しゃぼん玉 の商品レビュー
初・乃南アサ。昨年映画化された作品の原作だが、映画は未見。 この作品をひと言で言うと、「道を踏み外した青年が田舎の人々に触れて更生する話」。 これだけ聞くと陳腐すぎるほど王道。だからこそ、きちんと先を読み進めさせるのはすごい。 各登場人物をきちんと掘り下げ、描写することによって現...
初・乃南アサ。昨年映画化された作品の原作だが、映画は未見。 この作品をひと言で言うと、「道を踏み外した青年が田舎の人々に触れて更生する話」。 これだけ聞くと陳腐すぎるほど王道。だからこそ、きちんと先を読み進めさせるのはすごい。 各登場人物をきちんと掘り下げ、描写することによって現実感を生み、「もしかしたら、こういうことあるかもしれない」と思わせる。 内容は期待通りに進むので意外性はないが、終始著者の人間に対する温かい眼差しを感じて心地のいい作品だった。
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悪夢のようなことを繰り返し、行き着いたのが山奥にある村、椎葉村。 温かい人々に囲まれ、頼りにされ、人間味を取り戻していく、ボォ。 決して少しの時間だけ漂って、いつか割れてしまうしゃぼん玉なんかじゃないよ。
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読み初めにいきなりひったくりの青年が登場し、一度表紙のタイトルを見直した。「しゃぼん玉」でどんな「おち」が待っているんだろうと… 物語に引き込まれて一気に読了。 ちょっとずれた田舎の高齢者とのやり取りの中で、よくやり直しに結び付いたと、後半は主人公の更生の道を様々想像しながら...
読み初めにいきなりひったくりの青年が登場し、一度表紙のタイトルを見直した。「しゃぼん玉」でどんな「おち」が待っているんだろうと… 物語に引き込まれて一気に読了。 ちょっとずれた田舎の高齢者とのやり取りの中で、よくやり直しに結び付いたと、後半は主人公の更生の道を様々想像しながら読み進めた。 気持ちが何度もぶれて、そのたびにまた前のように戻るのかとひやひやしした。 時間の経過の中で初めは「うっとおしい」と感じていたシゲ爺が言うことが、きちんと心根に響かせて聞けるようになる、その変化の過程が素晴らしい表現力で(上からですが…失礼)物語に引き込まれて同化してしまい、号泣に近い涙を流しながら読んだ。 若い世代に同じことを質問されて、果たして私はこのように返せるのか、まだまだ人間としての未熟さのほうが多いだろうと恥じ入りながら、この本に出会えて本当によかったと思った。
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「人はやりなおせる」 『いつか陽のあたる場所で』と対な気がする。 オーディオブック版で再読。読み落としていた細部までじっくり読めてよかった。
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推理小説というよりも、若者の更生までに至る成長物語というべきか。著書の作品『晩鐘』の血筋・血脈にも通じるものを感じさせると同時に、三浦しをん氏の著書『神去なあなあ日常』のように人里離れた過疎地での人々との出会いが、主人公のひったくり犯の気持ちを厚生への導いていく。
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今まで乃南アサの作品はサスペンス、推理物しか読んだことがなかった。乃南アサ、イコール、サスペンスというイメージがあった。しかしこの作品は人間の成長物語である。サスペンスではない。 その日その日を犯罪に頼りながらなんとか生きてきた主人公が、山奥深い村で出会った人びとと共に生活する中...
今まで乃南アサの作品はサスペンス、推理物しか読んだことがなかった。乃南アサ、イコール、サスペンスというイメージがあった。しかしこの作品は人間の成長物語である。サスペンスではない。 その日その日を犯罪に頼りながらなんとか生きてきた主人公が、山奥深い村で出会った人びとと共に生活する中で自分の生き方を見直していく物語だ。 ストーリー自体は「よくある」ともいえるが、場面場面の人物たちの表情や行動を表現していく文章に細密な表現力や緊迫感がある。また心情を表現するなにげないことばにその人物の本質や性格が的確に読者に伝わってくる。読みやすい文章でありながら奥深い。 終盤のストーリー展開、人間の優しさに涙してしまった。 そして乃南アサの作品の多彩さに驚かされた。
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Rさまオススメ本の乃南アサ こちらも1日で読了。 最初はなんとゆうダメな若者と思っていたし、なんか読んだことのあるような内容?とも思っていたのに、心の揺れ動き加減で、ほんとにこんな考えに陥るようになるのかもしれないと思わされ。 最後に婆ちゃんと会えるところまで見たかったような気も...
Rさまオススメ本の乃南アサ こちらも1日で読了。 最初はなんとゆうダメな若者と思っていたし、なんか読んだことのあるような内容?とも思っていたのに、心の揺れ動き加減で、ほんとにこんな考えに陥るようになるのかもしれないと思わされ。 最後に婆ちゃんと会えるところまで見たかったような気もさせられ、じんわりきました。
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あー。ええ話やったばーい。 婆ちゃん生きちょってよかった。 婆ちゃんと豊昭、翔人のシーンで胸がいっぱいになった。 親は子を想う。想うからこそ失敗もする。子が親の想いに気付くまでのタイムラグが切ない。
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しょうがねえって諦めたら、そこで終わりばい。諦めたら、人生なんかやり直せん。どげん若くてもっていうシゲ爺の言葉があったかくて電車なのに泣けて困った。
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感動して泣きそうになった。 心がすさんでいた主人公が、人の心の痛みを知り変わっていく過程に胸が熱くなった。 時には厳しく時には温かく包みこむスマやシゲ爺の言葉にもぐっときた。
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