デザインのデザイン の商品レビュー
デザイン初心者にも取っ付き易く、エンジニアとしては考えさせられることの多い一冊。 「テクノロジーの変革が生活の根幹に影響を及ぼし、世界を席巻していくというイメージも幻想」と言い切る筆者の主張は、比較的テクノロジー偏重になりがちなこれまでの自身の考えに一石を投じた。「成熟した文化」...
デザイン初心者にも取っ付き易く、エンジニアとしては考えさせられることの多い一冊。 「テクノロジーの変革が生活の根幹に影響を及ぼし、世界を席巻していくというイメージも幻想」と言い切る筆者の主張は、比較的テクノロジー偏重になりがちなこれまでの自身の考えに一石を投じた。「成熟した文化」をバックグラウンドに持った価値創造とは何かを、しっかり考えなければならない。造れば売れた時代から、プロダクト・イノベーションの時代に入り、「テクノロジーがもたらす新たな環境の中で何を実現するのか」をより一層つよく求められるだろう。 前半のデザイナー目線で見た近代史観もおもしろく、中盤の筆者の作品を通したデザイン思考も取っ付き易く勉強になる。全体を通した主張は、「デザイン」という分野に限った話ではなく、現代国富論のような様相。書籍自体のデザインも素敵。
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第2章の「リ・デザイン」では、日頃から見ているものを見つめ直したり、違う角度から見ることで、物が際立ち頭が冴える思いがした。 第7章の「あったかもしれない万博」。原研哉が想定していた愛知万博が実現していたなら、今の日本は全く別の価値観を持っていただろう。森を会場とするのは、確かに環境に悪いかもしれないが、それ以前からあった道路の計画だとかを無視して、批判するのはおかしい。だからと言って、自分がちゃんと考えられたかと言うと、当時はまだこどもで何も知らなかったけど、大人だったとしても、自分も深く考えずに「森を壊すな」派に入っていたかもしれないなーと思った。
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EMPTINESS。シンプリシティーに新たな見解を与えてくれた。「空っぽだからこそ全ての人々の思いが容れられる。シンボルというのはそういうものだ。」その箇所を読めただけで大きな収穫。
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日頃思うデザインとの向き合い方にとても共感できる点が多い書籍でした。 著者・原研哉が手掛けて来たアートワークのデザインコンセプトを紐解きながら解説本としても楽しめます。 「空の器」をコンセプトとした無印良品のアートワークや、松屋銀座のリニューアルにおける包括的なリデザインなど頷ける箇所が幾つもありました。 数々のアートワークの根幹や背景を、デザインとは何かを深く掘り下げながらも綴られていて読みやすい構成です。 この本は、著者自身の仕事や過去・現在・未来のデザインへの取り組み方を解説しながらも、今後のデザインに携わっていく者へのメッセージが随所に感じられます。 以下、とても共感した本文の一部を引用します。 ・コンピュータは「道具」ではなく「素材」である。 与えられたソフトウェアを鵜呑みにして使うのではなく、数字によって構成されたこの素材で、どんな知の開拓ができるかを考える必要がある。 ・デザイナーは本来、コミュニケーションの問題を様々なメディアを通したデザインで治療する医師の様なものである。 ・メディアが進化するならば、デザインもそれとともに進化する。
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高校生には敷居高いかな…と思いつつも背伸びして購入した本です。 デザインの見方が変わる。デザイン好きなら読んで得した気持ちになる一冊です。
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大学のバイトでパソコン講座の受講生が作成する名札のテンプレートを作ってる時、デザインに悩んでたらもはや名前も覚えてない先輩から紹介された一冊を今更ながら読了。いや、当時読んでたとしても役には立たなかったと思いますがね…。本書を一言で表すならば、デザイナーによるデザイナーのためのエ...
大学のバイトでパソコン講座の受講生が作成する名札のテンプレートを作ってる時、デザインに悩んでたらもはや名前も覚えてない先輩から紹介された一冊を今更ながら読了。いや、当時読んでたとしても役には立たなかったと思いますがね…。本書を一言で表すならば、デザイナーによるデザイナーのためのエッセイ。『デザイン』というのは広義では”設計”や”意匠”、狭義では”商業美術”に分けられるが、本書は圧倒的に後者の美術寄り。メッセージ性、社会に対する影響と役割、目指す理想を語られるが、過去の歴史的な事例の紹介なしに、筆者の経験を中心に語られるので、どうにも薄っぺらい。アーティスティックに活躍しているトップクラスとそれに憧れるワナビには通ずる所があるかもしれないが、凡百の雇われデザイナーと一般人に伝えるには高尚すぎるのかも…。
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デザインということについて目から鱗の内容です。 デザインの本質は、PRや新規性ではなく、人と情報(モノ・コト)との関わり方(コミュニケーション)のソリューションであるという視点を知りました。 恐らく、日常生活で出会う「デザイン」と名のつくものを見ていては気づかないモノの見方を...
デザインということについて目から鱗の内容です。 デザインの本質は、PRや新規性ではなく、人と情報(モノ・コト)との関わり方(コミュニケーション)のソリューションであるという視点を知りました。 恐らく、日常生活で出会う「デザイン」と名のつくものを見ていては気づかないモノの見方を教えてくれると思います。
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コミュニケーションに関わるデザイナー(=情報の使い手)の視点に立った著作。章の見出しの引きがとても強く、読む前から興味を掻き立てられた(「リ・デザイン―日常の二一世紀」「なにもないがすべてがある」「欲望のエデュケーション」など)。 デザイナーが情報に関与するポイントは「質」の部分だという。それを「情報の美」という言葉に置き換えて説明しているのが新鮮だった。情報の美にたどり着くには「分かりやすさ」「独創性」「笑い」という3つのルートがあるというが、これは情報のみならず、何かを伝えたい・見たいと思わせる際に、気をつけておきたい点だと感じた。 ■印象に残った言葉 ・無数の見方や感じ方を日常そのものやコミュニケーションに意図的に振り向けていくことがデザイン ・デザイナーは本来、コミュニケーションの問題を様々なメディアを通したデザインで治療する医師のようなものである。だから頭が痛いからといって「頭痛薬」を求めてくる患者に簡単にそれを手渡してはいけない。診察をするとそこには重大な病気が隠れているかもしれない(中略)それを発見し最良の解決策を示すのがデザイナーである。
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題名に偽りなし。デザインで始まり、離れず、締めくくられながら、仕事全般、人生ににも至る「ことづくり」(ものづくり、人づくりに対応する)を考える一冊。言葉選びと並べ方が魔法のよう…文章こそが重要なデザインを実感。
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面白かった。漠然と言葉だけが歩いている感のあるデザインという概念が根源的に説明されて、なるほどこういう考え方もあるのかと理解できるのはなんだかすごく快感だった。 この感覚は昔にも味わった気がする。高校あたりの初歩的数学とか物理とかで、ほんのちょっと頑張れば解ける問題を前にして突然...
面白かった。漠然と言葉だけが歩いている感のあるデザインという概念が根源的に説明されて、なるほどこういう考え方もあるのかと理解できるのはなんだかすごく快感だった。 この感覚は昔にも味わった気がする。高校あたりの初歩的数学とか物理とかで、ほんのちょっと頑張れば解ける問題を前にして突然閃くあの感じ。分かれば超簡単じゃん!という爽快感と、なんだか問題を書いた編集者の意図までなんとなく分かる気になったような、うぬぼれ感と満足感が合わさった以下略。 個人的に一番共感したのは、日頃自分達は消費財から生活環境から食材まで全てのもののデザインによって教育されており、その中で怠けとゆがみに慣らされてしまうというくだり。ホントそうだわ。だから日頃触れるヒトモノカネには、ほんの僅かでも自分なりの哲学を持って接していくのが美しいと思う。
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