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怖るべき子供たち の商品レビュー

3.3

51件のお客様レビュー

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2021/01/31

原題 LES ENFANTS TERRIBLES やるべきことをやるのが大人で、やりたいことをやるのが子供。イギリスの格言だったかな?紳士の定義だったような…。 大人は誰しも初めは子供だった、と言ったのはサン-テグジュペリですが、コクトーは永遠の子供を詩ってみせた。 純粋で...

原題 LES ENFANTS TERRIBLES やるべきことをやるのが大人で、やりたいことをやるのが子供。イギリスの格言だったかな?紳士の定義だったような…。 大人は誰しも初めは子供だった、と言ったのはサン-テグジュペリですが、コクトーは永遠の子供を詩ってみせた。 純粋で無垢なまま。まさに詩の表現そのもの。 エリザベートとポールの姉弟は破滅したようで、してないんじゃないかな。当然の帰結のようで、行き着く先は望んだところ、だったように思える。 みんな子供の頃には自分だけの世界があったはず。望んで大人になったわけじゃない。今思えばすごく不安定だけど、安らぎも確かにあった。 自分だけの、自分だけが理解できる世界。世間のルールなんて知らない。そこだけで生きられるなら、もう何もいらない、というような。 自分の思い通りにいかないジレンマ、他人が意のままにならないストレス、どうしようもないことに悲観し、躊躇なく自らの命を絶つ。 欲望に忠実で、美しいまでに迷いがない、怖るべき子供たち。

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2019/11/01

 詩人ジャン・コクトーの代表作。ポールとエリザベートという姉弟の異常な愛憎劇と、彼らを取り巻く友人関係が、作品を貫く鮮烈な死のイメージとともに描かれる。物語はポールの心情変化を転換点として四幕(①雪合戦から母の死まで、②海への滞在からアガートの登場まで、③エリザベートの結婚から彼...

 詩人ジャン・コクトーの代表作。ポールとエリザベートという姉弟の異常な愛憎劇と、彼らを取り巻く友人関係が、作品を貫く鮮烈な死のイメージとともに描かれる。物語はポールの心情変化を転換点として四幕(①雪合戦から母の死まで、②海への滞在からアガートの登場まで、③エリザベートの結婚から彼女の暗躍まで、④ポールの衰弱から姉弟の死まで)に分けることができる。①と④を繋ぐのはダルジェロという少年に対する憧憬だ。彼によってもたらされる白の雪玉と黒の毒薬は、本作に秘められた甘美な毒性を表すと同時に、ポールの心的変化を象徴する小道具としても機能している。  本作では子供たちが暮らす「部屋」を舞台に見立てた演劇的手法が用いられ、密室劇の様相を呈している。「部屋」を埋め尽くす雑多な装飾は小道具として、大人たちの存在は――子供たちの演劇を理解し得ない医師やジェラールの叔父――我々読者とは異なった次元において、ある種の観客として作用している。現実の演劇に際して、観客は演者の内面を知ることができない。内面描写が可能な小説で演劇性を再現する上で、著者は「遊戯」という夢想状態を導入していると解釈した。ポールの夢遊病はその結果生じた歪み、差異の表象ではないかと思う。ポールの精神はその死後、物語冒頭で描かれた雪合戦の場面へと回帰して、読者すなわち「観客」を目にする。客席から舞台を眺めていたはずの我々が、舞台へと引き上げられ、ここでも構造の多重化が試みられている。  文体は格調高く洗練されているが、極度に抽象化された表現がテクストの理解を妨げる。頭で理解するのではなく、上質なワインを味わうように触れるべきだろう。詩人ならではの技巧、とりわけ数珠のように繋がれた形容詞の装飾が胸に染みる。今回は角川文庫版を読んだが、原文との比較において従来訳より読みやすく、コクトーによる素描が収録された光文社古典新訳文庫版も入手したい。

Posted byブクログ

2018/02/24

昔読んだ時も、何が面白いのかがわからなかった。 そして、20年以上たった今も、いまいちよさがわからない。 登場人物に感情移入もできない。 荒廃と狂気を感じる。 「詩」っていうことなので、その混沌は伝わる。でも、中身は比較的浅い気がする。 残念ながら、私は好きではないかな。

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2017/04/18

購入したのは10年以上前だろう。再読だが、一度読み通したきりなのでほぼ記憶になし。巻末の年譜を見ると、執筆した年齢が当方の実年齢と一致していた。若くして時代の寵児となったフランスの鬼才が、不惑の年に物した美しくも攻撃的な〈物語の詩〉。

Posted byブクログ

2016/12/11

夏フェア本消化の巻。タイトルがこれ以上なく最適。最強で無敵な少年少女たちの物語。外の世界を知ってしまえばただの人。「誰も知らない」を彷彿させる。「芝居が永遠の新しさを持っているのは、この原始的な無意識のためなのだ。」彼らは夢の世界を生きているようで現実感がなく、「芝居小屋」という...

夏フェア本消化の巻。タイトルがこれ以上なく最適。最強で無敵な少年少女たちの物語。外の世界を知ってしまえばただの人。「誰も知らない」を彷彿させる。「芝居が永遠の新しさを持っているのは、この原始的な無意識のためなのだ。」彼らは夢の世界を生きているようで現実感がなく、「芝居小屋」という表現がまさしくな、閉塞したアパートの一室でその日の気分で役を演じている。観客としての立場を確立してしまったアガート。彼が持ち込む「現実」が「非現実」に見えるほどポールとエリザベスの世界観は確固たるもので幼く儚い。

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2016/09/16

姉弟を中心に描かれた詩小説。洋画家による翻訳のせいか、藝術性が分かりやすさはおろか日本語文法にすら優先されているかのような文体。何だかよく分からないけど何だか凄かった。中心人物が年齢を重ねても内面的には子供のままだったので鬱屈した欲動を昇華できずに自爆してしまった話と私は捉えた。

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2016/02/16

美の特権は素晴らしいものである。美は美を認めないものにさえ働きかけるものだ。 子供は子供の現実、重大で英雄的で神秘的なその現実に帰らなくてはならない。この現実は目に見えないほどの細かい事実によって維持されていて、世界の違う大人の容喙は無残にその幻想を壊すことになる。 富と安定...

美の特権は素晴らしいものである。美は美を認めないものにさえ働きかけるものだ。 子供は子供の現実、重大で英雄的で神秘的なその現実に帰らなくてはならない。この現実は目に見えないほどの細かい事実によって維持されていて、世界の違う大人の容喙は無残にその幻想を壊すことになる。 富と安定が逆にカオスを求める?勉強、地位、就職に無関心。- 安定を求める人と安定を壊したい人の接触は危険だが自分はどうやらエッジオブカオスを求めているのでまた別の派閥らしい。

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2016/02/14

子供時代にのみ存在する、陶酔。それを丹念に描き出している。ただ美しいものに心惹かれ、破滅を恐れず、甘美な毒に酔う。子供時代は、死への執着に満ちている。そして、生へ向かう決意を持った時、人は大人になるのかもしれない、と思った。 東郷青児訳は、いまいちだった。

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2015/12/18

コクトーの絵が好きで、小説はどんなだろうという興味から読む。絵画同様、線の人。あまり色彩はなく、ぷつりぷつりと切れながらも、しっかりと感覚に訴えてくる。 読み終えてすぐ、ファム・ファタールな話?と感じたけど、違う。巻末の解説を読んでようやく納得できた次第。死神と聖女に子供に大人。...

コクトーの絵が好きで、小説はどんなだろうという興味から読む。絵画同様、線の人。あまり色彩はなく、ぷつりぷつりと切れながらも、しっかりと感覚に訴えてくる。 読み終えてすぐ、ファム・ファタールな話?と感じたけど、違う。巻末の解説を読んでようやく納得できた次第。死神と聖女に子供に大人。まるで西洋絵画のような、神話のような符号に気づけなかった自分が悔しい。最初と最後の場面が似ている時点で気づきたかった。符号のある小説って、私にとってはやはり西洋絵画を観ている感覚があり、衝撃だった。文芸でも可能なんだという驚きと発見。 そして、ポールの最後の感覚がわかる自分が怖い。子供の頃って純粋さ故か、死がすぐ近くにあると感じてたように思う。憧れと同じ位置にもってくるところがにくい。 読んだ後でザワザワと皮膚を伝ってくる。詩のような文体で、決して読みやすいとは言えないのに、皮膚感覚でわかるこの感じ。恐るべしコクトー。

Posted byブクログ

2015/09/27

オトナになれないコドモたち。 折り合いをつけるのがオトナの条件なら むしろ世界はコドモたちしかいない。 そんな気がしてゾッとした。 ちょいと難しすぎた。

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