かたみ歌 の商品レビュー
朱川湊人 著 朱川湊人さんの本はこの作品が初読書です。 ブク友さんのshukawabestさんの本棚のご紹介で手に取り読むことが出来て良かったです( ˘͈ ᵕ ˘͈ )ありがとうございます。 情緒あるって言葉がぴったりくるような作品に出会えた気がして、とても良かったです。 下...
朱川湊人 著 朱川湊人さんの本はこの作品が初読書です。 ブク友さんのshukawabestさんの本棚のご紹介で手に取り読むことが出来て良かったです( ˘͈ ᵕ ˘͈ )ありがとうございます。 情緒あるって言葉がぴったりくるような作品に出会えた気がして、とても良かったです。 下町の商店街を舞台にして起きる物語りは下町の情緒溢れるというだけなく、そこに息づく人間や得体の知れぬものの正体にさえ現れる雰囲気と感覚が情感に触れてくる。 不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包んでくれる7つの奇蹟を描いた連作短編集。 古本屋の芥川龍之介似の店主である老人が、ストーリーテラーのような役割で物語りは進んでゆく。 そしてラストでその鍵を握る人物こそ…、、 短編でありながら連作の形をとっているこの物語の中ではアーケード商店街アカシアと覚智寺のお寺近くに住む町の住人に起きる日常に、まさかの現世と黄泉をつなぐ謎が静謐に描かれている。 時代背景や流れる歌などは知らなくて懐かしいという感覚ではないにしても、時代が変わろうが、人がもつ切なくて悲しい思いは変わらないと感じさせてくれる。死に別れた人にもう一度会いたい気持ちも…幽霊という魂の不滅にゾワリ背中が冷たくなる感覚もそれすら越えてしまう忘れられない感情が切なくて温かい。 アーケード商店街って憧れる。 色んなお店が軒並みにあり商売人の顔やお店独特な顔が見えるようで…人と人の温度が感じられる気がする。 文中にあった古本屋の店主が言った 「袖擦り合うも他生の縁ですから」言葉が印象的だった。 今どき、そんな言葉を聞いたこともなければ、昔からある酒屋さんや野菜屋さんやお肉屋さん等、色んなお店が軒を並べるアーケード商店街も見かけなくなり、大型スーパーやモール店に変わるはやさと言ったら尋常じゃない(-_-;) 私は15年位前にバスで15〜20分くらいのところに、アーケード商店街を見つけた๑⃙⃘'ᵕ'๑⃙⃘ 寂れた感じはあったが、私の理想とする野菜、果物屋、薬屋、お肉屋、衣料品店、お菓子屋、帽子屋、お茶屋etc…そんなお店が軒を並べており、商店街の横道それると市場まであったのだ꒰◍︎⍢︎◍︎꒱۶(地元の方に聞くと、随分昔から100年前くらいからあったのではないかと思う) 一気に盛り上がりましたよ♪独りごちて(^.^) 何の用もないのに、時々訪れては、果物買ったり、珍しく豆腐屋さんが自家製豆腐を綺麗な水の水槽みたいなところから一丁取ってくれるのには感激した( ˶ˆ꒳ˆ˵ )お肉屋でコロッケをその場であげてもらい、紙に一個ずつ包んでもらい、商店街近くの公園で食べるのが至福の時だった⁽⁽ଘ( ˊᵕˋ )ଓ⁾⁾ あ〜懐かし、いやしんぼ(๑´ڡ`๑)だった頃を思い出す。 とはいえ、自分も近所は大型スーパーが沢山あり、駅に隣接のモール店などの近場で一度にすべてが揃うお店で買物する方が多く、簡単だし、自分の中でも商店街への魅力を感じなくなる頃…久しぶりに訪れたアーケード商店街は昔からの商店はなくなり侘しくなっていた( ᵒ̴̶̷̥́ _ᵒ̴̶̷̣̥̀ )もう、5、6年前?もう少し前なのか…(コロナの時期の空白のような時間が最近では時をはやめ年数時期感覚がかなりおかしくなっている) 市場はすべて閉店していた( ˙-˙ ; ) 打って変わり、そこには新築マンションが建ち並んでいた!このマンションに住む人たちは目の前に商店街があっていいなぁ…(´・з・`) と思いたいところだけど、その商店街さえ15年前に見つけた時のなりをひそめ、様変わり…荒んだ状況だ( ・᷄-・᷅ ) 変わっても当たり前のようになる時代だ。 長々と私情挟んでしまったが、本作の中には変わらぬ心情や人同士の身近な付き合いがあり思いやりがある。下町商店街の良さを引き出しているが、近い存在であるからこそ、嫌な気分になったり辛く切ない思いも近いのかもしれないって思った。 でも、人に素直に興味を持つことや親しみを感じることがすんなりと自分の心に沁みた。 そして、やっぱり人は不思議な感情を持つことは大切だって気がした。 ブクログで紹介されている朱川さんの他の作品も読んでみたいと思いました。 7つの連作短編集、どの作品も切なく哀しいけれど救われた思いにもなる良作でした。 ただ、”夏の落とし文”の啓介のお兄ちゃんのことがずっと気がかりのままだった。
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なんとも言えない寂しさと温かさが味わえました。 移り変わる時代が流行歌に反映されているのもいいなと思います。 じんわりと全貌が明らかになっていく感じが素敵でした。
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東京の下町にあるアカシア商店街。その近くにある覚智寺はあの世とこの世をつなぐ寺だと噂されている。その商店街をとりまく人々、特に幸子書房の店主が、7つの短編全てに関わりながら、そして、最後の物語では その店主の過去が明らかになっていく。殺されても家族を守ろうとする中華屋の主人、弟の...
東京の下町にあるアカシア商店街。その近くにある覚智寺はあの世とこの世をつなぐ寺だと噂されている。その商店街をとりまく人々、特に幸子書房の店主が、7つの短編全てに関わりながら、そして、最後の物語では その店主の過去が明らかになっていく。殺されても家族を守ろうとする中華屋の主人、弟の代わりに突然行方不明になる血の繋がらない兄、古本に手紙をはさむ文通で、いつの間にか時代を越えて 若くして特攻隊で、亡くなった著者と交流する娘、亡くなった猫の魂に救われる漫画家、見えないものが見えることで 後の奥さんを助ける大学生、そして最終章では母に殺された幼い女の子が、古本屋の主人を救う。今は少なくなったご近所の心の交流と昔は感じていた死者との交流が、描かれていて 懐かしいようなほっとするような。もちろん、残酷な死があるのだが、それでもなお温かい気持ちが交差する。
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不思議な出来事が起こる「アカシア商店街」を舞台にした短編集。「かたみ歌」というタイトルは一体どう言う意味なのかと思ったが、なるほど「死人の想い=かたみ」の話なのかと納得。全ての話が死に関わる話で、少し物悲しく、少し恐ろしく、どこか懐かしい感覚がする。後半になるほど様々な事情が一気...
不思議な出来事が起こる「アカシア商店街」を舞台にした短編集。「かたみ歌」というタイトルは一体どう言う意味なのかと思ったが、なるほど「死人の想い=かたみ」の話なのかと納得。全ての話が死に関わる話で、少し物悲しく、少し恐ろしく、どこか懐かしい感覚がする。後半になるほど様々な事情が一気に明らかになるストーリーは爽快だった。またそれぞれの話に出てくるその時代を代表する曲もいい味を出していた。
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初めて読む、朱川湊人さんの作品。 7つの連作短編集。 舞台は昭和40年代の東京下町、“アカシア商店街”というアーケード通りとその周辺の街。 この時代は子供も沢山いて、商店街も大変賑わっている様子。 レコード屋のスピーカーからは古い歌謡曲が流れている。 私の頭の中は、セピア色の...
初めて読む、朱川湊人さんの作品。 7つの連作短編集。 舞台は昭和40年代の東京下町、“アカシア商店街”というアーケード通りとその周辺の街。 この時代は子供も沢山いて、商店街も大変賑わっている様子。 レコード屋のスピーカーからは古い歌謡曲が流れている。 私の頭の中は、セピア色の古い昭和の街にタイムスリップした感じ。 でもこの作品は、そんなノスタルジックなだけの作品ではない。 黄泉の国と繋がっているらしいお寺があり、7編それぞれ、死や霊にまつわる不思議体験のお話。 どの登場人物も、幽霊を普通に受け入れている(怖がらない)のが良い。 本来こうした“不思議”は私達の身近なところあり、共存しているのかな、と思った。 私が好きなのは、次の3編。 「栞の恋」 古本に手紙を挟み、文通する話。 「ひかり猫」 漫画家志望の男と猫の魂の話。 「枯葉の天使」 最終話、全てのストーリーが繋がる。 最後に全ての謎が解け、ひとまとまりになる様は、見事です。 この本を紹介して下さったshukawabestさん、ありがとうございます! 他の朱川さんの作品も読んでみたいです!
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昭和40年代半ばくらいかな、アーケード商店街を持つ東京下町。その周辺に住まう住民たちと死にまつわる短編集。 下町で日常を暮らす人と不思議な存在との共存。昭和のどこかまでは、まだそんな雰囲気があったようです。郷愁という言葉が、一番しっくりくる作品でしょうか。 “栞の恋”は、古本屋(...
昭和40年代半ばくらいかな、アーケード商店街を持つ東京下町。その周辺に住まう住民たちと死にまつわる短編集。 下町で日常を暮らす人と不思議な存在との共存。昭和のどこかまでは、まだそんな雰囲気があったようです。郷愁という言葉が、一番しっくりくる作品でしょうか。 “栞の恋”は、古本屋(この作品全体の主要舞台ですね。)の一冊の古本で、栞を使った短い往復書簡。素敵な恋の物語です。以前、映像化されましたね。これが、一番好きでした。そのうち電子書籍での恋なんかも書かれるかしら。 朱川さん初読みかなと思っていたら、「白い部屋で月の歌を」ですね!作風違って気が付かなかった。こちらもすごく良かったです。 shukawabestさんご紹介ありがとうございました。
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’21年11月14日、読了。 いやぁ…只々、ため息。素晴らしかったです! 哀しさ、恐ろしさ、あたたかさ…色々な感情が、見事なバランスで混ざり合い、一冊の連作短編集を形造る様が、交響曲全集を聴き終えた様な圧倒的な感動と満足を、与えてくれました! 最終話「枯葉の天使」、泣けまし...
’21年11月14日、読了。 いやぁ…只々、ため息。素晴らしかったです! 哀しさ、恐ろしさ、あたたかさ…色々な感情が、見事なバランスで混ざり合い、一冊の連作短編集を形造る様が、交響曲全集を聴き終えた様な圧倒的な感動と満足を、与えてくれました! 最終話「枯葉の天使」、泣けました。でも、お見事! たった一つの不満足点は…巻末の、諸田玲子さんによる解説。ネタバレ、凄いです。本格ミステリーではないから、いいのかな?(以降、ネタバレ含む、と表記してある解説をよく見ますが…本書では有りませんでした。)解説を先に読むという方、ご注意を!
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商店街を舞台に短編がおさめられています。『栞の恋』が世にも奇妙な物語20周年スペシャル・秋〜人気作家共演編で堀北真希さんが印象的でした。切なくて不思議な恋のお話でした。
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ある商店街を舞台にした連作集。 何らかの形で死を扱っているが、不思議と重く感じさせず、むしろせつない。 登場人物は外見的にこう見えると思わせておいて実はそうではなかったというものが多い点は、とても参考になる。
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東京の下町、アカシア商店街の7話。 僕は朱川さんの紡ぐ、別の物語がちょっとだけつながっている、その構成が好み。③、⑤、⑥、⑦が特にお気に入り。 ①紫陽花のころ 初読はそれなりに楽しめたんだがなぁ、なんだかなぁ、そんな結末だったとは。 ②夏の落とし文 電柱の貼り紙に自分の未来が予見されていたら。いいお兄ちゃんだな、せつないな。 ③栞の恋 ひねりも不思議さもあってとてもいい。結末が意外だったが2読目以降も飽きない。 ④おんなごころ かわいそうだが、悪い作品とは思わない。他の編ではケバい初恵の正気さのためか。 ⑤ひかり猫 猫2匹と「私」と古本屋の店主しか登場しないが、朱川さんらしい味わいの短編。 ⑥朱鷺色の兆(ときいろのしるし) おっさんの一人称の語り口。予兆モノはいくつかあるがハッピーエンドで一安心。 ⑦枯葉の天使 他の6作全てに登場する幸子書房の店主が実は主役。締め括りとして珠玉の作品。
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