父の詫び状 の商品レビュー
今でこそ普通のエッセイではあるが、 当時は相当斬新だったに違いない。 向田邦子さん、その人のような、 知的で、シャープな文章。 とてもリズムよく、しゃきしゃき読めた。 結構古い本なのに、 古さを感じさせず、当時の風土や人が いきいきと感じられる様は、20代の私には 逆に新鮮だった...
今でこそ普通のエッセイではあるが、 当時は相当斬新だったに違いない。 向田邦子さん、その人のような、 知的で、シャープな文章。 とてもリズムよく、しゃきしゃき読めた。 結構古い本なのに、 古さを感じさせず、当時の風土や人が いきいきと感じられる様は、20代の私には 逆に新鮮だった。
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こんな文章が書きたい。なんでもないように、さらさらと書いているようで、でも誰にも真似できない細やかさがあって。こんな女性になりたい。
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母の本棚から。同じ話の中でも飛躍が多くて、途中で「あれ?何の話だっけ」と彷徨うことが多々あった。でも、遺言状のつもりで書き始めた、という筆者のあとがきを読んで、たくさんの記憶を書き残しておきたかったのだろうと思った。
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向田さんの文章、好きなんですが、この本と「思い出トランプ」はとりわけ思い出深い本になっています。 初めて出会ったのは問題集。小学生ではまだよくわからなかったその良さが、読む度に深く感じられるような 気がします。 やはりこの本では父親の居る情景、というものがまずオススメしたいもので...
向田さんの文章、好きなんですが、この本と「思い出トランプ」はとりわけ思い出深い本になっています。 初めて出会ったのは問題集。小学生ではまだよくわからなかったその良さが、読む度に深く感じられるような 気がします。 やはりこの本では父親の居る情景、というものがまずオススメしたいものでありますが、私としてはもう一つ。 食べ物の出てくる場面が好きなんです。思わずニヤッとしてしまう感じなんです。 空襲の日、もうダメかもしれないという状況で、あるだけの白米を炊き、不謹慎にも揚げ物のにおいを近所に まきながらさつまいものてんぷらを揚げる。畳に土足であがりこんで、横になる一家。 普段は怒鳴り、威張る父親が、躊躇した、畳に土をつける行為を、潔くやってのけた母の姿が印象的です。 家族の居る姿を見つめる筆者の視線の、優しいだけではない、あたたかさを感じられる名エッセイだと思います。 (2003年12月3日)
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頑固で不器用ないかにも「昭和の父」という感じがとても新鮮だった。表題作は強い父親の弱い部分が見えてとても感動する。
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向田邦子さんの文章を初めて読みましたが、何で今まで読まなかったのだろうという気持ちです。こんな風に、大きくなったときに「よかったなぁ」と思い返せる家族ってとっても素敵で、支えでもあり財産でもあると思います。こんなに心に沁みる文章を書く方が亡くなってしまわれたこと、残念に思います。
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向田さんのエッセイ第一弾。これは、ほんとに傑作だと思う。どこを切り取っても昭和。食べ物や立ち居振る舞い、言葉遣いにいたるまで。しかも映像で浮かんでくるような描写力。また、ひとつのエッセイのなかでかなり飛躍する話題が登場するかと思いきや、着地点ですべてがうまく絡まっているという向田...
向田さんのエッセイ第一弾。これは、ほんとに傑作だと思う。どこを切り取っても昭和。食べ物や立ち居振る舞い、言葉遣いにいたるまで。しかも映像で浮かんでくるような描写力。また、ひとつのエッセイのなかでかなり飛躍する話題が登場するかと思いきや、着地点ですべてがうまく絡まっているという向田さんの名人芸のオンパレード。秋の夜長にゆっくり味わいながら読むのにもってこい。
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つくづくエッセイのうまい人だと思う。短い文章に笑いあり、スタイルあり、ちょっぴり切なくなる一冊。テーマでは時代を感じさせつつ、文章は時代を感じさせない。
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今やどんなタレントでも出版できるもの、それがエッセイ。しかしこの本は別格。質のよいエッセイはやはり芸術なのだな〜。天性の文才を感じました。
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昭和初期から戦後にかけての生活が書かれたエッセイです。私はその頃まだ生まれてないはずなのにすごく身近な時代に感じます。自然な文章で体にすーっと入ってくる本です。
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