ティファニーで朝食を の商品レビュー
ティファニーブルーの表紙が可愛くジャケ買い。 村上さんは、ホリーが好きなんだと思う。 特にホリーのセリフでそれを感じる。 元々読んでいた瀧口さん訳のホリーより、言い回しが可愛らしくて、愛されやすいキャラで書かれている。 瀧口さんは口語が古いのもあるが、もっと『嫌な女』感が出てい...
ティファニーブルーの表紙が可愛くジャケ買い。 村上さんは、ホリーが好きなんだと思う。 特にホリーのセリフでそれを感じる。 元々読んでいた瀧口さん訳のホリーより、言い回しが可愛らしくて、愛されやすいキャラで書かれている。 瀧口さんは口語が古いのもあるが、もっと『嫌な女』感が出ていた。 なので、初めて読むには、こちらの村上春樹訳のがホリーが愛される理由が理解しやすいかと。 でも、あたしは瀧口さん訳のホリーの方がビッチ感が強く断然好き。 例えばのホリーのセリフの違い 村上春樹訳↓ 「四十歳以下でダイヤモンドを身につけるのは野暮だし、四十過ぎたってけっこう危ないのよ。略 しわがよって、骨張って、白髪で……そういう人にこそダイヤモンドは似合うのよ。だから歳を取るのが愉しみ。」 瀧口直太郎訳↓ 「四十にもならないのにダイヤを身につけるのってみっともないことよ。それに危険でもあるし。略 皺だらけで、骨ばって、白髪頭だと、ダイヤもひきたつのね。あたしはそんなになるまで待てないわ。」 最後の一言で大いにホリーの性格が変わってくる。 みっともないとハッキリ嫌悪感を表し、年を取りたくないと思っているのがあたしの中のホリーだったので、ここはかなりの違和感。 嫌な女として書ききれてない感が、ホリーの性格を弱くしてる気がしてならなかった。
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表題作「ティファニーで朝食を」に加え、短篇が3つ。 「ティファニー…」もいいけど、むしろ他の3篇がよかった。純粋で、少し明るく、それでいてちょっとしんみり。特に「クリスマスの思い出」は、夕暮れ時の街で、そこだけが明るく煌めくクリスマスのショウウインドウを眺めているような気分...
表題作「ティファニーで朝食を」に加え、短篇が3つ。 「ティファニー…」もいいけど、むしろ他の3篇がよかった。純粋で、少し明るく、それでいてちょっとしんみり。特に「クリスマスの思い出」は、夕暮れ時の街で、そこだけが明るく煌めくクリスマスのショウウインドウを眺めているような気分です。 どれも、透明感のある言葉を選び抜いてとても精密に組み立てられた作品だと思います。装丁もこの作品集にぴったり。ハーパー・リーの「アラバマ物語」に登場する隣家の男の子が、こんなに素敵な物語を書くようになったんだと思うとうれしい。 村上春樹の訳は素晴らしいと思います。ただ、"mean reds"という言葉を「いやったらしいアカ」と訳しているのは、ちょっといただけない気がします。
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☆魅力的な女性とはこの事を言うのじゃないかな~ 【本文】 彼女には朝食用のシリアルを思わせるような健康な雰囲気があり、石鹸やレモンの清潔さがあった。 両方の頬には飾り気のないピンクの色が濃く差していた。 彼女はいつもサングラスをかけて粋なかっこうをしていた。着る服はとても...
☆魅力的な女性とはこの事を言うのじゃないかな~ 【本文】 彼女には朝食用のシリアルを思わせるような健康な雰囲気があり、石鹸やレモンの清潔さがあった。 両方の頬には飾り気のないピンクの色が濃く差していた。 彼女はいつもサングラスをかけて粋なかっこうをしていた。着る服はとてもさっぱりとしていて、そこには揺らぐことのない趣味の良さがうかがえた。 彼女は写真モデルのようにも見えたし駆け出しの女優のようにも見えた。 朝の光が彼女の体を屈折して抜けてくるみたいで、まるで透明な子供のように輝いていた。
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オードリーの映画を見て小説も読んでみたいと思ったこと、村上春樹が訳していて久々に村上春樹の文体に触れたいと思ったこと、それから淡いブルーの表紙が綺麗だったこと(2017年のプレミアムカバー)を理由に購入。 ティファニーで朝食を、は読むととても切なく、センチメンタルな気持ちになる...
オードリーの映画を見て小説も読んでみたいと思ったこと、村上春樹が訳していて久々に村上春樹の文体に触れたいと思ったこと、それから淡いブルーの表紙が綺麗だったこと(2017年のプレミアムカバー)を理由に購入。 ティファニーで朝食を、は読むととても切なく、センチメンタルな気持ちになる。 もう会えない人のことをずっと思い続けたり、思い出に浸ったり。 ダイヤモンドのギター、クリスマスの思い出も大切な人の喪失感をテーマにしてる気がした。 花盛りの家は…なんかおそろしい嫁姑バトルのイメージしかない((((;゚Д゚))))))) ティファニーで朝食を、ダイヤモンドのギターが好きだな。
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戦後アメリカを過ごしたカポーティの心情が反映されており、思わずうっとりしてしまうような、それでいて決して綺麗なだけなお話ではない。魔物のようなお話だった。状況描写も何もかもが美してくて、儚い。この物語をあたかも自由奔放さから破滅までの直通列車のように作り上げられたのはカポーティの...
戦後アメリカを過ごしたカポーティの心情が反映されており、思わずうっとりしてしまうような、それでいて決して綺麗なだけなお話ではない。魔物のようなお話だった。状況描写も何もかもが美してくて、儚い。この物語をあたかも自由奔放さから破滅までの直通列車のように作り上げられたのはカポーティの天才的な文章の賜物と村上春樹の翻訳の業の他ない。始終ときめきを感じる美しい小説だった。
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あくまでも同じ性格設定のはずなのに、映画のヒロインと違って原作の方のヒロインははなっから存在しないものを追い求めて求め続けるんだけどゲットできるはずがなく最後にはうらぶれて野垂れ死ぬしかないっていう予感に満ちているんだけど、何故だかこっちのホリーの方により惹かれてしまう。
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【ティファニーで朝食を】 ホリーの自由さ、無垢さから起きる出来事の数々。なぜか魅了されてしまうヒロイン。常識では諦めてしまうようなことに対してまで、ブレない自分をもっている心の強さが感じられるからだろうか。 【花盛りの家】 いまいち私の記憶には残らなかった。 【ダイアモンドのギター】 脱獄を謀る若者と老人。結末での老人側の思いは何とも言えない。 【クリスマスの思い出】 お互いを親友と呼び合う、おばあちゃんと7歳の少年の思い出。それは、特別な人を大切に思う温かい心から織りなされる。
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『ティファニーで朝食を』Breakfast at Tiffany's 映画を観たことがない私でも、頭のなかでオードリーヘップバーンが猫を抱いている。訳者の村上春樹氏もあとがきに書かれていたように、あまりにも映画が有名故に、ホリー・ゴライトリーがどんな女性かについての想像を少々サボってしまったかもしれない。 “本物のまやかし”と表現される19歳の少女。謎の出自。“ミス・ホリデー・ゴライトリー、トラヴェリング”、彼女の家の郵便受けに踊る文字。娼婦じみた奔放な彼女は、留まるところのない寂しさと不安を抱え、いつか「ティファニーで朝食を」とるような落ち着ける時間を夢見ている。 語り手の小説家との間にロマンスはなく、彼は彼女の身に降りかかる出来事のもっとも近い傍観者である。猫好きとしては、最後彼がホリーとの約束を守ってくれたことにほっとした。 『花盛りの家』House of Flowers 器量のいい娼婦、オティリーは本当の恋をしたことがない。恋をしたときってどんな気持ちになるわけ? まるで心臓に胡椒をふりかけられたような気持ちなんだよ。血管の中を小さな魚たちがそよそよ泳いでいるみたいな心持ち。 ある日出会った男と暮らし始めた彼女(まじない師から受け取った宣託に従って)。嫁姑問題を抱え、挙句死んだ姑に祟られ、無茶苦茶な懲らしめを強要される。ちょっと頭の痛い女の子、だけどそのイノセントぶりが印象的な話だった。 他2作収録。 『ダイアモンドのギター』A Diamond Guitar 『クリスマスの思い出』A Christmas Memory
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純粋無垢な心を持ったまま大人になった人は、その心を失った大人たちの目にはとても魅力的に映るし、反面、不快感も呼び起こす。そして、なぜかそこに悲劇的な悲しい空気が漂ってしまう。イノセンスは憧れの対象であり、悲劇の始まりでもある。 原文の文体が素晴らしいらしいので、いつか英語で読んで...
純粋無垢な心を持ったまま大人になった人は、その心を失った大人たちの目にはとても魅力的に映るし、反面、不快感も呼び起こす。そして、なぜかそこに悲劇的な悲しい空気が漂ってしまう。イノセンスは憧れの対象であり、悲劇の始まりでもある。 原文の文体が素晴らしいらしいので、いつか英語で読んでみたい。 ちなみに映画の印象とはまったく違う小説。
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村上春樹の書く文章が好きです。 その村上春樹が「研ぎ澄まされた無駄のない文章」と評するカポーティの文章。 どっちの何が効いてるのかわかりませんが、とても気持ちの良い余韻に浸れました。 もちろんカポーティの語る物語の素晴らしさは言うまでもありません。
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