デザインのデザイン の商品レビュー
デザインに関する考え方を複数のケースから解説していく本。 しかしながら、素材が使い尽くされているようで、著者のほかの本であつかった題材が複数出てくるのが、微妙。本に対しても真剣に打ち込んでほしいものです。
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無印良品のデザインを手がけている原研哉さんの本です。 デザインとは何かという彼の考えを述べる部分から始まり、それまで手がけてきた仕事を順々と紹介しています。 松屋銀座のリニューアルオープン、無印良品、愛知万博など、有名な仕事が多いので、読んでいてなるほどそういう意図があったのか...
無印良品のデザインを手がけている原研哉さんの本です。 デザインとは何かという彼の考えを述べる部分から始まり、それまで手がけてきた仕事を順々と紹介しています。 松屋銀座のリニューアルオープン、無印良品、愛知万博など、有名な仕事が多いので、読んでいてなるほどそういう意図があったのかと納得させられます。 挿絵の写真も多くてレイアウトも素敵なので、とてもおしゃれな本だなとも思いました。 私はこの人の考え方がとても素敵だと思います。 ものをデザインするということは、そこに自分がこのものがこうあってほしい、こういう意識を持って使って欲しいと思う希望を込めることだという仕事に対する姿勢も素敵だと思うし、今まで日本で受け継がれてきているものを再発見して新しいデザインにするというのも素敵だと思います。 本の中で日本人の美意識や伝統的な日本の美についても書かれています。 明治の文明開化以降、日本は西洋の模倣に躍起になっていますが、日本的な美しさも捨てたものじゃないという主張は共感できるなと思いました。 私たちの中にある美しさの基準は、きっと今まで連綿と続いている文化の中にあるはずです。 日本の文化のことをもう少し大切にしたいと思える本でした。
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●デザインのデザイン ●デザインの役割 ・経営資源としてのデザインの運用:消費への欲望を産む「スタイルチェンジ」という役回りでデザインを重用した ・現在のデザインは、「今日あるものを明日古く見せる」ことに力を発揮している ・既存のデザインとの差異の中に、新しいデザインが表現しよう...
●デザインのデザイン ●デザインの役割 ・経営資源としてのデザインの運用:消費への欲望を産む「スタイルチェンジ」という役回りでデザインを重用した ・現在のデザインは、「今日あるものを明日古く見せる」ことに力を発揮している ・既存のデザインとの差異の中に、新しいデザインが表現しようとした切実なものが含まれている ・デザイナーの仕事は、物事の本質を把握し、それに相応しい情報の形を与え、最適なメディアを通してそれらを社会に還流させていくことである ・デザイナーの仕事のひとつは情報の核心を誰もが摂取しやすい状態にやさしく整理整頓することである ・その時代の速度や密度の中に身を置かないと見えてこないものもあり、複数のサブジェクトを同時に視野に入れることでようやく感じ取れる世界の動きもある ●日常的なコミュニケーションの局面での実践 ・電子メディアの可能性について夢想することに夢中で、日常的なコミュニケーションの局面での実践がややお留守になっているかもしれない ●デザインと認知 ・そこに意味が発生するための用意はしておく。つまり何かをアフォードする潜在性をデザインしておく ・イメージとは、間隔器官を通じて外から入ってくる刺激と、それによって呼び覚まされた過去の記憶が脳の中で複合、連繋したもの ・人間はとても積極的な感覚の受容体であり、目に見える記号をコントロールするだけで生み出せる成果には限界がある ・情報と個人の関係を洞察すると、味わいというポイントが重要になる。書籍という適度な重さや手触りによって重厚な存在感が生まれる ・器は空っぽであるからこそものを蔵する可能性を持つわけで、未然の可能性を持つことにおいて豊かなのである ●新たな価値の創造 ・「これでいい」には諦めが含まれるが、それを取り払う新次元を創造することで、「これがいい」とは異なる高度な自由の形態が生まれる ・古いものにある今日に重要な価値観を摘出し、未来を語るメッセージとして用いることが新鮮なのだ ●コミュニケーションの形態 ・メッセージではなく空っぽの器を差し出し、受け手がそこに意味を盛り付けることでコミュニケーションが成立する場合もある ●デザインとマーケティングの重要性 ・メーカーの機能が生産技術よりも商品開発能力に絞られていくとすると、一層重要になってくるのがマーケティングとデザイニングである ●戦略の持ち方 ・市場の欲望をいかに高水準に保つかを意識し、そこに戦略を持たないと、グローバルに見てその企業の商品が優位に展開することはない ●グローバル化への対応 ・自身を辺境に置くことで可能になるつつしみを伴った世界観を持ち、正解を相対化する中で、自分たちの美点と欠点を冷静に自覚することが必要 ・既に高度成長を終えた日本は、経済成長の活気の外にも幸福があることを自覚し、自国文化の美点や独自性を相対化して、熟成した文化圏としてのエレガンスを生むべき
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白がものすごく好きな人という印象を持った。デザインとは、かたちをつくることではない。デザインはかたちをつくる考え方をつくること。本質を掴む感性と深い洞察力が必要なのである。だから、whyに対してbecauseと答える理論がないといけない。アートは内なるものをカタチにする自己表現。...
白がものすごく好きな人という印象を持った。デザインとは、かたちをつくることではない。デザインはかたちをつくる考え方をつくること。本質を掴む感性と深い洞察力が必要なのである。だから、whyに対してbecauseと答える理論がないといけない。アートは内なるものをカタチにする自己表現。大雑把にまとめるとこんな感じだろうか。デザインひとつひとつに、感じてもらいたい深い狙いがあって、自分の感性も研ぎ澄まされたような錯覚をみるような気がした。それだけでなく、これまでは自然を支配し統治するのが西洋、自然と共生するのがアジア-日本はアジアの部分集合-、落ち着きがあるのが西洋、ごちゃごちゃしているのがアジアという理解だったのだけど、「何もないことに価値がある」というless is moreの先端のような日本独自の文化は、なにか忘れていたものを思いださせてくれるような感慨深いものがある。やはり、日本というのは不思議な国だと思わされた。悲観的になるには早過ぎるのだろう、既にあるものを再定義し直すこともやってみたい。すこし、感度の高い人になれたような気がする。
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松屋銀座、無印良品、愛知万博などのグラフィックデザインやプロモーションで有名な原氏による著書です。とても良かったです。初版はもう8年以上前になりますが、タイトルが示すようにデザインをメタ視点で論じた本であるため今読んでも全く色褪せていません。「アーツ・アンド・クラフツ」運動のデザ...
松屋銀座、無印良品、愛知万博などのグラフィックデザインやプロモーションで有名な原氏による著書です。とても良かったです。初版はもう8年以上前になりますが、タイトルが示すようにデザインをメタ視点で論じた本であるため今読んでも全く色褪せていません。「アーツ・アンド・クラフツ」運動のデザインの歴史から始まり、著者が当時携わっていたリ・デザインプロジェクトや松屋銀座リニューアル計画、田中一光氏から引き継いだ無印良品、そして日本という地を通じてデザインの本質に迫る行程など、非常に盛り沢山の内容です。中でも、デザイナーには本質をつかむ感性と洞察力が重要で、その為に社会に対していつも覚醒している必要がある、という記述には感銘を受けました。デザイナー必読ですね。
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「これがいい」でなく、「これでいい」。“で”の追求が、普遍性と合理性に繋がりスタンダードを生む。 無印良品のコンセプト、なるほどな。
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マーケティングの話が一番個人的に面白かった。 あと、資本主義の先の話とかも。 それから、物質としての本の話も考えさせられる。 『デザインのデザイン』というタイトルがぴったりな本だと思った。
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デザインというのは、所謂デザインされているものだけを指すのではない。普段我々が何気なく目にしているものの多くがデザインによってなされている。恐らく、我々は無意識でデザインを欲しているのだろう。だから産業革命が起きて大量生産が可能になった時、大量生産された製品に対してどこかつまらな...
デザインというのは、所謂デザインされているものだけを指すのではない。普段我々が何気なく目にしているものの多くがデザインによってなされている。恐らく、我々は無意識でデザインを欲しているのだろう。だから産業革命が起きて大量生産が可能になった時、大量生産された製品に対してどこかつまらなさを感じ、デザインをしたのだろう。我々の生活はデザインによってなされているのだな。ということを痛感させられたような気がする。
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第三章の「デザイナーは受け手の脳の中に情報の建築を行っている」という考え方が非常に腑に落ちた。一般的な五感に与える刺激はもちろんのこと、その対象となる人々の「内なる記憶」をも組み込んだ情報建築が必要。そういう発想は、自分の今の業務にも大変参考になる。どうやれば得意先を説得できるの...
第三章の「デザイナーは受け手の脳の中に情報の建築を行っている」という考え方が非常に腑に落ちた。一般的な五感に与える刺激はもちろんのこと、その対象となる人々の「内なる記憶」をも組み込んだ情報建築が必要。そういう発想は、自分の今の業務にも大変参考になる。どうやれば得意先を説得できるのかは、まさにデザインと同じ考え方が必要だな、と。 あと、第二章の「リデザイン」の発想は凄く面白い。周囲にある当たり前のモノに、違った視点からデザインを見直す。トイレットペパーを四角にする考え方なんかは、目から鱗というか、こういう考え方もあるんだなー、とワクワクした。 デザインを仕事にしている訳ではないが、色々と勉強になる一冊でした。
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無印良品で有名な原研哉氏のデザイン論。この人のシンプルさと対話するデザインの考え方が好きだ。 シンプルで訴えるデザインってとても響くよね。
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