしまうかもしれない。

Posted byブクログ