父の詫び状 の商品レビュー
「向田邦子は平凡なホ…
「向田邦子は平凡なホームドラマを書く人」と、この「父の詫び状」を読むまでは思っていましたが、この本を読んで、今までの偏見は吹っ飛び、一変、彼女のファンになってしまいました。彼女の本はほとんど読みましたが、私はやはり彼女のエッセイが好きです。中でもこの「父の詫び状」は最高傑作だと思...
「向田邦子は平凡なホームドラマを書く人」と、この「父の詫び状」を読むまでは思っていましたが、この本を読んで、今までの偏見は吹っ飛び、一変、彼女のファンになってしまいました。彼女の本はほとんど読みましたが、私はやはり彼女のエッセイが好きです。中でもこの「父の詫び状」は最高傑作だと思います。昭和の家族の姿がとても愛しいです。
文庫OFF
現代作家の中で、初め…
現代作家の中で、初めて感動した本です。向田さんの文章は中学受験の格好の題材らしく、中学受験をした私は、たくさん読んだりしましたが、改めて落ち着いて読むと、本当にステキです。まず、私の知らない時代(戦争前後、戦争からしばらく後)について、驚くほど正確に記述されているので、情景がとて...
現代作家の中で、初めて感動した本です。向田さんの文章は中学受験の格好の題材らしく、中学受験をした私は、たくさん読んだりしましたが、改めて落ち着いて読むと、本当にステキです。まず、私の知らない時代(戦争前後、戦争からしばらく後)について、驚くほど正確に記述されているので、情景がとても把握しやすいこと。そして、向田さんの心情の表現が抜群に優れていて、非常に理解でき、共感できること。自分が今までに一度は抱いたことのあるような感情・思い出と似たような出来事がちりばめられているので、
文庫OFF
向田さんのエッセイ集…
向田さんのエッセイ集。こんなに次々と子供時代の思い出がよみがえってくることに驚き、感動した。この時代を知らないのに、読んでいると「懐かしい」と思える昭和の家族の姿。とても良いです。
文庫OFF
多くを語らぬ頑固者の…
多くを語らぬ頑固者の父が昔の典型でした。そんな父親の姿が感動的に表現されています。古い作品ですが、今にも通じ、家族を考えるためにはとてもよい本だと思います。
文庫OFF
死が通奏低音となっているのは、筆者が病気を経験したからというだけでなく、私は彼女が墜落事故で亡くなる運命ことを先回りして知っているからと思う。『女の薬指』に収められた一つ目のエッセイ(「チャンバラ」)の書き出しにも驚いたけど、このエッセイでも飛行機の墜落に何度か言及しているから、...
死が通奏低音となっているのは、筆者が病気を経験したからというだけでなく、私は彼女が墜落事故で亡くなる運命ことを先回りして知っているからと思う。『女の薬指』に収められた一つ目のエッセイ(「チャンバラ」)の書き出しにも驚いたけど、このエッセイでも飛行機の墜落に何度か言及しているから、その度に薄暗さを感じ取ってしまう。文章の組み立て自体が記憶というものがその人のところに訪れる唐突さを再現的に表していると思った。
Posted by
面白かったり泣けたり。 昭和の家庭では、当然のように父親が一番強くて、特別だった。 怖くて、時に理不尽な存在だった。 先生に叩かれることだって、あった。 それでも、そこにはしっかりと愛情が通っていた。 そんな風景が広がる本。 しかし、よくこんなにいろんなエピソードを持っているなあ...
面白かったり泣けたり。 昭和の家庭では、当然のように父親が一番強くて、特別だった。 怖くて、時に理不尽な存在だった。 先生に叩かれることだって、あった。 それでも、そこにはしっかりと愛情が通っていた。 そんな風景が広がる本。 しかし、よくこんなにいろんなエピソードを持っているなあ、と感心する。 物事をしっかりと感じて捉えて生きてきた人なんだなあ、と、そのさっぱりとした文体から垣間見える人柄に魅かれる。 2006.11.25 私は本を読むのが遅いので、なかなか読み進まなかった。が、それはこの本が面白くなかったということではない。エッセイを読むと、その人の人生に同化するような気がする。経験を共有する、というか。ものを違った角度で見ることができる、というか。向田さんの人柄がにじみ出ているのであろう。とても愉快で、温かい本だった。いばる父と、その父をあたたかく支える母とおばあちゃん。その生活が見えた気がした。
Posted by
秀逸なエッセイ。思わず笑みも溢れる。でも、すっと寂しさもよぎる読後感。 個人的には黒柳さんのエピソードが盛り込まれていた「お辞儀」が面白かった。そのなかでも、母を香港旅行に送り出した飛行機の下りの描写が、その後の向田邦子さんの最期につながるようで、なんとも言えない気持ちに見舞われ...
秀逸なエッセイ。思わず笑みも溢れる。でも、すっと寂しさもよぎる読後感。 個人的には黒柳さんのエピソードが盛り込まれていた「お辞儀」が面白かった。そのなかでも、母を香港旅行に送り出した飛行機の下りの描写が、その後の向田邦子さんの最期につながるようで、なんとも言えない気持ちに見舞われた。
Posted by
読み終えるまでに何ヶ月もかかった。それだけこの世界観に浸っていたい、終わってほしくないと願ってしまったのだ(実際は長い放置期間を挟んだ)。彼女の目や心を通して観る昭和初期の風景、家族の営みが、決して派手ではないけれどささやかなユーモアに満ち満ちている。断片的なのにしっかりテーマと...
読み終えるまでに何ヶ月もかかった。それだけこの世界観に浸っていたい、終わってほしくないと願ってしまったのだ(実際は長い放置期間を挟んだ)。彼女の目や心を通して観る昭和初期の風景、家族の営みが、決して派手ではないけれどささやかなユーモアに満ち満ちている。断片的なのにしっかりテーマとリンクした思い出の数々は、時々ゾッとするものもありつつ、けれどそれらを見つめる眼差しはあたたかい。彼女のような文章を書けるようになりたいと素直に思う。そして彼女にとって大切な、身も心も移り変わる時期を過ごした鹿児島が、わたしにとっても「転」の地であることを誇りに感じた。
Posted by
すごい。読み進むうち、目の前に、昭和の生活が生き生きと再現され、路地裏の音が、生活の匂いが、さては、戦時中の光景までが、浮かんでくるようです。まさに生活の昭和史と言っていいのでしょう。 昔のことなんですが、読んでいて、全然違和感なく、引き込まれていくのは、いかに向田邦子氏が、すご...
すごい。読み進むうち、目の前に、昭和の生活が生き生きと再現され、路地裏の音が、生活の匂いが、さては、戦時中の光景までが、浮かんでくるようです。まさに生活の昭和史と言っていいのでしょう。 昔のことなんですが、読んでいて、全然違和感なく、引き込まれていくのは、いかに向田邦子氏が、すごい作家であったことの証なんでしょう。
Posted by
幾つかの違う記憶がタイトルに収束され、最後の数行で一つの作品として立ちあがる様が、ホントに素晴らしい。記憶にどっぷりと浸かりたくなる。自分自身の忘れているささやかな記憶を、なんとか思い出して愛でたくなる。
Posted by