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乳と卵 の商品レビュー

3.1

431件のお客様レビュー

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    41

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2025/01/26

44pの議論が面白い。 女性同士の対談で、一人の女性は胸を大きくしたいと考えていて、もう一方の女性がそれに言いがかりをつける。 「胸を大きくしたいという願望は多かれ少なかれ男性的な精神を経由していて、豊胸手術自体も、自分の願望の出自に無自覚なのもどうなの」 「私の胸を大きくしたい...

44pの議論が面白い。 女性同士の対談で、一人の女性は胸を大きくしたいと考えていて、もう一方の女性がそれに言いがかりをつける。 「胸を大きくしたいという願望は多かれ少なかれ男性的な精神を経由していて、豊胸手術自体も、自分の願望の出自に無自覚なのもどうなの」 「私の胸を大きくしたいという単純な願望はただ私がよりよく在りたいという願望にすぎず、男性主義的な観念とはまるで関係がない。貴方も化粧をしているが、それと何が違うのか。男性主義的な観念を経由していないとどう証明できるのか。実はあなた自体が男性主義的な観念そのものではないか。」 言うまでもなく、個人が持つ願望(胸を大きくしたい)が、特定の背景を持つはずだという断定は根拠に乏しく、言いがかりと言わざる得ない。 何かについての願望があること自体は事実だが、その更に上位の出自であったり背景が明確に定まることは少ないだろう。 身の回りでも結婚をしたいという人が多いが、なぜ、と聞くとなんとなく、とか、要領を得ない回答しかもらえないことが多い。願望だけがあるという状態はある。 にも関わらず、願望を口にすると、その背景を邪推され、その邪推をもとに非難されたりする。 本当は、願望を聞いたら、「そういう願望があるんだなあ」程度の感想で留めるのが正しそう。自分も無神経に人の願望にコメントしたことがある気がする。 願望の背景や出自は、その願望の持ち主が自由に創作してよいのかも。こういう理由なんですと自己申告すれば、誰もそれを否定できない。 本作では、「豊胸手術がしたい」という母の願望を聞いた子が、なぜ、と理由を想像・推測し、絶望する、みたいなシーンがある。結局のところ、人がなぜそのように思うか、というところは、踏み込んで話してみるまで分からず、話したところで、それが事実で確定ということにもならない。 上記のことを前提に、個人の願望は慎重に扱っていくべき情報なのかもしれない。一意に求めようとせず、揺らぎを許容する姿勢を持ちたい。

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2024/12/17

生理がくる、生理がきたら、卵子とか子供を産めるからだとか、そんなことを考えている緑子がとても愛しくなった。 生理という強制的で突然ですごく分かりやすい体の変化に対して戸惑っている緑子とは逆で、分かりやすい女性性を求めるかのように豊胸手術をしたがる巻子。なんだか混じり合わなくて、だ...

生理がくる、生理がきたら、卵子とか子供を産めるからだとか、そんなことを考えている緑子がとても愛しくなった。 生理という強制的で突然ですごく分かりやすい体の変化に対して戸惑っている緑子とは逆で、分かりやすい女性性を求めるかのように豊胸手術をしたがる巻子。なんだか混じり合わなくて、だから緑子も声を発しないんだろうけど、それが卵のシーンでぐちゃぐちゃになる。 文体も展開も分かりにくいようでいて、結構すーっと染みこんでいった。

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2024/10/27

「夏物語」とほぼ一緒というか、「夏物語」は「乳と卵」をリライトしたものだと知って、読みたくなった。 「乳と卵」の方が、純文学感があるというか、独特な言い回しで読みにくい。その分個性はあった。 私は最近の川上未映子さんの作品が好きなんだけど、それは表現の生々しさや展開の面白さは...

「夏物語」とほぼ一緒というか、「夏物語」は「乳と卵」をリライトしたものだと知って、読みたくなった。 「乳と卵」の方が、純文学感があるというか、独特な言い回しで読みにくい。その分個性はあった。 私は最近の川上未映子さんの作品が好きなんだけど、それは表現の生々しさや展開の面白さはそのままに、読みやすくなったからなんだと気づいた。

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2024/10/08

夏子の家に遠い関西から泊まりに来た巻子と緑子。母である巻子の目的は東京で豊胸手術を受けることで、思春期の娘である緑子はその旅行についてきた形。夏子は巻子の妹、緑子の叔母になる。緑子は精神的に追いつめられていてうまく喋ることができず、ノートにペンで書いて喋る。 『わたくし率イン歯...

夏子の家に遠い関西から泊まりに来た巻子と緑子。母である巻子の目的は東京で豊胸手術を受けることで、思春期の娘である緑子はその旅行についてきた形。夏子は巻子の妹、緑子の叔母になる。緑子は精神的に追いつめられていてうまく喋ることができず、ノートにペンで書いて喋る。 『わたくし率イン歯ー、または世界』の小気味よいリズミカルで、むき出しといった感じの文体よりかは幾分穏やかになっているが、抑制された中にも作者の伝えたいことが乳と卵ではより鮮明に伝わってきた。登場人物がしっかりそのメッセージを伝える役割を果たしているし、ラストのカタルシスに繋がっていた。 乳房についてのコンプレックスだったり生理の話は単純に読んでいて面白かった。そういった年老いて感じる悩みや思春期の悩みを絡ませながら、生まれてくることの取り返しのつかなさを伝えようとする。それがほんとうまいバランスで結実している。 生について考え抜く著者の姿勢に、作家としての厚みを感じた。芥川賞は結構読んできたけど個人的には本作は傑作だと思った。川上未映子は面白いなとすでに大好きになってしまった。まだまだ彼女の小説は読んでないものがたくさんあるのでこれからも楽しみだ。

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2024/09/29

図書館本。題名の乳はお母さん巻子の豊胸手術、卵はそれに切れて自分に卵をぶつける娘緑子のことかなと勝ってに想像。終わりのあなたたちの恋愛は瀕死は何を言ってるのかわからん。ただ文章は読みやすく138ページなので1日で読めた。

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2024/08/31

『すべて真夜中の恋人たち』『黄色い家』から流れつきました。芥川賞。テーマは興味あるけれど止まっています。

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2024/08/04

大阪弁で進んでいく姉・巻子とその娘・緑子と主人公の物語。 軽妙な文体でとんとんと読み進めることができる。 真紀子がこだわる豊胸手術、母と話したくない緑子、彼女らと関わる私の優しさ。 子を産む女性、初潮や出産に対してネガティブな子ども、女性の気持ちが巧みに表現されていた。 ...

大阪弁で進んでいく姉・巻子とその娘・緑子と主人公の物語。 軽妙な文体でとんとんと読み進めることができる。 真紀子がこだわる豊胸手術、母と話したくない緑子、彼女らと関わる私の優しさ。 子を産む女性、初潮や出産に対してネガティブな子ども、女性の気持ちが巧みに表現されていた。 精神面でも肉体面でも、巻子の健康は気になるところだった。

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2024/06/22

2つの短編。「乳と卵」は、自分は一生卵子を使うことがないのかもと悩む主人公と、胸にコンプレックスがあって豊胸手術を受けたい巻子、生理のことで悩む巻子の娘の緑子で形成される。 タイトル通りだが、思春期の緑子のいろいろ考えているのにうまく言葉で言い表せないぐるぐるした思いや、3人の関...

2つの短編。「乳と卵」は、自分は一生卵子を使うことがないのかもと悩む主人公と、胸にコンプレックスがあって豊胸手術を受けたい巻子、生理のことで悩む巻子の娘の緑子で形成される。 タイトル通りだが、思春期の緑子のいろいろ考えているのにうまく言葉で言い表せないぐるぐるした思いや、3人の関係がもどかしいやら、続きが気になるやら…。そしてなんの解決もなかったが、人生の1ページなのだなという感じだった。 次は関係あるのかと思ったが、「あなたたちの恋愛は瀕死」というタイトルで前作とは関係なく。 びっくりするくらい悲惨な話だった。 瀕死というか悲惨と思った。

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2024/06/17

どうしようもない嫌悪感がすごく心地が良くてとても好き。 ただこれ男性も読むのか?共感するのか? 読んでいるとしたらどう思われるんだろう、あまり知ってほしい一面ではないなと思った。 この本読んだことないのに読んだことあるーと思ったら別の本にも収録されてるんですね。

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2024/05/18

何だか思考がそのまま文字になっているかのようなまとまりのないダラダラと流れ続ける液体のような文章だと思った。思春期の女の子が抱きやすい感情の気持ち悪さとか嫌悪があった。

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