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死の接吻 の商品レビュー

4.3

44件のお客様レビュー

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2017/01/01

【ミステリーの名作古典を今さら読む】 なるほど歴史に残る傑作。推理小説というよりサスペンス小説ですが、構成がなかなかに巧妙。1953年の作品ですが、古さはあまり感じさせず、一気に読ませます。間違いなく面白い。私の中での翻訳ものオールタイムベストの10位以内には入るでしょう。

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2016/11/10

資産家の女性を恋人にし、成功者の仲間入りをしようとした目論見がズレだした時、青年は恋人を自殺に見せかけ殺してしまう。 しかし自殺を不審に思った恋人の姉が犯人探しに乗り込んでくる。 姉が犯人に辿りつく瞬間、意外な展開が起こり俄然面白くなってきます。むしろそこからが本番。 終盤の対決...

資産家の女性を恋人にし、成功者の仲間入りをしようとした目論見がズレだした時、青年は恋人を自殺に見せかけ殺してしまう。 しかし自殺を不審に思った恋人の姉が犯人探しに乗り込んでくる。 姉が犯人に辿りつく瞬間、意外な展開が起こり俄然面白くなってきます。むしろそこからが本番。 終盤の対決場面は、犯人が天国から地獄へ落ちる精神の振れ幅描写がドラマチック。精錬所という場所設定も効果抜群。 1953年の作品でもさほど古く感じないのは中田耕治氏の翻訳のおかげもあるかも。 しかし「ただしイケメンに限る」ってまさにこの犯人のこと!

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2016/08/11

読者目線からすると、犯人は分かっている。けれど、誰が犯人なのか分からない・・・というこの文章を書いているおれが頭おかしいんじゃないかと思われてしまう内容が公然と進められていく恐ろしい一冊。 全3章の構成、目線の転換が素晴らしく、それだけにラストが若干弱く感じられてしまうのが残念・...

読者目線からすると、犯人は分かっている。けれど、誰が犯人なのか分からない・・・というこの文章を書いているおれが頭おかしいんじゃないかと思われてしまう内容が公然と進められていく恐ろしい一冊。 全3章の構成、目線の転換が素晴らしく、それだけにラストが若干弱く感じられてしまうのが残念・・・。 こいつ、夜神月だろとしか思えない人物が出てくる。

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2015/07/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一部は犯人側から犯罪の動機、経過を描写するが、あえて犯人の名前は伏せてある。それが第二部の犯人探しの際、サスペンスを高める役に立っている。第一部の印象はそれほどよいものではないが、この効果が第二部になって最高に効いてきている。第二部はまさに素晴らしい内容と感じた。第二部の後半で犯人が明らかとなるが、それまでの二人の容疑者の捜査に対して意外な人物となっている。 これに対して第三部は一般的な内容に思われた。第二部の犯人が明らかになる場面が物語の最高潮であり、ここに向けて登って行き、あとはゆるやかに落ちていくという感じだ。

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2015/04/04

文庫本の表紙イラストは読書意欲を削ぐに充分だが内容は素晴らしい。デビュー作にして、 この完成度。しかもアイラ・レヴィン、 この時23歳。映画 「ローズマリーの赤ちゃん」 の原作も、 この作家だったとは。

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2014/12/21

 恋人から妊娠を告げられ結婚を迫られた時、”彼”は自身の野望のため一つの計画を練り上げた。完璧な犯罪計画とそれに翻弄される姉妹を描いたサスペンス。  第一章は倒叙サスペンスとして描かれますが、その書き方がちょっと変わっています。犯人の生い立ちやその計画の全貌も語られるのですが、...

 恋人から妊娠を告げられ結婚を迫られた時、”彼”は自身の野望のため一つの計画を練り上げた。完璧な犯罪計画とそれに翻弄される姉妹を描いたサスペンス。  第一章は倒叙サスペンスとして描かれますが、その書き方がちょっと変わっています。犯人の生い立ちやその計画の全貌も語られるのですが、犯人の名称が常に”彼は”と書かれているため、読者には犯人の名前が分からないのです。 そしてそれがこの小説のミソでもあると思います。犯罪が上手くいくのか、という犯人の心理を1章で味わい、続く2章では犯人探しが主題に。ここで疑わしい人物が出てきて、探偵役といっしょに犯人はだれなのか、と悩み、 そして最終3章で犯人が分かった状態で、犯人の野望を阻止できるかという風に各章ごとで趣向が少し分かれているため、これ一冊でさまざまなサスペンスを体感できるようになっているのです。  そうした構成の妙だけでなくミステリとしても仕掛けがしっかりと施されていて、発表からあっという間に古典の仲間入りを果たしたというのも納得の完成度の高い小説でした! アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞

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2014/08/17

叙述トリックの牽引力だけでなく、丁寧に描かれた犯行の動機や背景も読ませます。リプリーやデスノートのライトを彷彿とさせる非情かつ怜悧な主人公も魅力的。個人的な趣味でいうとあまり好みではないのですが、面白いことは間違いないです。

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2014/08/16

原著出版が1952年というから、60年以上前の作品ということになる。 舞台背景や小道具はなるほどところどころ古めかしいが、基本設定自体は今でも通用しそうである。 構成はかなり凝っていて、才気走った若さが感じられる。著者23歳の処女作だ。 打算的な美貌の青年が金持ちの令嬢を籠絡し...

原著出版が1952年というから、60年以上前の作品ということになる。 舞台背景や小道具はなるほどところどころ古めかしいが、基本設定自体は今でも通用しそうである。 構成はかなり凝っていて、才気走った若さが感じられる。著者23歳の処女作だ。 打算的な美貌の青年が金持ちの令嬢を籠絡し、婿入りして莫大な財産を手に入れようと目論む。彼女を夢中にさせることにはまんまと成功したが、計算違いなことに、彼女は妊娠してしまう。厳格な彼女の父に知られれば、娘を勘当するであろうことは目に見えている。そうなったら財産は手に入らない。青年は躍起になって中絶を勧めるが、「愛」に目が眩んだ彼女は承知しない。貧乏でもやっていけると夢物語を語る彼女に業を煮やし、自殺に見せかけて彼女を殺してしまおうと決心する。 その犯罪がうまく行くのか、というのが最初の山場である。 本作は3部構成で、各部のタイトルは女性の名前である。これがどういう意味を持つのかは読み進めていくうちに明らかになる。 第1部で登場する青年は、名前が明らかにされない。これが第2部に引き継がれて、読者自身も第1部の青年が第2部の中の誰であるのかわからない、不安定で落ち着かない気分を引き起こす。 第3部で、それまで「攻め」の立場であった青年が「守り」に立たされる。 さて、この犯罪は最終的にどうなるのか、という構成になる。 構成全体も見事だが、細部の描写も秀逸である。第2部で女性が追われる場面では句点がなくたたみ掛けるような筆致が、女性の動きに合わせて読者の視線を疾走させ、緊迫感を誘う。第3部の製銅工場の熱気が立ちこめる場面は、青年の暗い絶望感を際立たせる。 令嬢の父は製銅会社の社長である。発展しつつある一大産業。陽のあたる場所だ。対して青年は貧しい階層で生まれ、一度は戦地に赴き、後、大学に進学している。 そうした対比から、上り坂の経済発展の陰の暗部を抉り出している、とも言えそうである。 主人公の青年は、善悪の観念が欠落したサイコパス的な感じもするが、貧富の差という万力のように大きな力が人格をねじ曲げたと見ることもできそうだ。 難を挙げれば、冷酷な青年は言わずもがなだが、女性たちも素性も判らぬ男にあまりに簡単に気を許しすぎな感じがして、全般に感情移入できる登場人物がいない点だろうか。後味がよくないのはいささか残念だ。 巻末の訳者あとがきは、この作品の映画化・ドラマ化についても触れている。当時の空気が伝わってこちらも併せて興味深い。 *著者は、ロマン・ポランスキー監督の曰く付きの映画『ローズマリーの赤ちゃん』の原作者。『ブラジルから来た少年』も話題作だった。 *この著者の姓名はユダヤ系なのだろうか・・・? *最初の事件の手がかりの1つに「古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの」が出てくるのだが、これ、邦訳では、一応、何らかの形で注釈があった方がよかったのではないだろうか。あまり書いてしまうと興醒めなのだろうが、かといって日本人の「誰も」が知っているほど一般常識ではないような気もするのだが。

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2013/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ミステリ12か月」より。表紙がなかった。図書館でも書庫にあったやつだからな。またしても海外ミステリ古典的名作。2章のエレンが一番面白かった。まさかの展開。1章で彼の名前が出てこないなんて、全然気づかなかった。しかし、最後のマリオンはかわいそうだった。金目当てだっていいじゃないか、見逃してやれよ、と思った。父親も正直そう思ったと思う。ゴードン・ガントが恨めしい。せっかく優しい美形の男と結婚できそうだったのに。結局バッドのママが一番悪いんじゃないか。過干渉な母親は意外と海外ものに多く出てくるな。解説によると復員兵の問題も入ってるとか。アプレゲールってなんだ?と思って調べたら、『戦前の価値観・権威が完全に崩壊した時期であり既存の道徳観を欠いた無軌道な若者による犯罪が頻発し、彼らが起こした犯罪は「アプレゲール犯罪」と呼ばれた』だって。なるほど。しかし、これを23歳の処女作だというんだから、すごいなぁ。

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2013/05/13

殺人を犯そうとする者の心理に添ったサスペンスから一転する2章3章。構成と語り口の妙が素晴らしい傑作。

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