父の詫び状 の商品レビュー
庶民の日常史の一つというところでしょうか?正直に言って現実感が持てないのですが、時代は大きく変わっているということの証かと。それこそこんなの今だったらニュースになりそうな話もあるけれども(まぁニュースになること自体おかしいというレベルの話もありますけれども)。 それにしてもどのエ...
庶民の日常史の一つというところでしょうか?正直に言って現実感が持てないのですが、時代は大きく変わっているということの証かと。それこそこんなの今だったらニュースになりそうな話もあるけれども(まぁニュースになること自体おかしいというレベルの話もありますけれども)。 それにしてもどのエッセイにも死の影が漂うのは意図したものなのか、はたまたこの作家の個性なのか、判断しかねるところですが、凄みは間違いなくあります。簡単に読める読み物ではなく、ゆっくり味わい、余韻に浸るエッセイかと思われ。
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著者の人生を振り返っての、些細なそれでいて多彩な出来事が綴られていきます。 本当にその多彩さには驚く。 著者の記憶力と表現力、感受性の豊かさには感嘆するばかりです。 そして、これは明らかに家族の幸福な思い出を綴ったものでもある。 関川夏央がこのエッセイ集をモチーフの一番手として...
著者の人生を振り返っての、些細なそれでいて多彩な出来事が綴られていきます。 本当にその多彩さには驚く。 著者の記憶力と表現力、感受性の豊かさには感嘆するばかりです。 そして、これは明らかに家族の幸福な思い出を綴ったものでもある。 関川夏央がこのエッセイ集をモチーフの一番手として「家族の昭和」を書こうとしたことに深く共感することができます。 数ある魅力的なエピソードの中で個人的にもっとも印象的だったのは「お辞儀」。 年老いて心臓を病み入院した母を姉弟4人が見舞いに訪れた見送り際、エレベーターの扉が閉まる向こうで深々とお辞儀をする母。 その姿を笑いながら涙ぐむ姉弟たち。 家族の深い深い絆を感じないわけにはいきません。 向田家の父は貧しい出自から叩き上げで大保険会社の支店長を務めるまでになった人物。 向田家はけっして金持ちではないが貧乏でもない。 父の厳格さ横暴ぶりには苦労させられるが、けっしてギスギスした雰囲気の家庭ではない。 そういう家庭環境の中で著者の魅力的なパーソナリティが育まれたことは想像するに難くありません。 著者は自身を評して「行き遅れ」「甲斐性なし」「オールドミス」「テレビのシナリオ書きなどというやくざな商売」などと卑下する言葉が連発されます。 また、鼻が低くて丸いことなどを取り上げ、器量もいまいちだと云う。 しかも食べ物の大きい小さいがついつい気になってしまうような貧乏臭さが抜けないことなども書き連ねます。 その一方で、少女時代から勘が鋭く目立つ子供であり、この時代の女性としてはかなりアクティブであったとも思われ、また、その器量(写真をみれば本人の卑下に反して明らかに美人である)と利発さから特に年上の大人の男性から好意をもたれることが多かったことをほのめかすようなエピソードも散見されるなど、その庶民性と才女ぶりという両面を持ち合わせていることが、著者の魅力なのだと思う。 この本には、飛行機事故を心配する場面が2か所も出てくる。 一か所は母と妹が海外旅行に旅立つ飛行機を見送りながら「どうか落ちませんように」と祈る場面。 もう一か所は著者自身が友人とペルーに旅行し、アマゾン行きの飛行機に乗る場面。 飛行機事故に遭う可能性が限りなく低いことは広く知られていることなのにもかかわらず、このような場面を描いていた著者が、これを書いた数年後に飛行機事故で生涯を閉じることになった皮肉。 著者の勘の鋭さがこんなところにも不幸にして現れてしまったのかも…などと今となってはふと考えてしまいます。
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さすが、お見事、と思ったら、コレエッセイとしては初モノ?ドラマの脚本ではなくての書き物として。 すごく気分良く読めて嬉しい。 解説の人の言うこともよくわかる。 飛行機のことが出てくるとドキッとしてしまうけれそ、書いているときはまさか自分がそんなことになるとは、もちろん想像もして...
さすが、お見事、と思ったら、コレエッセイとしては初モノ?ドラマの脚本ではなくての書き物として。 すごく気分良く読めて嬉しい。 解説の人の言うこともよくわかる。 飛行機のことが出てくるとドキッとしてしまうけれそ、書いているときはまさか自分がそんなことになるとは、もちろん想像もしていなかっただろうし、生きていてくれていたら、あれからどんなにまたたくさんの面白い作品を私たちにくれていたんだろうと思うと、返す返すも悔しい。 また向田邦子は読みたい。 日本語学校バザー ¢10
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なんとなく、有名っぽいので読んでみた 向田邦子さんって人は何した人かも知らず 解説よんでびっくりした けっこう面白くて、それなりに共感したり、なんか向田さんという人のことをちょっとわかってる感覚で読んでたから、(けっこう前だけど><)突然死んじゃったって知ってびっくりした・・ ...
なんとなく、有名っぽいので読んでみた 向田邦子さんって人は何した人かも知らず 解説よんでびっくりした けっこう面白くて、それなりに共感したり、なんか向田さんという人のことをちょっとわかってる感覚で読んでたから、(けっこう前だけど><)突然死んじゃったって知ってびっくりした・・ 戦時中のこととか、不条理なお父さんのこととか おもしろかった。
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再読 好きなエッセイの中のひとつ。 昔読んだ時より 父の詫び状が 様々な面から読めた気がするが また年を重ねて読むと 違うんだろうな 鹿児島時代の話が とても好き。時代は、違うが 同じ小学校に通っていたことが 私にとっては、嬉しい。
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「エッセイ」という言葉よりも「随筆」という言葉の方がよく似合う名作。一篇一篇が珠玉と言える名品集だ。 最近のエッセイ(まがい)で、このような文章が読めないのが淋しい。
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昭和っぽいけど、でも他人事じゃない感じ、、、 家族それぞれの人間味。あったかい。小さいころあんなことあったなぁ、大人に囲まれて育ったあの頃、あの人は何かんがえてたんだろう、 怒られたり、一緒にいたり。あの会話の時には?あの帰り道では? あの人は何を考えて、一緒にいてくれたんだろう...
昭和っぽいけど、でも他人事じゃない感じ、、、 家族それぞれの人間味。あったかい。小さいころあんなことあったなぁ、大人に囲まれて育ったあの頃、あの人は何かんがえてたんだろう、 怒られたり、一緒にいたり。あの会話の時には?あの帰り道では? あの人は何を考えて、一緒にいてくれたんだろう?私に接してくれてたんだろう? 家族への思いが増す。今思い返すと、子供のころに見えなかったいろんなことが、子供のころの自分の目の記憶を通して見えるような、そんな本です。
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向田邦子のエッセイ。戦前の普通の家庭の日々が綴られてる。お父さんのはちゃめちゃさは、大人にならないと分からないよね。
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向田邦子は祖母と同い年。戦中戦後を生きた女性からみた、暮らしの様子、昭和のにおいが伝わってくる。笑えるところ・泣けるところの緩急、読みやすく明快な文章。勉強になりました。
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黒柳徹子の留守番電話の話は何度読んでも笑える。電車の中で読むときは要注意です。笑い死にしそうになりました。
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